よろず短編集 作:機械学習はいいぞおじさん(仮)
「なります!」
「竈門少年!?」
煉獄杏寿郎と対峙した猗窩座は、その目を見据えて話しかける。
「杏寿郎、お前も鬼にならないか?鬼はいいぞ。今なら無惨様ポイント20%還元サービスに布団セットもついてこのお値段!」
「もう一声!」
「無惨様ポイント30%還元サービスでどうだ!そしてさらに……」
「待ってください、それは本当ですか?」
思わず食いついてしまった炭治郎だが、煉獄さんがすごく嫌そうな顔をしているのを見てハッと我に返った。そうだよな、あんなこと言われたら普通引くよな……でも俺、あの布団セットちょっと欲しいかも……。
そんなことを思っている間にも、二人の会話は続いていく。
「なるほど、そういうことだったのか。ちなみに無惨様ポイントを貯めるとどんなお得なことが?」
「まずは無惨様が夢枕に立つ権利を得る。次に、十二鬼月のサイン色紙もプレゼントだ」
「なんと!?」
「それから……無惨様に褒められる!!」
ドヤァアアッという効果音がつきそうな顔である。えっ、それマジですごいことじゃないの? 炭治郎は思った。無惨さんってただのラスボスじゃなかったんだなあ、と。
「うむ!俺はならない!!」
「そう言うと思ったぞ!ではさらにお得な点をパワーポイントでまとめてみた。御手元の資料をご覧下さい」
「おお、これは!」
「どうです、素晴らしいでしょう。ちなみにこちらのプランには……」
いつの間にか勧誘からプレゼンに変わっていることに気がついた時にはもう遅い。あれよあれよという間に、二人は意気投合して盛り上がっていた。
「──ということなのです」
「なに!?」
「どうですか、素晴らしい提案だと思いませんか?」
「……確かに素晴らしい!」
いやいやいや!!何やってるんですか二人とも!! さすがに止めなければと思い、炭治郎は慌てて割って入る。
「ちょ、ちょっと待ってください!俺たちはあなたたちに構っている暇はないんです!」
「まあまあ、そんなことよりお前達も鬼にならないか?」
「ならない!」
「ならば鬼にならない代わりに『無惨様ポイント』を提供するというのはどうだろう。これがあればいつでも無惨様に会えるのだぞ?」
「なります!!!」
「竈門少年!?」
しまった、つい釣られてしまった。だってこんなチャンス二度とないかもしれないし、無惨さんのサインなんて欲しくないわけがないじゃないか。
「ほほう、なかなか話がわかる奴だな」
「ああ!俺は長男だからな!!」
胸を張る炭治郎と盛り上がる彼らの横で、善逸だけが早く帰りたいな、と遠い目をしていた。
「ちなみに、無惨様ポイントを使って何ができるんですか?」
炭治郎は素直に猗窩座に質問する。
「いい質問だ小僧。こちらにわかりやすい資料を用意したのでご覧下さい」
「ありがとうございます!」
渡されたファイルには『無惨様ポイント一覧表』と書かれている。ページをめくるとそこには……
・無惨様に名前を呼ばれる権利(一回):100点
・頭を撫でてもらう権利(一回):50点
・「よく頑張ったな」と言ってもらえる権利(一回):45点
などなど、他にも様々な項目があった。
「えーっと、これはつまり……」
「そうだ。お前達は今日一日でこれだけ無惨様に褒められたり労われたりされることが出来る。つまりそれだけお得だということだ」
「なるほど!」
炭治郎は感心したように大きくうなずいた。
しかし、そこで煉獄さんが口を開く。
「ちなみに、このポイントとやらは貯めるとどうなるんだ?」
「ポイントに応じて無惨様のグッズが貰える。もちろん直筆サイン入りだ」
「よしわかった、貯まるまで帰らない」
「煉獄さん!?」
いいんだろうか、それで本当に……。
そんな炭治郎の心配を他所に、話は進んでいく。
「ところで無惨さんは今どちらに?」
「今は……多分温泉に入っていると思うぞ」
「本当ですか!?」
「ああ、間違いない。昨日も一昨日もそうだったからな」
「よもやよもやだ!」
「ちなみに明日は無惨様の誕生日だが、それは教えてやることはできない。自分で調べろ」
「わかりました!俺も無惨さんの誕生日は自分で調べます!」
「その意気だ。頑張れよ」
「はい!」
こうして、謎の協力関係が築かれることになった。