よろず短編集   作:機械学習はいいぞおじさん(仮)

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全編いたって真面目にギャグのないシリアスな話です。



テニスの王子様 国際会議場事件編

テニスとは、テニスコートと呼ばれる横長の長方形をした競技用地において、ラケットという専用の道具を使ってボールを相手のコートに打ち込むスポーツである。互いに打ち合い、返球に失敗するか、テニスコート外にボールが落ちた時点で得点となる。

 

ある程度の場所、専用の道具とラケット、器具が必要なため、サッカーなどほかの球技に比べて簡単に開始できるものでは無い。

しかし世界的に最も人気で、かつ競技人口も最も多いスポーツであり、その起源は人類史発生以前に遡る。

 

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何故、テニスがこれほどまでに人気なのか。容易さだけであればサッカーやバスケットボールなど、ほかの球技に軍配が上がるだろう。

 

しかしテニスはただの球技ではない。他の球技と異なり、得点以外にもうひとつ勝敗の基準が存在する。

プレイ継続不能となった選手は失格となる。───即ち、最後まで立っていた選手が勝利者となる、極当たり前にシンプルなルールだ。この際、選手の生死は問われない。そのため、プロアマ問わず年間を通じてテニスによる死者は少なくない。

 

このように球技でありながら格闘技であるテニスは、古代にその形が完成して以降も、脈々と現代まで受け継がれ、今なお不動の人気スポーツの地位を維持している。

 

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だが、テニスと言う常に命の危険が伴う競技が、一体何故ここまでの競技人口を得るに至ったのか。

 

通常、格闘技やロッククライミングなど最悪命を落としかねないスポーツは、その人気に反して競技人口は少ない。真に覚悟ある者だけにその門徒が開かれており、命を賭して競技に望むが故に、栄光と人気を得ているのである。

 

ではテニスはどうだろうか。その危険性に反して競技人口は世界一である。これは前述の一般論からは大きく乖離する。

『テニスは競技中つねに死の危険はあるが、実際にはそれほど死者が出るわけでなく、世間一般に言われるほど危険な競技ではない。』このような意見が存在する。確かに競技中の死者数だけで言えば毎年の競技人口の2%にも満たず、事故や病気、紛争などの他の死亡要因と比べても大きく下回る。

 

しかし骨折など重大な怪我を含む重傷者は、年間の競技人口の約10%に及ぶ。つまりテニス競技者の十人に一人は、毎年必ず何らかの重傷を負っていると言うことだ。この割合は他の競技を遥かに大きく上回り、また負傷率の高さゆえに、一度大きな怪我を負うとその選手生命を終える可能性すらありえる。

 

それでもなぜ、人々はテニスに魅了され、そして人生を賭す程の情熱を持って競技に臨むのか。

 

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テニス異能という言葉がある。

 

ご存知の通りテニスは人類史と共にある。これはテニスが人類がテニスと共にその文化、歴史を築いてきたことを表している。そして同時に、人類の長い歴史の中で、テニスもたま人類の発展に合わせて進化してきたのだ。

 

ラケットはその特有の構造から呪術的な回路を形成する。また、テニスボールを打つ動作とその軌道もまた一種の陣と儀を形成し、ラケットとボールの生み出す音は高度に圧縮された虚数言語として場に作用する。

 

結果これらの呪術的、科学的要素は空間に微弱な歪みを発生させ、物理法則に大きく干渉することが可能となるのだ。

 

これによりテニス選手は常人とは異なる力を発揮することを、古くは魔導師と呼ばれた者達は発見していたとされる。現代ではこれらの多くの現象については科学者らによって解明されているが、それでも今だ謎は多い。

 

そしてこの事象を操るに至ったテニスプレイヤー達は、自らの自身と誇りを持って「テニス異能」と呼ぶのであった。

 

テニス異能はテニスを学ぶことでしか身につけることができない。テニス異能には大小様々なものが存在し、小さな事象は僅か数瞬の間だけ炎出現させると言った程度であるが、高度な事象ともなると『巨大化する』『任意の人物の五感を奪う』『複数人に分裂しそれぞれが独立した思考を持って行動する』『海賊幽霊船とそのキャプテンを召喚し任意の人物を攻撃する』など、その規模、内容は多岐に亘る。特に大規模なものは『巨大隕石を地球圏へと誘導し衝突させる』など国家規模の災害となりうる事象を引き起こすことが、可能であり、またその力を有するテニス選手は核に等しい一種の抑止力として国家の保有戦力として丁重に扱われることも少なくない。

 

これら強大なテニス異能を身に宿しテニスに愛された者達のことを人は畏敬を込めてこう呼ぶ。───『テニスの王子様』と。

 

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前述の通り、テニス異能は使い方次第では容易に人を殺める事が可能だ。そのため、アメリカにおいて自衛のための拳銃購入が当たり前であるように、多くの人々は自らを守るためにテニスを学ぶようになったことは自明の理である。勿論テニスを通じて地位や名誉を得ようとする者もまた少なくはないが。

 

このような理由から、テニスは未だ世界一の競技人口を誇るスポーツであり、恐らく人類がその存在を終えるまで、その地位は揺らぐことは無いだろう。

 

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尚、まったくの余談であるが、世界の頂点を極めたテニス選手達をその技量の高さから『ウイザード』と呼ぶことがあるが、これは前述の通りかつて魔術師と呼ばれた者達もまたテニス選手であったことに由来する。

 

彼ら魔術師はテニスラケットを用いて様々な問題を対処していたことは歴史を紐解いても明白であり、また、よくゲームなどメディア作品に描かれる魔術師や魔法使いが必ずテニスラケットを持っているのは、このためである。

 

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テニステロ組織『コートの夜明け』が多数の人質と共にショッピングモールへと立てこもったとの連絡がテニス特殊部隊に入ったのは、事件発生からわずか三十分後の事だった。

犯人の規模、要求ともに不明。だが、モール内に居た大勢の客を人質に取ったことだけは明確な事実である。

犯人の多くがテニスラケットを所持しているとの情報もあり、事態の早期解決のためには、テニス特殊部隊の出動が求められていた。

 

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警察による犯人の要求と人質の安否の確認、人質の解放交渉が数時間に渡り行われ、テニス特殊部隊が派遣が決定されたのは事件発生から半日後の深夜となった。

テニス特殊部隊は少数精鋭の部隊である。その任務はテニスによるテロや犯罪を鎮圧すること。そして、テニスにより発生した事件の処理を行う。

 

この日、テニス特殊部隊の隊長を務める男───手塚国光は、部下を率いてモールへと向かった。

 

「手塚さん、今回の作戦について何か質問はありますか?」

 

車の中で、副隊長である不二周助が問う。

彼は若くしてその実力を認められ、今回手塚の副官を務めている。

 

「……そうだな。まず、敵がどの程度の人数で、どんな能力を有しているのか分からない。そのため、今回はいつもより多めに隊員を配置しておきたい」

「分かりました。では、そのように手配します。他には?」

 

手塚は一瞬考え込む。

そして、言った。

 

「……いや、ない。あとは現場を見てからだな」

そうですか、と呟くと、副隊長は無線のスイッチを入れた。

 

「こちらA班、B班は予定通り配置についたよ。C班は準備できてるかな?うん、分かった。じゃあ、よろしくね」

 

その言葉に手塚は少し目を見開く。

 

「どうしたんですか?」

その様子に気付いたのか、助手席に座っていた大石秀一郎が問いかけた。

 

「いや、別に大したことじゃないんだが……」

「何です?」

「奴らの、『コートの夜明け』の目的がわからない。」

「目的、ですか。確かに、これだけの騒ぎを起こしておいて、ただの強盗ってことはないでしょうけど……」

「ああ。それに、もし本当にテニステロリストなら、目的はもっと別のところにあるはずだ」

「確かに。では、彼らの本当の狙いは何だとお思いなんですか?」

「さぁな。まだわからん。ただ、一つ言えるのは、この事件の裏にはかなり大きなものが隠れているということだ。それが一体何なのかは、俺にも想像できないがな」

 

「……」

沈黙が流れる。

 

そして、それを破ったのは、やはり副隊長だった。

「手塚さん、着きます」

「了解」

車は速度を落とし、やがて停車した。

 

「全員降車!」

「はいッ!!」

 

全員が素早く車を降りる。

そこは、ショッピングモールの入り口前だった。

 

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「まだ警察による交渉は続いているが、恐らくは決着はつかないだろう。奴らはどうも時間稼ぎをしている節がある」

手塚は集まった面々に向かって言った。

 

「つまり、犯人達はそもそも交渉に応じる気はないということですね」

「そういうことだ。このことは上も同じ意見だ。偵察テニス部隊による調査と情報共有が終わり次第突入する。総員、装備確認」

「はい」

 

返事とともに、手塚を除く全ての隊員が自身のテニスラケットの最終点検を始める。

 

「手塚さん、僕たちは何をすればいいでしょうか」

大石が問う。

 

手塚は静かに答えた。

「……どこにいてもサーブを打つことには変わりない。いつでも打てるようにしていろ」

「わかりました」

 

大石は納得すると、自らのテニスラケットを手に取る。

その時、手塚の元に一人の男がやってきた。

 

「手塚、そろそろいいか」

「真田。ああ、大丈夫だ」

 

手塚は小さくうなずく。

 

この男は真田弦一郎。テニス特殊部隊の隊長補佐を務める男だ。

彼のテニスラケットは特殊合金製。その強度と硬度は通常の金属を遥かに凌駕する。

 

「よし、行くぞ。目標はモール内正面入り口。各自サーブ打撃後は速やかに突入、人質の安全を最優先しろ。以上だ」

「はい!!!」

 

テニス特殊部隊は駆け出した。

 

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モール正面、テニス特殊部隊でも特にサーブ力に秀でた者達はラケットを構えると、その先端をモールの外壁へと向ける。

 

そして、

「はっ!!!」

鋭い掛け声と共に、そのラケットから放たれた威力を極限まで高めた一撃は、テニステロリスト達が設けたバリケードを軽々と吹き飛ばし、そのままモール内部へと侵入していった。

 

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テニスの打球は、その性質上通常の銃火器とは比べ物にならないほどの破壊力を持つ。そしてそれはテニスにおける攻撃においても同じことが言えた。

 

テニスボールは音速の三倍近い速度で射出される。また、対テロ用に開発され今回の作戦でも用いられたこのテニスボールは、通常使用されるテニスボールよりも二回りほど大きい。更にその表面には、強力な衝撃吸収剤が塗布されている。

これらの要因が重なり、テニスボールは着弾と同時に爆発的な衝撃波を生み出し、弾丸のように高速かつ広範囲に渡って飛散し、その殺傷力を高めているのだ。

 

勿論人に向かって使用して良い物ではなく、国際ルールにおいては対人の使用を禁じており、今回もバリケードの破壊のみに用いられるのだった。

 

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手塚率いる部隊がモール内部に進入してから数分後、今度はモール内部の壁が爆ぜた。続いてモールの天井が崩れ落ちると瓦礫が落下し始め、辺りには土煙が立ち込める。

 

突入に気がついたテニステロリストの一部が反撃に移ったのだ。

テニステロリスト達もたまサーブを構える。テニスを用いた射撃戦ではサーブは距離の面において非常に有利だ。

 

しかし、それもすぐに止むこととなる。

 

手塚の背後から一人の隊員が飛び出したかと思うと、その手に握られたテニスボールをテロリスト達の頭上に放ったのだ。

 

その隊員の名は乾貞治。彼はコート(戦場)全体を俯瞰しコート(戦場)の状況を把握し、即座に適切な指示を下すことができる。また、その卓越した観察眼は相手の動きの先を読み、相手が最も嫌がることを瞬時に判断し実行することができる。

 

つまり、彼は『コート上のデータマン』なのだ。

 

乾のテニスボールはテロリストの頭部に着弾。テニス異能を用いて放たれたテニスボールは、容易に人体を破壊する。テロリスト達はその頭部の中身を撒き散らしながら崩れ落ちた。

 

乾は再びテニスボールを放つと、他の隊員達と共に店内へと入っていった。

 

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「こちらA班、二階フロア制圧完了しました」

『B班、同じく三階を制圧しました』

『C班、一階の人質を救出。これより四階に上がります』

 

次々と入る報告に手塚は冷静に答える。

 

「わかった。D班は三階から援護してくれ」

『了解!!』

 

通信を切ると、手塚は口を開いた。

 

「あまりに簡単すぎるな」

「ええ、まるで手応えがありませんね」

 

副隊長である不二が相づちを打つ。手塚は続けた。

 

「敵の人数や武装から考えて、これが連中の全てとは思えない。恐らくは陽動だろう」

「ということは、本命はまだ別にある、と?」

「恐らくな。だが、人質のことを考えれば長居は無用だ。一気にカタをつける」

 

手塚の言葉に副隊長は微笑みながら言った。

 

「では、行きましょうか」

「ああ」

 

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一時間後、テニステロリスト達の殆どを無力化した手塚らテニス特殊部隊は、モールの外にいた。

 

「手塚さん、これからどうしますか?」

大石が尋ねる。

 

手塚はそれに答えた。

「……今日は国際テニス会議の最終日だ。おそらく、会場にもテニステロリストが潜んでいるだろう」

「そうですね。では、我々はそちらに向かうべきでしょうか?」

 

手塚は首を振る。

 

「いや、奴らの狙いは恐らくテニステロだけじゃない。大会そのものに対するテロの可能性も考慮すべきだ。」

「確かにそうですね。では、どうしますか?」

「部隊を分ける。公安テニス警察にも連絡を入れろ、おそらく彼らも動いているはずだ」

「分かりました」

「では、解散だ」

 

手塚の指示のもと、テニス特殊部隊は散開した。

 

 

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手塚らがモールに突入する数時間前。

警察庁警備局、特殊テニス事件捜査課に所属する警察官の橘桔平もまた、その任務に就いていた。

 

彼は現在、テニステロ組織による国際会議襲撃の警戒及び要人暗殺未遂事件の捜査本部を指揮していた。会議室には既に多くの捜査官が詰めかけている。

 

「……以上が、我々が掴んだ情報です」

橘はそう言って説明を終えると、手元の資料を閉じる。

 

「……なるほどな」

そう呟いたのは、特殊テニス事件捜査課長の堀尾聡史郎警視である。堀尾は資料に目を落とす。

 

「まず、状況を整理しよう。今回の事件は、国際テニス会議最終日に、テニステロリストによる襲撃の予告があったところから始まる」

「はい」

「その犯行声明によれば、テニスによる世界征服が目的とされている。これはつまり、テニスによるテロリズムだ」

 

「テニステロリスト……」

橘は小さく呟く。

 

「そして、これに先立ち、各国の首脳が集まるテニスサミットにて、テニステロリストに狙撃されるという事件が発生している」

「はい。」

「犯人グループは、テニステロを実行するにあたり、要人の暗殺という手段を選んだようだな」

「その通りです」

「そして、今回の件でテニステロ事件の標的となったのが、この国際会議場だ。恐らくなんらかのテニス異能によるテロが計画されていると思われる」

「はい」

「そして、手塚くんの調べによると、テニステロリストの構成員の中に、国際テニス連盟の理事の名前が確認されたらしい」

「国際テニス連盟の!?」

「そうだ。しかも、手塚くんの話によると、その男は今年の会長選に向けてかなり強引な行動を取っているとのことだ」

「会長選ですか……」

「ああ。そして、手塚くんはその男について、何か知っているような素振りを見せていた」

「手塚さんが?一体どういうことなんでしょう?」

「さぁな。だが手塚くんは信用できる男だ。少なくとも俺はそう思っている」

「はい、私も手塚さんのことは信頼しています」

「ならば、その手塚くんがお前に話さなかったことを俺が話すわけにはいかない。」

「……」

「話を戻そう。とにかく、手塚くんの情報によって、敵が国際テニス連盟の理事であることは判明した。よって、その男の身柄を押さえることが、奴らを追い詰める大きな一歩となるだろう」

「わかりました」

「ただ、手塚くんが言っていたように、相手はテニスのプロ選手だ。確実に強力なテニス異能を使えると考えていいだろう」

「はい」

「そこで、今回、我々は公安テニス警察と協力し、テニス特殊部隊と共に合同の作戦を行ってもらうことにした」

「我々とテニス特殊部隊、公安テニス警察と合同作戦、ですか?」

「そうだ。手塚くんからの報告にあったテニステロリストの中には、国際テニス連盟の理事がいたのだろう。ならば国際問題にも発展しかねん」

「確かにそうですね」

「手塚くんが言っていたが、手塚くんは奴らのことをある程度把握していた節がある」

「手塚さんが……わかりました」

「そして、この作戦の総合指揮官は橘、お前だ」

「私が指揮官を、ですか?」

「お前は公安テニス警察にもテニス特殊部隊にも顔が利くしな」

「いえ、そんなことは」

「謙遜するな。とにかく、頼んだぞ」

「はっ!」

 

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橘は部下達を集め、ブリーフィングを行っていた。

 

「それでは改めて今回の作戦を説明する。今回は国際テニステロ組織によるテロの防止および会場内に潜むテロリストの確保を目的とする。作戦目的は大きく分けて二つある。一つは、国際テニステロ組織の殲滅。もう一つは、今回のテロの首謀者とされる国際テニス連盟の理事の確保と確固たる証拠の入手だ。今回の作戦には公安テニス警察とテニス特殊部隊も参加することになっている。また、この作戦の指揮は私、橘が執る」

橘は続ける。

 

「また、今回は公安テニス警察の協力により、テニス特殊部隊が突入した後も、引き続き広域でのテニステロ行為の阻止と、人質の救出に当たってくれるとのことだ」

「はい」

「では次に、各班ごとに詳細な作戦内容を伝える。質問があれば随時申し出るように」

 

橘は手元の資料を見ながら指示を出し始めた。

 

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テニス特殊部隊によるモールの人質救出作戦から一時間後、橘は手塚からの連絡を待っていた。

 

事前の連絡では、モールの制圧自体は既に完了しており、テニステロリスト達も全員制圧されたとのことだ。しかし、テニステロリストのリーダー格と目されている男だけが見つからないのだという。

 

手塚からの説明によれば、モール内には人質を除いてテニステロリスト以外の人間は確認されなかったとのことだった。

 

橘は腕を組みながら考える。

(まさかとは思うが、手塚さんが取り逃がしたのか?)

 

しかし、手塚の実力はよく知っている。手塚のテニスボールは着弾と同時に爆発的な衝撃波を生み出す。もし仮に手塚が取り逃しても、その被害は広範囲に渡るはずだ。

だが、手塚がそのようなヘマをするとも考えにくい。おそらく首謀者はそこにはいないのだろう。

 

(とすると、やはり手塚さんが知らない場所にいる可能性が高いな)

 

橘は手塚に通信を入れる。

 

「手塚さん?橘です。何か分かりました?」

『橘か……すまない、まだ見つかっていない。』

「手塚さんの予想通り陽動だったということでしょう」

『そうだな、奴らの本命はやはり国際会議場だ』

「こちらも今作戦本部を設営したところです。これから国際会議場に向かいます」

『わかった』

 

通信を切った橘は部下達に言った。

 

「これより我々は、国際会議場の警備に移る。総員直ちに準備しろ」

「はい!!」

 

(ここからが正念場か…)

橘は気を引き締めて歩き出した。

 

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手塚は通信を切って溜息をつく。

 

「手塚、どうした?」

そう尋ねたのは、乾貞治だ。

 

「こちらの調査が空振りに終わっただけだ」

 

手塚はそう答えたが、実際は手塚が取り逃がすことなどあり得ないのだ。

手塚はモールの制圧中、テニスボールを射出する際、モールの構造や天井の高さなどを事前に調査していた。テニスボールの威力を最大限発揮するためには、正確な弾道計算が必要となるからだ。

 

「相手が一枚上手だったということだな」

「そういうことになるな。だが、相手は国際テニス連盟の理事だ。そう簡単に尻尾を掴ませるとは思えないがな」

 

手塚はそう言うと、コート(戦場)を俯瞰して見ることのできる眼鏡型端末を外し、目を閉じた。

 

「……」

 

手塚は黙考すると、ゆっくりと口を開いた。

 

「どうやら向こうは俺達がここに残ることを知っているようだな」

「ああ。だが、どうしてだ?」

「テロリスト制圧の後の調査のため、どうしても隊長である俺は残らなければならない。俺がいない分、現場での初動は後手に回る可能性が非常に高い。それを見越してこのショッピングモールで人質事件を起こしたのだろう」

「だが公安テニス警察もいることだし、手塚ならなんとかしてくれるだろう?」

「もちろんだ。既に橘には了解を得てある。俺達も国際会議場に向かうぞ」

「了解」

 

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橘ら特殊テニス事件捜査課の一行が国際会議場に着くのと同時刻、国際会議場周辺ではテニステロ組織による大規模なテニステロ活動が行われていた。

 

国際会議場周辺の警備にあたっていた公安テニス警察は、橘の指示を受け、手塚らテニス特殊部隊が到着するまでの時間稼ぎをしていた。

 

「撃ってきました!!うわぁっ!!!」

 

一列に並んだテニステロリストたちがサーブを放つ。

放たれたテニスボールは、時速300kmを超える速度で飛来するが、公安テニス警察の面々はそれを難なく打ち返す。

 

「落ち着け!ただの直線的軌道だ!」

公安テニス警察の一人が叫ぶと、他の隊員達は一斉に答える。

「はい!!!」

 

しかし爆発性のテニス異能により放たれたサーブは、打ち返される度に爆発し、周囲の建物を破壊していく。手塚らが到着した時、国際会議場周辺は瓦礫の山と化していた。

 

「酷い有様だな……」

手塚は呟く。

 

「はい……」

手塚の言葉に部下が同意する。

 

「C班、D班は公安及び捜査課の支援にあたれ。残りは着いてこい、会議場に突入だ。」

「はい!」

 

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テ国際会議場に突入後、一人テニステロリストを無力化しながら進む手塚は、会議場内でテニステロリストと対峙していた。

 

「国際テニス連盟の理事、金田龍之介だ」

手塚の目の前にいるのは、金田と名乗ったスーツ姿の男である。

 

「やはり理事、あなたが今回の事件の首謀者で間違いないんですね?」

手塚の問いに対し、金田は首肯する。

 

「ああ。私が今回のテロを計画した」

「なぜこんなことを?国際問題に発展する恐れもあったんですよ?」

「問題はない。国際テニス連盟は私の後ろ盾だ。それに、テロによって得られる利益は計り知れん」

「テロによる利益だと?」

「そうだ。君たちは知らないかもしれないが、昨今のテニス界は低迷期に入っている。それはなぜか?理由は簡単だ。プロの世界のトップ層に、私のような強い選手が現れなくなったからだよ。本当の意味でウイザードと呼ばれる者が居なくなって久しい」

「確かに最近は特に、海外の選手が強いだけで日本の選手が弱いという風潮がありましたが……」

「そうだろう?だから私は考えたのさ。今一度世界に、私の存在を示す必要があると。そして、私こそが世界最強の選手なのだと示すために、まずは私が自ら鍛え上げたテニスプレイヤー達が最強であることを証明しなければならない」

「……奴らのどこがテニスプレイヤーだ。ただのテニステロリストじゃないか。」

 

手塚は呆れながら言う。

 

「何を言うかと思えば、君はテニスのことを何も分かっていないようだな。」

「なんだと!?」

「いいだろう教えてやる。テニスにおいて最後にたっていた者こそが勝者であり絶対強者であるということをな!」

 

金田は両手を広げ、高らかに宣言した。

 

「ふざけるなよ!」

 

手塚の怒りの声と共に、手塚と金田の戦いが始まった。

 

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国際会議場周辺でのテニス戦は激化の一途を辿っていた。橘らの抵抗に業を煮やしたテニステロリスト達は、大規模なテニス異能を発現させる。

テニスコート召喚と共に大量の爆弾が出現し、テニスボールが打ち込まれると同時に大爆発を引き起こす。

 

「ぐあっ!!」「きゃーっ!!」

橘の部下達が悲鳴を上げる。

 

「怯むな!テニスボールを確実に処理しろ!」

 

橘は声を張り上げるが、橘の視界の端では橘ら公安テニス警察のメンバーが次々と倒れ込んでいく様子が映る。

橘がコートを俯瞰して見ると、既に特殊テニス事件捜査課の面々は倒れ公安テニス警察以外のメンバーも戦闘不能に陥っていた。

 

(くそっ……)

 

橘は唇を噛む。その時、橘の耳元にある通信が入った。

 

『橘!』

「手塚さん、どうしました?」

『テロ組織のリーダーを発見した。今から確保に行くが、逃げられると厄介だ。そこで、橘には外の指揮と確保を頼みたい。うちのC班D班の指揮権も預ける。頼んだぞ』

「わかりました。こちらは任せてください」

『C班、D班、聞こえたな!橘に指揮権を預ける。しくじるなよ』

「隊長、了解しました。橘さん指示をお願いします」

「よし、お前達は引き続きここでテロ組織の殲滅に当たってくれ。ただし、絶対に深追いはしないように」

「はい!!」

 

橘は通信機で部下達に向けて話す。

 

「手塚さんが首謀者を見つけた。確保するまでの時間と周辺の安全を確保する。手塚さんの作戦通りに動け!」

「了解!!」

 

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金田龍之介は国際テニス連盟の現理事であり、かつてはウイザードの称号を得た無差別級テニスの10年連続チャンピオンだった男だ。しかし、その栄光は長くは続かなかった。

 

金田は試合中に降参を認めようとした相手を死に至らしめるという行為を繰り返し、ついには公式戦出場禁止処分となったのだ。

 

しかしその実力、功績ともに大きく、その後、金田は国際テニス連盟の理事となるが、同時に裏社会との繋がりを持つようになる。

 

金田にとって、表舞台に立つことは手段であって目的ではなかったのだ。金田の目的はあくまで、自分と自らの流儀が世界最強であることを証明することであった。

 

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「手塚くん、良い試合を仕様じゃないか」

 

金田は背広を脱ぎ捨てると一瞬でテニス装備へと着替えた。優れたテニス異能を持つ者は、瞬時にテニス異能を使うに相応しい服装に着替ることができる。金田は全身黒一色の衣装に身を包んでいた。

 

「貴様、目的はなんなんだ?」

手塚は尋ねる。

 

「そんなものは決まっている。私は世界最強の存在になりたいのだよ。そのために、君の力が必要なのさ。」

「何を言っている?」

「テニス特殊部隊に所属する者、或いはそれに類する技術を学んだ者は、対人戦に優れているか故に公式のテニスの試合には参加することは出来ない。これは国際ルールにも定められている事は知っているね?」

 

「ああ」手塚は答える。

「だがそれがどうした?」

 

「手塚くん、例え公式の試合で世界チャンピオンになったとしてもそれは最強の証明にはならないんだよ。例えば君やテニスギャング、テニスアサシンなどのように表舞台に立てない者達がいるようにね。」

「なるほど、それでテロ組織を組織したのか。」

「そういうことだ。私はこの力でテニスルールを破壊し、誰もが平等にテニスで殺し合える世界を創ろうと思っているのだよ!」

 

金田はそう言うと、サーブを放った。放たれたサーブはテニスボールの形状こそしているが、明らかに威力が桁違いであった。手塚は咄嵯にラケットを盾にして防ごうとするが、衝撃に耐えきれず後方へ吹き飛ばされてしまう。

 

「さて試合を始める前に、もう少し準備をしようか。はあぁ!」

 

空間が歪み辺り一帯がテニスコートと化す。

 

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通常、テニスコートを呼び出すなど継続的かつ大規模な空間干渉は、空間干渉に秀でたテニス異能を持つプロのテニスプレイヤーが数人必要となる。特にテニスコート召喚はテニスコートが用意できない場合などの非常時に緊急措置として用いられるだけで、通常は行われない。

 

しかし、テニス異能が最も効果的にその力を発揮するのもまたテニスコートである。極一部のテニスを極めた者達はその力を最大限に発揮する為、自らの力で自分に適したテニスコートを召喚するのは当たり前の事だった。

 

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「先手は君にあげよう、打ちたまえ」

金田は余裕の表情で手塚に語りかける。

 

「舐めるな!」

手塚は叫びながら金田に向かって駆け出し、テニスボールを射出する。

 

「無駄だ」

金田はテニスボールを打ち返す。打ち返されたテニスボールは手塚の脇腹に命中し爆発した。

 

「うっ……」

手塚は膝をつく。

 

「手塚くん、その程度かね?最強のテニス特殊部隊隊長と聞いて期待していたのだが」

金田は手塚を見下ろしながら言った。

 

「くっ……まだだ!」

手塚は立ち上がり再び金田に歩み寄る。

 

「無駄だと言っているのがわからないのかい?」

金田は再びテニスボールを放つ。しかし、今度は手塚はテニスボールを打ち返す。

 

「何?」

金田は驚きの声を上げた。打ち返されたテニスボールは金田の頭上を越え、金田の背後で静止すると爆発を起こす。

 

意識外からの爆風。金田はよろめきながらもなんとか踏み止まる。

 

手塚はニヤリと笑うと叫んだ。

「手塚ゾーン!!」

手塚の周囲に無数のテニスボールが浮遊する。

 

「手塚ゾーンだと!?」

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

手塚ゾーンとは手塚国光が自身のテニス異能を用いて編み出した技で、小規模ながら自身の周囲に自分に優位なテニス空間を生み出し、相手の攻撃を無効化するとともに反撃を行う手塚独自の技である。手塚はこの技により、数々の難敵に対して勝利を収めてきた。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

「ほぅ、私のテニスコートの中で独自のテニス空間を展開できるか……。面白い、やってみろ!」

 

金田はテニスボールを放つ。手塚は飛来するテニスボールを次々と打ち返していく。

 

「どうだ!」

手塚は叫ぶ。

 

「ふむ、なかなかやるようだな。ならばこれでどうだ?」

金田はコートを海に変える。

 

「手塚ゾーン!」

手塚は叫ぶが、金田の作り出した海によって手塚の周囲の空間が遮断される。

 

「手塚ゾーンは使えないぞ?残念だったな」

金田の言葉通り、手塚の生み出したテニス空間は、金田の作り出した海水によって消失してしまっていた。

 

「手塚くん、もう終わりかな?」

「まだまだだ!」

 

手塚は飛び上がると、空中からテニスボールを射出する。

 

「なんだそれは?そんなもので私を倒せると思うな!」

金田はテニスボールを弾き飛ばす。

 

「いや、そうでもないさ」「何?」

 

金田は弾いたテニスボールがいつの間にか軌道を変え、金田の背後に回っていることに気がつく。

 

「まさか……手塚ゾーンは水の上だけじゃないという事か?」

「そうだ」

 

手塚は着地と同時にテニスボールを金田に打ち込む。手塚は手塚ゾーンをテニスボールに纏わせることで、テニスボールの軌道を操作していたのだ。

 

「ぐわぁっ!!」

テニスボールを受けた金田は大きく吹き飛ぶ。

 

「…先程の言葉は撤回しよう、良いぞ!良いぞ!実に良い!!君は私の宿敵に相応しい!」

金田は立ち上がると笑いながら叫んだ。

 

「俺はお前を許さん!」

手塚はテニスボールを射出しながら、金田に近づいていく。

 

「手塚くん、君は本当に素晴らしいよ。だからこそ、ここで死んでもらう!」

 

金田は手塚の放つ無数のテニスボールの嵐の中をゆっくりと歩き始める。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

金田は量子理論を応用し確率論的に希薄になることでそこに存在するが同時に存在しない状態を作り出すことにより、あらゆる物理攻撃を防ぐことができるテニス異能を用いた。勿論、通常空間では行うことは出来ず、金田自身のテニスコート空間があってこそ、可能な芸当である。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

「手塚くん、君は最高だよ。だからここで死ね!」

金田は手塚の眼前まで来ると、テニスボールを手塚の身体に叩き込んだ。

 

「ぐっ!」

金田の放ったテニスボールは手塚の胸元に当たり、爆発を起こした。明らかな致命傷である。金田は勝利を確信し、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべた。

 

───しかし、何事も無かったかのように手塚は立ち上がってみせた。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

手塚ゾーンにより生み出されるテニス空間は、ある種の手塚の支配下にある世界であり、つい先程金田が行った量子理論の応用による物理攻撃無効化を、手塚は手塚ゾーンを用いることで再現して見せたのだ。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

「バカな……何故生きている?」

金田は狼驚する。

 

「金田、いや金田さん、あなたはすごいテニスプレイヤーだ。俺もまさかこんなことが出来るなんて思わなかった。出会い方が違っていれば、あなたが道を誤っていなければ、あなたから色々なことを学べただろう。だから……」

「手塚くん、何を言っている?」

「……だからここで終わらせる」

 

手塚は金田に歩み寄り、金田にテニスボールを撃ち込み続ける。

「なにを、私は、私は、世界最強の」金田はテニスボールを受けながら呟き続けた。

 

金田が手塚ゾーンの海に飲み込まれた時、手塚は呟いていた。

 

「金田さん、あなたは強かった。」

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

国際テニス連盟本部ビル屋上。

そこには確保された国際テニス連盟現理事・金田龍之介の姿があった。金田は拘束され、公安テニス警察に囲まれていたが、金田は満足げな笑みを浮かべていた。

 

「金田龍之介、お前には色々と聞きたいことがある。大人しくしてもらおう」

橘は金田に詰め寄る。

 

「橘くん、私はね、ようやく理解したよ。私が求め続けていたものが何かをね」

「金田龍之介、それは一体なんなのだ?」

「強さだよ。誰よりも強くありたいという想いこそが、私を強くしてくれたのだ」

 

橘は金田の発言の意図がわからず首を傾げる。

 

「そして想いは引き継がれるからこそ価値が生まれると……手塚くんにはすまない、そしてありがとうと伝えてくれ」

 

金田は静かに目を閉じた。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

国際テニス連盟本部はテニステロリスト達のテロ活動により壊滅状態となった。死傷者の数は不明。国際テニス連盟は機能不全に陥り、世界中が混乱に陥った。

 

しかし、手塚が金田を倒したことによって、テニス界に平和が訪れたのもまた事実であった。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

「手塚さん、今回の件、お疲れ様でした」

金田逮捕後、手塚は特殊テニス捜査課のオフィスにいた。

 

「ああ、今回ばかりは流石に死ぬかと思ったがな」

「またそんな冗談を……」

「まあ、あれだ。彼は少なくとも俺以上の技術を持っていた。それを学ばなければ、あの場で俺は死んでいただろうな」

「手塚さん以上ですか……」

「ああ、だが次は負けないさ」

 

手塚はそう言って不敵に笑う。

 

「ところで、手塚さん。例の殺人テニスボール事件についてですが……」

「ああ、あれか。資料を頼む」

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

戦士に休息はなく、人々の平和を守るため、彼らの戦いはまだ終わらない。

 

~続かない~




テニステロリストとは?(哲学)
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