由比ヶ浜の恋と勿来ヶ崎奇譚   作:taka2992

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小町と八幡の【ぎみあぶれいく!】①

 

 

 

「お兄ちゃん! 大変な人が部活に入ってきちゃったね! あの茅ヶ崎って人」

 

「お前は作中では茅ヶ崎に会ったことがないことになっているんだから、その名前を口にするな。会わせたくもないんだよ」

 

「え? 私を誰だと思っってんの?」

 

「小町だろ?」

 

「えへへん! 小町は小町であって小町ではな~い! エル・カンターレである~!」

 

「お前何歳だ? なんでそんなヘンチクリンな宗教の教祖様の言ったこと知ってんだ?」

 

「小町は今、14歳の小町じゃないんだよ! 気がつかなかった?」

 

「なんだと? ということは……。お前は、雪ノ下の言っていた量子的もつれの中で眠っている小町なのか?」

 

「そうだよ! 今16歳で凍結されているみたいだね。でも一時的に起こされてんの」

 

「なんでまた! ということは、俺とお前は同い年ということになるのか?」

 

「そう! お兄ちゃんと小町は、時空を越えた兄弟なのであ~る!」

 

「確かにお前は時空を超えてるな。神みたいだ。エル・カンターレだわ」

 

「女神となった小町は、ずっとお兄ちゃんのこと見守っていたんだよ? 感動した?」

 

「ちょっと気味が悪いが……死んだ妹が空の上にいるような感じがして……」

 

「お兄ちゃんとゆっきーだけが現実世界に生き延びているのは、どうしてなの?」

 

「そんなこと俺が知るか。逆にエル・カンターレ様に聞きたい」

 

「小町の推測では、きっとそういう宿命性がないと、お兄ちゃんとゆっきーがくっついている理由がないからだよ。だって、お兄ちゃんとゆっきーがくっつくなんて誰が見てもおかしいもん」

 

「お前も言うか! 陽乃さんにはしっかり疑われているからな。ゆっきーって何だよ」

 

「ゆっきーっていうのは、あっちの世界で小町が密かに雪乃さんのことをそう呼んでいただけだよ」

 

「この世界ではお前はゆきねぇと呼んでいるみたいだぞ」

 

「あれもいいかも。一晩一緒にいたり一日ゲームやってたりしたら、小町もそう呼んでいたかも」

 

「面倒だから、このさい、ふうせんかずらに頼んで、俺みたいに転送してもらえ。そうすれば面倒な説明を省ける」

 

「でも、そうすると、せっかくゆっきーに懐いている小町ちゃんが可愛そうじゃない?」

 

「同じことだろ」

 

「ところでさ、お兄ちゃん、ゆっきー泣かしちゃったね~」

 

「あ、いや……」

 

「バッカだね~、正直に自分はスケベです、他の女をそんな目で見ていました、なんて告白するんだから」

 

「もう、その話はいい! やめてくれ!」

 

「止めないよ! 少しいじめないとゆっきーファンの小町の気が済まない」

 

「小町ちゃん?」

 

「あのおねぇさんのどこがいいの?」

 

「え? あ…、そう……。思い出した。フェロモンだ」

 

「要するに色気なわけ? ふ~ん。でもわかる気がするな~」

 

「だろ? もういい加減にやめてくれ。この話。そうやって湿疹を掻かれるとさらに広がる。痛いし血も出てくる」

 

「やめてあげるから、一つ、お願いしていい?」

 

「なんだ?」

 

「小町も、彼氏つくっていい?」

 

「ぎょっ! お前が作るのか、それとも14歳の小町が作るのか?」

 

「もちろん、14歳の小町だよ~?」

 

「お兄ちゃん、そんな話聞いてません! ダメです!」

 

「自分だけ彼女作って、妹はダメ? 虫のいい話だな~! ちょうどこのころ、小町が気に入っていた男の子から告白されてたんだよ」

 

「それって大志?」

 

「違うよ! 大志君とはもう少し後に知り合うから」

 

「お前が彼氏なんて百年早いわ! まだポイント貯まってねぇよ」

 

「女心を知らないまま、ゆっきーみたいな人と付き合っている兄ちゃんに言われたくありませ~ん!」

 

「とにかくダメ!」

 

「もう明日あたり、告白されるかも!」

 

「なあ、小町ちゃん? 今回はやめときませんか?」

 

「一応、兄としての意見は承りました。もう、そうなると、立派なシスコンだよ、それ。キモイっ!」

 

「俺はシスコンじゃない!」

 

「あ~、はいはい。それじゃあ、小町は宇宙に戻りま~す!」

 

「そうか。時々降りて来いよ? 俺には14歳と16歳の妹がいるんだな。嬉しいぜ」

 

「やっぱりシスコンじゃん? でも、降りてきたらどうやってお兄ちゃんに話しかけようかな?」

 

「今みたいに?」

 

「これは夢の中だからねぇ。寝ていないと話しかけられないかも。脳内の量子的プロセスに干渉しているわけだから」

 

「お前、なんかすげぇこと言い始めるのな。雪ノ下の影響かよ」

 

「だって、あれだけゆっきーの講義を受けていれば、わかるようにもなるよ! 学習していないのはお兄ちゃんだけ!」

 

「あんな理科系のこと理解できるわけないだろ!」

 

「そうだな~、もしかすると、パソコンの画面だったら文字としてメッセージを伝達できるかも。会話も可能なのかな~?」

 

「今度、俺がPCいじっているときに話しかけてみてくれ」

 

「わかった! それじゃあね。ば~い! もう東雲さんのエッチな姿を妄想しちゃダメだよ!」

 

「おい? 小町? いないか……。後味の悪い言葉を残していくんだな。俺は今寝ているんだろうな。小町と会えたこの夢、忘れたくないな…………」

 

 

 

 

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