鬼斬り ~艦これ改に捧ぐ~   作:日明月

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第四ー4話

「分かった。……雪風、いつもありがとうな。今度は少し…いや、かなりメチャクチャやってるが、途中下車する積りは一切ない。最後まで付き合ってもらうよ」

 

「お任せを。悪い人たちには負けません!」ニコリ

 

 

 

第四ー4話

 

 

 

タッタッタッ…スタタタタ…ギュイイィン………

 

 

 

(終わったぞ! オレの水偵とお前の妖精が上機嫌だぜ、楽しみにしてろ。 今から戻る!)

 

(まだ食堂からは誰も出てこない…侵入ルートを逆走しろ、オールクリアだ!)

 

(よしッ!)

 

「雪風、明石と雷に念話を頼む。木曾と響がゲートを通れるように職員の注意をそらしてから、雷のポケットにいる熟練見張員の誘導に従ってこちらへ戻るように、ってね」

 

「司令、それじゃ暁と雷はゲートが…」

 

「大丈夫、別ルートを準備してあるよ」

 

「分かりました、司令!」

 

(暁、港はどうだ?)

 

(変化なしよ、とても静かね)

 

軽巡主体の艦隊では艦娘が互いに行き来して人手不足を補っているらしいから、もしかしたら誰か来るかもと思って、暁と電に港の見張りを任せたんだが…当てが外れたかな。

 

(仕方ないな、二人とも引き揚げだ)

 

(了解、戻ります)

 

(はいなのです)

 

(木曾、水偵を格納してくれ。妖精さんも一斉撤収するから、エントランス周辺が密集状態になるかも知れない。なるべく分散させるが、衝突リスクは少しでも下げたい)

 

(分かった、そうする)

 

艦娘の水偵や妖精さんは自身のサイズを縮めることができる。必要なら鍵穴でも服の中でも思いのままだ。

 

(司令の妖精はどうするの?)

 

(そのまま飛行継続だ、二人をサポートする。気を付けて戻るんだぞ)

 

(…うん)

 

後は、みんなが揃ったら一刻も早く立ち去るだけだ。これでもう、引き返せないトコまで来てしまったな。

だが構うものか。

 

(司令官、プレジャーボートが一隻、近付いてきます。 指示を!)

 

来たか! もっと早ければじっくり対処できたんだが、今からでも収穫はあるだろう。

 

(連中が下船して船がカラになったら、中を覗いてくれ、どんな荷物があるのか気になる。それと、メンバーの中に艦娘がいれば後で特徴を教えてほしい。誰か船内に残るかも知れないから、慎重にな)

 

(分かったわ)

 

二人の退路を確保しなくちゃだな。妖精さんに、ちょっと残業を頼もう。

…ったく、つくづくブラック上司だな俺。

 

ザッザッ……

 

「司令、他のみなさんが戻って来ます」

 

「やったな! さっさと引き揚げようぜ」

 

「長居は無用だね」

 

「提督、ただいま戻りました!」

 

「明石って結構大胆ねー。見張っててハラハラしたわ」

 

「ふふ、お疲れ様でした雷」

 

それぞれの役割を果たしたみんなの表情はイキイキしている。素晴らしい艦娘に囲まれてる自分の幸運を実感する瞬間だ。

 

「みんなお疲れ、後は暁と雷だけだ。少し休憩するといい。明石は着替えを……」

 

「もうしばらく、このままでもいいですか? 実は結構、気に入っちゃって……」///

 

ええっ? ドキリ

 

「ま、まあ明石の判断に任せる。四月とはいえ風が冷たいときもあるし、体を冷やさないようにね」

 

「はい、ありがとうございます」ニコッ

 

明石ってこんなキャラだっけ? さっきのゲートで、職員から凄く褒められたのかな。

 

(司令官、こっちもオッケーよ! 戻るからね!)

 

(ドキドキしたけど、お役目完了なのです!)

 

ドキドキか。まだ終わらないぞ、喜んでくれたら良いんだけどな。

 

(よし分かった、こっちも揃ってるから途中で合流するぞ。水偵の妖精さんたちが見えるな? 彼女たちにぜんぶ任せとけ。どこにも行かなくていい)

 

(ええー! 捕まっちゃうのです! イヤなのです!)

 

最後の部分しか聞いてないのかよ…それともインパクトの余り、他のワードが吹き飛んだのか。脱力しそう。

 

(もう司令官さんのことエッチなんて言わないから、助けてですううぅ!)

 

匿名ネット掲示板なら泣き顔AAが文字数リミットまで乱舞してそうな勢いの電。あのな…エッチは構わないんだよ、ダメなのはヘタレとロリの二つだあああああ! 特に後者、せめて他に言い方あるだろう。

 

(暁、何だか電がヘンなスイッチ入った。妖精さんに任せておけば大丈夫だから、落ち着かせてやってくれ)

 

(了解よ、まったくこの子は…)

 

言葉とは裏腹に優しい声。お姉さんだな。

 

「おい、何が始まるんだ? アイツら大丈夫なのかよ」

 

「心配ないよ、木曾。みんな、引き揚げだ! カバンは雪風のところに集めてるぞ」

 

「この格好もおしまいね、新鮮だったわ。明石、ありがとうね」

 

「みなさんよく似合ってますよ。また必要なときは、いつでも用意しますね」

 

「オレはこのジーンズってヤツが気に入った。動きやすくていいぞコレ。でも茶髪ってのは落ち着かねーや」

 

今回も明石は大活躍だった。みんなの変装グッズを揃えるのは大変だったろうに、それを一切表情に出さない彼女。

 

「そろそろ登山口だ。スマホ持って来てないから、合流ポイントに三時間ごとの間隔で来てくれるよう伝えてある。今からなら十五時の迎えに間に合うぞ、ゆっくり歩こう」

 

…さてと、そろそろかな。

 

(し、司令官さああああああん!!)

 

(凄いわ。素敵な眺め)

 

「おい、暁と電だぜ」

 

「ああ、どうやら脱出成功だな。俺と妖精さんたちはリンクしてるから、こっちの位置はしっかり伝わってる。どこか人目につかない適当な空き地で降ろしてもらって合流しよう」

 

「降ろす? 何のことだ?」

 

「あ、みてあそこ」ギュッ

 

「ん? お、おい何だありゃ!」

 

「まぁ…」

 

「あらあら、サプライズね」

 

「いいなぁ…」

 

 

 

 

 

(司令官さあああん!! 飛んでます!!! 電、飛んでるうううううう!!)

 

(電、もっと景色を楽しみなさい。落ち着いて。ほら、水平線の彼方までよく見えるわ)

 

(だって! だってええええ!!)/////////

 

(司令官、ビックリです。妖精って、こんなこともできるのね)

 

(製造に関してはプロの妖精さんだからな。そのワイヤー、凄く丈夫だろ? 三十機近くの水偵が力を合わせれば、乗客二人は軽いもんだ)

 

高度をなるべく上げるように頼んであるから、通行人に見られても鳥だと思うだろう。小柄だし短時間フライトだ。

 

(本当に素敵…そうだわ司令、帰りは暁だからね!)

 

(ああ、くーには後部座席デビューしてもらうよ)

 

(楽しめると思うわ。…あ、暁じゃなくてくーのハナシよ!)

 

 

 

          続く




BGMを好みでチェンジできるのが素晴らしい仕様だと思います
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