よろず短編集 作:機械学習はいいぞおじさん(仮)
「お辞儀をするのだポッター」
「アイサツもするのだポッター=サン」
ヴォルデモート卿とニンジャスレイヤーの声が響く。
「いいかポッター、お辞儀の角度はこうだ」
「そしてアイサツは相手を強く見据えるのだ」
2人は声を揃えて言う。
「さあやってみろ」
ハリーはおっかなびっくりに頭を下げ、震える声でアイサツを返す。
「ド、ドーモ……ハリー・ポッターです……」
しかしヴォルデモート卿とニンジャスレイヤーには聞こえないようだ。
「もう一度やるのだポッター」
「アイサツはしっかりやらねばならぬ」
再びお辞儀をし、震える声で名乗る。
「ド、ドーモ……」
「もう一度!」
「もう一回!」
「もう一度だ!」
「何度でも繰り返すがよい!」
何度も繰り返し練習し、やっと形になる頃には日が落ちていた。
「いいかポッター、俺様はお前をどこに出しても恥ずかしくない魔法使いに育て上げるつもりだ」
「そう通り。礼節は学ばねばならない、古事記にもそう書いてある」
「俺様が魔法界の帝王となるまでみっちり鍛え上げてくれるわ」
「そうだとも、ポッター=サン。まずは礼儀作法を学ぶことから始めよう」
こうして、ハリーはホグワーツのドージョーで夜な夜なお辞儀の練習に励むことになった。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
毎日毎晩、食事の時間になると彼らはハリーを呼びつけ、練習の成果を披露するよう求めた。
「では行くぞ!ポッター、お辞儀だ!」
「アイサツは素早く行わなければならない!」
「その調子だポッター!次はアイサツを強化せねば!」
「お辞儀は強く行うのだ!」
「よいぞポッター、そのまま続けるのだ!」
「あと一息だ!」
「もっと深く!」
ポッターの成長に、二人の師匠もまた指導に熱が入る。
その甲斐あってか、やがてハリーのお辞儀は様になってきた。
「どうだ?ポッター」
「素晴らしい出来栄えだ!」
「これで魔法界にポッターの名を広めることができるというものだ」
「うむ、明日からも頑張るのだぞ」
ハリーは心の中で呟いた。
(もうお辞儀なんかしたくないよ)
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
そして一週間後、ハリーは再び二人から呼び出された。
「よし、ポッター。今日の特訓を始めるぞ」
「今日こそ完璧に仕上げて見せるのだ」
二人は自信たっぷりだ。
「まず手本を見せる。よく見ておれ」
ヴォルデモート卿は優雅な仕草で腰を落とし、お辞儀をした。
「これが基本の動きだ。やってみろ」
言われるままにお辞儀をする。しかし……。
「違う!手の位置が違う!体全体を曲げるんだ!そんな浅いお辞儀があるか!」
「肩幅より少し広く足を開くのだ!それでは威厳がないではないか!」
ヴォルデモート卿とニンジャスレイヤーが口々に叫ぶ。
「さあもう一度だ!今度はちゃんとお辞儀をするのだ!」
「早くしろポッター!」
再びハリーは、アイサツと共にお辞儀を繰り出す。
しかし次の瞬間、部屋中に激しい雷鳴が轟き渡った。あまりの音の大きさに、思わずハリーは目を閉じた。
しばらくして目を開けると、ヴォルデモート卿はアフロになっていた。
「貴様……これはどういうことだ?」
怒り狂って歯ぎしりするその姿はまさに鬼神そのもの。
「何たる失態か、ヴォルデモート=サン」
ニンジャスレイヤーがゆっくりと立ち上がった。
ニンジャスレイヤーもまたアフロだ。
ハリーのお辞儀とアイサツが起こした摩擦力、そこから生じた静電気は激しい雷鳴となり、見事2人の頭の毛をチリチリのソウルフルなアフロに仕上げたのだ。サンバのリズムを刻んでいる。
「…………」
ヴォルデモート卿は沈黙している。
彼は今やただのアフロだ。
「ポッター、このように間違ったお辞儀とアイサツは危険を産む。俺様はそれを十分に教えたはずだ」
「にもかかわらず、またも過ちを犯したことは許されぬ」
「そう通り。俺様と同じ髪型にしてやる」
「そして俺様たちと同じように全身黒装束で修行させるのだ」
「そうとも、ポッター=サン。覚悟するがいい」
ハリーは顔を上げ、悲痛に叫んだ。
「それだけはご勘弁ください!」
「お前は魔法界の帝王になる男なのだ!それを忘れたか!」
「帝王なら帝王らしく振舞え!帝王らしい格好をしなければ帝王としての資格はない!」
「そうだともポッター、帝王は帝王に相応しい服装をしなければならないのだ」
「そう通り。帝王とは帝王にふさわしい恰好をして帝王として振る舞うもの」
「さあ立てポッター!」
「立つのだポッター=サン!」
アフロ2人が迫る。
ハリーは震えながら立ち上がり、じりじりと後退した。
「俺様はお前を強くすると言っただろう」
「約束を違えるのは感心しない」
アフロ2人は迫ってくる。
「ご、ごめんさい!!!」
ハリー、必死の詫びお辞儀。しかしそれがいけなかった。
その動きによって再び摩擦力が生み出してしまったのだ。
バリバリッという音がして稲妻が走り、ハリーの体は硬直した。
ヴォルデモート卿も、ニンジャスレイヤーも同様に固まっている。
ハリーは恐る恐る自分の頭を触った。
するとそこには――見事なまでにアフロになった自分がいた。
ヴォルデモート卿大爆笑。レゲエのリズムを刻み始めた。
「ハーッハッハ、お前はやはり最高だポッター!そのアフロ似合っているぞ!」
「ワッハッハ、愉快な奴め!」
「フゥーッハッハ、これだからポッターを見捨てることはできない!」
「ワァ~ッハッハ、お前は本当に愛すべき子だ!」
二人は笑い転げ、ハリーは涙ぐんだ。
「うぅ、こんなことになるなんて……」
その時、部屋のドアが開き、ダンブルドア校長が現れた。
「おぉ、これは一体どう言う状況じゃ?」
なお、ダンブルドア校長もアフロだ。
「おお、ダンブルドア=サン」
「ポッターを見てくれ。この見事なまでのアフロヘアを」
「なんとまぁ、見事なアフロじゃのう」
「見ろ、あの泣き顔を。あれほど笑えるものは魔法界中探してもなかなかあるまい」
「うむ、確かに」
この日、魔法界に空前のアフロブームが訪れた。ラテンのリズムに乗って皆の頭はアフロになっていった。
ハリーは一人取り残され、暗い気持ちのまま、お辞儀とアイサツを繰り返した。しかし、その度にアフロになるのだった。
めでたしめでたし
「まったくひどい目に会ったよ。でもお陰でお辞儀とアイサツだけは上手くなったんだ。僕がお辞儀をしたら必ず誰かがアフロになってね。それからみんなで一緒にお辞儀の練習をしたんだけど、いつの間にかお辞儀しながら呪文を唱える練習に変わってて、最後には『ウィンガーディアム・レビオーサ』って唱えたら、みんなの髪の毛がいっせいに宙に浮かび上がって、まるでモヒカン刈りみたいになっちゃったりしてさ。とにかく毎日毎日大変だよ」
ハリーは話を一息ついて、ジュースを飲んだ。
「それで、そのお辞儀とアイサツはどうなったの?まさか今でもやってないでしょうね?」
ハーマイオニーが心配そうな声を出した。
「うん、やって見せようか?」
ハリーは立ち上がろうとしたが、ハーマイオニーはハリーをひっぱたきながら止めた。
川'д'リ やめて
⊂ 彡☆))Д´) パーン
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
アフロオチとなることは予想外でしたがカオスになったので楽しかったです。(無邪気な目)