「深海棲艦に宿る魂はっ! この国を守らんと奮闘なさった方々の魂なんだ! その魂をををっ! こんな! 堕落した今の時代にいっ! お迎えできるはずなどなかろうがあああああアアアッ!!」クワアッ!
第六-8話
こんの野郎おおおおおおおおおお! そんな! テメエ勝手な都合で!!
「……いままで戦ってたのかあああああああッ!!」
バシィン!
「がああ!?」
「キャアアアア!」
「折ったの!? バカアアアアッ!!」
「ドコを見てるのかしら。技は解いてあるのに」
「…………提督」ギュ
スッ……バシン!
「司令官!?」
「技を解いて……前方受身?」
「あっ!」
ガシイ!
「前回り受身で室長の左側に移動してから背後に密着! やるねぇ提督!」///
「ぐふっ!」
やはり絞め技だよな……究極のフィニッシャーはああああああ!
ギュウウウウ!
「速い…」
「でも……提督が背後をとられるなんて!」
「あいつ……ダメージを受けた右脚といっしょに左脚まで持ち上げてから一気に右へ振ってマットへ叩き付けた……」
「提督の体はそれにつられて右へと寝返りを打たせられた。その分だけ防御が遅れたのは当然ね」
「えぐいことするね。パワハラとか言ってるけどさ、自分だって相当なもんでしょ」
俺も同類か。でも反論はできないな……俺は今、そう言われてしまうほどのことをやってるってことだ。彼女たちの指揮官に対して。
「誰だ! いまのは!」キッ!
…………。
「やめなさい響!」
「暁!? あなたは平気なの!!」
「やめなさいと言ってるの! 私たちがここで騒いだら司令官はますます白眼視されるわよっ!」
「………イズヴィニーテ ザ…… エータ……」
「……私も…ごめんなさい。怒鳴ることはなかったわ」
「ケンカしてるわ。見苦しいわね」
ッ………!!
ギリイイイイッ!
「…………か……は…」
「ああっ!」
「提督! あぶないッ!」
「提督! いっけえぇ!」
「…………………」スッ………
「司令官!? どうして技を解くの!?」
「え…………」
「提督……!」
「が…………がはっ! ごほっ! ぜえっ……はあ……」
((金剛。これは……))
((那智……提督はネ、勝てば第一艦隊との間に亀裂が走ると判断したんですよ))
((なに!? では彼は勝利を目前にしておきながら、故意に……だと!))
((そんな……ウソだわ))
((やめなよ。二人の会話だよ))
((サスガ提督でーす! カレにとってのファーストプライオリティはやっぱり艦娘ね!))///
ススッ……バッ
ペコリ
「ごほッ! それは何のマネだっ!?」
スッ……
「負けたよ。アンタたちのしたこと……俺は許せない。だが俺は負けたんだ。ほんとはアンタを捕縛して艦隊まるごとウチに連れて行く積りだったが、アンタは強過ぎるから捕縛なんてムリだな。でも、礼だけは欠かしちゃいけない。そう思っただけだよ。……ありがとうございました」
「……どこが負けだ! あと少しで儂の膝は破壊されるところだった!」
「さっきの投げ」
「…………なに?」
「この大部屋、チーク木材で床張りしてるから。ウチのオヘライベにそっくりだな……アンティーク感のある素敵な船だ。まだ左腕がビリビリ痺れてる……このマットがなかったら間違いなく続行不能になってたよ。アンタたちさ、俺との決着のために敷いてくれたんだろ?」
「……………うむ。まあな」
「マットに少し黴(カビ)が生えてるよ。けっこう長いこと船倉にしまいっぱなしだったんだな……戦闘訓練も結構だが、たまにはお互いの触れ合いも大事だと思うぜ。さてと、俺は負けたんだ。これで失礼するよ。今日の顛末はもちろん報告しておく。いずれ司令部から沙汰があるだろう……俺たちにもアンタたちにも」
「……儂からも報告をしておく」
「艦娘みんなをしっかり休ませてあげてほしい。それだけは絶対にだ!」
「ふん! 生意気な男だ」
「え……………と」
「提督の………勝ち?」
「…………」
「ちょっとだけ仲間と話をさせてもらうよ…………近くに居るよな木曾? すまない………負けた)
(どうした、そんな声して。なにかあったのか?)
ヘンな声なのか今の俺?
(負けたんだ。当たり前だろ)
(なに言ってる。力比べで負けたくらいでそんな声になるワケないだろ……お前がそういう声を出すのは、仲間に何かあった時だ)
……………木曾。
(敵わないな。室長を攻めてる時にな……艦娘同士で仲間割れしそうになったよ。向こうとこちらでな)
(心配するな、直ぐに元通りになるよ。今はアイツらな……気が立ってるだけなんだ。向こう側もコッチ側もな。オレたち艦船にとってヒトってのは本当に大切な存在だからな、ムキにもなるさ………そうだ、オレが景気づけにひと働きしてやるよ!)
(ありがとうな……木曾。強敵がひとり居る。今、みんなに経験値をドンドン稼いでもらってるんだがそろそろ潮時だ。頼む!)
(ああ、任せとけ!)ザザア!
(みんな、コレ聞いてるよな! 俺たちの家に帰るぞお! 明石!)
(しっかり聞こえてますよー、こちらトウヒャクで待機中!)
(明石がコッチに来てるってことは……軽巡棲鬼たちのコンディションには異状ナシだな?)
(まったく問題ありませんでした。あの程度なら、私の出番はありません! 提督……爆弾の数を減らしましたね?)
(万が一ってことがあるからね。明石の判断で疲労の度合いが酷いと思う子の収容を頼む。そして信号灯を発射して職長たちを集合させるんだ。一緒に帰投してくれ!)
(了解!)
(今日の締め括りは木曾に任せる! 第八艦隊、総員に告ぐ………順次、離脱し、帰投するんだ!)
(はい司令!)
(了解です~)
(はいです提督!)
(了解したぜ! ハデにやってやるからさっさと離脱しろよ! 遅れたヤツはどうなっても知らねーぞ!)
「提督……」
「金剛、お別れの時だ」
「はい……仕方ありませんね。あの子たちのこと、お願いシマス」
「違うよ、金剛も来るんだ。そこであどけない寝顔してる卯月……その子もね」
「えぇっ!?」///
「金剛姉さま!?」
「ほら金剛、那智や仲間にお別れの言葉を。心配ないよ、会いたくなったらいつでも港を使えるようにしておくからな」
「あ、あの………」///
「金剛を、連れてゆくか」ザッ
立ち上がる第一室長。痛めた右脚を気にする様子など微塵も見せずに。左脚に体重を集中させ右脚を庇うということもなく。しっかりと、左右均等に体重を乗せて立っている……。
「第一室長、異議は認められないぞ。相互交流の件は知ってると思うが……そちらの艦娘にはウチで親睦を深めてもらう。こちらにはそのための権限がある」
「はぁ!? 何それ!」
「知っておるわ。那智の報告を聞いた時は仰天した。金剛……行くのか」
「え………ほんとの話?」ボソッ
「みたいね」ヒソヒソ
「……………はい。どうやらこの艦隊にワタシの居場所は、もう……」
「お姉さま! そんな!」
「そうか。いいだろう。卯月を運んでやれ」
「はい……」スッ……ヒョイ
「ムニャア……」スピー
「金剛と卯月の艤装をワ級に積み込むから手を借りたい。えっと……弥生」
「はい」
「一緒に来てくれるかい」
「勿論です………きっと司令部は……あなたを次の総司令官に………。ふつつか者ですが……どうぞよろしく」ペコリ
「ありがとう。彼女が目覚めたときに友だちが居れば安心するだろうからね」
「お任せを。司令官……今まで……本当にありがとうございました」クルリ…ペコリ
「壮健でな」
「弥生………」
「那智。アナタは素晴らしい指揮官だよ。またスグに会おうね!」ニッコリ
「ああ。ありがとう……私たちの、姉さん」///
「ヤだあ! お姉さま!」ガバッ!
「ちょ……ちょっと……比叡………」ポンポン
比叡……金剛型の二番艦だな。お姉さんっ子なのか。
「金剛。相部屋だよ、いいね?」
「て……提督!? はいッ! アリガトウっ!!」///
「……むぅ。あんなに嬉しそうな顔をするとは………」ボソッ
「暁、響、雷、電、谷風、時雨! 行くぞ!」
バッシャアアアアン!
「いいねえええぇ燃えてきたよおおおおッ!!」ザザザア!
ザバッ!
「くッ……! 何という闘志!」ザザッ!
ガシィ!
「たあっ!」
「わわッ!?」
ザブゥン!
………ザバッ!
「……ぷはぁ! ここで巴投げくるかあ!」ザザ!
「…………!」
「加古、すごいね……鳳翔の動きがだんだん鈍くなってきてるのに……」
「ああ。加古のヤツはどんどんキレが良くなってきてるな。大したもんだよ」
「投げられても投げられても向かってゆくわ~。さすが古鷹の妹ね~」ギュウッ……ザバー
「えへへ~。龍田、ズブ濡れですね……お疲れ様でした」
「稽古が足りねぇぞ龍田。帰ったら久々に相手してやる……いや、龍田だけじゃねえな」
「お手柔らかにね~」
「お姉ちゃん……提督はケイコだって言ってたけど、これでみんな強くなれたのかな?」
「まあ……受身は格段に向上するんじゃねえかな」
「あはは……片っ端から投げられちゃったもんね。鈴谷以外は。ほら見て、みんな龍田みたいに服をしぼってるよ」
「強いわね~。でも私たちだってボウヤから指輪を貰えれば……ね?」
「まあな。だがそれはアイツが決めることだ」
「…欲しいんでしょ~?」
「ンなっ!?」///
「わぁ……そうなんだ。お姉ちゃんもやっぱり、提督のコト……」
「ち、違………アイツは、まだまだこれからなんだ! だから! 今は……まだそんな先のことは………」ゴニョゴニョ
「あらあらカオ真っ赤。ゆでダコみたいね~」ウフフ
「………龍田。その様子じゃまだまだ元気そうだな。帰ったら十人組手、いっとくか!」ニヤリ……
「ええッ!? ご、ゴメンね天龍ちゃん! 謝るわ。だ、だから………!」アタフタ
「もう二人とも仲がイイんだからあ………あれ? 誰か来るよ……見たことない人が」ジーッ
「どっちだ?」
「ほら、あそこ。お姉ちゃん、誰だか分かる?」
「あれは……木曾か!? なんだアイツ……やけにめかしこんでるじゃねえか」
「おーい天龍~!」
「どうした衣笠!」
「提督が念話でなにか話してるよー! みんなあ、ちょっとストップ! 聞いて!」
(………そうだ、オレが景気づけにひと働きしてやるよ!)
(ありがとうな……木曾。強敵がひとり居る。今、みんなに経験値をドンドン稼いでもらってるんだがそろそろ潮時だ。頼む!)
(ああ、任せとけ!)
(みんな、コレ聞いてるよな! 俺たちの家に帰るぞお! 明石!)
(しっかり聞こえてますよー、こちらトウヒャクで待機中!)
「帰るんだって………帰れるんだあ! やったね衣笠あ!! 終わったんだよねえっ!!」///
「そうだね、古鷹! ねー天龍! 提督が何か木曾に頼んでたよ! 何するのかなー!?」
「アイツのあのカッコ……アイツ、もしかして改二に………ボウズと訓練してたのかよ!」
「…………? おーい、天龍ってば~!」
「天龍ちゃん?」
「衣笠あ! 急いでココから離れろ! 全員だッ!」
「! ……了解っ! 青葉、行くよお! みんなを連れて離脱する!」ザザザッ!
「了解~。天龍の雰囲気、タダゴトじゃないからねぇ」ザアッ!
「お姉ちゃん!?」
「古鷹、龍田、オレたちもだ! 鈴谷っ!」
「加古を連れて離脱だね? お任せあれ~!」ザザッ!
(今日の締め括りは木曾に任せる! 第八艦隊、総員に告ぐ………順次、離脱し、帰投するんだ!)
(はい司令!)
(了解です~)
(はいです提督!)
(了解したぜ! ハデにやってやるからさっさとしろよ! 遅れたヤツはどうなっても知らねーぞ!)
(…………! お、お姉ちゃん!?)ザザザザ……!
「木曾! まったく、相変わらずボウズにべったりだなッ!」ザアッ!
ザザザア………ガシイッ!
ぎゅむううう!
!?
「提督見い~つけたああ~! お疲れ様、提督う! あのね、海風、三人やっつけたよお!」ギュウウウウ!
海風の熱烈な抱擁。五月雨たちの帰還にタイミングを合わせてこちらに合流するよう段取りしておいたメンバーに、彼女も含まれていたんだ。あの日の晩の内気な姿からは想像もできないほど、積極的なスキンシップをしてくれる今の海風。あ………船内に入れなくて周囲を取り囲んでいた第一艦隊勢がポカンとした目でコッチ見上げてるな。
「海風!? それじゃ……その子が」///
「よく来てくれたな海風。そうだよ時雨……海風だ。海風、彼女はしぐ………」
「提督………んぐ……んむぅ……」///
聞いてねえ。
「キャアアア!」///
「うわ………」///
「」///
(提督。もう海風と……キスしちゃう仲だったんだね?)///
(けっこう前から。もう今じゃ古参のほうだ)
「………ん。ぷはぁ……」///
いま海風、離れぎわに流し目でコッチ見てたな。小悪魔属性あるのかな……ステキ過ぎるぜ!
「帰るぞ海風。新しい仲間と、そしてお姉さんの時雨と一緒にね」
「え……時雨姉さまですかあ!?」///
「海風……久し振りだね。五月雨にはもう会ったよ、二人とも元気そうだね」ニッコリ
「姉さま……はい。お久し振りですう!」ガバッ!
「行くよ海風。提督をボートに」ギュッ…
「はい、時雨姉さまっ」
チャプン………ザアッ……
船体後部に設置されているプラットフォームから一人、また一人と海面に降りてゆく第八艦隊勢。さすがに大型船だ、充分なスペースがあるから艤装を再び身に着けたみんながゆったりと移動できている。ま、ウチのオヘライベだって負けてないけどな!
「提督。どうぞ私の後ろに!」
「分かった、ありがとう」ギュッ……
「暁。私たちもいつか大きくなれるのかな?」
「当然でしょ。その日までは艦隊の愛くるしいマスコットよ」チャプン!
「ん……そうだね」チャプ…
「あ、制服が破れちゃってますね……」
「強敵だったよ」
コツ……コツ………
「特務室長」
あれ? この声……。わざわざここまで見送りに来てくれたのか?
「那智」
「負けたよ。また会えるか?」
凛々しい顔立ちに浮かんでいるのはとても柔和な表情だった。陽光がいつの間にか赤みを宿しつつある時間帯に入っていた。そんな光を受けながらこちらを見つめる姿には、思わず魅入られてしまいそうな不思議な威厳がある。10年以上もの年月を重ねた戦の日々から解放されるんだな……彼女も、彼女の仲間たちも。
「勿論。先ずは司令部で、だろうね。今日の件で呼び出されるだろうから」
「ふふッ……確かにな。こわいこわい」ニコッ…
ちっともこわくなさそうな表情で話す那智。
「仲間のことは心配いらないよ。ウチの職員はみんな優秀だし、ちゃんとした待遇を約束する」
「ああ、よろしくな。交流プログラムはいつまで続く?」
「必要だと判断する限りはずっと、だ。この組織は歪んでいる……そして艦娘は今まで不当な扱いを受けてきた。その歪みを、少しでも取り除いてやる積りだ」
「そうか」
「那智、いつでも第八艦隊に来てくれ。金剛のためにもね」
「ああ……ありがとう」
那智はもう話すことがない様子か……みんなのことで念を押しておきたかったんだろうな。
「雷、電。那智に別れの挨拶を」
「はーい」
「はいなのです」
「……さっきは気付かなかったな。そうか……ふふふ、お前たちが……」///
「久し振りね那智。会えて嬉しいわ」ニッコリ
「お久し振りです、那智。艦隊の前線指揮官だなんて……ビックリなのです」///
「いろいろあってな。もう私の手は血まみれだ………まったく。お前たちが羨ましいよ」
「那智……」
「なら、あなたも一緒に暮らしましょう? いまはムリでも私たちずっと待ってます! ね、司令官さん。いいでしょう!?」
「電の言う通りだ。いつまでも待ってるから」
「…………」ギュ
「あ………那智」///
「………」ギュ
「ありが………とう」
(海風)
(はい……)ザザアッ!
離れゆく俺たちを見送る少数の艦娘たち。敵意のこもった目をしている。でも木曾がさっき教えてくれたんだ。すぐに元通りだって。艦娘同士は強い絆で結ばれているもんな。
(提督。もしかしてボクたちの戦闘編成を?)ザザザア
(もちろん全てじゃないけどね。まあ大体は。図書室には戦史に関する書籍が豊富に揃ってる)
俺は艦娘の黒子。できることは何でもやっておきたいからな。
(図書室かあ。ボク、行ってみたい)
(二十一時の消灯前ならいつでも利用していいぞ)
(うん!)
ドバアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
「きゃあああああッ!?」
「なに、今の!?」
(ビックリしてるね、司令官)ザザザザ
(俺たちと違って木曾の念話を聞いてないからな。でも驚くのはまだ早い)
(そうだね)
(これでフェスチバーリは閉幕だ。響……どうだった? )
(ん………楽しかった、かな)
(そうか)
無理してるな。さっきの今じゃ複雑な気持ちだろうに……でもこれが響なんだ。仲間に心配させるくらいなら、ムリして強がってみせることを選ぶ艦娘…。
ザッバアアアアアアン!!
ドバアアアアアッ!!
「これは…………!」
「えええええっ!? アタシ………空飛んでる!」
(加古、時間切れだよ。帰ろ)ガシッ!
(鈴谷!)ギュッ
(鳳翔、強いね。だから提督から第一艦隊に、スコールのプレゼント~!)
(………ここ空中なんだけど)
(だから鈴谷が迎えに来たの! しっかりつかまってて! この水柱を蹴るの! 艦娘ならできるっ!)ザアッ!
「マジで!?」ザッ!
(んー、もうちょい大きいの上げとくか…………)
(分かりました木曾。では六名でよろしいですか?)
(ああ………いくぞ!)シュパアアアッ!
(はい!)(了解!)(了解…)(承知)(……!)
バシュウウウウ!!
……………ドガアッ!!
ザバアアアアアアアン!!
(おおっ、バッチリじゃーん! 大きさ! 距離! 言うことナシだねっ!)
(そうか………あの水柱のてっぺんに!)
(そういうコト! 水柱の階段だよー!)バシャア!
(………よっと!)バシィ!
ザバアアアアン!
(次、アレだかんね! 行くよおっ!)ザアッ!
(ハハ………なんだか楽しいなコレ! 凄いよっ!)ザッ!
(提督さん! 空母群はやっつけたよ! お姫さまチームと一緒にね! みーんなワ級に乗せたから!)ザザア!
(提督………私、お役に立てましたでしょうか……?)ザザザ……!
(言うことなしだよ神通。夕立もお疲れ! 二人とも帰投だ!)
(了解しました提督)
(了解!)
(提督ちゃん! 私たちも帰投しますね!)ザザザアッ……
(お疲れ、ミルディ。誰も負傷してないな?)
(はい、みんな元気ですよ~。提督ちゃんはボートで?)
(いま乗船した……みんながそうしろって言うんだよ。ほんとは疲れてる子のために準備した船なんだけどな)
(あらあら~。きっとみんな、提督ちゃんにくつろいでほしいのよ)
(嬉しいよ。ゆっくりさせてもらうことにする)
(お疲れ様。それじゃ、また後でね~)
ポツ………ザアアアアアアアアア!!
水柱のスコールだ。室長の船は飛沫範囲内だから騒ぎになってるだろう。木曾の雷巡コス、近くで見たかったな……。帰ってからのお楽しみ、か。
(木曾)
(加古と鈴谷は合流した。すべてお前の手筈通りだよ……雷巡チ級と合わせて総勢十一名、帰投するぜ)
(加古は多分、途中で眠ると思う。とっても頑張ってたみたいだから。加古を頼むよ)
(だ……大丈夫だよ~、提督……う…)
(睡魔には勝てないってば………任せたぞ、木曾)
(わかったよ……お疲れ様、ゆっくり休めよ)
(ありがとう)
タタタ…………
「終わったか。外は物騒じゃからの、この船で待たせてもらったぞ。さっきちょいとだけ様子を見に出ておったがな」
「えっと………。お疲れ様。ケガ、してない?」
離島棲鬼のリッティと、その肩にちょこんと座っている泊地水鬼。今日の作戦は軽巡棲鬼が相手だったから、彼女たちには自由行動を許可しておいたんだ。いざという時には説得役を頼むつもりで。
「ありがとう、大丈夫だよリッティ。二人とも来てたんだな」
「うむ……疲れてるところ悪いが、早く伝えておくに越したことはないと思うてな。お主の、最後の相手についての話じゃよ」
………局長か!
「聞かせてくれ」
「リッティ。教えてやるんじゃ」
「分かったわ。あのね………落ち着いて、聞いてちょうだい」
「? うん」
何だろう……驚くような内容なのか?
「あなたの最後の敵、鎮守府の……歴史交流局の局長はね、人間じゃないの」
……………え?
「私たち、いろいろ調べたの。彼は霊体よ………詳しくは分からないけど。でもね、人間ではないのは確かよ」
続く