鬼斬り ~艦これ改に捧ぐ~   作:日明月

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第六話「軽巡棲鬼を打倒せよ!」

……報告書を提出すれば、一連の艦隊編成はすべて終了だ。もう終わりは近いな………局長と第一室長はいったい、何をやろうとしているんだろう……?

 

 

 

第六話「軽巡棲鬼を打倒せよ!」

 

 

 

「心配するな……私には彼らの魂が宿っていない。受け継いだのは魂ではなく、怒りと悲しみだからな。さようなら……」

 

 

 

ズガガガガガガガ!!

 

 

ブシュウウッ!

 

 

 

「………まったく。もうどうしようもないね」ガシャン!

 

「ああ、勝ち目なんて万に一つもないのにな。イヤんなっちゃうよ」ズザザザ

 

(ボウズ。古鷹と加古が調子に乗っている。指揮官として一言ガツンと雷を落としてやれ)ドガガガ!……ザザザザ………

 

(ちょっ!? そりゃないよ天龍! 大丈夫だからね提督、ちゃんと気を抜かないでやってるって!)ドドドド!

 

(ごめんなさいお姉ちゃん、あまりにも一方的だから……胸が苦しくて……)ズガガ! ドゴオン!

 

(ボウズ!)スパアン! ザシュッ!

 

(古鷹、加古。こちらが圧倒的優勢であるのなら、その勢いを弱めることなく敵を全滅させる積りでやってほしい。もうボロボロに追い詰められた軽巡棲鬼が遂に出てきたんだ、つまりヤツは何か恐ろしい秘策を用意しているか……さもなければ自暴自棄の当たって砕けろ戦法だよ。どちらにせよヤバいことに変わりはない)

 

(………はい)ズドオン!!

 

(………うん)ドガガガ!

 

(…………)ザクウッ

 

(だからね、俺たちが勝つ方法はひとつしかない。

……潰せ。躊躇なく壊滅させろ。古鷹も加古もみんなと同じように、本当に頼りにしてる。今日は、鬼になってくれ)

 

(………我ら姉妹の戦い、お見せ致しましょう提督)ザザッ

 

(そうだね。提督……ご覧あれだよおお!)ズザザザ

 

(ああ。しっかり見てるからね)

 

ありがとな古鷹、加古! 多人数用の念話だから今の会話はみんなに伝わった。全員の気持ちを引き締めるために敢えて演技してくれた2人と、そうと分かっててツッコミ入れてくれた天龍。俺ってほんと果報者だよな……もうこの戦いは勝ち確定だ。軽巡棲鬼たちにはこんなチームワークなんて、絶対にムリだろうし!

 

(司令、なんだか燃えてますね?)ザザザザ……!

 

(分かるかい雪風)

 

(はい勿論です。司令のカラダから……伝わってきますから)

 

(仲間に恵まれてるなあって思ってたんだよ。どんどんチカラが湧いてくる)

 

(司令………)

 

(雪風。司令官を独占して楽しそうだね。あとで私の部屋に来てちょうだい)ズガアン! ドドドド……!

 

(ひ、響……! あ…あのその、雪風は司令の秘書艦ですから! 楽しいとかじゃなくて…、そう、司令をお守りしているという充実感なんです!!)

 

(そういうことだ響。後輩を優しく見守るのも先輩の務めだぞ。これからの時代は特にな)

 

(そうなの? 時代は変わったんだね……なんだか浦島太郎の心境だよ)ドガガガ

 

(変われば変わるものね。隔世(カクセイ)の感を禁じ得ないわ。あの頃はゲンコツなんて挨拶代わりだったから)ドゴオン!

 

(そうね。私たちもこの時代に適応しなくちゃね)バシュウ!

 

(司令官さん、あの室長は時代に乗り遅れたんですか?)ズガガガガ

 

(確かにそうだ。そして局長や第一室長がバックに居てくれていることで、完全に思い上がったんだよ。報告書を読んだがマジでうんざりしたよ……。アイツが払いきれなかったツケはあの二人に払ってもらわなくちゃだな)

 

(司令……ムチャはしないで。お願いです……)

 

(雪風の言う通りだね。司令官、またバリバーする積りでしょ?)ドゴオン!

 

(雪風も響もよく分かってくれてるんだな……ああ、その積りだ。話し合える相手なら艦娘へのパワハラを黙認なんてしない……ハラワタがずっと煮えくりかえってるんだよ。軽巡棲鬼を倒したら次はヤツらの番だ。艦娘が味わった痛みを着払い返送してやる)

 

(……畏怖される者とはすなわち尊敬される者……司令官、なんだか変わったね)ズガガガ!

 

ん? もしかして褒められてるのかな俺。

 

(畏怖かどうかは知らないが邪魔者だと認識されてるのは間違いないな……奴らが黙認していたパワハラを強制停止させたんだからな。………さてと、この辺りは片付いたようだな……よし、これなら大丈夫だ。雪風はくーと合流だ、索敵する彼女を護衛せよ! 暁姉妹は遊撃!)

 

(分かりました司令!)

 

(了解よ! 行くわよみんな)ズザザザ………!

 

(わかったよしれい! いまからそっちいく)

 

(囲まれたりしてないだろうな? 急がなくていいぞ)

 

(だいじょうぶ。まかせて!)

 

(分かった! それじゃ俺は……誰かこっちに来てくれ! こっちのみんなにはもう補正は要らない……次だ!!)

 

 

ザザザザザザ………!!

 

(提督、ボクにつかまって!!)

 

(時雨か! 雪風!)

 

(了解!)ザザッ!

 

接近してくる時雨が途中で左へ直角転回したので、俺たちから見ると横スクロールのシューティングゲーみたいに右へ右へと進んでいく形だ。すかさず雪風が俺の目方をものともせず急発進して、瞬く間に彼女へと追い付き並走する。

 

(雪風、ボクの手を!)つ

 

(はい!)ギュウッ

 

(提督! いいよ!)

 

(ああ、行くぞ!)

 

ガシッ!

 

繋ぎ合う2人の腕を手すり代わりにしながら右手でしっかり握り、時雨のほうへと体重移動しつつ左手で彼女の背中の艤装を包み込んでいく……熱い。砲塔が熱を帯びている……さっきまで撃ち続けていたんだろう。でも火傷なんて心配は全くない程度の熱さだ。すぐさま俺の左腕を時雨が両手で胸に押し付けてしっかりと固定してくれた。

 

(提督、右手でボクの砲塔を! 左手はこのままだからねッ)ギュッ

 

(ああ分かった! 敵が密集してるのは何処だ!? このまま連れてってくれ!!)

 

おそらく軽巡棲鬼の最後の戦力なんだろう、リッティと戦った時ほどではないが敵の数がかなり多い。そいつらがあちこちに散開しているから面倒だな……効率よく倒していくためには、少しでも多くの敵が集まっているところを叩かなくちゃだな!

 

(それは危険だよ! ボクも結界は張れるけど、そんなに何度も耐えられるワケじゃ……どう見てもこちらが優勢じゃないか! みんなに任せて、ボクたちは周辺の……)

 

(頼む時雨!)

 

(提督……)

 

(指揮官補正は艦娘との距離が近ければ近いほど効果あるんだ! たしかにマックスまでいけば距離はカンケーないぐらい強力になるし、雪風や木曾は特にそうだ! 天龍もなー! 離れていても充分補正は効くさ! でもな、時雨!)

 

(………うん)ギュッ

 

(それでもやっぱり少しでもみんなの近くに居たいんだよ!! だからさっきだって雪風にくっついて暁たちの陣形内に居たんだよ! ドンドン近付けばもしかしてマックスよりも更にスゴい補正とかあるかもしれねーだろ!? なんでもかんでも理屈通りとは限らないって!! 優勢なのは俺だって分かってる! それでもだ! お願いだよ時雨、敵が集まってるとこへ! 俺を! 頼む!!)

 

指揮官命令だ! と言えばカンタンだ。その一言で時雨は直ちに動いてくれる……でも! そんなのはイヤだ! それじゃあ俺とあの野郎は何も変わらないじゃないか。同類だ。一つ穴の狢(ムジナ)だ。そんなの……冗談じゃない!! 俺はあんな風にはなりたくないんだから。

 

(……分かったよ提督)

 

(時雨、それじゃ!!)

 

(うん。ボクたち新参が少し手古摺(テコズ)ってた相手だよ……まだ戦闘は続いてると思う。今からそこへ連れていくよ、提督)

 

(ああ、頼む!)

 

(古鷹から聞かせられてはいたんだけど………提督ってさ……)

 

(うん?)

 

(ボクたちのことで……心も頭もいっぱいなんだね!)ザバアアッ……!

 

 

 

          続く

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