ポンコツ勇者 VS クソガキ魔王 VS ダークライダー   作:やーなん

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topic:用語解説

用語:女神アンズライール
神賽と天秤を持つ、作者シリーズお馴染みの女神。愛称はアンズちゃん。
見た目は十代半ばの日本人の少女であり、古い魔女っ娘みたいな衣装を纏い、運命に翻弄される者の前に現れる。
その目的は救済であり、それは彼女の独自の理論によって行われる。
だが、彼女に願い事をすると、大抵の場合は想像を絶する酷い目に遭う。

過酷な運命に晒される者に助力をする一方で、女神らしい苛烈で起伏の激しい感情を露わにすることも。
その性格は運命の女神らしく自由奔放で、掴みどころが無い。

その権能はかの二柱を上回る強大なものだが、それでも彼女の本質からすればほんの三分の一程度に過ぎない。



幕間「ルート選択」

 

 

 

「私達には、両親は居ないの」

 

 食事中に、クラリッサはおもむろに話し出した。

 

「父親は借金で蒸発、母親は男と逃げた。

 でも恨んでない、どうせあいつらはリェーサセッタ様に地獄に墜とされるから」

 

 それは、自分の不安を紛らわせる為の言葉だったのかもしれない。

 聞いてもいないことを、私に打ち明けたのだ。

 

「今の生活は貧しいけど、楽しい。

 私は、レイアが一緒ならそれで良いんだ」

「クラリッサ」

 

 私が彼女の名前を呼ぶと、彼女は揺れる瞳を私に向けた。

 

「レイアのベッド、空いてしまったから良ければ今日も泊めてくれないか? 

 私も行く当ては無いし、なんなら昨日みたいに同じベッドに寝ても良い」

「ふふ、ありがとう……」

 

 クラリッサは、目元を指で拭った。

 

「ねえ、私に何かあったら、レイアだけでも一緒に逃げてくれる?」

「そんなこと、言わないでくれ」

 

 本当に、不思議な話だった。

 私達はまだ、会って一日くらいしか経っていないのに。

 まるで、生涯を共にした友のように相手に何かを託すことに躊躇いを抱かなかった。

 

「君が死んだら、それは私の身が引き裂かれるのと同じだ」

「私も同じよ、だから頼んでいるの」

 

 きっと、立場が逆なら私はクレアを彼女に託すように乞うただろう。

 私達はきっと、“同じ”なのだ。

 

「分かった、だけどその時は、君も一緒だ」

「うん、その時はどこに逃げようかな」

 

 クラリッサははにかみながら笑った。

 私は、この笑顔を絶対に守らなければならないと思った。

 

 

 三日もあれば、私もスラムでの生活に慣れて来た。

 

「姐さん!! 電子タバコ買ってきました!!」

「そうかい、ありがと」

 

 私は娼館が並ぶスラムの通りで、知り合った娼婦の姐さんの雑用をやっていた。

 

「はいよ、小遣い」

「ありがとうございます!!」

 

 貰ったお金は子供の駄賃程度だけど、私達には大金だ。

 

「ふぅ、お前さん、最近来たばかりらしいけど、なんでここに?」

「えーと、一身上の都合で」

「まあ言いたくないならそれで良いさ。

 私も市民IDがあるけど、ここで稼いでるしね」

 

 姐さんはキセルタイプの電子タバコを吹かし、私に世間話を振って来た。

 

「姐さんなら、都市部でもちゃんとした職に付けそうですけど」

「親の借金だよ。これでもメアリース様のお陰で九割は減ったんだ」

 

 私は思わず唇を噛んだ。

 どこに行っても、どこで聞いても、偉大なる女神様は人々に恩寵を与えている。

 なのにどうして、クレアだけは、私の一番大事なあの子だけは!! 

 あの子さえ居れば、私は彼女の家畜に甘んじても良かったのに……。

 

「借金を返せたら、私もここを出てくつもりさ。

 あんたも、いつまでもこんなところに居るんじゃないよ。

 まあ、残酷なことを言っている自覚はあるけどね」

 

 私と姐さんの間には、IDの有無という残酷な差がある。

 スラムではIDが無いと娼婦には成れない。

 

 娼婦は、人類最古の職業だと博士に習った。

 だから女神メアリースにもそれを否定できない。

 興味深い実験の話を、博士に教えて貰った。

 曰く、猿に餌を与える際に、貨幣で交換するように教えると、猿たちは貨幣制度を理解したらしい。

 そして、メスたちはオスと交尾の際、貨幣を要求しないとそれに応じなくなったそうな。

 そして加速度的に、その猿の群は崩壊した。

 

 それは、管理されなければ無法地帯になることを示している。

 どんなに否定したところで、女神メアリースは私達の造物主で守護者なのだ。

 

 私は、そんな取り留めのないことを考えていたのだが。

 

「ちわーっす、配達でーす。

 お荷物お届けに参りましたー」

 

 私達の目の前に黒いバイクが泊まり、乗っていた人がヘルメットを脱いで荷台の荷物を手に取った。

 

 その顔を見て、私は硬直した。

 

「あー、はい、ありがとさん。

 今、店から業務用の端末取ってくるわね」

 

 姐さんが、店に戻って行った。

 しかし、私はそれどころではなかった。

 

「お前、こんなところで何してるの?」

 

 彼は、あの時、魔王との戦いで消滅した、私にいつも親切にしてくれる人だった。

 私は錯乱して、この時は変なことを口走っていた。

 

「お、オバケ!?」

 

 私に復讐しに来たのだろうか、と目まぐるしく思考が右往左往する。

 どうしよう、オバケは殴って倒せない!! 

 

「……そうだ、俺はオバケだ」

 

 ふと、彼は数秒何か考えた後、おもむろに顔をひょいと胴体から持ち上げて、小脇に抱えた。

 

 ──やっぱり、オバケだった!! 

 

「俺はお前に死を告げに来たデュラハンだ。

 俺はお前を赦さないぞ」

「ひ、ひえぇ!!」

 

 私は必死に地面に頭をこすりつけて謝り始めた。

 私はとにかく罪悪感から逃れるために、彼に弁明し始めたのだ。

 私が何ゆえに魔王と戦うのか、妹を失い今日まで生きて来たのか。

 自分でも涙ながらに話してしまった。

 

「そうか、お前も辛かったんだな」

 

 彼のオバケは同情したように俺を見ていた。

 

「何やってんだいあんた」

「あ、姐さん!! 今来ちゃダメだ、オバケが!! デュラハンが!!」

「いや、それ義体だよ。

 今の技術じゃ、首と胴体が物理的に繋がってなくても電気信号で動かせるんだよ」

 

 最新技術じゃないか、と姐さんは物珍しそうに彼を見ていた。

 

「え、じゃあ、オバケじゃない?」

「ゴーストが出たら、対霊体用の除去スプレーを使えば良いだけだしね」

 

 そうだった、この地球という世界は、魔法も科学と言う力も高度に発展した世界だった。

 

「はははは、そう言うこった」

「騙したな──!!」

 

 私は恐怖から解放され、彼をぽかぽか叩きまくった。

 でもなぜ彼が生きてたのか、その時はその疑問は頭には無かった。

 

 

 

 §§§

 

 

 私は、本当の意味で友達を持ったことが無かった。

 

 私の産まれた村はクレア以外に子供は居なかった。

 博士に拾われて、レジスタンスに同世代の子はたくさんいたけど、皆は目的を同じとする同士だった。

 

 嬉しかったんだ。

 私は。

 

 それは使命を忘れてしまいそうになるほどに。

 だけど、奴は、魔王は、私にそれを許さなかった。

 

 その日の私は、丁度お昼休憩を終えて、次の稼ぎ場を探すところであった。

 

 スラムの入り口に、人だかりが出来ていたのだ。

 

「クラリッサ、あれを!!」

「うん!!」

 

 私が示した先には、スラムの境界線に軍隊がやって来ていたのだ。

 

「我らは極秘任務にてスラム内に用がある!! 

 邪魔立てするなら、射殺も辞さない!!」

「やってみろクソ軍人ども!! 

 ここは俺たちの最後の居場所だ!!」

「そうだ、ここは女神様直々にある程度の自治も認められている!! 

 貴様らなんぞに荒らされてたまるか!!」

 

 住人たちが、軍隊に抵抗している。

 彼らは、本気だ。住民を皆殺しにしてでも、レイアを探そうとしている。

 

 やがて、発砲音が聞こえた。

 

「ついに軍隊が来たか」

「どうして、どうしてそこまでして、レイアを……」

 

 悲鳴と、散り散りに逃げる人々の怒声。

 

「クラリッサは逃げて、私はあいつらを追い返す!!」

「でもッ」

「早く!! あいつら、きっとクラリッサも捕まえて聞き出そうとするはずだ!!」

 

 私の説得に、クラリッサは小さく頷いた。

 そして、彼女は踵を返して走って行った。

 

「抵抗するなら容赦なく射殺しろ!!」

「なんとしてでも、対象の人物を確保するのだ!!」

 

「待てッ、それ以上の横暴は許さないぞ!!」

 

 私は、展開しようとしている彼らの前に躍り出た。

 スラムの人たちは、もう既に顔見知りも多い。

 釣った魚を分けてくれたおじさんや、娘みたいだと仲良くしてくれたおばさん。

 仕事先の賭場のマスターや娼婦の姐さん。

 

 私が、命をかけて守るには十分な場所だ。

 

「ヘンテコな鎧に金髪、奴は例のテロリストだぞ!!」

「ふん、やはりここに潜伏していたか」

「しかし、奴はレギュレーション違反の装備していると報告が」

 

「何をしているのです。

 速く任務を遂行しなさい」

 

 私の登場にまごついている軍隊の中から、一人の女が現れた。

 

 知っている、その顔を。魔王の側近だ!! 

 

「ハイティ様。想定外の相手が出現しました。

 例のテロリストです」

「そうですか」

 

 想定外の事態にも、眉一つ動かさないその女は私に向き合った。

 そして丁寧に、ぺこりとお辞儀をした。

 

「どうも、私はハイティ。魔王ローティ様の四天王が一人。

 彼女から公務の執行を任されている者です」

 

 

魔王四天王 執行官

“凍える血”のハイティ

 

 

「あなた達は、帰りなさい」

「えッ、しかし」

「あなた方はメアリース様の大事な資源です。

 彼女との戦いで使い潰す訳にはいきません」

 

 氷のように冷たく微動だにしないハイティの言葉に、軍人たちは困惑したが、それも束の間。

 

「各員、退却!!」

 

 彼らの隊長がそう指示して、軍人たちは去って行った。

 

「さて、魔王様からあなたに対する指示を受けております。

 同時にこの仕事をこなす、実に効率的です」

 

 私は、鎧の格納機能から剣を取り出した。

 

「曰く、徹底的にいたぶって追い詰めて、その憎悪の美酒を熟成させ、いずれ我が元に届けろ、と」

 

 氷のように無感情に見える彼女の口元の両端が、弧を描くように吊り上がった。

 

「その為に、あなたにリベンジしたいという連中が名乗りを上げています」

 

 ハイティが、召喚用の端末装置を掲げた。

 異次元からのゲートが開き、現れたのは見覚えのある連中だった。

 

「よう、お嬢さん」

 

 その先頭に立つ、軍服と軍帽の魔物を私は忘れたことが無かった。

 

「そんな、お前たちは倒したはずなのに!!」

「我らは死ぬことすら許されぬ身でね。

 お前にやられた部下たちが、復讐したいといきり立っている」

 

 総勢108の魔物の軍勢、それを指揮する犬獣人の男が現れたのだ!! 

 

「仕事の内容は、事前に通達した通り。

 ある特定の魂の持ち主を連行すること。

 それ以外は、市民以外に限り」

 

「──あなた達の、好きにして構わない」

 

 悪魔のような、ハイティの指示が下った。

 

「だそうだ」

 

 にやにや、と指揮官の犬獣人が気安く私にそう言った。

 

「させると思うか!! 

 何度も蘇ると言うなら、その度に倒すまで!!」

「そうかい。そりゃあすげえや」

 

 ぱちぱち、と乾いた拍手を彼は私に送った。

 

「なら、やって見せるがいいさ。──お前ら、散開!!」

 

 彼の指示ひとつで、108の魔物どもは四方八方へと散って行った。

 私に対して、脇目も振らずに。

 

「んな!?」

「真正面から戦うと思ったか、間抜け。

 ほら、全員倒すんだろ。早くしないとここの連中が一人も居なくなるぜ」

「き、貴様ぁああ!!」

 

 私が怒りのままに、彼を斬り殺そうとした時だった。

 

「い、いやぁああああ!!」

 

 まさにすぐそこで、魔物の一体に襲われている婦女がいた。

 

「あいつはゴブリン族のゴーガン。

 故郷で連続強姦殺人をして、死刑になったやつだ」

「だ、誰かッ、助けて!?」

「あっちはサイクロプス族のザイン。

 発達障害でな、人間を壊しても良いお人形さんだとしか思ってない」

 

 数メートルの巨人が、その剛腕で男を鷲掴みにする。

 ごぎごぎ、とその時点で嫌な音がしているが、奴は手に持った“人形”を地面に叩きつけた。

 ぐしゃり、と中身と血が飛び散り、巨人はそれを見て笑っていた。

 

「や、やめろ、止めさせろ!!」

「何言ってんだ、止めさせるのはお前の仕事だろ」

 

 そして何より狂ってるのは、敵の目の前にして笑っているこの男だった。

 こいつは、自分以外に彼らを止められる者は居ないと分かっていて、馴れ馴れしく私に接している。

 

「どいつもこいつも、故郷で殺人鬼として名を馳せた連中だ。

 殺しを、楽しいとしか思わない異常者どもだよ。

 ほら、早くしないとお前の知人が減ってくぞ」

 

 魔物どもは、見境なくスラムの住人に襲い掛かっている。

 私はもう、迷う時間は無かった。

 

「おっと、右に行くのか。

 じゃあ左の連中は見捨てるんだな!!」

 

 後ろから聞こえる嘲笑を無視して、私は近くのゴブリンを斬り捨て、次のオモチャを手にしている巨人を切り伏せた。

 

 だが、連中はまだまだたくさんいる!! 

 

「クラリッサ、クラリッサはどこだ!!」

 

 とにかくまずは彼女の安否を確認せねばならないと思った。

 だが──。

 

 私の目の前に、人間が墜ちてきてぐしゃりと潰れた。

 

「きゃは!! きゃははは!! 潰れちゃった!!」

 

 ハーピーと思わしき魔物が、急降下で頭から人間を地面に突き落としたのだ。

 

「次はどれにしよーかなーっと」

「待て!!」

 

 悠々と飛び去ろうとしているハーピーを撃墜しようとする私だったが、その足を掴まれた。

 

「なッ」

「いだい、だづげで」

 

 それは、今まさに墜落死した男だった。

 

「ホホホホ、死霊術は初めて見ますかな?」

 

 驚愕した私に、呪術師のような格好の老いたオークが嗤いながら現れた。

 

「これから、あなたの知り合いと仲良く殺し合わせて差し上げましょう」

 

 彼の背後から、既に殺された大勢のスラムの住人がゾンビとなって押し寄せて来た。

 

「お、おおぉ、クラリス~」

「にげ、にげでぇ」

「くるし、い、だづけで」

 

 住人たちが苦悶のままに、死を弄ばれて私たちに迫ってくる。

 

「みんな、ごめん!!」

 

 私は聖鎧を起動し、彼らを一撃で楽にさせた。

 

「オホホ、相変わらず素晴らしい腕だ。

 では、次はいかがでしょう?」

 

 オークの呪術師が、次の顔の潰された死者を嗾けてくる。

 

「いだい、いだい、助けて」

「今ッ、楽にしてやる!!」

 

 これでもう、彼の死は弄ばれることは無くなった。

 

「おや、殺してしまったのですか? 

 今のそいつは生きていたのに」

「……えッ」

「顔を潰されただけで、ゾンビと一緒くたにしたのですか? 

 はっはっは、これは傑作!! ちゃんとした治療をすれば、助かったのに!!」

 

 愉快そうに、オークの呪術師は手を叩いて笑っていた。

 

「いかがでしょうか、人を殺した気分は?」

「この、外道がぁあああ!!!!」

「その外道をこの地に呼び寄せたのは、他ならぬあなたではありませぬか?」

 

 オークの呪術師を、叩き切る。

 しかし、衣服だけが残って斬った感触は無かった。

 転移の魔法だろう。

 

「くそ、逃がしたか!!」

 

 あいつは絶対に逃がしてはならなかったのに!! 

 

「お姉ちゃん!! クラリスお姉ちゃん!!」

 

 すると、今度はスラムの子供が必死に逃げて来た。

 私も知っている子だった。

 一緒に空き瓶拾いをしたこともある。

 

「もう大丈夫だ、早くこっちに!!」

「うん!!」

 

 だが、彼が私の目の前にたどり着いた時だった。

 パンッ、と彼の頭が弾けた。

 

「あ、ああ……」

 

 ごとり、と地面に少年の死体が転がった。

 

「これで、七匹目。

 いやあ、狩りの獲物がより取り見取りだぜ!!!」

 

 そのずっと背後で、ライフル銃を構えた人狼が歓喜の声を挙げていた。

 

「俺たちに好きなだけ、好きなように殺させてくれる、流石は邪悪の女神様だぜ!! 

 次はもっと抵抗する獲物が良いなぁ」

「あああああぁぁぁぁ!!」

 

 舌を舐めずりする人狼に、私は叫びながら斬りかかった。

 

「市街地で俺らとやり合えるわけないだろ、馬鹿が!!」

 

 するり、と建物の間へと人狼は逃げて行った。

 追うには私の身軽さは圧倒的に足らなかった。

 

 あっという間に、魔物の軍勢は死体の山を築き上げている。

 私の、私のせいで!! 

 

 

「クラリスさん」

 

 私が我を失いそうになっていると、後ろから声が掛かった。

 

「キョウコか!?」

「ええ、何だか大変なことになってますね」

「そうなんだ、レイアは無事か!?」

「ええ、彼女は無事です。絶対に手出しできないところにいます」

 

 私の前に現れたキョウコは、しかし、と残酷な現実を突きつける。

 

「逆に言えば、彼女を差し出しても事態を収拾できないことを意味します」

「そ、それは……」

 

 一瞬でも、その選択肢が浮かんだ自分が嫌になった。

 だがもう遅い、魔物どもはスラムの住人を皆殺しにしてでもレイアを探し出そうとしている。

 いや、連中にとって彼女が見つからない方が、より長く多く楽しめるのだろうが。

 

「クラリスさん、あなたはどうしたいんですか?」

「え?」

「魔王を、倒しに来たんでしょう?」

 

 なぜそれを、と喉元まで出かかった。

 誰にも話していない目的を、なぜ。

 

「今のあなたは中途半端です。

 物事は常に右か左か。ああ、ここで真っすぐとか後ろに行くとか屁理屈は要りませんよ? 

 自分のなすべきことを、あなたはあやふやのまま宙ぶらりんにしていると言っているんです。

 魔王を倒すのならそれに集中し、スラムの人たちなど見捨ててしまいなさい」

「そんなこと、出来るはずないだろう!!」

「その結果、魔王の元にたどり着き、妹さんの無念を晴らせなくてもですか?」

 

 キョウコは、淡々と私に言葉を、現実を突き付けてくる。

 

「あなたがしてるのは、蜂の巣をつついて逃げ回ってるだけ。

 今のあなたは崇高な思想を持ったレジスタンスなどではなく、周囲を巻き込む迷惑なよそ者ですよ」

 

 私は、彼女に言い返す言葉は無かった。

 

「私は、私は……」

「ハッキリしなさい!! 

 全てを割り切り魔王と戦うか、自分の心に従い人々に手を差し伸べるか!!」

「ッ!?」

 

 彼女に叱咤され、私は頭を殴られたかのような気分だった。

 

「さあ、選びなさい。あなたの運命を」

 

 

≪運命の選択≫

 

全てを捨てて魔王と戦う。

 

自分の心のままに、人々を救う。 

 

 

 

「わ、私はッ──!!」

 

 脳裏に、虫のように殺されたレイアの表情が蘇る。

 たった数日だけど、親交を深めた双子の姉妹の思い出が沸き起こる。

 

「私は、それでも、私が出来なかったことを諦めたくないんだ!!」

 

 

 

≪運命の選択≫

 

全てを捨てて魔王と戦う。

 

 自分の心のままに、人々を救う。 

 

 

「そうですか」

 

 私の答えにキョウコは、どこかホッとしたように見えた。

 

「今、あなたに一番必要なモノを与えましょう」

 

「キョウコ、あなたは一体……」

「私から言えることは一つだけ。

 ──どうか、挫けないで」

 

 私の視界が、急激にぼやける。

 これは、知っている!! 転移の兆候だ!! 

 

「待ってくれ、私はまだみんなを!!」

 

 だが、もう遅かった。

 

 私は転移によって、どことも分からぬ場所へと飛ばされた。

 

 

「いや、ここは、知ってる!!」

 

 そう、私は此処を知っていた。

 

 私が己の弱さから逃げ出した、あの孤児院だった。

 そしてその門の前には、見覚えのあるバイクが止まっていた。

 

 私は、全てを悟った。

 

「親切な人ッ!!」

 

 私は恥も外聞も無く、孤児院の敷地に飛び込んだ。

 そこには、子供たちと遊んでいる、彼が居た。

 

「お願いです、助けてください」

 

 彼は、抱き上げていた子供を下ろすと、私の方を見た。

 

「わかった、俺のバイクに乗れ」

 

 

 

 

 




アンケート結果

魔王状態のローティに“にぃに”と呼ばせる
→魔王状態でスラム攻撃に彼女が参戦⇒クラリッサ死亡確定

クラリスと普通に遊ばせる
→運び屋がローちゃんと既にスラム街に居る→街の被害小、■■■覚醒フラグ消失

ブラコンになるまで可愛がる
→運び屋が孤児院に、魔王不在。⇒次のアンケート結果へ


次の運命の分岐点

最強の魔剣
→クラリス超覚醒⇒魔王ローティ討伐ルート
クラリッサ死亡確定。そして……

最高の仲間
→女神の助力により、運び屋参戦が早まる⇒■■■覚醒フラグ
⇒次回を待て!!

アンケート結果はこんな感じになってました。
クラリス超覚醒ルートは一話だけお見せすると思います。
あと一話、今年中に書きたいですね!!

それでは、また次回!!
ダメだったら、今のうちに良いお年を!!

アンズちゃん「勇者に本当に必要なのは?」※ルート分岐アンケート

  • 最強の魔剣
  • 最高の仲間
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