よろず短編集 作:機械学習はいいぞおじさん(仮)
「たかが石ころひとつ、私とひかりちゃんとアムロさんの力で押し返してみせる!」
アクシズが遂に、地球の重力に引かれて落下し始めた。しかし、アムロの乗るνガンダム、そしてひかりと華恋の乗るキリンがアクシズを押し返そうと抵抗を試みた。
「止めてくれ!こんな事に付き合う必要はない!下がれッ、来るんじゃない!」
「わかります……」
キリンはアムロに同意するように呟く。
「アムロさんばっかりにいい格好はさせません!」
だが華麗に無視された。
そして、ひかりの言葉に呼応するかのように連邦、ネオ・ジオン関係なくモビルスーツがアクシズを止めようと集い始める。
「ギラドーガまで…!?無理だ、皆下がれ!」
「地球が駄目になるかならないかなんだ!やってみる価値ありますぜ」
「爆装している機体だってある………駄目だ!摩擦熱とオーバーロードで自爆するだけだぞ!」
「わかります」
そんなアムロの静止も聞かず、次々と彼らはアクシズへと取り付き始める。しかし、それでもまだ足りない。徐々に、徐々にではあるが、確実にアクシズら地球に近づいていく。
「止まれぇえええええ!!」
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アムロとブライト艦長の声はもはや誰にも届かない。
「止めるんだ、今なら間に合うかもしれないんだぞ!!」
「彼女達はまだ若いのよ?死ななきゃいけない人間じゃないわ!」
「……わかっています、でも信じましょう、ニュータイプの可能性と、舞台少女達の輝きを!」
「ああもう、わかったよ、やってやるさ!!」
アクシズには核エンジンが搭載されており、その爆発力は凄まじく、また質量も大きく、コロニーレーザーですら破壊できなかったものだ。それを止められるか、否か。
答えは──────。
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サイコフレーム、それは人の思いを受け止める力を持った素材であり、人の意思を伝える伝達物質でもあるという。
それならば、意思さえあれば不可能も可能となるのではないか。もしそうであれば、この事態を止めることも可能ではないだろうか。
それは希望的観測であるのか、それとも現実逃避なのか。
ただ一つだけ言えることは、あの巨大な隕石を前にしても諦めることなく、立ち向かうものがいるということだろう。
「やれるだけの事はやった。後は彼ら次第だな」
『はい』
アクシズが地球の引力によって落ちていく様を見ながら二人は呟いた。奇跡が起きることを祈って。
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敵味方関係なくアクシズを止めようと試み、そして幾つもの命が散っていく。
「もう十分だ!これ以上命を捨てることは無い!下がるんだ!」
アムロは悲痛な叫びをあげる。
「ここで逃げたら男じゃねぇんだよォ!」
だがもはや誰一人として聞く耳を持たない。ただ目の前の脅威から地球を守る為に皆が意志をひとつにしていた。
その時だった。突如発生した赤色の光により、アクシズの進行速度が遅くなる。
「何が起きた!?」
アムロはその光景を見て驚愕する。
「これは……サイコフレーム?」
サイコミュ兵器特有の現象であったからだ。つまりこの現象を起こしたものはニュータイプということになる。
「まさか、シャアか!?」
だがそんなわけはない、奴は既に倒したのだ。だとしたら誰が……。
考えている暇はなかった。再び加速を始めるアクシズに対し、νガンダムとキリンの出力を上げる。
「行くぞぉおおおお!!」
「うん、分かったよアムロさん。行くよひかりちゃん!」
「はい!」
「わかります」
一機と一匹、三人の意思がアクシズを押し返そうとする。
「うおおおおおおお!!」
三人の意志が重なった瞬間、νガンダムが虹色のオーラに包まれた。
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「あれは……!」
サイコフレームによる共振効果か、あるいは何らかの奇跡によるものか。地球に落ちようとするアクシズの前に虹色に輝く光の巨人が現れた。
その姿を見た者全てが動きを止める。あまりにも神々しすぎる姿に誰もが目を奪われた。
「なんだ……アレは……」
「神……さま……?」
その姿を見て誰かが言った。だがその言葉を否定する者は誰もいない。それほどまでに圧倒的な存在なのだ。
「あの姿は一体……」
ブライト艦長も見たことの無いその存在に呆然としてしまう。
その瞬間だった。
虹色の巨人の胸元が大きく開き、その中から2人の少女が出てくる。純白の衣装に身を包んだ少女、間違いない、聖翔音楽学園99期生、神楽ひかりと愛城華恋だ!
彼女らは手に持っていたマイクを口に当てると、大きく息を吸い込み、声を上げた。
『世界を』
『スタァライト』
『『しちゃいます!』』
瞬間、世界は眩いばかりの輝きに満ち溢れた。
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地球へと落下しようとしていたアクシズの軌道は大きく変えられていた。
「止まった……」
「信じられない……」
その場に居たもの全員がその光景を目の当たりにして驚く。だが、それだけではなかった。
「おい、アクシズの動きが変わったぞ!」
「こっちに向かってきてるんじゃねえか!?」
「軌道修正されてるぞ!これなら逃げ切れる!」
「助かったんだぁ!!」
歓喜の声が聞こえてくる。先程まで絶望の淵に立たされていたというのにも関わらず、皆の顔には笑顔があった。その様子を見てブライト艦長は思う。
(これが……希望の力……)
シャア・アズナブルを倒し、ネオ・ジオンを壊滅させた時以上の希望がそこにはあった。しかし、これで終わりではない。むしろここからが本番だ。
何故なら、この場にいる全員の想いはひとつになっているのだから──────。
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舞台少女達が紡いだキラめきの結晶、そしてサイコフレームが繋いだ人々の思い。それら全ての力が合わさり、遂にアクシズは再び地球に落ちることは無かった。
しかし、安心するのはまだ早い。まだアクシズの破片が残っているのである。それらは地球に降り注ぎ、甚大な被害をもたらすだろう。
そして、それは舞台少女達にとっても同じことである。
「まだです!破片の処理がまだ終わってません!」
ひかりの言葉通り、アクシズには無数の小型隕石が存在していた。それらが地球に着弾すればどれほどの被害が出るか分からない。
「やれるだけのことはやりましょう」
そう言ってキリンはアクシズの破片へと向かっていく。
「私達の舞台を守るために!」
「これはわかります」
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その後、シャアの復活もあり一時は混乱に陥ったものの、連邦軍の活躍によりなんとか事なきを得ることができた。
だが、戦いが終わったわけではない。アクシズの地球落下は阻止され、その被害も奇跡的に僅かで済んだ。だが、その代償もまた大きかったと言えるだろう。
しかし、舞台少女達が、人々がその胸の内の輝きを失わない限り、またいつの日か、舞台少女達は巡り合うことができるはずだ。
いつか、また、あの煌めく舞台の上で──────
『世界に満ちる輝きの煌めき』 ~完~
カオス成分は少なめですが綺麗にお話が纏まったので勝利です。