由比ヶ浜の恋と勿来ヶ崎奇譚   作:taka2992

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花火大会でコーラを盛大に噴き出す俺

 

 

 

 十七年前に起こった先輩たちの集団溺死、名前の不気味な符合、何回も同じ日に事件が繰り返され、その日に俺たちも勿来海岸にいること……。

 この意味を考えながら家まで歩いた。しかし、意味などわかるわけがない。

 ギラギラした太陽光線が顔に当たろうと脳天の髪の毛を焦がそうと気にならなかった。家につくと汗でTシャツが湿っていた。

 時刻はちょうど正午。今日は小町が友達とプールに行くと言っていたので、我が家は無人。リビングのエアコンをつけてソファにどすんと座るが、空気が蒸していて頭から顔に一筋二筋と汗が流れてくる。エアコンの風が一向に冷たくならない。

 とても耐えられないので風呂場に駆け込みシャワーを浴びた。

 

 パンツ一丁で一息つくと、雪ノ下に電話してみた。留守電が応答する。話したいことがあるので時間ができたら電話してくれと吹き込んだ。

 

 さて……。

 

 俺は試しに携帯電話のメモ帳を起動して、小町に話しかけた。

 

『小町いるか?』

 

『いるよ~! 暑そうだね~』

 

 携帯でも会話ができた。これだとPCを海に持っていく必要がない。一キロ以上もある荷物を省けるので助かる。

 

『なんか、おまえの声を聞けてホッとした』

 

『そんな焦らなくてもいいのに。小町も驚いたよ~、気持ち悪い偶然だね、っていうか偶然じゃないかも』

 

『おまえにも偶然かどうかわからないのか』

 

『偶然じゃないと仮定すると、【何か】の意思が働いたってことでしょ? その何かがわからないかぎり、シミュレーションしてもわからないよ』

 

『そうか……。今回の俺たちの合宿で、雪ノ下、東雲、由比ヶ浜、目黒に危険なことは起こらないのか? 溺れるということはないのか?』

 

『八月一日までまだ一週間あるでしょ? それだけ時間が離れているとシミュレーションしても不正確な予測になっちゃうんだな~、天気の長期予報もスパンが長くなると当たらなくなるでしょ?』

 

『う~む。不正確でもいいから未来予測してみてくれ』

 

『わかった』

 

 しばらく間があった。俺はテーブルの上にあった団扇で上半身をあおいだ。

 

『シミュレーション完了! 普通にみんなで海に行って普通に帰ってきているけど? 八月二日以降もみんな元気に生きてるし』

 

『そうか……、もしかすると心配しすぎなのかもしれないな』

 

『不確定要素の【何か】についてもっと調べてよ。幽霊だか怨念だか怪異だか知らないけど。そうすればもっと正確な予想ができるから』

 

『これ以上、どうやって調べたらいいのかわからん。とりあえず、おまえの予測では危険はないんだな?』

 

『そう言えるはずだよ~』

 

『わかった、ありがとう』

 

 お礼を打ち込んで、携帯をパタンと閉じた。そういえば俺はいつスマホに変えたんだっけ? スマホだと充電に追われてイライラする。ガラケーだと一週間くらいは電池がもつ。もうスマホにするのよそうかと思う。

 

 面倒臭いついでに昼飯はカップラーメンにした。「汁まで飲み干す坦々麺」だと? 化学物質だらけの汁を飲み干したくない気もするが。

 結局、味がなかなか良かったので最後まで飲み干した。

 ちょうどそのとき、雪ノ下から着信。出ると、今、実家に姉と一緒にいるという。やはり家族会議のようだ。

 

「話ってなに? 今、忙しくてあまり時間がないの」

 

「色々な資料を見せてじっくり説明したいことがある。時間はいつ取れる?」

 

「そうね……、明日の土曜日、花火大会があるでしょ? 昨日、由比ヶ浜さんから電話があって、みんなで行こうよって誘われたの。みんなというのは創発部のメンバーだけれど、そのときでいいかしらね」

 

「今日はダメなのか」

 

「今日は、夜に姉さんの引越しがあるの。たいした量じゃないけれど、私のところにある荷物をクルマで運ぶのを手伝わされそう」

 

「陽乃さんのおおかたの荷物は実家からあの豪華マンションに運ぶんだろ? そっちも手伝うのか?」

 

「まさか。そっちの荷物は業者が運ぶことになっている。私のところにあるのはスーツケースにすると四~五個ってところかしらね」

 

「やっかい払いができたな」

 

「そう単純な話でもないのよ。一応肉親だし。そうそう、会うのは明日の夜でいい?」

 

「たぶん、小町も行くだろうな」

 

「来てもいいんじゃない? 最寄の駅集合ということになっているから。時間が確定したらメールで知らせる」

 

「わかった」

 

 飲み干す坦々麺のおかげで、電話で話している最中も喉が渇いて仕方がなかった。冷蔵庫の製氷室の氷をザクザクとコップに入れて水道水を注いだ。プチプチと音がする。

 その音を聞きながら、俺は由比ヶ浜と二人で花火大会に出かけたことを思い出す。それはすでに遠い日の記憶になっている。運命というものは、変えようと思えばずいぶんと変わるものだと改めて感嘆する。

 

 それから、俺は無為に過ごそうとソファに座り、テレビもつけず、何もしないでボケッとしてみた。

 こうした無為に憧れていたはずだったが、一時間で飽きた。やはり脳はなんらかの情報の流入を常に欲している。それも心地よくて、自分に都合の良い情報を。寝ているときだって、脳は勝手に視覚や聴覚、触覚情報を捏造しているではないか。生きているかぎり、人間の脳は情報を分析し吟味し鑑賞し続けたがるようだ。

 そう悟ると、俺は一日以上にわたって、たまっていた録画を見たり、秘蔵コレクションを押入れの底から引っ張り出したり、昔読んだ本をまたパラパラ流し読みしたりして過ごした。

 これも一種の無為だ。何かをしていても、おそらく意味のないこと、経験的にプラスにならないこと、カネを産み出さないことであればそれは無為といえる。

 

 たっぷりと無為を貪っていると、あっという間に土曜日の夕方になった。ベッドでぼんやりしていると、階段をダダダと駆け上がる音がして、少し開いたドアから小町が顔だけを覗かせた。

 

「時間ですよ~!」

 

「小町、おまえは『時間ですよ』を知っているのか?」

 

「え? 何それ? 意味がわからないよ~」

 

「そうか。ならいい。すぐ下に行く」

 

 ちょうどさっき、「カルト!伝説の昭和テレビ番組」という本を読んでいた。そこには堺正明や天地真理、悠木千帆(樹木希林)、森光子などが出演していた伝説のドラマ「時間ですよ」が載っていた。当時は放送コードが甘く、銭湯が舞台のこのドラマでは、おっぱいポロリが当たり前のように映されたという。昔はそんな夢のような番組がタダで見れたのか!

 まあ、そんなことはいい。俺は素早く着替えて下に降りた。すると、小町は水色の生地に白い花柄の浴衣姿だった。

帯は黄色。髪の毛にはピンク色の花が付いている。

 

「どお? 可愛いでしょ~! ってお兄ちゃんに言っても無駄かぁ。富士サファリパークだもんね」

 

 二の腕を広げて小町が回転する。

 

「みんな浴衣で来るみたいだよ~、楽しみだね」

 

「そうなのか? 浴衣着るの面倒なんだろ? よくやるな」

 

 すると、小町が真面目な顔をして二歩近づいてきた。人差し指を曲げたり伸ばしたりして、顔を近づけろと指示している。

 

「お兄ちゃん、警告しておくよ。ゆきねぇも浴衣着てくるみたいだけど、面倒なんだろ? なんて言葉吐いたらダメだよ」

 

 俺は言葉に詰まった。確かにそんなことを言ってしまうような気がする。

 

「今のは妹の小町だから良かったけど、ほかの女子たちには通用しないからね」

 

 じ~っと小町が見つめてくる。その目には、これだからごみいちゃんはダメなんだな~という諦めと、何か切迫した運命が近づいていることを知らせる光が宿っていた。

 

 俺はゴクリと喉を鳴らして「わかった。確かにその通りだ」と答えた。

 

「理想的には褒めてあげないと。それも自然に。そんな恰好している君の姿を見られて嬉しいよ~、みたいな表情を全身で作って」

 

「そんな芸当が俺にできるとでも?」

 

「そのうちできるようになるよ。それまでゆきねぇがもつかどうかだな~」

 

 げっ。守護天使の小町と同じことを言いやがる。しかし、おいそれとは無下にはできないアドバイスだ。

 

「ささ、行こう行こう! あ、これ持って行って」

 

 小町がレジャーシートを入れたショルダーバッグを俺に押し付ける。しかし、ぜんぜん重くないので助かる。レジャーシートなんてウチにあったっけ?

 そのショルダーバッグに、雪ノ下に見せたい書類も入れた。

 玄関を出た小町がカランコロンと下駄の音を鳴らして歩く。電車の中には浴衣姿の女の子がチラホラいる。乗客のほとんどが花火大会の最寄り駅で降りた。

 

 改札には由比ヶ浜と目黒がいた。「小町ちゃ~ん、ヒッキー」と、券売機の脇の壁際で、二人が手を振る。

 由比ヶ浜は黄色の生地に赤い花柄、帯は水色の浴衣だった。おそらく前に見たのと同じはずだ。

 目黒は紺色の生地に白と赤の花柄、帯は赤かった。髪形は、珍しくたくさんの髪留めを使って複雑にまとめていた。

 

「小町ちゃんかわいいね~」と由比ヶ浜が小町の袖を左右に振っている。

 

「結衣さんも恵さんもいいですね~。やっぱり花火大会とかお祭りは浴衣ですよね~」

 

「ヒッキーは浴衣持ってないの?」と目黒が訊いてくる。それに答えようとする前に小町に先を越された。

 

「見てのとおりうちの兄は無粋ですからね~。今着ている服も、これでも進化したんですよ~」

 

 ふふふと笑う目黒だったが、

「でもヒッキーがお洒落し始めたらおかしいよね。天変地異の前兆って感じ」と理解を示してくれた。ただ、天変地異は余計だ。

 

「そうそう。ゆきねぇと志乃さんは?」

 

「まだみたいだよ」

 

 そういって由比ヶ浜が腕時計を見る。その後、しばらく海楽しみだね~とか、ビキニ着るんでしょ?とか、ゆきねぇと志乃さんはワンピース水着ですよとか、あれこれ話が続いたが、雪ノ下と東雲が現われると話が止まった。

 

「あ、ゆきのん! 志乃ちゃん!」と由比ヶ浜が手を振る。

 

「ちょっと遅れたわね。ごめんなさい」

 

 雪ノ下の浴衣は、白い生地に色とりどりの花柄、その中には水色の線が所々入っている。帯はピンク色だった。

 東雲の浴衣は薄紫の生地に、ピンク色の丸い紋、その間を橙色の金魚が泳いでいる。帯は赤い。二人とも、やはり髪留めで髪をまとめあげていた。

 五人の女子が揃うと壮観だった。男が俺一人のなが不安に感じる。

 

 カラカラと音を立てながら会場のほうへ移動する。その途中に夥しい出店が並び、しょう油の焦げる香ばしい香りや、ほんのりと甘い香りが漂う。人出も多く、ほとんどの人は会場となる公園の方向へゾロゾロ歩いている。

 見上げると、まだ空は少し明るい。始まるまで、まだ二十分くらいはある。

 

 途中で焼きそばとかたこ焼きとかお好み焼きとか、腹の足しになるものを買った。会場の外れまで結構歩くと、だんだんと人が少なくなってきた。芝生の上に敷かれているシート疎らになり、空きスペースが増えてくる。

 

「このへんでいいんじゃない?」

 

 俺がそう提案すると、「シート出そうよ」と小町が近づく。一緒に広げると、なんと、三メートル四方の巨大なシートが広がった。俺はその上に寝転がった。これはいい。寝ながら花火見れる。

 

 花火の一発目が上がるまでに、全員の腹ごしらえが済んでいた。遠くで主催者のアナウンスらしきものが聞こえるが、内容まではわからない。

 あたりがパッと明るくなり、ドドーンと音が響くと、女子たちは「きゃ~」「きれい~」と拍手を始めた。周囲にも声のざわめきが起こる。

 俺は右を下にして寝転がり、頭を腕で支え、女子たちの背中腰に上がる花火を見ていた。

 連続で大量の花火が破裂するクライマックスが何度かあった。そんなときは小町と由比ヶ浜が手を上げて喜んでいた。東雲も「今の見た?」と隣りの肩を揺すっている。やはり一番おとなしかったのは雪ノ下だった。その背中を指でつついた。

 

「なに?」と振り返る。

 

「例の話なんだが……」

 

 ドドーン。シュワシュワシュワ。

 

「もう少しあとでよくない?」

 

ドンドンドンドドドドドン。

 

「まあ、そうだな」

 

「そんなに深刻な話なの」

 

ドン、ドン、ドドン、ドン。

 

「それが、深刻なのかそうじゃないのかわからないんだ」

 

 少し考えた雪ノ下が体をこちら向きに直す。俺が紙を手にしているのを見ると、「ここじゃ暗くて見えないわね」と周囲を見回す。

 

「しばらく席を外すから」と四人の女子に言って、雪ノ下が立ち上がる。

 花火打ち上げ場所とは反対方向に、二人でしばらく歩いた。俺は小町の警告を思い出した。

 

「すげぇ、いいな、おまえの浴衣姿」

 

「なに急に。どうしたの?」

 

 結構驚いた顔をしている。やはり俺はこういう言葉に慣れていないし、言われたほうも違和感を感じるようだ。困ったもんだ。

 

「いや、率直な感想だけど」

 

「そう、珍しいこと言うのね」

 

 ふふふと笑われてしまった。

 

 明るい街灯の下に空きベンチがあった。そこに二人で座る。俺は、まず平成九年の記事を渡した。それを手にして読む雪ノ下の表情が少し緊張したように見えた。

 

「何か読み取れたことは?」

 

 そう問うと、「そうね、名前が気になる」と答える。さすがに一発で彼女は変な符合に気がついた。

 次は、県立幕張高校と市立総武高の沿革について書かれた紙を見せた。読み終わると、「面白い発見ね」という。

 

「先輩と後輩の関係なんだ。俺たちと四人の溺死者は。不気味じゃないか? これだけの符合って、偶然だとは思えないんだが」

 

「う~ん」

 

 その点に関する意見は保留しているようだった。

 次は、昭和十七と大正一〇年の新聞記事を見せた。それが読み終わると、ブログの記事も見せた。

 すべてを読み終わると、雪ノ下は顔を上げて物思いに耽った。しばらくの間、動かずに木の茂みの向こうに見える花火を数分眺めていた。

 

「確かに気持ち悪いし不気味ね」

 

 やがて、そう感想を漏らすと、「守護天使の小町さんには聞いたんでしょ?」と顔を向けてくる。

 

「ああ。聞いた。そしたら八月二日になってもみんな元気に生きているっていうんだ。だが、気になることも言ってた。未来予測は時間的に離れるほど不正確になること。幽霊みたいな現象をシミュレーションに組み込めないこと」

 

「ということは、今のところ、シミュレーションは不正確ということなのよね」

 

「そうなるな。小町は大丈夫だって言ってたんだが」

 

「難しい判断を迫られるわね」

 

「判断?」

 

「危険なのだったら、合宿をキャンセルする必要もあるでしょ?」

 

「おれは八月一日だけ、海に行かないようにすればいいと思うんだが」

 

 雪ノ下が考え込んだ。

 

「情報が少なすぎるわね。結衣ちゃんが言ってたあの『寒い、暗い、助けて、成仏させて』っていうメッセージと、あなたが集めた資料とのつながりも見えない」

 

「俺には何かつながりがあると思う。わからないだけで。それどころか、俺にはあの由比ヶ浜のメッセージこそ本質なような気がする」

 

「ん?」

 

 雪ノ下が新聞記事のコピーに再び目をやり、首を傾げる。

 

「十七年前の事件で、行方不明になったままなのは武田真結という子よね。彼女がメッセージの発信元? 発見されて供養されていないのだったら、成仏していないことになる」

 

「なるほど。その線はありうる。しかし、海に流されて行方不明なのに、『水が入ってくる』と訴えるかな。まるで陸の上の洞窟の中にいるようだろ」

 

「そうね……、私たちは呼ばれている? 誰かに? だったら行ってみるのが一番早いかもしれない」

 

「だが……、おそらく男の俺は大丈夫だと思うが。危ないのはおまえたち四人の女のはずだ」

 

「私は守護天使の小町さんが大丈夫と言うのならそれを信じたいと思うの。今まであれだけ正確なシミュレーションをしてくれているわけだし」

 

「わかった。俺が常に小町に話しかけて確認するようにする。みんな、あれだけ楽しみにしているんだから、今さらキャンセルはないしな。そうだ。このことは他の連中に言うのか?」

 

 雪ノ下が首を振る。

 

「つまらなくなるでしょ? もし危険だとわかったらその時に言えばいい」

 

 話がまとまった。俺は手に持っていた三百五十ミリリットルの缶コーラをプシュッと開けた。ゴクリゴクリと飲む。

 

「私も喉が渇いた。少しちょうだい」

 

 というので缶を渡した。街灯を仰ぐように彼女が顔を上げて缶を傾ける。その首すじが規則的に動く。

 

「ところで……」

 

 深刻な話から覚めて、彼女の表情がほころんでいた。両ひざをこちらに向けて、缶を俺に差し出す。つかむとまだ半分くらい残っている。

 

「さっき浴衣がいいとか言ってくれたけど、本当にそう思ったの?」

 

 変な緊張が体を走った。

 

「本当にそう思った」

 

 ジーっと見つめてくる。その目の中には、微かに愉悦が混じっている。愉悦といっても猫が鳥の羽を玩弄するような感じだった。

 

「小町ちゃんにそう言わないとダメだよって、アドバイスされたんじゃない?」

 

「なんと……」

 

 固まってしまった。洞察力が姉に追いついている。マジ怖い。この姉妹に対する隠し事は死を意味する。

 

「図星だったのかしらね」

 

「確かにそう言われたが、俺は本当にそう思ったんだ!」

 

 心の中で、わんわんと泣き叫びながら腕を振り回していた。

 

「わかったわよ。ありがとう。余計なこと言ってごめんなさい」

 

 彼女の体が寄ってきた。で、俺の両肩に手を載せて自分の体に引き寄せる。そして顔が近づき、唇が合わさった。閉じられた目の、長いまつげがぼやけて見えた。

 

 息が止まる。こうしたアプローチをされるのは初めてだった。数秒後に顔が離れると、俺は少し動揺していた。その動揺を見透かすように、彼女の顔が近くで微笑んでいた。

 

「ところで……」

 

「ところでが多いんだな」

 

「まだ二回目でしょ?」

 

 何を言い出されるのか。俺は緊張してきた。また缶コーラを呷った。グビグビと全部。

 

「ところで……。志乃ちゃんに好きだよって言われたんだって?」

 

 俺は三百五十ミリリットル入りの缶コーラを飲んでいたはずだ。それも半分以下の量に減っていたのは確実だ。しかし、二リットル以上のコーラを、ブーッと盛大に噴き出したと思う。要した時間は約一〇秒。

 

 目の前でニコリとする彼女はK点をはるかに超えていた。陽乃さんの超人的な着地点を悠々と超えるレベル。

 

 ガールズトークこえ~。

 

 

 

 

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