鬼斬り ~艦これ改に捧ぐ~   作:日明月

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第六-2話

(古鷹から聞かせられてはいたんだけど………提督ってさ……)

 

(うん?)

 

(ボクたちのことで……心も頭もいっぱいなんだね!)ザバアアッ……!

 

 

 

第六-2話

 

 

 

ザバアアアアン!!

 

 

 

「グガアアアアア゛!!」

 

ズガガガガッ!

 

「おせえんだよおッ!」ドガガガ!

 

「…ギャア……アア゛ア゛………」バシャッ

 

(ッたく……次から次へと。キリがねぇ)ガシャン!

 

(ほらほら摩耶ぁ、口を動かす前に手を動かすの! さっきの提督の言葉、ちゃんと聞こえたでしょ~)ズドドドド!

 

(久し振りに会えたと思ったら提督ベッタリなんだな。そんなにあの男を信頼してるのかよ長波!)ドゴオン!

 

(まーね~。なになに摩耶ぁ、もしかして妬いてんの~!?)バシュウウ!

 

(ばッ………バカ言うなよ! そんなんじゃねぇって!)ズドゴオン!!

 

(キスしてくれたんだよ~? あと他にもイロイロね~)ズガガガガ

 

(な………ッ!!)///

 

(長波~、あなただけじゃないよお? 阿武隈だって提督にキスしてもらったんだからあ)ズドドドドド!

 

(な……な………)///

 

(あらあら……それなら私だって……)///

 

(……こんどは誰だ?)ボーゼン

 

(摩耶……お久し振りですね………早霜です。いけませんよ長波姉様、摩耶が当惑しています)ドガガガ

 

(早霜か……ああ、久し振りだな……じゃなくて! 頼む早霜、コイツを何とかしてくれ!)///

 

(だってさー摩耶ったら意地っぱりなんだもん。ほんとは提督のコト嫌いじゃないくせにさ、それを認めないの。まだ第三艦隊気分が抜けてない証拠だね!)ズドドド……!

 

(たりめーだろ! 交流プログラムだか何だか知らないけどさ! イキナリ異動させられて、はいわかりました受け容れますとはならねーだろうが!!)ドゴッ!

 

(摩耶……私はまた、摩耶と一緒に戦えるのなら嬉しいです。摩耶は、私たちと一緒になるのはイヤですか?)ズドン!

 

(え………いや、そんなコトないって!! ただ、何て言うかさ、その………)

 

(歯切れが悪いね摩耶。提督は面白い人だよ~? 私たちをね、いつも見てくれてるの)ズガッ! ドゴッ!

 

(ああ……艦娘みんなが好き、とか言ってるらしいな……)ドゴオンッ!

 

(なに他人事みたいに言ってんの。摩耶だってその艦娘の一人でしょ! ………っとコラァ! 提督のほうには行かせないよ!!)ズガアン!

 

「グギ ャア″ア″ア″ア″ア″ア″!!」ボンッ

 

(すげーな……。もしかして補正なのか?)

 

(私だけじゃないけどね。摩耶もほかのみんなもこれからは提督の仲間なんだからさ、もっと強くなれるよ)

 

(まさかだろ? だって今回の第三と第八の交流は、あくまでも一時的な処置で……)ズドン!

 

(うんにゃ? 提督は多分だけど、摩耶たち第三艦隊を帰したりなんてしないよー。私たちの交流は提督だけの特別な権限らしいし……期間の制限なんて無かったハズだよ)ドドドドド!

 

(えぇっ!?)

 

(ちょッ……それホントお!?)

 

(そうなのー? ま、それもイイかぁ~)

 

(よくねーだろ! 室長はどうなるんだよ!?)ズザザザザ

 

(高雄と霞が居るじゃないのさ。あの男はタダじゃ済まないけどさ、それでも二人ならきっとついていって支えてあげるだろうって提督が言ってた)ズガッ!

 

(………そうか。やっぱり恐ろしい男だよ、提督は何でもお見通しってワケか。フフ、もしかしたらこの組織を変えちゃうかもな!)ドゴオン!

 

(きっとそうなるって。古鷹が言ってたよー、ココは良い艦隊だねって)ザザザ……ドドドドッ!!

 

(うんその通りだよー! だからね摩耶、しっかり頑張ってお役に立とうね! 重巡洋艦のチカラを提督に見せてあげるの!!)ズドオオン!

 

(いちばん上の姉貴に言われちゃしゃーねーや。分かったよ! 摩耶様の戦い見せてやるからさ、期待してろよな提督!!)ズガガッ! ドゴオ!

 

(長波、ひとりで突っ込んでっちゃダメだって!)ズガガガガ!

 

(だったら秋雲もコッチ来て手伝ってよ!! 主力艦隊の護衛は私たち駆逐艦の役目でしょおー!!)ドガガガ

 

(ああもう分かったわよ! すぐ行くから!! 早霜!)ザバアアッ

 

(はい秋雲姉様! まったく……長波姉様はほんといつも元気なんだから)ザザザザ……!

 

 

 

 

 

摩耶は少し俺のことを過大評価してるのかな? 嬉しいけどちょっとだけプレッシャーだなあ。

 

(……提督ってスゴいね。ボクたちみんなを恋人にする積りなの?)ザザザザザ……

 

みんなの念話をジッと聴いていた時雨が口を開く。彼女の表情はこちらからでは見えないけど、なんだかとても真剣だったような感じがする。ずっと無言だったし。

 

(そうなったら嬉しいんだけどね。まだまだだよ)

 

(…………? でも提督はもうみんなとキスとかほかにもイロイロ……)

 

(ああ、みんなのことが好きだからな。でもまだまだだよ……もっとしっかり自分の役目を果たして、みんなに心の底から好きだって思ってもらえるようにならなくちゃ。艦娘は優しいからね、こんな煩悩丸出しの俺でも認めてくれる……本当に有り難いと思ってる。でもそれに甘えてばかりじゃいけないことぐらいは分かってる積りだ)

 

(提督………)

 

(それとね)

 

(?)

 

(俺は先ず、みんなと家族になりたいんだ。恋人になりたい気持ちも確かにあるんだけど、今は家族になりたいって気持ちの方が強い)

 

(家族か……指揮官と部下じゃダメ?)

 

(ダメ。あの戦いは軍上層部が、兵士の人々を大切な仲間として尊重しなかったのが負けた一因だと俺は思ってる。もしも俺がそんなふざけたマネをしでかしたら、その時はみんなに俺のことを思いっきり叱って罰してほしい。それができるのは部下じゃなくて、家族だからね)

 

(…………)

 

(あの頃の日本人はね、とても天皇陛下を敬っていらっしゃったと聞いている。だから軍部は天皇陛下を利用したんだ……自分たちの命令は即ち天皇陛下の御命令と同じなんだと思い込ませられれば、誰も逆らわないからね。そして実際その通りになって、軍部は暴走の限りを尽くすことができた)

 

(うん……そうだね)

 

(………………)

 

(……………)

 

(……………………提督)

 

(…………)

 

みんなが俺の言葉に耳を傾けてくれている……この話をするのは初めてだ。

 

(あの戦いでさ、人々がチカラを結集して軍部を打倒することができていれば、大勢の命が奪われることもなかったと思うよ……俺の妄想に過ぎないけど。部下なんて組織の歯車に過ぎないと思ってる輩は、いまの時代にも大勢いる……たとえば企業のワンマン社長とか。でもね、部下だって歴とした人なんだ……生活もあれば大切な人も居る。そういう人たちが、いざという時には部下としてではなく一人の個人として行動できる……そんな組織こそ理想的なんじゃないかな)

 

(提督はボクたち艦娘に、そういう存在であってほしいんだね)ギュッ

 

(そうだ、なんでもかんでも盲従するってのはとても危険なことだから。無論、俺は決してみんなを単なる部下扱いになんてしないけどね! ところで時雨、あれがさっき言ってた戦闘か!?)

 

両陣営が入り乱れながら繰り広げられている交戦の様子が、前方から視界に飛び込んでくる。陽光が強いので海面の波にギラギラと反射している……その所為で少し見づらいが、間違いなく激しい戦闘だ。

 

(………! そう、あれだよ! 驚いた……話しながらもちゃんと周りを見てたんだね)

 

(もちろんです、私たちの提督ですから! 時雨姉さんお久し振り、五月雨です!)ズザザザ……!

 

(五月雨!? そうか……第八艦隊に居たんだね。元気にしてたかい?)

 

(はい……姉さん。海風も居るんですよ、後で会ってあげてくださいね)

 

(そうしよう。五月雨、気を付けてね)

 

(はい!)ザバアッ

 

(時雨、接近してくれ……流れ弾に注意しながらね)

 

(はい、提督!)

 

(時雨、結界を張れ。ボウズにケガさせるなよ)

 

(はい、天龍! お任せを!)ザバアン!

 

(天龍! もしかして派手にやってるのはお前なのか!?)

 

(いや、オレはそこじゃねえ……だが目視で確認できるぜ、なかなか激しくやってるな。ちょっと待ってろよ……龍田! そこに居るんだろ!!)ザシュッ! スパァン!

 

(私と夕雲と鈴谷よ~。うふふ………ボウヤのチカラがどんどん流れてくるの! 痛快よ!)ザグウ! ブシャア!

 

高揚しているな。だが戦場の艦船にとっては、これもまた素顔なんだ。

 

(やっちゃいな龍田! 天龍聞こえる!? 龍田は鈴谷がしっかり守るからね! 第七戦隊の名にかけて!)ズガガガ! ドゴオン!!

 

(そう……我らは天龍と共に第七戦隊としてソロモンを駆け抜けた。その天龍の妹の前で、無様な戦いを見せるわけにはいきませんわ!)……ドガッ!

 

(時雨。さっき言ってた新参のみんなは居ないみたいだね)

 

(どうやら龍田たちに任せて移動したみたい………白露! 村雨! 無事なのかい!?)

 

(……………………)シーン

 

(あれ………? 白露! 村雨! 返事してよ!)

 

 

 

(………あれね、このことなんです……この…念話…って、多分…提督のことが好きな艦娘……なんですぅ……ほら……最初は四人だけ……だったでしょ……でも、だんだん…増えて。きっとみんなが……だんだん、提督を好きに…なった…から)

 

 

 

(時雨、この念話ってのは使いこなすまでには時間が掛かるんだ。個人差があってね……白露と村雨はまだ使えないんだろう。さっきは驚いたぞ、時雨がいきなり使えるようになってたんだからな)

 

好感度と連動してるなんてことまでは伝えなくていいだろう。時雨と、そして他の何人かがこんなに早く使えるようになってくれた。それで充分だ。

 

(え……そうなんだ……)

 

(龍田!)

 

(大丈夫よ~ボウヤ、二人は無事だから! 少し大変そうだったから夕雲だけ残ってもらって、離脱させたの。あとは私たちに任せてね! 天龍ちゃんのところから合流できると思います~!!)ザシュウウッ!

 

(分かったよ龍田! 聞こえたな天龍!)

 

(合流して援護する! 任せとけ!)ザザザアッ!

 

(時雨、二人は大丈夫だよ。天龍は強い)

 

(はい……良かった)///

 

(龍田、どうやらお前たちが相手してるのが最後の大勢力だ! 気を付けて戦ってくれ、軽巡棲鬼は狡猾で危険なヤツだからな! そろそろ奥の手を出してくるぞ!!)

 

タルトが慕っていた戦艦棲姫を謀殺したんだ……どんなに警戒しても、し過ぎることはない相手だ。

 

(安心してボウヤ、私が全て沈めてやるわ~! ほらほら出ておいで!! 軽巡棲鬼!! 見てるんでしょおッ!!)ズガガガ! ザシュウッ!

 

 

 

 

 

(キサマラハ……)

 

 

 

!!

 

 

(キサマラ……ダケハ……)

 

 

いまや激減しつつある敵勢力の陰から現れた何かが、こちらへと近付いてくる。とうとうご対面かよ………うん? 2体いるのか………これはどっちの声だ? まるで洞窟の奥から叫んでるグールみたいに不吉な声だな!!

 

(提督!)

 

(司令!)

 

(いや………なにコレえ! なんてイヤな声!)

 

(落ち着け谷風、ココにはみんなが居るんだ。何も心配しなくていいからね)

 

(……う、うん提督……ゴメン。もう平気だよ!)

 

(みんな……目の前の敵を倒したら、こっちに合流してくれ。新手は二体だ……空中にフワフワ浮いてるトンデモねえ奴と、すごくデカイ奴だぜ……)

 

 

 

 

 

(ホロボシテヤルウウウウウウ!!)ザバアアアアン!!

 

 

 

(龍田! 夕雲! 鈴谷! 頼む! 先鋒(センポウ)は任せたぜ!!)

 

(あはははは! ボウヤのジャマするなら沈めてあげるわ~!!)ザバアッ!

 

(あなたの所為で大勢の魂が……許しませんわ!)ズザザッ!

 

(鈴谷のカラダ……どんどんチカラが湧いてくるよ。とりあえず食らえええ!)ドゴオオン!!

 

 

 

          続く

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