マリオン・ウェルチになりまして   作:陸戦強襲型ガンダム

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私以外のニュータイプ

それから一週間程経った。一週間と言う短い期間にしては、ノイジ―・フェアリー隊の面々とは仲良くなれた方だと思う。今日も今日とて模擬戦を行う予定だったのだが、突然の警報がそれが中止になったことを伝えていた。

 

「何があったんですか!?」

 

召集がかけられ、ホールへと私たち四人。その中で最も早くホールに駆け込んだアルマが、そんな質問を投げる。が、既に準備はしてあったようで、昨日はなかったホワイトボードに写真が貼られていた。

 

「偵察機がティルナノーグ周辺で正体不明の機影を捕捉した。この場所がキャリフォルニアベース防衛の早期警戒の要である以上、連邦に知られるわけにはいかない。所属不明機が連邦であるならこれを排除、友軍機であるなら警告し、転進を促せ」

 

「あの~もし、もしですよ?従わなかった場合はどうするんですか?」

 

「その場合は、実力行使だ」

 

「撃って良いんですね?」

 

「……ええ、そうならないように祈ってるけどね」

 

「コールサインはこの通りだ」

 

その言葉と共に、テーブルのモニターに色々と映し出される。あれ?アルマがリーダーなのか。最近来たばかりだと言うのに、随分と期待されてるみたいね。

 

「私がリーダー……ですか?」

 

「ええ、私の一存よ。異議はあるかしら?」

 

「誰でもいい。やることは変わらない」

 

「では、MS部隊のリーダーはアルマ。やれるわよね?」

 

「おっまかせください!」

 

元気に返答するアルマ。その後、キリーさんの口から作戦の詳細が説明された。まあ、さっきバルバラ中尉が言っていたことがほとんどだ。新しい情報と言えば、隠れるのにもってこいの丘がある事と、何かあれば随時指示が出される位かな。

 

「ノイジ―・フェアリーの初任務よ。みんな、よろしくね」

 

「「「「了解!」」」」

 

さあ、この隊としては初任務だ。気張って行こうかね?

 

     *

 

「なーんだ。味方のザクだったんですね」

 

ミアの安堵したような声が、通信越しに聞こえる。そう、所属不明機の正体はザクだった。ただ、残念ながら友軍機とはいかないようだが。あのザクからは、悪意を感じ取れる。と言うか、この辺り一帯が悪意に満ちている。さしずめ、鹵獲機を使った騙し討ちと言った所か。……武器のロック、外しとくかね。

 

『仕方ない。アルマ、接触して停止を促して』

 

バルバラ中尉の行った通信に対して、あのザクは返答を返すことはなかった。ミアは通信機の故障を疑っていたが、パイロットは連邦の人間なんだから返すわけがない。

 

「了解。ミア、ヘレナ、周囲の警戒をお願い。それと、武器のロック解除しといて」

 

「え?」

 

「なに?おい、何言ってんだ」

 

「何か嫌な感じがする。ねえマリオン、貴女もそう思うよね?」

 

「……そうだね」

 

私の返答を聞く前に飛び出していくアルマの陸戦高機動型ザクを見ながら、私は彼女がニュータイプであると確信を持った。そうじゃなきゃ『そう思うよね』なんて質問を名指しで私に聞いてくる筈がない。それに、誰にも言わずにロックを外したのに、アルマはまるで分っていた様にミアとヘレナだけに武器のロック解除を頼んだしね。私とあったから目覚めたのか、それとも元々持っていたのかは分からないけど彼女は間違いなくニュータイプだ。

 

「やっぱり、敵なんだね」

 

相手のザクから放たれたザク・マシンガンの弾を避けながら、アルマはそんなことを言っていた。すぐさま私も機体を動かし、丘から出る。一瞬、私のザク・ライトアーマーに相手のザクの意識が向いた瞬間を見逃さず、アルマは彼女の乗る陸戦高機動型ザクの持つヒート・ソードで相手のザクを切り裂いた。真っ二つに斬られ倒れ伏すザク。運よく爆散はしていないが、それも時間の問題だろうし、何よりパイロットはすでに死んでいるだろう。

 

「鹵獲機を使った騙し討ちだったってわけか」

 

「そうみたいですね」

 

辺りを警戒しながらも丘から出てきた二機のザク。ヘレナが吐き捨てるように言ったセリフをミアが肯定する。しかし、瞬時にバルバラ中尉から辺りに熱源反応が多数アリとの通信が入る。

 

「やっぱり他にもいた!囲まれてる!?」

 

ん?囲まれてることに驚くって事は、そこまで深くは探れないのかな?

 

「ザクⅡと61式戦車、それにザクⅡのバリエーション機にザクⅠまでいるみたいですね」

 

「ザクⅠなんてどこで拾ってきたんだ?使用してる部隊はそんなにないって聞いたぞ」

 

「日本の学徒兵の部隊だと思うよ。私の元居た隊でもザクⅠが回ってきた子もいたから。練度は全然こっちの方が低いけどね」

 

スラスターを使って真正面から突っ込むだけでこちらに弾を当てる事が出来ない相手のパイロットは、流石連邦兵と言った所か。まだまだMSの操縦に慣れていない様で、接近してヒート・ナイフで切り裂けばそれで相手の機体は停止する。遠距離から狙ってくるあのザクⅡのバリエーション機は、ヘレナのスナイプに任せるとしよう。

 

「ミア、戦車の方は任せた!私とマリオンで残りのMSを叩く!!」

 

「はい、任せてください!」

 

「ヘレナ、狙撃は任せた!」

 

「射線には入らないで下さいよ!」

 

ばら撒かれる銃弾の雨を潜り抜け、一機また一機と敵MSを倒していく私とアルマ。そんなに数は居なかったようで、直ぐに残り一機となった。

 

「これで!」

 

「終わり!」

 

偶々最後の一機を挟むように動いていた私たちは、打ち合わせでもしたかのように同時にザクに迫り私は頭部、アルマは胸部を狙い獲物を振るう。当然躱せるわけもなく、敵機は機能を停止し、その場に倒れた。

 

『敵の全滅を確認。みんな、よくやったわ。おつかれさま。今回の任務は終了よ、全機速やかに帰還して』

 

 

スクラップとなったザク等をそのままに、私たちは帰還する。

 

「シュティルナー少尉にウェルチ准尉」

 

「アルマで良いよ?同じパイロットなんだから、シンプルに行こうよ。敬語もいらないし」

 

「こっちもマリオンで良いよ。堅苦しいのは嫌いだから」

 

「意外と人見知りなんですよ、ヘレナさんって」

 

「うっさい。……コホン。模擬戦である程度は分かってたけど、アルマ少尉にマリオン准尉の腕が立つことは良く分かった。もしかしたら実戦ではって不安もなくなかったけどそれも余計な心配だったし」

 

「えへへーそれほどでもってあー!見て、流れ星!」

 

そういうアルマが、陸戦高機動型ザクを操って空を指さした。そこには、確かに流れ星が流れていた。……アレ、ホワイトベースじゃない?時期的に。そっか、遂にガンダムが地球に降りてくるのか。こっちには来ないだろうけど、万が一にも会いたくないね。

 

 

 

 

 

 

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