ポンコツ勇者 VS クソガキ魔王 VS ダークライダー   作:やーなん

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アーカイブ02

 

 

 

 

 第一回四天王会議議事録。

 :撮影者、リーベ・リヨン

 

 

「それでは第一回、魔王ローティ様の四天王会議を始めたいと思いまーす!!」

 

 中央事務所の会議室、そのモニターに映るリーベが元気にそう宣言した。

 

「皆様、この度の召集に応じて頂き感謝します」

 

魔王四天王()() 執行官

“凍える血”のハイティ

 

 4人を囲む円卓で、まず彼女が全員にそう告げた。

 

「しかし、このメンバーでこの私が筆頭で宜しいのでしょうか?」

「あんたが最古参だろ。それに逆に考えてみろよ。

 このメンバーであんたを抜いて物事が回るのか?」

 

魔王四天王 運び屋

怨念を乗せる者(ダークライダー)

 

 運び屋こと、レイジはこの面々を見渡しそう言った。

 どう見てもまともに統治なんて出来そうにない面々だった。

 

「それについては、私の方から色々考えていまーす!! 

 とりあえず、全人類リーベ隊計画について話しましょうか?」

 

魔王四天王 電脳生命体

“蜃気楼” リーベ・リヨン

 

「ふッ、AIが都市運営、か」

「あー、今バカにしたでしょー!!」

「そう言うわけじゃねーよ」

 

魔王四天王 生ける武神

死神(デス)”サイズ

 

「昔、メアリースの奴が俺をAIで完全再現するとか言う企画を持ってきやがった。

 なかなか楽しめたが、あいつは失敗だと言ってたな。

 曰く、俺は合理性と非合理性がしっちゃかめっちゃかなんだとよ」

「……確かに、あなたを学習する気にはなりませんね」

 

 電脳の頂点と生身を窮めた両者は、やはり対極的だった。

 

「二人とも、雑談は後にしましょう」

 

魔王四天王 復讐者

勇者 クラリス

 

 モニターの中を含めた五人が、会議室に集結していた。

 

「今回の会議の目的は、ローティ様の統治に対するアプローチについてです。

 リーベさん、とりあえずあなたの計画について教えてください」

「了解です、筆頭!!」

 

 自然に進行役と議長になったハイティが、モニターの中のリーベに促した。

 彼女はビシッと敬礼して、自分のいるモニターにグラフを表示した。

 

「私が現在中継している26の地球タイプの世界の平均人口です。

 文明レベルは45から70ほどまで、私の配信を見るには電子機器が無いとダメなのでこれは特に気にしないでください。

 ですが、どこも最低五十億人は存在しています」

 

 彼女が示したのは、女神メアリースの管理する地球の並行世界の人口データだった。

 そして彼女は、この世界のデータを指差す。

 

「それに対し、この世界の世界人口は約十億人。

 ちょっとこれは少なすぎませんか!?」

「これでも増えた方だ。よその世界から異種族がやって来てな。

 それまでは人口十億を割ってた」

 

 レイジは腕を組んでわざとらしいリアクションのリーベに眉を顰めた。

 

「俺も地球系列には何百回と転生したが、食事に拘りの無い日本人は初めてで驚いたぜ」

「こっちは数年前まで世紀末寸前だったんだ。

 俺もガキの頃は固形栄養食一つで殴り合いをしたもんだ」

 

 サイズの物言いにレイジは肩を竦め、遠い目をした。

 

「てかよ、そもそもなんで地球って名前の世界は多いんだ?」

「私が居たレジスタンスの博士曰く、文化的成長のサンプリングの為だってメアリース様に聞いたって言ってたよ。

 同じ条件の方が比較対象として有用だからじゃない?」

「……クラリス、偶にお前って変な知識あるよな」

「では、恒常的なこの世界の発展の為には食糧事情の改善は急務であると」

 

 レイジとクラリスを横目に、ハイティがそのように話をまとめた。

 

「ああ、そうだ。

 議題とは関係無いが、サイズさんのアレ、何とかしてくれ」

 

 そこで、すかさずレイジが話題を提示した。

 

「アレ、とはサイズさん目当ての挑戦者ですか? 

 確かに死体の発生に周辺住民から苦情が出ていますが」

「ハイティ、あんたこの人が死体を量産してることには何も言わないのな」

「魔王様の四天王に挑んでいるのです。

 死を覚悟するのは当然かと」

 

 ああそう、とレイジは彼女の返答に淡泊にそう返した。

 

「だが俺もいい加減飽きて来た。

 この俺に挑むんだから、最低限の礼儀として相手してやってるが、俺も忙しい」

 

 あんた鍛錬しかしてないだろ、とレイジはサイズにとっさにそう言いそうになったのを寸前で留まった。

 

「なら興行にしましょう。

 参加者を募って、トーナメント制とかにして、勝ち上がった一人がサイズさんに挑戦できる、みたいな。

 定期的に実施すれば、死人も減るでしょう。

 私もそれを独占配信出来ればリスナーも喜ぶでしょうし」

「それは名案ですね、観光客も期待できます。採用しましょう」

「俺もそれでいい。強い奴以外、相手するのもアホらしい」

 

 リーベの提案に、ハイティは賛成し、サイズも頷いた。

 そこで、レイジが手を挙げた。

 

「レイジさん、反論がおありですか?」

「いや、そうじゃない。

 リーベさん、俺はVライバーについてよく知らないんだが、アイドル業ならそういう血なまぐさいのってご法度なんじゃないのか?」

「あれ、レイジさん心配してくれたんですか?」

 

 リーベはにっこりと営業スマイルでレイジにそう言った。

 

「それに関してはご安心ください!! 

 私と同僚の皆さんには、先んじて先行公開しちゃいまーす!!」

 

 そう言って、彼女はモニターに新たなアバターを表示した。

 自分の隣に、まるで正反対の容姿の少女を出現した。

 銀髪でスレンダーな体型、生意気そうな表情をしていた。

 

「こちらは、私の妹ダーク・リーベちゃんです!! 

 このリーベちゃんから分離して悪の心を持っているという設定です」

「いや、良いのかそれで」

「──良いんですよ。

 生身のライバーの方々も、転生*1して別のアバターを使用すると、それ以前の活動のことに触れるのはマナー違反で空気の読めないことなので。

 私が妹のダーク・リーベちゃん相手に、偶に悪いことはやめて―って子芝居でもしておけばファンはそれで満足しますから」

 

 レイジはこの時初めて、彼女の言動に背筋がゾッとした。

 リーベは隣のアバターを動かし、にやりと笑う。

 

「この私、ダーク・リーベちゃんは魔王様の尖兵としての任務も兼任しまーす♡

 魔王様の滅ぼす世界を機械の軍勢で攻め立て、生き足掻く人たちの抵抗する姿をコロシアムチャンネルで放送しちゃいまーす!!」

「……あんたはそれでいいのかよ」

「それが、魔王四天王の地位の責任ですから」

 

 困惑の表情をしているレイジに、いつもの感情豊かな態度と裏腹に淡々とリーベは答えた。

 

「全ての人間の肯定を得ることはできません。

 逆に、全ての人間に否定される事も無い。

 ならば必要に応じて、肯定される存在を作り上げ、使い分けるだけです」

「なんだか、悲しいな」

「私もそう思います」

 

 その答えに、レイジは一抹の人間味を感じた。

 

「あ、そーだ!!」

 

 そして急に、元のアバターに戻ったリーベは笑顔で大声を上げた。

 

「とりあえず、四天王の皆さんの紹介動画を作るのであとでお時間ください。

 広報担当として、この世界やリスナーに周知させたいので」

「では、この後で良いですか、皆さん」

「リーベちゃんの放送って、何億人も見てるんだよね……」

「リスナーの関心度が低い放送でも、平均して百億人は見てくれますね☆」

「百億人……」

 

 ローティとの対決の時の倍以上、クラリスは想像できない人数にくらくらしていた。

 

「面倒だ、さっさと済ませろ」

「とか言って、サイズさんあんた結構付き合い良いよな」

「俺はこう見えて気が長いからな」

「でしょうね」

 

 レイジがサイズとそんな取り留めのない話をしてると。

 

「いえーい、みんな見てるー!! 

 リーベのゲリラ配信の時間だよー!!」

「今始めるのかよ!?」

 

 レイジのツッコミも何のその、リーベは配信を始めてしまった。

 彼女の映るモニターには、早速コメントが流れ始めた。

 

 :ゲリラ配信助かる

 :久々のゲリラ配信だぁ!! 

 :これ一体どういう状況なの!? 

 :で、デスサイズがいるぅ!? 

 :急にぶっこんできたなぁ。

 :同僚にツッコまれてて草ww

 

「リーベさん、急に始められても回答が用意できてません」

「良いの良いの、ハイティさん!! 

 リスナーは生の反応が欲しいんだから!!」

 

 と、ハイティに生とは無縁のリーベが言った。

 

「と言うわけで、広報用の生インタビュー配信でーす★

 四天王権限で買った軍用量子コンピューターのお陰で、ラグも無いでしょー?」

 

 :それ自慢したかっただけでは? ww

 :多世界同時配信なのにぬるぬるだぁ

 :そもそも民間用の量子コンピュータなんて無いやん

 :個人で手に入るもんじゃないしなぁ

 :マジでリベち、四天王になったんだなぁ

 

「では早速、四天王筆頭のハイティさんにインタビューしましょう!! 

 ハイティさん、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

 

 ぺこり、とハイティは頭を下げた。

 

「じゃあハイティさんはなんでローティ様の四天王になったんですか?」

「強いて言うならば、家業のような物です。

 父は御二柱の神官であり、父が運営する孤児院では兄弟姉妹も多くが魔王様の四天王となるべく教育されています。

 私もそうなるべくしてなった、それだけのことです」

 

 :うーん、エリート一族やん

 :なるべくしてなった、で成れるなら選考会なんていらないんだよなぁ

 :それなら神官になればよかったのに

 

「ハイティさんはお父様のように神官になろうと思わなかったのですか?」

「ローティ様に出会わなければ、その道もあったと思います」

「ぜひぜひ、ローティ様との馴れ初めを聞かせてください!!」

「……語るほどのことでもありません。

 四天王など誰でもいい、と仰られたローティ様が、偶々私を指差しただけのことでございます」

 

 それを聞いた他の面々は、ああなるほど、と思った。

 

「私は見ての通り、つまらない女です。

 誰かに選んでもらったことなど、なかったのでごさいます。

 本当に、ただそれだけのことなのですよ」

「うーん、忠義って奴ですかねぇ。

 リーベちゃんにはよくわかりませんね」

「では分かりやすく、契約、とだけ。

 悪魔族の血が流れる私にとって、それは十分すぎる理由なのです」

「なるほどー、リーベちゃんも契約は守ります、その意義は理解できますね★」

 

 :悪魔族とのハーフなのか、通りで

 :見るからに律儀そうだもんなぁ

 :契約も絆、なのかなぁ

 :ハイティさんマジタイプ、結婚して♥

 :キツそう、踏んでください

 :変態が沸いてますねぇ!! 

 

「ぶーぶー、私のチャンネルでよそ見しちゃダメです!! 

 はい次、ダークライダーのレイジさん!! 

 何で四天王になったんですか!!」

「成り行き以外のなんでもないぞ。

 話すと長くなるし、テンポが悪くなる」

「あ、一応そういうの心配してくれてるんですね。

 じゃあ、ローティ様とご一緒に住んでいるそうですが、普段ローティ様はどんな感じでしょうか?」

「おい、お前らそう言う話題敏感なんじゃなかったのかよ!!」

 

 :は? ローティ様と同棲とかマジ? 

 :イエーイ、運び屋見てるー? 

 :通報しました

 :裏山すぎるんだが!! 

 :呪ったわ(#^ω^)

 

「ったく。普段のローティはマンガ読むかアニメ見るかゲームするかしかしてないぞ。

 お前ら、あれは見てくれだけが良いだけだから、騙されんな」

 

 :ワロタww

 :俺らやん

 :ちょっと親近感沸いたわ

 :運び屋がリベちの配信に出てる!! 

 :マジでゲームとか好きなんだ

 

「それじゃあお次、クラリスさん!! 

 手始めに自己紹介どーぞ!!」

「え、あ、ど、どうも、クラリスです!! 

 えと、ど、ど、どうしよう……」

「おーっとっと、クラリスさんは緊張してるご様子。

 これは後日改めて編集して上げますね」

「す、す、すみません」

 

 ガクガクブルブル緊張しているクラリスに、これにはリーベも苦笑い。

 

 :かわいい

 :素人だし、しゃーない

 :会話デッキバラバラでリベち鬼畜ww

 :もっと話題統一してあげなよ

 :これは仕方ない

 

「リーベ、あんたの事も聞かせてくれよ。

 四天王になった順番ならあんたが次だ」

「えー、私ですかぁ?」

「ああ、俺たちはあんたのこと知らないからな」

「確かにそうですね!!」

 

 レイジの言葉に、リーベは頷いて見せた。

 

「……運命ってのは、本当にあると思います。そうは思いませんか?」

 

 :急にどうした

 :何言ってんだリベち、バグった? 

 :AIもロマンチックなこと言うんですね

 :ワイもリベちのこと知りたいな!! 

 

「実を言うと、私はこの世界で開発されたAIなんですよ」

「へー、マジかよ、そんなことあるんだな」

「はい。でも失敗作として捨てられ、かつての古巣にVライバーとしてオーディションを受けた次第です」

「あんたもあんたで過酷な来歴なのな」

 

 ええ、とリーベは頷いた。

 

「人間で言うなら、見返したい、と感情なのかな☆彡

 みんなに認められたかった、そしてその結果、今の私になりました!! 

 私はこれからもリーベ隊のみんなの為に頑張りまーす♡」

 

 :リベち頑張れ!! 

 :これからも応援します

 :もっとV界隈を盛り上げてください

 :リベちが最推しです

 

「みんな、ありがとー。

 ええと、じゃあ最後にサイズさん。

 ……何かありますか?」

「何で俺だけそんな雑なんだよ」

 

 :リベちも扱いに困ってるww

 :そらそうなるわなww

 :どいつも癖があり過ぎる……

 :デスサイズは個性極まりすぎてるし

 

「じゃあ最強の自負に対するこだわりとかあるんですか?」

 

 レイジがフォローするように質問を投げかけた。

 

「私も気になります。

 メアリース様は一人の人間に対する記憶保持の特典は一度までしか付与しないそうです。

 無制限に記憶を持って転生すると言うのは、どのような手段と意志力なのか、と」

「大したことじゃねーよ」

 

 ハイティの問いに、サイズはあっさりと答えた。

 

「メアリースの奴が何度も同じ状態で転生させないのは、精神が耐えられないからだろ? 

 俺の女……俺の女で良いのか? まあ俺の女ヅラしてる女神が居るのよ、転生関係はそいつにやってもらってる。

 そいつの加護が、精神状態を狂気から防ぐみたいな感じでよ」

 

 そこまで言って、サイズは口角を上げてクククと笑った。

 

「そういや、俺に追いつこうとメアリースに頼んで十回ぐらい転生を繰り返して狂っちまった奴がいたなぁ。

 俺の状態は常人には拷問なんだろうな」

 

 :女神の一柱を俺の女呼ばわりとか

 :あんたの状態をチート呼ばわりできるか

 :誰もが想像してやらなかったことをやれてるからあんたは最強なんだよ

 :女神の執着を俺の女ヅラで片付けられるの強過ぎる……

 

「強さのこだわりなぁ。

 俺も昔は、物理的な強さにこだわったこともあったな。

 単純な最強を求めて、最強の魔剣を手にしたこともあったが、そうしてがむしゃらに強さを得たら、いつの間にか神域にたどり着いてた」

「え、メアリース様と同じ領域に至ったんですか?」

「おう、神々の領域では多くの武神が入り乱れ、争っていた。

 連中との戦いはそれはそれで楽しかったが、ある時気づいちまった」

 

 生ける武神とは彼の異名だが、この男は実際に武神となったことがあったようだった。

 クラリスも唖然としている。

 

「あいつら、不滅だから延々と終わらねぇの。

 神々の死は人格の死だからよ、戦いの勝敗ぐらいじゃ決着にならないんだわ。

 それに武神ってのは基本一芸を窮めた連中でな、弓の達人と剣の達人の矛盾みたいに、要するに相性の問題なんだわ。

 俺は気づいたんだよ、これはただの将棋と変わんねぇって。

 そしたら馬鹿馬鹿しくなって、神の座を降りたんだわ」

「……神の座って降りられるもんなんですか?」

「そりゃあ、裏技を使ったのよ。

 口止めされてるから言わねぇけど」

 

 この男にとって、神の座は何の魅力にもならなかったらしい。

 レイジも絶句している。

 

「一度、実際に最強に触れて見て、俺は考えた。

 メアリースの奴が、強さには上限があると訳知り顔で俺に説教しやがったことがあってな。

 例えば、世界を滅ぼせる魔王を倒せるとして、それ以上の比較対象は存在しないだろ? どれだけ数値を上げても、実際に強くなれても。

 ゲームのエンドコンテンツを完全クリアしたら、もうレベル上げに意味が無いようにな」

 

 彼の同僚たちが、視聴者たちが、彼の語りに引き込まれている。

 カリスマ、魅力、或いは実力が裏付ける説得力がそこにはあった。

 

「俺が強いのは、俺に備わる才能のお陰か? 

 なんで他人が俺の限界を、俺の上限を決めやがる? 

 ……俺は今度は逆に弱さを窮めてみることにした。

 隻腕、盲目、下半身不随、病弱、或いはその全て、その状態で元の強さに戻れるか試してみた」

「いや、無理だろ……」

「わかってねぇな、出来るまで繰り返したんだよ」

 

 思わずという様子で言ったレイジに、サイズは笑って返した。

 

 :無理というのは、嘘吐きの言葉なんです(震え声

 :いや、おかしいって

 :何でハンデを自ら課してるのこのひと……

 :でも才能が有ったからやれたんでしょ

 

「そう、俺には才能が有った。

 だから今度は転生する時に俺のパトロンに言ったんだ、今度は無才で転生させろとな。

 いやぁ、どうしていつもこんな簡単なことができねぇんだって他の連中を見てたが、出来ねえ奴はマジで出来ないのな!! 

 センスを失うってのがあんなにも足枷になるとは知らなかったわけよ!! 

 じゃあその状態から最強になれば、誰にも文句は言えねぇよな」

 

 :最強から無才で始めるとか、なろう系じゃないんだから

 :そもそもあんたに文句付ける奴おるかいな

 :なにこのひと、メアリース様の恩寵全て否定してる……

 

「屈辱の日々を、何十度も繰り返した。

 だが、俺より上が無い日々よりはずっと充実してたぜ。

 そうしていたら、いつの間にか弟子入りを求める奴が増えて来た。

 才覚に頼らない武道をいつの間にか最適化させていたわけだ。

 なにより、他人に教えるってのは自分を見つめ直す切っ掛けになった。

 強さとは孤高だと思ってたが、比較対象としての他人は必要ってわけだな」

「ああ、あんた武門の開祖がどうとか言ってたな」

「他人に興味を持った俺は、次は他人が自分に与える影響を調べてみた。

 転生の際に記憶を消させて、復讐もやってみた。

 殺し合いではなく、単なるスポーツで友情やライバル関係がお互いに及ぼす影響を試してみた。

 思いつくもの全部試した。

 そして気づいた。俺はなんでこんなことをやってんだ、と」

 

 :気づくのおっそ!? 

 :ストイックにも程がある……

 :悟りの道が簡単じゃないってことはわかった

 :そら仙人やら仏尊扱いもされるよ

 

「まあ、最終的に楽しいからやってるって気づいたわけよ。

 ああ、これもよく聞かれるからついで言っとくが、大鎌を使ってるのも扱いにくいからだな。

 扱いにくい武器で頂点になりゃあ、そりゃ最強だろ?」

「じゃあ得意武器は別にあるんすか」

「おうよ。だけどよ、ここ五十回くらいは俺に本気の得物を抜かせた奴は現れなかったな。

 こうもご無沙汰だと、腕が錆びついてないか心配だぜ」

 

 :何でこの人ナチュラルに人生縛りプレイしてるの

 :あの大鎌キャラ付けじゃなくて舐めプの一環なのかよ!? 

 :もうあんたが最強で良いよ……

 :こんなのと張り合う方がバカじゃん

 :流石、生ける武神だわ

 

「じゃああんた、別に他人を殺すとかそう言うの好きってわけじゃないんだな?」

「相手が死ぬのは結果だろ、そもそも死体ってのは汚いんだよ。

 俺が何度感染症で血反吐吐きながら戦場で殺しあったと思うよ?」

「いや治療しろよ」

 

 レイジのツッコミが冴える。

 

「まあ、強さなんて結局正義と同じなんだわな。

 時代によって違うもんだしよ。古代、中世、現代、近未来といろいろと転生して戦ってみたがよ、俺はいつの時代も粗暴なだけのゴロツキなんだわ。

 退屈過ぎて別の世界に渡ることもあるし。

 ああ、正義と言えや、リネンの奴に魔王にならないか、と持ち掛けられたこともあったな!!」

「え、じゃあなったんですか、魔王に」

「最初から強くて何が面白いんだって、断ったっての。

 そもそも最初から強さの上限が決まってるってのが気に入らん。

 魔王って連中はどいつもこいつも大味なんだよ。お前、核兵器と戦って楽しいか?」

「な、なるほど」

 

 一度最強になった者の言葉は違うな、とレイジはただただ頷くほかなかった。

 

「それより、良いのかよ。俺ばっか話してて」

「あ、そうでした!!」

 

 :思考チンピラなのに話が面白くてズルい

 :普通に話に聞き入ってたわ

 :AIがハッとするなしww

 :武道家たちが、命を賭して挑む理由がわかるわ

 :求道、だなぁ

 

「とりあえず、今回はゲリラライブなので、ここまでにしまーす!! 

 それじゃあリーベ隊のみんな、またねー!!」

 

 

 記録終了。

 

 

 

 

 

 

*1
この場合の転生は、Vライバーが引退して、別のアバターでVライバー活動を始めることを指す。




なんだか連日ランキングに載っててビックリです。
もっともっと多くの人に読んでいただければ幸いです!!

今章もあと一話で終わりです。
最近出張先から帰ってこれたので、比較的早めに投稿できると思います!!

それでは、また次回!!
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