よろず短編集 作:機械学習はいいぞおじさん(仮)
炭治郎は目を覚ますと鬼滅隊本部、御館様の屋敷前の庭にいた。鬼となった妹を隠していた罪でここに連れてこられたのだ。
「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるのですよ。竈門炭次郎君」
蟲柱───胡蝶しのぶが話しかける。炭治郎が慌てて周りを見回すと他にも人の姿があった。
炎柱──煉獄杏寿郎。
音柱──宇髄天元。
恋柱──甘露寺蜜璃。
岩柱──悲鳴嶼行冥。
霞柱──時透無一郎。
蛇柱──伊黒小芭内。
水柱──富岡義勇。
風柱──不死川実弥。
そして……鬼柱───鬼舞辻無惨様。
「なんでこんなに人が……?」
「御館様の御成です!」
その声と共に全員が平伏する。しかし、無惨様だけはその場に佇んだままだ。
「おはよう皆。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ」
(この人が鬼殺隊のトップ……)
産屋敷耀哉。代々当主となるものが『呪い』によって身体の機能が低下し、短命である家系であるという。
「おや、そこにいるのは……」
耀哉の視線が炭治郎に向けられる。すると彼は即座に平伏した。
「彼が例の子かい?」
「はい。竈門炭次郎という少年です」
しのぶの言葉を聞いて、耀哉は微笑む。
「そうか……。では早速始めようか」
その言葉を皮切りに裁判が始まる。
まず初めに口を開いたのは音柱だった。
「さて!派手に判決を下すぞ!当然だが死刑だな!!」
「鬼を庇うとは鬼殺隊にあるまじき行為。当然死に値する」
無惨様も当たり前のように同意した。
他の柱たちも同意を示す。
しかしそんな中、反論の声を上げるものがいた。
「俺は納得できない!!どうして善良な彼女が殺されなければならない!?それに彼女は人を喰ってないじゃないか!」
炎柱だった。彼の中では禰豆子は人間として認識しているようだ。そんな彼に苛立ったのか、音柱は怒鳴りつける。
「だからなんだァ!?鬼を連れた馬鹿隊員っていうのはそいつのことだろうがァ!なら殺すしかねぇだろォ!!」
「そんな理屈が通るわけないだろう!!」
「あぁん!?」
睨み合う二人を見て、他の柱たちはどうしたものかと頭を抱える。
「あのぉ……でも疑問があるんですけど……御館様はま何もご意見はないのですか?」
蜜璃が手を挙げて発言する。他の柱たちがそうだそうだと賛同を示した。
「そうだね。驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そしてみんなにも認めてほしいと思っている」
その言葉にどよめきが広がる。
「鬼になった者を信用できると?」
「嗚呼……たとえ御館様の願いであっても私は承知しかねる……」
「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊員など認められない」
無惨様と天元、悲鳴嶼が真っ先に反対した。それに続いて他数名が反対の意を唱える。
「私は全て御館様の望むままに従います」
「僕はどちらでも……すぐに忘れるので……」
しのぶと無一郎は中立的な立場を取る。蜜璃も少し迷っている様子だったが、最終的には賛成してくれた。
「信用しない、信用しない、そもそも鬼は大嫌いだ」
小芭内はネチネチと言い続ける。そして杏寿郎は無言のまま目を閉じている。義勇に至っては話を聞くことすらしていない。
「心より尊敬する御館様であるが理解できない考えだ!全力で反対する!」
実弥が叫んだ。他の者もそれに追随する。
「手紙を読ませてもらったけれど、とても感動したよ。命をかけて鬼と戦い、人を守る者がいるなんて思わなかった。だからこそ私は君たち兄妹を認めてあげたいんだ。どうかわかってくれないか?」
しかし、それでも反対意見は覆らない。耀哉はそれを見越してなのか、次に炭治郎に話しかける。
「君はどう思う?私の可愛いこどもたちの意見を尊重したいんだ。もちろん、無理強いはしないから考えてくれないかな?」
「……俺は……」
炭治郎は考える。自分にとって大切なのは妹である禰豆子だ。もしここで自分が死んでしまったら、禰豆子は本当に一人ぼっちになってしまう。それだけは避けなくてはならない。
「俺は……人を襲わないという保証がない以上、禰豆子をこのまま放っておくことはできないと思います」
「確かにその通りだね。ではこうしようか?これから二年間、人を喰わずに生きていけたら、その時は二人のことを許そう。それでいいかな?」
「……はい。ありがとうございます!」
こうして、二人は二年間の猶予を得た。
しかし、そんな彼らに更なる試練が待ち受けていた。
例によって続きません。