よろず短編集 作:機械学習はいいぞおじさん(仮)
炭治郎は目を覚ますと鬼滅隊本部、お館様の屋敷前の庭にいた。鬼となった妹を隠していた罪で、拘束され連れてこられたのだ。
「ここは鬼殺隊の本部です。あなたは今から裁判を受けるのですよ。竈門炭次郎君」
蟲柱───胡蝶しのぶが話しかける。炭治郎が慌てて周りを見回すと他にも人の姿があった。
炎柱──煉獄杏寿郎。
音柱──宇髄天元。
恋柱──甘露寺蜜璃。
岩柱──悲鳴嶼行冥。
霞柱──時透無一郎。
蛇柱──伊黒小芭内。
水柱──富岡義勇。
風柱──不死川実弥。
そして……セクシーコマンドー部、部長──花中島マサル。
「柱ですらない!?」
ガビーンという効果音と共に、炭治郎は衝撃を受けた。一体のこの人は誰だ?いや、何者なんだ!?
「この方はセクシーコマンドー部の部長であらせられます!」
どこからか現れた隠の一人が言った。
益々意味がわからない。セクシーコマンドーとは!?
「セクシーコマンドーって何ですか?」
思わず尋ねた炭治郎に答えたのは、やはりマサルさんその人だった。
「俺達のスポーツだ!!」
「スポーツ……」
ますます意味が分からない。
「炭治郎だからあだ名は……ゲロシャブか、ターザンかな?どう思う?」
「どっちかっつぅとターザンじゃねぇのかァ?」
「えぇ~私ターザンも好きだけど、ゲロシャブの方が可愛いと思うわ」
「……僕はどっちでも構わないけど」
「…………」
皆勝手な事を言っている。しかしこのままではゲロシャブに決まってしまいそうだ。炭治郎は慌てて叫んだ。
「待ってください!!俺はターザンでお願いします!!」
「決まりましたね」
そういうことになった。
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「では、これから裁判を始める!そこにいるのは鬼を連れた隊員ターザンではないか?どういう事なのか説明してもらおう!」
炎柱・煉獄杏寿郎が声を張り上げた。
「はい!それは俺の妹でして、二年間人を喰った事はありません!」
炭治郎ことターザンはきっぱりと言い切った。
「そんな事が信じられるかぁ!嘘をつくんじゃあないよォ」
音柱・宇髄天元が怒鳴る。
「本当です!それにもし禰豆子が人に襲いかかった場合は、俺だけでなく鱗滝さんにも責任が及びます!どうか信じてください!!」
必死に訴えかけるターザンの言葉を聞いて、恋柱・蜜璃が顔を赤らめた。
「まぁ……そうなの?鱗滝さんっていうのはどなたかしら?」
「水の呼吸を使う剣士です!俺の」
「いい人なのね!」
「違います!」
「男同士の友情という名の純愛なのね!!」
「全然!!!違います!!!そういうんじゃないから!!」
蜜璃は少し天然と腐が入っているようだった。
「うむ!ターザン少年、君の言うことはわかった!だがそれでも俺は納得できない!」
「どうしてですか?」
「やっぱり君はゲロシャブの方が似合ってる気がするぞ」
「その話題は終わってます!」
「三角関係なのね!」
「違うから!!本当に!!」
「うるせぇ!黙れェ!話が進まねぇだろうがァ!」
不死川実弥の一喝により、その場はしんとなった。
「とにかく、だ。俺はお前を信用しちゃいない」
「何故ですか!?」
ターザンこと炭治郎は食い下がった。
「まず第一に、妹が人を襲うか否かの判断は、俺には出来ないからだ」
「確かにそうですね」
「第二に、仮に襲わないとしても、人の血肉を口にしていないだけで、飢餓状態になれば、いずれ人間を襲い出すかもしれない」
「それも……そうですね」
「第三にゲロシャブよりターザンを選んだって事だ」
「それ関係ないですよね!?」
「以上三点から、君達兄妹を認める訳にはいかない」
「……」
「……」
沈黙を破ったのは蟲柱である胡蝶しのぶであった。
「では、こうするのは如何でしょう?ターザンくんの裁定はお館様に任せましょう」
「はい」
「ならば、さっそくお館さまを呼んでこよう!!」
風のように走り去った煉獄の後を追って、皆一斉に駆け出した。
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半刻後、産屋敷耀哉は柱合会議の場に姿を現し、そしてそのまま倒れた。
半透明な産屋敷耀哉が体からふわりと浮かび上がると「良し、逝ける!」とグッと親指を立てて天に消えそうになっていく。
「逝くなー!」
ターザンは慌てて耀哉の体を抱えると、その両頬を思いっきり叩いた。
「痛い!何をするんだ!」
「いや、なんか死にそうだったので……」
「まだ死んでないよ」
「いや明らかにお迎えが来てましたよね?あとちょっと遅かったら間違いなく行ってましたよ」
「大丈夫だよ。私は死なないから」
「……」
柱達は困惑していた。今目の前で起きている光景の意味が理解できなかったのだ。
「えっと……お館様?」
蛇柱・伊黒小芭内が恐る恐る尋ねる。
「何だい?小芭内」
「今、何が起きておいでなのでしょう?」
「気のせいだよ?」
「いえ、しかし」
「何も起きてない、いいね?はい、この話はこれで終わり」
柱達はお互いの顔を見合わせた。
「今日は空は青いのかい?剣士達も元気そうで何よりだ。私の子供達は今日も可愛いね」
産屋敷耀哉はにっこりと微笑んだ。
「さぁ、会議を始めようか」
そういうことになった。
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「というわけで、ターザンはセクシーコマンドー部に入部させることにした」
マサルさんが宣言した。
「ええええええ……どういうことなんですか!?」
「俺に聞くな、ターザン。俺はセクシーコマンドー部の部長だからな!」
「えぇぇぇぇ……」
ターザンは頭を抱えた。一体自分はどうなってしまうのだろうか?
「あの……一つ質問してもいいですか?」
「なんだ、ゲロシャブ」
「違いますターザンです。いやターザンでも無いです炭治郎です」
「ゲロターザン?」
「だから炭治郎です!!」
「何の用だ?」
「えぇと、俺がここに連れて来られた理由がよく分からないんですけど……」
「ああ、それはな。お前の妹は危険だし、その辺に放り出しておいても誰かに殺される可能性があるだろう?なら、セクシーコマンドー部で預かろうという事になったんだよ」
「そんな殺伐とした部活があるなんて知りませんでした……」
「ちなみに部員は全員男だ」
「……」
「お前も入部すれば、男ハーレムが出来るぞ」
「入りません!」
「遠慮すんなって。大丈夫だって、すぐ慣れるって」
「男同士の純愛なのね!素敵だわ!!」
「甘露寺、落ち着け」
「……」
(富岡さん無言の圧力かけてくるのやめてくれ)
「俺は嫌ですよ!絶対に入りません!」
「じゃあターザンは死刑、禰豆子ちゃんはセクシーコマンドー部入りという事で」
「えっ……いやいやいや」
「いい加減にしろォ!そんな馬鹿げた話が通ると思ってンのかァ!?」
不死川が怒鳴る。
「お前はセクシーコマンドー部入りかァ、死ぬかだよォ」
「どっちかっていうと、ターザンはゲロシャブだと思うぞ」
「黙れェ宇髄ィ!」
「えぇ、じゃあどうするの?」
蜜璃は尋ねた。
「……俺は禰豆子とセクシーコマンドー部に、入ります……。あとターザンじゃなくて炭治郎です」
「決まりだね」
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こうして、炭治郎ことターザンは鬼滅隊本部の地下にある、謎の地下格闘場、通称・セクシーコマンドー部の道場で修行する事になったのだった。めでたし、めでたくもなし。
マサルさんあまり活躍せず。