マリオン・ウェルチになりまして   作:陸戦強襲型ガンダム

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ノーミーデスって化け物よね

「ブラックライダーにホワイトライダー……?」

 

先日戦った謎の機体。それについて、恐らくオーガスタ研究所にいたであろうクロエに試しに聞いてみると、返ってきたのはそんな答えだった。ライダーと言う所から、恐らくペイルライダー系の機体だろうが、HADESもないのにどうして開発されてるんだ。あ、でもペイルライダー計画自体は次世代MS開発計画の事だし、HADESがあってもなくても開発自体はされる可能性はあるのか。

 

「私が施設で乗ったモビルスーツの中で、黒い機体と白い機体はそれ位しかない」

 

「ほかの機体と違った所はあった?」

 

「良く分からない装置みたいなのが積んであった。それと、色んな試作品を試すって言ってたよ」

 

それだ。恐らく、それがあのHADESみたいな現象を起こしたものの正体。一パイロットのクロエにはそれが何か教えられはしなかったようだが、収穫はあった。やはりと言うべきか、色んな試作品の中にはあの透明になれるものもあったらしい

 

「成程ね、ありがとクロエ。所で、ここでの生活はどう?」

 

「この部屋しか自由に行動できないけど、訓練漬けだった施設よりは全然。本もあるし、窓から眺める景色も綺麗だから」

 

「そっか。キリーさんが言ってたけど、今日からは外に出なければこの部屋から出ても良いってさ」

 

「良いの?」

 

「良いの良いの。見張りは付けることにはなるけどね……っともうこんな時間か。情報提供ありがと、じゃあね」

 

部屋から出て、外で待ってた見張りの人に会釈をしてからホールへと向かう。今日も今日とで任務があるからね。

 

「あれ、まだ始まってなかったの?」

 

「ギャレット少佐から話は聞いていたからな。少し、時間を遅らせたんだ。何か情報は得られたか?」

 

「あ、はい」

 

「そうか。少佐、どうします?」

 

「そうね。なら、任務から帰還してから話してもらおうかしら。マリオン、それで良いわね?」

 

「了解しました」

 

と言っても機体名と詳細の分からない試作品複数を試す実験機って事しか分からないんだけどね。

 

「じゃあ始めるわね。諜報部によると、近く、キャリフォルニアベースを標的とした大規模な作戦が実行される兆しがある。我々は、その一部を奇襲し出足をくじいて時間を稼ぐ」

 

「すでに連邦の包囲網は完成していると見て良いだろう。我々は、比較的孤立または突出している小規模部隊を急襲。これを殲滅する」

 

「よし、やってやろうじゃん」

 

「ティターニアは間に合いませんでしたが、ドム・ノーミーデスは出せます。連邦なんて蹴散らしますよ!」

 

「……相手の部隊構成はどんな感じなんですか?」

 

「配置と規模からは、斥候ないし偵察部隊と考えている」

 

「ならいけると思います」

 

うーん、アルマの元気が戻ってないなぁ。これはちょっと不味いかもしれない。負の空気と言うものは伝染するものだからね。何か私に出来ることは……

 

「引っかかる言い方ね。貴女が感じてる不安は何?アルマ」

 

「……いえ、なんでもありません。作戦に集中します」

 

「よろしい。では、作戦の詳細に移る」

 

動き出すテーブル上のモニター。これを見るのは何度目になるだろうね。あれ?またミアがリードパイロットなの?そう不思議に思い、ちらりと見たアルマは相変わらず暗い顔してる。まあ、私まで新機体に乗ってるのに、自分だけザクなのは思う所はあるか。となると、空気を変えるにはこれしかないかな。

 

「……ねえアルマ、私の機体使ってみない?」

 

「うん……へ?良いの?」

 

「いや、なんか悩んでるみたいだしさ。気分転換に他の機体に乗ってみるってのもありだと思うんだよ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!その場合マリオンさんはどうするんですか!?もうあのザクじゃ無理だって言ってたじゃないですか!!」

 

「そうだね。確かにザクじゃもう無理だよ。でも、うちにはもう一機凄い奴があるじゃない!」

 

私の言葉の意味を理解するのに時間がかかったのか、ミアは数秒不思議そうな顔をしていたが徐々に顔が驚愕に染まっていく。どうやら理解できたみたいだね。

 

「……ガンダム8号機を使う気ですか!?」

 

「ご名答。この前装甲材の統一は終わったって言ってたじゃん?」

 

「確かに終わりましたけど、連邦とジオンでは操縦から何から違うんですよ!?いくらマニュアルがあるからってすぐに覚えられるわけが……!」

 

「ダメですかね?キリーさん」

 

「……許可するわ」

 

「キリーさん!?」

 

「聞いてミア。この前の戦闘でアルマが機体を重いと感じてることが分かった以上、マリオンの二の舞を演じることになる可能性もあるわ。しかも、マリオンの時とは違って今度は敵前で起こるかもしれない。そう考えると、マリオンの案は頭ごなしに否定できるものでもない。マリオン?言ったからには出来るのよね?」

 

「お任せください」

 

「任せたわよ。……リードパイロットはミアのまま、アルマの乗機をギャンに、マリオンの乗機をガンダム8号機に変更。各員、スタンバイに入って。準備が整い次第、出撃よ」

 

「「「「了解!」」」」

 

     *

 

「どうよミア。やれば出来るもんよ」

 

「まだ少し怪しい部分はありますけどね。でも、こんな短時間で操縦できるなんて……」

 

「ふふーん。私を舐めるなってね。アルマ、そっちはどう?」

 

「ザクとはちょっと勝手が違うけど、これなら皆の足を引っ張らないでやれそう!ありがと、マリオン。夢の中でも外でも助けてくれて」

 

「夢の中?あの寝てる時声がって奴か?」

 

「うん。実は、眠ってる間ずっと夢を見てたんだ。あの白いのに手も足も出ず何度も負けて、何度も殺されて……でもマリオンの声が聞こえた時は、その時だけは私は白いのと戦えたの。だから、マリオンと一緒なら大丈夫、でも万が一私だけだったら?そう考えると怖くて仕方なかった。何も守れないんじゃないかって」

 

「だから焦ってたのか」

 

「うん。ミアやヘレナ、マリオンがどんどん強くなっていく中、私だけはそうじゃなくて、新機体も私だけ使えない。私はリーダーなのに弱いままで……そう考えていくうちに焦りだけが増していって……でも、もう大丈夫!そもそも、私が皆を守るって考えが間違ってたんだもんね」

 

「そうですよ。みんなで助け合ってこそチームなんですから。それに、アルマさんが思ってるより私たちはアルマさんに助けられてますよ」

 

「ああ、認めるのはちょっと癪だけどな」

 

「ちょっとヘレナー!なんでよー!」

 

どうやら完全に調子を取り戻せたかな?ザクとは違い、彼女の操縦に付いてくるギャンによって生まれた心の余裕、それが狭くなっていた視野を元に戻してくれる。さて、作戦エリアに入ったし切り替えていきますか。

 

「……ずいぶん油断してますね」

 

「北米も、自分の縄張りだと思ってるのさ」

 

「なら悪戯でも仕掛けて、そうはいかないって事を教えなきゃね」

 

「随分物騒な悪戯になりそうですけどね」

 

「妖精の悪戯が如何に恐ろしいかってミア?メガネは?忘れちゃったの?」

 

「コンタクトにしたんです。スコープを使うときに邪魔だったので」

 

コンタクト!ひえーあんなの良くできたねミア。自分の目に何かを入れるって怖くないのかな。私は出来ない自信があるよ。

 

「ヘレナさんは中衛、アルマさんとマリオンさんは前衛をお願いします。後方からの援護は私に任せてください」

 

「「「了解」」」

 

砲撃音が鳴り響き、放たれた砲弾が敵機を粉砕する。うわー流石に火力がえぐい。今のたった一発で、連邦パイロットたちがびびってるのが伝わってくるよ。

 

「よし、私も後に続くよ!」

 

アルマの乗るギャンは武装が本来のそれとは変わっている。私が乗っててもそうだったのだが、まず敵機の攻撃で誘爆する可能性のある盾は危険だからと外された。その盾の代わりに、本来は私のザク・ライトアーマーが持っていたザク・ハンドガンを射撃武器として装備するはずだったのだが、アルマが搭乗した都合アルマの陸戦高機動型ザクの装備であるラケーテン・バズを装備、また一発限りのシュツルムファウストも追加されている。ギャンと言えばなビームサーベルはそのままだけどね

 

「おいおい飛ばしすぎるなよ!」

 

「まあ、アルマなら大丈夫じゃない?」

 

私の乗るガンダム8号機は、最初から装備していたビームライフルとビームサーベルはそのままに、エネルギーの温存を考えてヒート・サーベルとビックガンを追加装備している。ついでに相手の動揺を誘う為、トリコロールに塗り直されよりガンダムに近い印象を受ける。

 

「機体が軽い!」

 

歓喜の声を上げながら連邦機を屠っていくアルマ。その動きは陸戦高機動型ザク搭乗時とは明らかに違い、彼女が如何にイメージと現実の差に苦しんでいたのかがわかる。いや、正直言うと私もなんだけど、私は機体に合わせて操縦する事自体は出来てたからね。咄嗟の動きは流石に無理だったけど。

 

「凄いですね。アルマさん」

 

「ああ、ギャンであれならティターニアに乗ったらどうなっちまうんだか」

 

「ホントだよね」

 

「いや、他人事みたいに言ってるがお前も大概だぞ?」

 

「あ、やっぱり?」

 

「ほぼ初見のしかも連邦機を操ってそこまで出来る人、そうそういないですからね」

 

まあ、シャアはジオングとか完全初見で出撃して普通に操縦してたんだけどね。やっぱシャアも大概天才だよね。流石に完全初見で操縦するなんて私にも無理だよ。

 

「チッ……新手か。数が多いが、今の私たちなら負ける気がしないな」

 

「はい!いくらでも相手してあげますよ!あ、援護は頼みますね?」

 

「あのタンク……確かガンタンクだったか?は私がやるから他の機体を頼む。特に高台にいるスナイパーは出来る限り早めに倒してくれ」

 

「任せて!」

 

そう言うと、アルマはわざと避けやすいようにシュツルムファウストを放ちその回避先にバズーカを撃ち込んだ。そして、バズーカが直撃するのを確信しているかの様に当たる前に別の機体に狙いを定め、放たれたビームをステップで回避すると、弾頭を撃ち切り筒だけとなったシュツルムファウストを投げつけ、怯んだところにビームサーベルを突き刺した。

 

「マリオン!」

 

「はいよ」

 

流石にバズーカ一発じゃ倒しきれなかった最初の機体にビームライフルで止めを刺す。次いでビームサーベルを引き抜くと同時にヒート・サーベルも手に取り、背後から接近してきた敵機を切り刻む。うーん、支障が出るほどじゃ無いけど、やっぱりちょっと動かしづらいな。

 

「おい、連邦の奴ら引いていくぞ」

 

「ちょっと待ってください。UGSに新たな反応が……モビルスーツにしては大きいです。注意してください」

 

「おいおい、なんだありゃ。こんなの聞いてないぞ」

 

ヘビィ・ホーク級の陸上戦艦じゃないか。砲撃は脅威だけど、私たちに当てられるかな?

 

「ミア、隙は私たちが作るから砲塔を潰していって」

 

「はい、やってみます」

 

「ミアを警戒してるが、マリオンも狙ってるっぽいな。まあ、ガンダムがジオンにいれば当然か」

 

「なら、私が囮になるよ」

 

「じゃあ、ヘレナが牽制で私は取り巻きのモビルスーツを片付けるね。ミア、砲撃は頼んだよ!」

 

「お任せください!」

 

なんか知らないけど、連邦兵からは混乱と恐怖を感じ取れる。情報でも違ったのかね。まあ、ドム・ノーミーデスが敵にいたらそら恐怖もするか。

 

「慌ててる敵はやりやすくて助かるね。立て直す暇は与えないから、どんどんドツボにはまってね?」

 

「……マリオンもやっぱストレス溜まってたんだな。同感ではあるけど」

 

「なんか、ちょっと前の自分を見てるみたいで複雑だなぁ。恐怖と焦りでどうしようもなくなってる」

 

ちょこちょこ動き回ってヘイトを取ってるけど、どうしてもミアの方をターゲットにする場合もある。そんな時は、砲身まで飛び上がってサーベルを突き刺せばターゲットを再びこちらにしてくれる。よしよし、良い感じに砲塔は潰れて行ってるね。あと一息。

 

「あれ?撤退してる……?」

 

「おい、やったのか?」

 

「はい!敵は転進していきます!私たちの勝ちです!!」

 

「戦艦を追い払うなんてすごいよミア!」

 

「えへへ、皆で掴んだ勝利です!凄いんですよ、私たち!」

 

『よくやってくれた!あのデカブツに損害を与えられたのは予想以上の成果だ!』

 

『みんな、素晴らしい働きだったわよ。お疲れ様』

 

「いや~今回こそは終わったと思ったよ。ミア、お前のドム、使えるな」

 

「ふへへ、間に合ってよかったです」

 

「アルマ、どうだったギャンの乗り心地は?」

 

「さいっこうだったよ!ティターニアも楽しみだなぁ」

 

「そう。なら貸した甲斐もあったかな」

 

『各機、直ぐに帰還しろ。長居は無用だ』

 

「「「「了解!」」」」

 

通信を聞き、素早く帰還を開始する私たち。バルバラ中尉の言う通り、長居は無用。さっさと帰るに限るよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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