由比ヶ浜の恋と勿来ヶ崎奇譚   作:taka2992

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由比ヶ浜結衣は死の淵で…もうやめて…と呟いた

 

 由比ヶ浜が出て行ってからしばらくすると、部室ではいつものように、さしあたっての作業が再開されていた。俺は、パソコン作業をしながら、いなくなった由比ヶ浜が座っていた机の上が気になっていた。

 そこには、パワースポットのリストがあった。彼女は、帰るまで「良縁成就」「金運上昇」「開運」「合格祈願」「心身健全」の5項目に、無数にあるパワースポットを分類していた。これは東雲と共有しているはずだ。

 

「東雲、スポットの分類はもう終わっているのか?」

 

 パソコンをいじっていた東雲の近くに行って聞いてみた。

 

「うん。もうやってあるよ。たくさんありすぎて、どれを載せようか選別しているところ」

 

 隣りの目黒にも聞いてみる。

 

「お前は例の、人を迷わせる森について取りあげたいんだったよな?」

 

「そう。実際にその森が今も残っているんだって。近いから、今度の休みにでも写真撮ってくる」

 

「となると、スペースを先に決めて文字数を出しておいたほうがいいかな」

 

 俺たちの話を聞いていた雪ノ下が、体をこちらに向ける。

 

「レイアウトを先にやっておきましょうか」

 

「賛成」と目黒。「私もそのほうが無駄な作業が減ると思う」と、東雲。俺も、レイアウトができると、記事の内容を具体的に考えられるので、効率的だと思った。

 

「では、みんなで考えましょう」

 

 雪ノ下が机の上にB3判の紙を広げた。そこに、手書きで四角を書いているとき、廊下のほうからバタバタと大きな足音が聞こえてきた。

 明らかに走っている。それも短距離走でもやっているかのような速度で。走っていると平塚先生に怒られるぞ。と思っていたら、平塚先生が扉をガラガラ~バタンと開けた。

 先生は青い顔をして息を切らしていた。腰を曲げてぜえぜえと呼吸をする。その白衣が脱げかかっている。

 

「君たち! 由比ヶ浜が千葉市で保護されたぞ! 重傷を負って路上で発見されたらしい。意識不明だそうだ! 警察から、今、連絡があった。救急搬送された」

 

「なんだって!?」

 

 思わず大声を出した。

 晴天の霹靂とはこのことだ。目黒も、東雲も、雪ノ下も口をあんぐりと開けて固まっていた。

 だいたい、何で由比ヶ浜が千葉市なんかで、重傷で発見される必要がある?

 

 まてよ? ………千葉市だと?

 

「病院はどこですか?」

 

「県立中央病院だ。行くのなら行け。私は親御さんとか関係者に連絡する」

 

 そう言って、先生は慌ててきた道を駆け戻っていた。

 

「どういうこと?」

 

 雪ノ下が俺をみつめて問いかける。目黒も東雲も俺を見つめている。3人とも肩が慄えていた。

 この部室を出る前の由比ヶ浜の挙動を思い出してみた。俺の隣りで彼女は何をしていたのか。

 

「考えたくないが、推測できるシナリオが一つある」

 

 茅ヶ崎のほうを見た。さすがにこの騒ぎで、起きていた。ポケットに手を突っ込んで悠然としている。

 

「茅ヶ崎、黄色いタグのついたカギ。あるか?」

 

「ん?」

 

 茅ヶ崎が隣りのイスに置いてあったスクールバッグを開けて、中を手探りし始めた。だんだんと手の動きが早くなる。そして、あまり多くない内容物を机の上に出し、最後にカバンの口を開けて逆さまにした。何も落ちてこなかった。

 

「ない!」

 

 さすがに狼狽していた。ズボンのポケットも念入りに探す。しかし、家やバイクのカギの束しか出てこない。

 

「まさか! あいつ!」

 

 茅ヶ崎が立ち上がった。俺の最悪の予想は当たってしまったようだ。

 

「どうしてだ! どうしてそんなことをする!」

 

「茅ヶ崎、関係者に電話して確認してみてくれ」

 

 ポケットから携帯を出して、茅ヶ崎が話し始めた。ずいぶんと長くなっている。

 

「私たちは、とにかく、病院行きましょう」

 

 雪ノ下がカバンをつかむと、目黒と東雲もそれに続いた。

 俺の横を通るとき、「彼から事情を聞いておいて。後で教えて」と声をかけられた。

 

 男の部員だけが残された部室の中で、茅ヶ崎の話が終わった。今までみたことのないほど青い顔をしている。

 

「監禁されていた男がいないそうだ。ドアの南京錠が外から破壊されている」

 

「そうだとしても、どうして由比ヶ浜が意識不明になる?」

 

「男が狂っていたのかもしれない。南京錠を破壊したのなら、何か武器に見えるものを持っていたはずだ。

 もしかすると、性的暴行をしようとした線も考えられる。激しく抵抗されて、何回も殴打したとか……。助けを求めて、由比ヶ浜は路上に出た。そこを発見されたのかもしれない。

 俺と相棒はこの仕事から外された。これからも似た仕事はできないだろう。損害金の請求は俺たちにしないと言ってくれた。大目に見てくれるそうだ」

 

 俺は怒りがこみ上げてきた。

 

「お前、自分の心配している場合か!」

 

「しかし、どうしてそんなことをするんだ? 由比ヶ浜が」

 

「それはな! お前にまともになって欲しいからだ!」

 

 俺は怒鳴った。茅ヶ崎が目を見開いた。初めて、茅ヶ崎の目が真剣に俺を見ていた。

 

「病院へ行くか? 行っても意識不明状態らしいから、謝罪はできないがな!」

 

「行こう。俺の後ろへ乗っていけ」

 

 バイクを走らせると、10分で病院についた。緊急措置室は一階の奥にあり、脇には長椅子が5列設置されていた。

 大病院らしく、大きな自動ドアは二重になっており、医師や看護士がひっきりなしに出入りしていた。ストレッチャーの出入りも激しい。

 そこには、創発部の3人と、見慣れない女子が一人座っていた。

 近づくとき、さすがに茅ヶ崎はうつむいていた。

 

「どういう状態だ?」

 

 俺の問いに「まだ緊急手術中だそうよ。内臓破裂を起こしているそう。あと頭にも何かあるって」と雪ノ下が答える。

 俺も長椅子に座った。茅ヶ崎は立ったままだった。

 目黒が俺のほうを見て、見知らぬ女子を手のひらで指す。「立川千佳子ちゃん。結衣ちゃんと私のクラスメート」と紹介する。

「どうも」と会釈すると、立川も頭を少し下げた。

 立川は俺たちと同じく制服だった。涙もろいらしく、ハンカチを握っていた。

 

「あそこで、警察官と一緒にいるのが結衣ちゃんのお母さん」

 

 隣りの雪ノ下が指をさす方向を見ると、ちょっと離れた椅子に、髪の毛を後ろで束ね、ジーンスとTシャツ姿の女性が警官と話していた。警官はクリップボードに何か書き込んでいる。

 

 すでに手術が始ってから1時間が経過しているという。これからどれくらいかかるのかもわからない。俺たちはほとんど無言で座っていた。いや、一人だけは立っていた。

 皮膚をとり巻く空気が、粘度の高いジェルで固まったように感じた。動けない。動いてはいけない。動きたくない。体がそう言っている。

 

 しばらくすると、後ろから声をかけられた。振り返ると、三浦優美子と見知らぬ女子がいた。この二人は私服だった。

 

「比企谷君だったよね。どうなの? 結衣の様子は」

 

 今、椅子に座っている生徒の中で、三浦が知っているのは俺くらいだった。いや、茅ヶ崎もいるが、三浦は無視しているようだった。

 俺は、さきほど聞いた由比ヶ浜の容態を話した。すると、三浦は茅ヶ崎のほうを向いく。

 

「まさか、結衣のケガに茅ヶ崎がからんでんの? こういうことがあると大抵、茅ヶ崎が関係してるんだよね。昔から」

 

 茅ヶ崎が顔をそむける。さっきからすでに1時間以上は立ち続けている。

 三浦たちが後ろの席に並んで座り、沈黙集団の一員となった。

 

 それから30分が経過すると、平塚先生が駆けつけた。先生にも由比ヶ浜の容態を説明した。学校では緊急職員会議が開かれているという。そっちの用事もあるため、先生はすぐに帰って行った。何か動きがあればすぐに連絡してくれと、雪ノ下に言い残して。

 

 これから何時間かかるのだろう。誰もその疑問を言わなかった。

 だが、午後8時過ぎになると、ストレッチャーに寝かされて由比ヶ浜が出てきた。透明の吸入器を口にかけられ、点滴数本と一緒に運ばれてくる。みんな立ち上がって駆け寄るが、由比ヶ浜に意識はない。麻酔が効いているのだ。

 医師の説明によると、腹部の修復は終わったが、脳挫傷があり、こちらの措置も、様子を見てすぐに行う必要があるという。だが、それは内蔵の状態が好転しない限り不可能。申し訳ないが、命の保証はないということだった。しかも、助かったとしても、障害が残る可能性が高いという。

 

 その10分後、全員が病室の前にいた。そこにも長椅子があったが座りきれなかった。それに、面会時間は過ぎている。だが、誰も帰れなかった。帰れるわけがない。目黒と東雲、立川がハンカチで目を押さえている。

 

 俺は自分を呪った。俺が由比ヶ浜を部活に誘わなければ、こんなことにはならなかった。由比ヶ浜に茅ヶ崎とコミュニケーションしてみろと、思いつきで言わなければ……。

 

 気がつくと、握り締めた手の中で、爪が皮膚を破いていた。悔しい……。涙がこぼれてくるのもどうでもよかった。

 

 命の保証がないだと? ふざけんな! ちきしょう! あんなに性格がよくて、可愛くて、明るくて、他人のことを真面目に考える由比ヶ浜が……。

 

 この世界に飛ばされてきた朝、犬連れの彼女と遭遇した。見ず知らずの俺に気さくに笑顔で対応してくれた。

 離れていくとき、俺は心の中で「お前がピンチに陥っていたら、必ず助けるからな」と叫んでいた。

 だが、俺は……、俺は……、肝心なときに何もしてやれなかった。くそ! ふざけんな!

 

 涙がどっと流れて頬からたれた。手を広げてみると、皮膚が破れて出血していた。痛みすら感じなかった。それほど俺は怒っていた。怒りで体が爆発しそうだった。

 

 俺は椅子から立った。勝手に体が動いている。壁を背にして立っている茅ヶ崎に「来い」と告げ、歩いた。

 

 リネン室と表札のかかった扉の前に来ると、人気が少なくなった。俺は振り返って茅ヶ崎の襟首をつかみ、壁に押し当てた。後ろには、心配したらしい雪ノ下もついてきていた。

 

「てめえ、どう責任取るつもりだ!」

 

 

 俺の大声が、廊下の向こうまで響いているのがわかる。

 そんな力が自分にあるとは思えないほど、その体を壁に何回も叩きつけた。ドンドンとくり返される鈍い音。茅ヶ崎の体には力はなく、無言でされるがままになっている。目も閉じている。

 

「てめえが死ね! 由比ヶ浜の代わりに! てめえは絶対に許さない!」

 

 どうしても俺の手や腕から力が抜けない。おそらく、この時の俺の顔を後から見たら、自分でも驚くような醜さだったはずだ。

 茅ヶ崎の襟首をロープを握るかのようにして絞めつけた。やがて、茅ヶ崎の喉が動き、グフッと苦しげな息が吐き出された。

 俺の腕に雪ノ下の手がかかる。

 

「もうよしなさい」

 

 その声で俺の力が抜けた。

 

「私も絶対この男は許さない。もし由比ヶ浜さんが……」

 

 言葉が切れる。その後を言いたくないらしい。見ると、雪ノ下がハンカチを目に当てている。

 そこに、目黒と東雲が駆けてきた。

 

「ゆきのん! 結衣ちゃんが呼んでいるって! 茅ヶ崎君の名前を呼んでいるって!」

 

 茅ヶ崎の体がビクンと動いた。そして、走り出す。俺たちもそれを追った。

 病室の前には残っていた生徒たちがいた。面会謝絶の札がかかっていたが、看護士が俺たちを中に入れてくれた。

 

 中には、心電図がリアルタイムのグラフを描いたり、脈拍数や呼吸数を示すモニターが並び、ベッドには相変わらずマスクを付けた由比ヶ浜が横たわっていた。透明なマスクが息で曇っている。

 

「まだ、麻酔は効いているはずなんです。意識があるとは思えません。でも、確かに会話している。こんなことは初めてです」

 

 傍らの若い男性医師が不思議がっていた。俺と雪ノ下が由比ヶ浜を覗き込む。「結衣ちゃん」と話しかけると、「ゆき、のん? 来て、くれて、ありがとう」とかすれた声。

 

 ゆっくりと、確かに口が動いている。だが、頭部のケガのために、包帯が目のすぐ上まで巻かれている。目が開くことはない。

 

「ちが、さきくん、は?」

 

「いるわよ。ここに」

 

 雪ノ下が茅ヶ崎をベッドの近くに連れてくる。

 

「いる、の?」

 

 茅ヶ崎が由比ヶ浜の顔を覗き込んで、小さな声をかける。

 

「ああ、いる。すまなかった。由比ヶ浜……たのむから。……早く治ってくれ」

 

「ちがさきくん、もう、あんなこと、やめてね…。ちゃんと、して……」

 

「わかった……。わかったから……、必ず治ってくれ」

 

 その言葉を由比ヶ浜が聞いたのかどうか、わからなかった。口も、もう動かなかった。

 

 その様子を見ていた若い男性医師に促されて、みんな外へ出た。俺はまた茅ヶ崎を連れて、リネン室の前まで来た。やっぱり雪ノ下もついて来ていた。

 

「お前、さっき言っていたことは本当なのか。もう、あんなことをやめるというのは」

 

「やめるしかないだろ。クビになったし」

 

「そうじゃない。てめえの悪行すべてを止めるかどうかだ!」

 

 また、俺の中に怒りがこみ上げてきた。

 

「やめるさ」

 

「そうか。でも由比ヶ浜は元にもどらないかもしれない」

 

「あの地下室へ連れて行けば、由比ヶ浜は怖気づくと思っていたんだが。逆効果だった。見込み違いだったな。完全なミスだ」

 

「由比ヶ浜はそんな程度のことでは人を判断しない。実は芯の強い子なんだよ! どうしてそんなに嫌われようとしていたんだ」

 

「それは、俺に深入りさせないためだ。当然だろ」

 

「お前……」

 

「気がついていたのね」

 

 俺の後ろから雪ノ下が茅ヶ崎に近づく。

 

「私たちにとって由比ヶ浜さんはかけがえのない人なのよ。だから、彼女に何かあったら、私は絶対あなたを許さない」

 

「お前たち、なんか由比ヶ浜を自分の娘みたいに思ってないか」

 

「似たようなものだ。俺は由比ヶ浜が助かるなら、何だってする。

 ……。そうだ……。小町! 俺の女神。小町! 聞いているんだろ? 見ているんだろ? 小町、なんとかしれくれ! 由比ヶ浜が死んじまう! 助けてくれ!」

 

「小町さん? どうしたの? 大丈夫?」

 

 雪ノ下が俺の腕を取り、心配そうな目をする。

 

「俺には女神がついている。このまえ、夢の中で話しかけてきたんだ。昔、お前が言ってた、量子的からみあいの中にいるらしいんだ。例のシミュレーション世界の中で。脳の量子的プロセスに干渉して。だから、無意識が支配する睡眠中しか話せないって言ってた」

 

「そうなの? ちょっと信じられないけれど……」

 

「小町! 聞いているんだろ。助けてくれ!」

 

 俺の様子を茅ヶ崎は無言で、なおかつ驚いた表情で見つめていた。

 

「パソコンだ。パソコンはどこかにないか!」

 

 雪ノ下がアゴに人差し指を当てて、脳内を検索している。

 

「確か、娯楽室みたいなところを通りかかったときに見かけたような気がする……」

 

「行こう!」

 

 3人は、一階の売店の並びにある娯楽室に入った。娯楽室ではなく図書室だった。入院患者専用、と書かれていたが無視した。

 

 二台あるPCはどちらも空いていた。見ると、特定のホームページしか見れないようになっている。ブラウザを閉じて、スタートメニューからワープロソフトを探して起動した。文字が入力できれば何でもいいはずだ。

 

『小町、答えてくれ』

 

 そう打ち込むと、反応がすぐにあった。

 

『はいは~い。お兄ちゃん久しぶり~!』

 

 文字が自動筆記されたのを見て、茅ヶ崎が目を丸くする。雪ノ下には同じ経験がある。

 

『見ていただろ? 助けてくれ! 由比ヶ浜が危ない』

 

『全部知ってるよ。でも、現実世界では時間を戻すことはできないんだな、これが~。時間を戻せば、結衣さんを止めることができるけどね~ 因果律は変えられないよ』

 

『そんなこと言わずに、なんとかしてくれ』

 

 少しの間があった。

 

『シミュレーションしてみたよ。今の小町はアーカイブと接続されているから、お兄ちゃんとかゆっきーより知識があるんだよ。今お兄ちゃんたちがいる世界の時間を進めてみると、確かに結衣さん死んじゃうね。あと12時間くらいで。

 ちなみに、パラメータ1000兆個のシミュレーションにかかった時間は0・02秒でした! 無限の量子ビットを操ると計算早いね~』

 

『やっぱり死ぬのか?』

 

全身の力が抜けていった。

 

『でも、一つの手があるよ。時間は戻せないけど、任意の時間に信号は送れる。結衣さんが危なくなる前の時間に、現実世界のシミュレーションを送る。脳内に。それを見れば。最初は何だかわからないかもしれないけど、結衣さんが危ないとわかるんじゃないかな』

 

『そうしてくれ! 頼む!』

 

『りょ~かい! それじゃ、お兄ちゃんまたね~! ゆっきーも、また相手してくださいね~!』

 

 文字の更新が止まった。

 

「お前ら、何者なの? 本当に。どこか変だとは思っていたけど……」

 

 茅ヶ崎が俺たちを見る顔つきが違っていた。今まではバカにしていたくせに。

 

「もしかして、由比ヶ浜が助かる方法がわかったのか? 俺には今のが何だかわからなかったが」

 

「助けられるかもしれない。小町を信じよう」

 

「小町って誰?」

 

「俺の妹。だが、この世界の実の妹じゃない」

 

「わからん……」

 

「お前、さっき改心すると言ったのは変わらないな?」

 

「ああ」

 

「ならいいわ。小町さんがうまくやってくれることを祈りましょう」

 

 俺たち3人は、病室へ歩いた。もしかすると、戻る必要はもうないかもしれない。

 

 

 

 

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