マリオン・ウェルチになりまして   作:陸戦強襲型ガンダム

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来週あたりから仕事が再開するので、また亀更新もしくは更新できない状態が続くかもしれません。


アルマの目覚め

驚くべきことが起こった。イフリートにヘレナが乗ることになったのだ。私はその時、アルマの様子を見に行ってたから知らないのだが、彼女たっての希望だったらしい。ヘレナが一人で行った狙撃支援任務の時に何か思うところがあったのだろう。まあ知ったのは今日だし、偶々あったキリーさんから先に教えとくって教えられただけなんだけどね。でも、そうするとアルマはどうするのかな?多分陸戦高機動型ザクじゃ彼女にもうついていけないと思うんだけどね。

 

「そろそろ、起床の時間だよ。アルマ」

 

いつものようなお見舞い。しかし、今回は状況が違った。彼女の意識が浮上してくるのがわかる。私が見つめる中で、彼女はゆっくりと目を開いた。

 

「マリ……オン……?」

 

「おはようアルマ。お目覚めの気分はどう?」

 

「お、お……」

 

「お?」

 

「お腹減った~」

 

まあそうだろうね。何日寝てたんだか、全く。ずっと寝てたからか若干足元が覚束ないアルマに肩を貸し、とりあえずホール……の前にキッチンで何か食べさせた方が良いか。

  

     *

 

「お騒がせしましたが、アルマ!以前の3倍の元気を取り戻しました!!」

 

偶々キッチンにいたイルメラさん経由でアルマが復活したことを知った面々が集まったホールで、アルマの声が響く。うんうん、やっぱこの元気がないとね。

 

「快気祝いってわけじゃないけど、こんなのはどうかしら?」

 

そう言って運ばれてきたのは、紅茶とケーキだった。しかも、驚くべきことに作ったのはイルメラさんだそう。なんでも、パティシエールの資格持ちだとか。いや~人を見た目で判断しちゃいけないね。

 

「そう言えばキリーさん。あの連邦のパイロットは今どうしてるんですか?」

 

「ここには牢屋なんてものはないから、未使用だった部屋にいて貰ってるわ。一応発信機を付けたから怪しい動きをすれば分かるわよ?」

 

「連邦のパイロットって捕まえたんですか!誰が!?」

 

「マリオンよ」

 

「へぇー、やるじゃんマリオン!」

 

「いや、あれは戦闘の意思がなかったから出来ただけだよ」

 

「いやそれでも──ミア?」

 

なにやら言いたそうだったが、隣で寝落ちしたミアの頭とテーブルがぶつかった事によって出た音に遮られた。

 

「かなり疲れてるみたい……もしかしてミア、ちゃんと寝てないの?」

 

「一度解散しましょう。ミアがこの状態じゃ作戦会議は無理でしょうしね。少しミアと話したいからアルマにヘレナ、それとマリオンは席を外してくれるかしら?」

 

反対するつもりもないので、私たちは大人しくホールから退出した。心配そうなアルマが、ちらちらとホールへの扉に目線を送っている。

 

「ミア、大丈夫かな?」

 

「寝不足だろ、多分。それよりお前も完全には完治してないんだから少しは自分の心配もしろよ」

 

「えへへーヘレナはやっぱり優しいね。でももう大丈夫、まだ戦場には出れないかもしれないけど普通に生活をするくらいなら問題ないよ!」

 

「アルマ、治りかけが一番危ないんだよ?」

 

「大丈夫、自分の事は自分が一番わかるから!」

 

アルマのその言葉に若干呆れながら、再び召集がかかるまで他愛のない世間話に花を咲かせるのであった。

 

     *

 

「連邦はこの北米に戦力を集中させつつある。トロントとバンクーバーに新たに配備された戦力から見ても、それは明確だな」

 

再び召集がかかり、今度こそ作戦会議が始まった。珍しく壁に掛けてあるモニターに映る映像は、嫌でもジオンがじわじわと押されていることが見て取れる

 

 

「連邦は物量にものを言わせ、包囲戦の準備をしていると見て間違いないわ。敵の侵攻を少しでも遅らせて、友軍の戦力が整うための時間を稼ぐ必要があるわ。要するに、3人で出来る嫌がらせをしてきて欲しいの」

 

「通商破壊戦ですね」

 

「そうだ。発見された物資集積所を襲撃してもらう。そこで、だ」

 

ああ、ここでテーブル上のモニターが動くのね。あ、やっぱりイフリートの搭乗者がヘレナになってる。

 

「え……?イフリートを私に?」

 

「任せていいのよね?」

 

「しゃあ!勿論です!」

 

「少佐!あ、あの、私は!?」

 

「アルマ、貴方はまだ万全じゃないでしょう?」

 

「それは……はい、わかりました。3人とも、頑張ってね」

 

「リーダー代理はマリオンっと言いたい所なんだけど、ミアにお願いするわ」

 

「ええ!?私ですか?」

 

「不服かしら?」

 

「……いえ、やります!」

 

私はリーダーなんて柄じゃないってのは日本にいた時に痛感したからこれは助かる。私基準で作戦立てちゃう時とかあったからね。

 

「じゃあ、詳細の説明に移るわね」

 

作戦の詳細を確認後、私たちは今日も出撃する。

 

     *

 

「もうすぐ作戦エリアに入ります」

 

ガチガチに緊張したミアの声を聴きながら、私は彼女たちの機体を見ていた。ドム・トロピカルテストタイプにイフリート、どちらも高性能機と言っても過言ではなく私が足を引っ張らないか不安になってくる。いっそ、辞退するべきだった?いやでも……

 

『……准尉。マリオン准尉!』

 

「え、あ、はい!!」

 

『考え事は結構だが、これから作戦なんだ。後にしてくれ。まあ、気持ちは分からなくもないがな』

 

「はい、すみませんでした」

 

何やってんだろ。ない物ねだりをしたってしょうがないんだから、これでやっていくしかないんだ。慎重にやれば同じミスは犯さない……筈だ。

 

「今回はこっちに任せな。マリオンにばっかり無茶はさせられねぇからな」

 

「そうですよ。イフリートにドム・トロピカルテストタイプもあるんですからね。集まってる敵部隊は私たちに任せて、マリオンさんは孤立した敵機をお願いしますね」

 

「了解」

 

ゆっくりと息を吐き、心を落ち着ける。感覚でどこに孤立した敵機がいるかはもう既に把握している。狙うは一撃離脱、これが最も機体に無理をさせない方法だろう。

 

「じゃあ、任せたよ二人とも」

 

「気を付けろよマリオン」

 

無人のビルに隠れるように孤立した敵機に迫る。ヒート・ナイフを構え、出撃前に奇襲用にと装備に追加されたスモークグレネードを開いている方の手で掴み、ある程度接近したら放り込む。落下点から煙が出たのを確認し、敵機のパイロットの動揺を感じ取った瞬間一気に接近、コックピットに一撃を見舞う。

 

「よし、これならいける。機体にもそんなに負荷はかかってない筈」

 

一機ずつ着実に。スモークグレネードを用いた一撃離脱戦法で孤立した連邦機を順調に倒していき、遂に孤立している気配は感じられなくなった。

 

「ミア、ヘレナ、こっちは終わったよ」

 

「ああ、こっちもだ」

 

『まずいぞ、周囲に敵反応多数!恐らく救援要請を出された!』

 

「これで終わりとはいかないだろうと思ってたけど、暇な奴らだ。マリオン!悪いけど、合流してくれ!!迎え撃つぞ!」

 

「了解!」

 

どうしてこうさっと終わらないのかね。途中、高所を取ろうとしていたジム・スナイパーを一機落としつつ、ヘレナたちと合流する。

 

「ハッ!狙撃機体で格闘戦仕掛けてくるなんてな!」

 

ヒート・サーベルの一刀の下、ジム・スナイパーを切り倒したヘレナが叫ぶ。連邦のパイロットさぁ、サーベルがあるからって馬鹿正直に突っ込むような機体じゃないのよそれは。

 

「似たような顔の癖に、バリエーションが多すぎるぞこいつら!」

 

「それだけ傑作機って事なんでしょうね」

 

「多ければ良いってものでもないけどね!」

 

「だな!……よし、これで!」

 

『いや、まだだ。俄然、敵モビルスーツ反応あり』

 

「ったく!連邦のパイロットは畑でも採れるのかよ!」

 

「確かに、まるで消耗品みたいにいくらでも出てきますね」

 

「数は多いが質は悪い!」

 

『だが、確実に数は減ってきているぞ!あと少しだ!』

 

「その報告だけでもやる気が出るってもんですよ」

 

最後のもうひと踏ん張りと行くとしよう。けど、やっぱりちょっとヘレナの援護射撃がない分捌く量が増えるね。イフリート、これが終わったら改修するらしいけど、どういう風に改修されるんだろ?

 

「今度こそ!」

 

『反応なし。よし、全ての護衛部隊の排除を確認。集積所の物資を確認してくれ』

 

「了解。集積所の調査を開始します。内容によってはいただき、ですね」

 

「だな。こっちは念のため、町の入り口に移動して警戒にあたる。マリオンは西、私は東だ」

 

「了解」

 

警戒にあたる為、指定された方角に向かう。しかし、タイヤ痕とか何も見当たらないけどホントに使われてたのかな?さっきの集積所。それともこのルートを使わなかっただけ?

 

「こちらフェアリー2。なんだか様子がおかしいです。この集積所、使用された形跡がありません」

 

「そっちもか。こっちも輸送車両などが荒らした形跡が見当たらないんだ」

 

「こっちもそんな感じ……!この感じ、ミア!ソナーに反応は!」

 

「接近する反応あり!気を付けてください!」

 

『こちらもミノフスキー粒子の濃度の急激な上昇も確認した。何か来るぞ』

 

辛うじてしか通信が聞こえない。ミノフスキー粒子濃度上昇の所為か。これは長距離通信は無理かな?

 

「こちらフェアリー1、単独の敵モビルスーツを発見。後続がいるはずだ、こいつを落としたら私も向かうから先に合流しといてくれ!」

 

「もう向かってるよ!っとこっちにも敵機か、邪魔!」

 

陸戦用ジムを一閃の下に切り伏せ、先ほど別れた場所に向かう。霧が濃くなってきたけど私にはあんまり関係ないし、まあ無視で良いかな。

 

「なんだか攻撃が散漫だな」

 

「恐らくこの霧で、こちらの戦力を測りかねてるんでしょうね」

 

「ならこっちが有利……かな?ヘレナ、こっちは合流完了したよ」

 

「ちょっと待て、私ももうすぐ……よし、合流っと。それで、後続の詳細はつかめたか?」

 

「UGSに複数車両の走行音と確認。かなりの蓄積量、これは……ビンゴです!ここに物資を運んできたみたいです。ちょっと襲撃が早かったってことですね」

 

「予定は狂ったが、輸送力と物資の両方を削ぐチャンスだな。やるぞ」

 

もうひと踏ん張りかな。さっき最後のとか言ったけどね。

 

「モビルスーツは出来るだけ私たちがひきつける!マリオンは車両を頼む!」

 

「了解!」

 

本来、陽動をかけるのは私のような気もするけど、この機体じゃそれは出来ない。そんなことしたら今度こそ敵前で機能不全になり兼ねない。ここは、言われた通り車両破壊に専念しよう。

 

「別の走行音を確認!マリオンさん、お願いします!」

 

「了解!」

 

私は車両、ミアとヘレナはモビルスーツ。ニュータイプだからどこに逃げようとしてるかもわかるし、簡単なお仕事だね。ちょっと車両の数が多い気もするけどね。

 

「よし。ミア、反応は?」

 

「走行音はもうしませんから今ので最後だったんじゃないかと」

 

「もう終わったのか!?こっちはまだ終わってないぞ!」

 

「手伝おうか?」

 

「いや大丈夫だ!もうすぐ終わる!」

 

「ヘレナさん、それで最後です!」

 

「任せろ!!」

 

最後の爆音が聞こえ、辺りからはなにも感じ取れなくなった。もう敵は居ない。

 

「なんとかなりましたね」

 

「ああ、あいつや……マリオン、お前に負けてられないからな」

 

「私!?いや、私はそんなんじゃ」

 

「ザクであんな動きしておいてそれは無理があるだろ」

 

「そうですよ。それに、機体が追いつかない程の操縦が出来る時点で十分凄い事です」

 

『聞こえるか!?応答しろ!』

 

「中尉、物資及び敵輸送部隊の殲滅!みんな無事ですよ!」

 

『輸送部隊まで?そうか、よくやってくれた』

 

「あ、イルメラさん。イフリートの改修プランなんですけど──」

 

ミアは仕事熱心だねぇ。私なんて帰って早くゆっくりしたとしか考えてなかったのに。いつも以上に慎重に操縦してたから疲れが……。

 

『ふぅー、やれやれ、全くお前さんは……基地に帰ってきっちり休んだら聞いてやるよ』

 

『よし、霧が晴れる前に撤収だ!』

 

「「「了解!」」」

 

     *

 

「あ、おかえりー!戦闘記録見たよーみんな凄かった!」

 

帰還して、ホールに戻った私たちにアルマが駆け寄ってくる。その様子だと、もう平気なのかな?

 

「ていうか、私要らなくない?」

 

「ハハ、そうじゃないさ」

 

「そう、これでやっと対等なんです」

 

「んん?なんかよく分かんないけど……よーし!私も完全復活したし、頑張らなきゃ!それと、マリオン」

 

「何?」

 

「ありがとう。よく覚えてないんだけど、寝てる間定期的にマリオンの声が聞こえてた気がするんだよね」

 

「私の?気のせいじゃない?」

 

「気のせいでもだよ」

 

ああ、あれにもちゃんと意味があったんだな。それが分かっただけでも続けてた意味があるってものよ。

 

「あの状況でよく冷静に対処したものだ。ただ、やはりウェルチ准尉は今のままだと厳しそうだな」

 

「ええ、まあ」

 

「でも、想像以上の大戦果だったことは確かよ。よくやったわね、三人とも」

 

「やっぱり、マリオンさん用にガンダム8号機の改修も視野に入れておいた方が良いかもしれませんね。そうでなくても念のため使われてる装甲材を統一する位の事はするつもりですけど」

 

「パイロットにイフリートの改修、それに加えてガンダム8号機の改修って大変じゃない?」

 

「いえ、大丈夫です。両方両立してこそ、ノイジ―・フェアリーのミア・ブリンクマンですから!」

 

「ミア~!」

 

感極まった様子のイルメラさんが、ミアを抱き上げる。ミアは驚きながらもされるがままだ。

 

「よーし、じゃあまずはイフリートの改修にかかるとするか!」

 

「はい!」

 

ガンダム8号機、それがあれば私も全力を出して戦える筈だ、多分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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