ポンコツ勇者 VS クソガキ魔王 VS ダークライダー 作:やーなん
今章は、ほかの章とは雰囲気ががらりと変わります。
“伐採”
管理番号:2408504
世界名:オールドハイル
文明レベル:74
普及技術:科学
特徴:
社会全体に極端な年功序列が蔓延している世界。
アンチエイジングや延命手術などで寿命を延ばした一部の長命者たちが利権を独占し、年少者を支配している。
長命化の技術の普及により出生率は0.2にまで落ち込み、種族的に生殖能力が低下している。
世界全体の生産性は年々減少しており、改善の見込みは薄い。
文化的、経済的成長の可能性は極めて低い。
判定:“伐採”対応。
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世界名、オールドハイル。
極めて優れた医療技術により延命手術が普及した世界。
それにより、極端な年功序列が蔓延り、閉塞した社会が形成されていた。
一部の権力者によって若者たちは搾取され、使い潰される。
成り上がりを許さない社会構造は停滞を生み、社会全体が硬直していた。
そんな世界に、かの者は現れた。
「どうも、皆の衆。
お初に御目に掛かる」
──―其は、魔王なり。
世界全体どこでも見える巨大な立体映像が、虚空に映し出された。
それは、どこかの宮殿の玉座の間であった。
その中心に座るのは、黒装束に頭巾を被った顔の見えない龍人の姿をした存在だった。
そんな彼の側に、四人の黒子が控えていた。
「我は魔王。大いなる我が一族の、序列十一位。
我への呼び名は好きにするといい」
「あらゆる人類の造物主、女神メアリースはお前たちを失敗作と断定した。故にこの世界を滅ぼす。
我が母たる女神リェーサセッタがその仕事を代行し、この我がこの地にやって来た。
我が目的はただ一つ。お前たちの怨嗟と苦悶の姿である。
そして、最終的にお前たちを一人残らず滅ぼす」
喪服のような黒子姿の魔王は、この世界と言う舞台役者たちに通告する。
「だが、女神はお前たちに慈悲も与えよう。
この魔王たる我を斃す勇者が現れるならば、この世界の存続を許される。
……尤も、それが適うことは無いだろうが」
ゆっくり、と魔王の片腕が上げられる。
「山田太郎。
ジョン・スミス。
アノニマス。
ノーバディ。
我が誇るこの“黒子の四天王”を倒し、お前たちを苦しめたくて仕方がないという我が軍勢を打ち破り、我が元へとくるのだ。
────期待せずに待っているぞ」
そうして、立体映像は掻き消えた。
これが、四年前の出来事だった。
そして、現在。
人類は追い詰められていた。
勇者が異世界から召喚されたとか、チート能力に覚醒したとか、そんな勇者が現れるような展開など有るはずも無く。
「魔王様、こ奴めがこの世界の最高権力者の一人。
六長老のひとりでございます」
玉座の間に、黒子が左右から老人を抑えながら連行されていた。
「おのれ、おのれ魔王!!
この儂を誰だと思っている!!」
「たかだか二百歳程度の、若造だろう?」
「なに!? この儂を若造扱いだとッ!?」
眼が血走り、唾を飛ばしながら喚く老人を、魔王は退屈そうに見下ろしていた。
「正確には数えていないが、かれこれ八百歳にもなるだろうか。
確かこの世界では、年長者こそが敬われるのだったな。
我が前にひれ伏せ若造。興が乗れば、生かしてやるかもしれん」
「ふ、ふざけるなッ、敬われるのは人間の年長者のみじゃ!!
誰がお前のような化け物などを!!」
「くッ、くくく!!」
「なにが、何が可笑しいッ!?」
錯乱してる老人など気にせず、魔王はただただ笑い声を漏らす。
「老体に済まない真似をした。
敵への内通と裏切り、大義であった。褒美を取らそう」
「な、なんのことだ!?」
魔王の手が、老人に向けられる。
「人間なら誰でも嬉しがる、若さをやろう」
魔王の魔力が放たれ、老人の身体に変化を齎す。
皺だらけの肌に張りが、抜け落ちた髪の毛が蘇る。
杖が無ければ歩けない身体に、芯が入ったかのように両足で立てるようになった。
「嬉しいだろう? 若造」
「こ、これが、儂、儂なのか!?
若さ、これが若さ、久しく忘れていた若さ!?」
意味が分からなくても、老人だった男は魔王にひれ伏すほかなかった。
「お前たち、戦勝の祝いをしておいたか?」
「御意のままに」
「では、この若造も連れて行ってやれ。
多少の
そうして、元老人は別室へと連れて行かれた。
「なんじゃ、これは!?」
そして、そこにいる面々に彼は驚愕した。
ズラリ、と黒子の装束の人々が室内に数えきれないほど待っていた。
「彼らは、魔王様に名前と尊厳を捧げた者達です。
もはや誰でもない、顔も名前も無い連中です」
黒子の四天王、山田太郎が柔和な声でそう言った。
「魔王様は無礼講だと仰られた。
遠慮せず、彼と宴を楽しんでください。
何かあったとしても、────誰がやったかなんて、わからないのですから」
四天王のその言葉で、ようやく元老人はこの
「止めろッ、放せ、ここから出せ」
「それでは、ごゆるりと」
元老人を突き放し、宴会場の扉が閉められる。
中では料理を始めたようで、しばらくすればミンチが出来上がることだろう。
尤も、出来るのは誰も食べたがらない汚物の如き料理だろうが。
「顔を隠し、名前を隠し、集団に交じり誰がやったかもわからない。
故に責任を負うこともない。衆愚そのものと化す。
だが、こうは思わないか?
それは“誰でもない”のではなく、“誰でもいい”誰かになったに過ぎないのだと」
嘲笑う魔王が、この世界でやったことは民衆から顔と名前を奪い、黒子の衣装を配った程度だった。
たったそれだけで、民衆は普段溜まっていた鬱憤を権力者に向け始めた。
他の誰でも代用できる誰かたちが、いずれ誰かが行う反乱を行い、権力者たちを殺して回る。
黒子たちの軍勢が、この世界という名の舞台から役者たちを引きずり下ろすという滑稽劇。
役者たちが存在しないはずの黒子を倒そうと躍起になる矛盾に満ちた馬鹿馬鹿しい演目。
その最終章は、魔王城とは別のところで始まろうとしていた。
六長老の最後の一人が居を構える、鉄壁の要塞。
その名も、ラストリゾート。
多数の兵器によって固められた難攻不落のこの要塞は、完全な自給自足と資源の循環により何十年と籠城が可能な作りとなっている。
統率なんて皆無の黒子の軍勢も、流石にこれの前には攻めあぐねた。
そんな中、魔王の下知が下った。
──新たに派遣する戦力と共に、数日以内にあの要塞を攻略せよ、と。
思いのまま、やりたいままに暴れまわるだけの黒子の軍勢も、初めての魔王の命令に戸惑った。
こうして、派遣されたのは108の魔物の軍勢だった。
そう、ここが今回、リーパー隊の新しい戦場なのだった。
「今回の魔王様も、無茶を言いなさる」
百戦錬磨、歴戦の犬獣人の隊長も思わず苦笑してしまうような鉄壁の要塞だった。
道中の敵勢を共に打ち破り、要塞前に布陣するも敵の防備に攻めるのも難しい状況だった。
「どれどれ、レーザー砲門十二、ミサイル砲台二十門、ドローンが千体以上に機動兵器が二百以上か」
「隊長、正面からの衝突は避けられませんね」
「ここで奇策に頼るほどなり振り構わないわけじゃないからな」
リーパー隊の野営陣地で、隊長は部下たちにそう語った。
「そういや、この世界は文明レベル74だったな。
それじゃあみんなの決戦装備が扱えるはずだよな?」
「ええ、あれらの装備はレギュレーションが文明レベル70以上なので」
「よーし、使える時には使っちまおう。
おーい、ドワエモ~ン!! 新しい装備を出して~!!」
「その名前を呼ぶんじゃないわい!!」
隊長が隊員を呼ぶと、即座に威勢のいい声が返って来た。
「全員の強化兵装なら、言われずともいつでも使えるようにしておるわい」
のしのし、とやって来たのはドワーフ族の男だった。
厳めしく年齢の分かりにくい種族のドワエモン(本名)は、だがにやにや笑っていた。
「よし、じゃあ作戦は正面突破だ。
こういう時はパーッとやろうぜ。それで良いな、ドワエモンの爺さん」
「当然じゃろ。武器はヒトを殺す為にあるんじゃ。
じゃんじゃんぶっ殺してくれ。お前さんたちが殺せば殺すほど、儂の武器の性能が証明されるんじゃからな!!」
ガハハハ、と豪快に笑う彼に、隊長も笑みを返した。
「
「身体の方も、乗り物の方もバッチリよ」
「それじゃあ、明日始めようか」
そして隊長は、黒子の軍勢たちに話を通しに行った。
「俺たちは正面突破する。
お前たちは左右から陽動を行い、なるべく敵戦力の分散を頼む」
「……あんたらが、あの要塞の中に攻め入るのか?」
「なんだ、不満なのか?」
黒子のリーダー達に、隊長は尋ねた。
「まさか、あの老害どもを殺せるなら、誰でもいい。
その為に俺たちは魔王様に、名前も顔も捧げた」
「どうせなら、我々の手でやりたかったがな」
「六長老の五人は我らで縊り殺したのだ、この際贅沢は言わない」
黒子達はお互いに見合わせてそう口にした。
「敵と戦って死ぬのに、悔いはない、と」
「当然だ!! いやむしろ、私はこの戦いで死ぬつもりだ。
革命の為とはいえ、この手は血で汚れ過ぎた」
「俺も、抵抗が激しいところで戦うつもりだ。
老害どもを倒した後は、魔王様に挑む奴と戦うことになる。
奴らの尖兵ならともかく、同じ故郷の者とは戦えんよ」
彼らは、今回の戦いで死ぬつもりだった。
「……なあお前たち、顔を見せてくれ」
「なんだ、あんた。俺たちの顔はもう、誰にも認識でない」
「名前を聞いても雑音にしか聞こえないしな」
「大丈夫だ、俺は一度見た顔は忘れられない恩寵を貰ってる。
共に戦う以上、俺たちは戦友だ。お前たちが戦場で朽ちても、俺だけは覚えている」
隊長の真に迫った声音に、黒子達も顔を見合わせて頭巾を取った。
誰もが、
「……俺が三十そこそこのガキだった頃、あいつらは俺の親友を過剰労働で使い捨てにしやがった!!
頼むよ、あの要塞の中で威張ってる老害を八つ裂きにしてくれ」
「そうだ、あいつらだけは赦せん。この身が朽ち果てようとな!!」
「そちらは任せた。妻と子の仇なんだ」
「ああ、任せろ。友よ」
隊長は黒子のリーダーたちの一人一人と抱擁を交わし、その別れに涙して自陣へと戻って行った。
そして、翌日。決戦の日。
「隊長、早くこの世界に蔓延る老害を殺してやりましょう!!」
「まだ逸るな。友軍が攻めてからだ」
血走った目の吸血鬼ヨコタが気炎を上げるが、隊長は冷静だった。
戦闘開始の合図が鳴り、友軍が狂ったように走り出す。
戦闘車両で、バイクで、或いは走って、統一性のない軍勢が怒声を上げながら感情のままに攻め込んでいった。
当然ながら、要塞側も黙っていない。
無数の機動兵器が出撃し、空は戦闘ドローンで覆いつくされた。
レーザー砲台が友軍を薙ぎ払い、ミサイルが雨のように降り注ぎ味方を木っ端みじんにしていく。
「あの砲台が邪魔だな。
──ピア、露払いを頼む」
「うん、了解です」
隊長の命令に、翼の両腕まで覆う全身ラバースーツを纏ったハーピーが前に出た。
その背には、一対の機械の補助翼が装備されていた。
「“撃墜王”とハーピー族の女王に称され、称えられ恐れられた人殺しの妙技、俺たちに見せてみろ」
「たいちょー、でもアレ全部無人機ですよー」
ハーピーの少女は首をこくりと横に傾けた。
「自分が死ぬと分かった瞬間の、恐怖と絶望に満ちた表情が見れないじゃないですかー」
「安心しろ、それは次の機会に幾らでもやらせてやる。
それに──―」
隊長はにやにや、と笑いながら馴れ馴れしくピアの肩を抱いた。
「お前が活躍すればするほど、相手は死神の足音に恐怖することになる。
それを想像するのも、楽しいと思わないか?」
「……クケッ、クケケ、クケッ!! おっとと、この笑い方はお上品じゃないってトレーナーに言われたんだった」
両腕の翼で口元を隠したピアをやる気にさせた隊長は元の位置に戻った。
「ヨコタ、お前もやる気があるなら使い魔を可能な限り大量に展開しろ。
可能な限りドローンを攪乱させろ」
「了解した、隊長」
「よし、出撃しろ、ピア」
「はーい」
そして、ピアが飛び上がり、戦場へと飛翔した。
その後を追うように、無数のコウモリが飛び交い、戦場に影を落とす。
高速で飛び回るピアに接触するドローンが、次々と撃墜されていく。
「あははは、それ狙ってるつもりなの!!」
遂には、対艦ミサイルが発射され、その狙いが彼女へと向けられた。
超高速で飛翔するミサイルから逃れようと、ピアは空中を逃げ回る。
速度で勝るミサイルだが、小回りは生物であるピアには敵わない。
だが、それも長くは続かない。
邪魔ったらしい小鳥を撃墜した、と要塞の管制塔が確信したその直後だった。
それは、アクロバットだった。
くるり、と宙返りのように反転したピアが、真後ろのミサイルに飛びついた。
「きゃははは!! 遊園地みたい!!」
背中の補助翼を起動し、無理やりミサイルを抱えて、彼女は管制塔へと向かって飛び始めた。
ドカン!!
管制塔の職員たちは、自分へと戻って来たミサイルに恐怖し逃げる暇もなく爆死した。
制御を失ったドローンが停止し、レーザー砲台とミサイル砲台が沈黙した。
「よくやったピア!! 大戦果だ!!」
隊長が膝を叩いて立ち上がる。
「俺たちも前線に出るぞ、正面突破からのいつも通りの皆殺しだ!!」
隊長の号令に、魔物の軍勢が応えた。
戦場ではまだ友軍と機動兵器が、入り乱れ戦っていた。
その中に登場したリーパー隊は異様だった。
「なあザイン、あの人形かっこよくないか?」
隊長が、前方の人型機動兵器を指差す。
「うん、か、かっこいい~~!!」
「あれ、お前にやるよ」
「う、うわーい!!」
一つ目の巨人が、よだれをだらだらと飛び散らせながら両手を上げて歓喜した。
「オモチャがいっぱーい!!」
身長五メートルもの巨体が、両手を広げて機動兵器の隊列に突っ込む。
機動兵器も大体同じぐらいの大きさだが、自分と同じサイズの巨体が突っ込んでくるのは恐怖そのものだろう。
当然迎撃にでる機動兵器たちだが、サイクロプスのザインは全身を守るパワードスーツを身に着けていた。
「えへッ、えへへッ、戦いごっこしよう!!」
むんず、と左右の両手で機動兵器の胴体を鷲掴みにした巨人が、ガンガンとお互いのそれをぶつけ始めた。
あっという間に、両手の機動兵器はスクラップになり、搭乗者の血が地面に垂れ始めた。
「それ、それッ、こっちの勝ちだ!!」
純真無垢な子供のように、人形遊びを楽しむ巨人。
次々と人型兵器が、破壊されていく。
「グール」
「はい隊長」
スクラップになった機動兵器のコクピット席から犠牲者を引きずり出した脳喰いグールが、頭蓋骨を割って引き裂いた。
むしゃむしゃ、と食事を終えた彼女は隊長にこう言った。
「隊長、内部情報は手に入れました。
侵入して内側から門を開けます」
「任せた」
ステルス装置を装備したエルフ達が、姿を消す。
まだまだ正面の敵はたっぷり残っている程なくして、要塞正面の門が開いた。
「遊撃隊、突破しろ!!」
「任せろ隊長!!」
ケンタウロスや人狼といった獣人達が、開いた門へと敵を押しのけなだれ込む。
最前線ではまだ巨人のザインが大暴れしているから出来た隙だ。
そんな中で、ぶるんぶるん、とエンジン音が鳴り響く。
「おい新入り、いつまでボーっとしてやがる!!」
終始ずっと笑顔で指示を飛ばしている隊長が、正面の門を指差す。
「さっさと行け」
「──分かってる」
ぶおん、とバイクに乗ったライダースーツの男が、敵軍を無視して要塞の中へと突っ込んで行く。
「標的はあちらです、案内しますよ」
「余計なお世話だ」
バイクが要塞内部を爆走する。
いつの間にか、脳喰いグールが彼の後ろに飛び乗って、彼に囁きかける。
「邪魔だあ!!」
武装した警備兵たちが銃を乱射してくるが、バリアが発生して銃弾を弾いていく。
警備兵を蹴散らすと、今度は隔壁が降りて来た。
流石にバイクも急停止せざるをえなかった。
「ちッ」
「隔壁をコントロールしている制御ユニットを掌握しましょう。
案内しましょうか?」
「……いや、必要ない」
彼はバイクを降りると、隔壁の正面へと歩み寄る。
「はあッ」
拳一発。
分厚い隔壁が、パンチだけで貫いた。
そのまま引き裂くように、左右へと隔壁を押しのけた。
「流石はドワエモンさん、良い仕事をしますね」
「エルフはドワーフが嫌いなんじゃないのか?」
「ケースバイケースですよ。
それより重要なのは、男か女か、食えるか食えないかです」
「そうか。それよりあの爺さん、いろいろと大丈夫なのか? ほら、特に名前とか」
「あと横線一本あったら完全にアウトですからね」
そんな軽口を叩きつつ、二人は隔壁を物理的に破りながら奥へと向かう。
そうして、二人は要塞の奥へと辿り着いた。
「なんだここは」
「リゾートでしょう?
ラストリゾートだけに」
「そう言う意味じゃねーだろ」
要塞と言う名の軍事施設に似合わない光景がそこにはあった。
そこは温水プールに、カクテルバー、ウォータースライダーまで完備した屋内リゾートだ。
他にも金持ち特有の保養施設が目白押しだった。
そして、ようやく、この要塞の主の私室のドアを蹴り破った。
直後、レーザー光線が彼を襲ったが、首をひねるだけで交わした。
「死ねッ、死ね!!
魔王の手先どもめ!!」
そこに居たのは一人の老人と、無数の若い女の死体だった。
「おい、なんで彼女たちは死んでいるんだ?」
「くそッ、くそッ、出ていけッ、儂の部屋から出ていけ!!」
「俺の質問に答えろ!!」
彼はドアの破片を入り口からむしり取り、それを老人に投げつけた。
「ごほッ!?」
「もう一度だけ、聞いてやる。何で彼女たちは死んでいるんだ?」
彼は周囲を見渡す。
誰もが二十代くらいの本当に若い裸の女性たちだ。
死因は、レーザー銃による射殺なのは傷跡から見れば明らかだった。
「げほッ、げほッ、そこのバカどもは、この儂と一緒に逃がしてとわめき散らしよったのよ!!
なんで儂が、こんなガキどもを助けねばならん!!」
「もういい、分かった」
彼は、それ以上老人の身勝手な言い分を聞くつもりは無かった。
「馬鹿め!!」
しかし、老人が壁のスイッチを押すと、鉄格子が降りて来た。
そして彼の背後には、隠し通路の扉が開いた。
「儂はいつでも逃げられたのだ!!
わざわざご苦労であったな!!」
そう吐き捨てて、老人が隠し通路から脱出しようとした。
その時だった。
「んなッ」
隠し通路の扉が開くと、そこには人喰いマンティスとその部下たちが笑みを浮かべて待っていた。
「え、エルフ、エルフじゃと、おぞましいエルフが、まだいたのか!!」
錯乱する老人を、マンティスは蹴りで黙らせた。
「この世界は元々、エルフ族が支配していたそうです。
彼らが滅亡し人間がその支配基盤を受け継ぎ、極端な年功序列社会が形成されたとか」
「興味ない」
グールの解説を聞き流し、彼は悶絶する老人の首を絞め挙げる。
「か、かねなら、やる、た、たすけ」
命乞いをする老人に、彼はヘルメットを取って応じた。
そこにあるのは、──憤怒の表情。
「お前の罪科は、リェーサセッタ様に直接問え」
彼は時間をかけてゆっくりと老人を締め上げた。
老人は抵抗にならない抵抗をじたばたとした後、だらりと力尽きた。
「任務達成だ。この要塞を掌握したと伝えろ」
「そうですね」
グールが部屋から出ていくと、マンティス達も撤収する。
彼女と入れ替わる様に、隊長がにやにやしながらやってきた。
「やっぱりお前はこっち側だったろ?
────なあ、そうだろ、運び屋よ」
馴れ馴れしく声を掛けてくる隊長に、レイジは感情の抜け落ちた表情で彼を見返していた。
まずは、感謝を。
おかげさまでお気にいり千名超えました!!
評価の方は、まあ万人受けしない作品だろうとは思ってますが、上がって下がって元通りにしないといけないんじゃないのかってぐらい上下して元通りになりましたね。
ちょっと残念ですが、お気にいりの数だけ期待されているものとして、完結を目指して頑張っていきます。
つまり、たとえこれからの展開で評価が下がっても気にしないってことです(震え声
それでは、また次回!!