ポンコツ勇者 VS クソガキ魔王 VS ダークライダー   作:やーなん

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ようやく、主人公視点へと戻ります。



リーパー隊

 

 

 

 世界名・オールドハイル。

 そこに築かれた魔王の居城たる“黒子の劇城”。

 

「魔王様のご命令通り、この世界の最高権力者並びにそれに準ずる存在を全て排除いたしました」

 

 そこの最奥に座する黒衣と黒頭巾の魔王が、部下から報告を受けていた。

 

「随時、技術者の抹殺やデータバンクなどの破壊も行っています。

 この世界の文明レベルの低下も時間の問題かと」

「そうか」

 

 黒子の魔王は退屈そうに返事を返した。

 

「よろしいのですか、魔王様。

 この世界をもう滅ぼしても問題は無いかと」

「これ以上は、住人をむやみに苦しめるだけかと」

「かもしれんな」

 

 魔王に侍る四人の黒子たちの諫言に、魔王は抑揚に頷いた。

 すると、黒頭巾で隠れ切れていない魔王の口元が歪んだ。

 

「良いことを思いついた。

 どうせだから、子供だけは助けてやろうではないか」

「子供を、ですか?」

「そうだ。可哀そうではないか、まだ産まれて間もない子供を殺すのは」

 

 魔王の黒子の四天王たちは、お互い黒頭巾で覆われた顔を見合わせた。

 

「この世界の、十五歳以下の子供を全てこの“黒子の劇城”に連れてくるのだ。

 幼い子供だけはこの世界の滅亡から助けてやろう。

 それ以外は何をしても良い、黒子どもにそう伝えろ」

「御意のままに」

 

 魔王の命令に、四人の四天王は頭を下げた。

 こうして、滅亡も間近なこの世界に新たな魔王の命令が発された。

 

 

 

 

 §§§

 

 

 

「なんでこんなことになったんだろうな……」

 

 俺はリーパー隊の野営地にて空を仰いだ。

 リェーサセッタ様に相談をしたら、リーパー隊の一員になっていた。

 何を言ってるかわからねえが、俺もわからねぇ。

 

 ただ、彼らの一員になった時の隊長の言葉が忘れられない。

 

『待ってたぜ、運び屋』

 

 あいつは俺の本質を見抜いていた。

 血に塗れた、俺の両手を。

 

「隊長、もうこの世界に抵抗勢力はいないんでしょ? 

 なんで我々は次の戦場に向かわないんです?」

「俺に聞くな。上の命令は待機だ」

 

 隊員の言葉に、隊長はリボルバー銃の手入れをしながら答えた。

 

「ここの住人はジジババばかりで殺し甲斐がねえや」

「んだんだ、さっさともっと若くて嬲り甲斐のある獲物が欲しいよな」

 

 リザードマンと人狼が欠伸混じりに言った。

 すると、向こうから女の金切り声が聞こえて来た。

 

「隊長、エリザベスの奴が発狂してます。

 ここの連中は老人ばかりなのでおかしくなったみたいで」

「放っておけ。うるさいなら鎮静用の魔法で大人しくさせればいいだろ」

 

 隊長の対応も慣れたモノだった。

 偶に騒がしいのが居る以外は、思いのほか長閑な光景だった。

 とても殺人鬼の集団の真っただ中にいるとは思えないほどには。

 

「……ねえねえレイジさん、美味しそうだから味見していい? ♥」

「あっちいけ、まとわりつくな!!」

 

 そしてなぜか俺はグールに惚れられているらしく、隙あらばすり寄って来る。

 こいつはエルフなので見てくれは良いが、まったく嬉しくない。

 

「……お前も大変だな、新入り」

「がはは、こいつらだけは女としてみれねぇよな!!」

 

 ゴブリンとオークの隊員に同情されてしまった。

 強姦殺人の常習犯だったこいつらでさえこの扱いである。

 

「失礼な、嚙み千切りますよ」

 

 グールの視線が二人の股間に向けられる。

 二人はそそくさと退散していった。

 

「メアリンド、隊員は食っちゃダメっすよ」

「わかってますよ、族長」

 

 言っても離れないグールに、たき火を取り囲んでいた族長のマンティスが一応釘を刺した。

 ちなみにメアリンドというのはグールの本名である。似合わねぇ。

 

「仕方ないんで舐めてます。ぺろぺろ」

「誰か助けてくれ……」

 

 俺の首筋を舐め始めたグール。

 俺は周囲に助けを求めるが、誰もが顔を逸らした。

 

 何も知らない人間が見れば、さぞ艶めかしい光景に見えるだろう。

 だが実際は肉食獣が獲物をマークしてるに等しいのだ。

 生きてる心地がしない。

 

「他人を尊重する、それが我が隊のルールだ。新入り」

「それが出来てりゃ、あんたらここに居なかったんじゃないのか?」

「ははは、これは手厳しい!!」

 

 吸血鬼のヨコタが一本取られたと手を叩いてキザったらしく笑った。

 

「新入り、義体の調子はどうじゃ」

 

 そうして愉快な隊員たちと戯れていると、テントの中からドワーフの爺さんがのしのしやってきた。

 

「問題無い、前より性能は向上してる。いい腕前だな」

「当たり前じゃわい、誰が改造したとおもっちょる」

 

 爺さんは上機嫌に笑い声を上げた。

 

「お前さんは魔王様の四天王ゆえ、レギュレーションの制約が無いからのう!! 

 好きなだけ強化と改造が出来るんじゃから楽しくてしかたないわい!!」

「……それだけの腕が有ってなんでここにいるんだよ」

 

 俺の義体は、俺の故郷では再現不可能な上位世界の代物だ。

 それを簡単に改造できるこの爺さんは、いったい何者なのだろうか。

 

 そうして俺たちは待機命令に従っていると。

 

「──誰だ」

 

 隊長がリボルバーを背後に向けた。

 その場にいた隊員たちも油断なくそちらに警戒を向けた。

 

「あ、あの、私は伝令です。

 魔王様からの命令書を与ってきました」

 

 そこに居たのは一人の黒子だった。

 魔王様に顔と名前を捧げた連中である。

 

「顔を見せろ」

「えッ。……私たちの顔は認識できないはずでは?」

「いいから見せろ、撃たれたいのか?」

 

 銃口を向けたままの隊長の気迫に負けたのか、黒子は頭巾を取った。

 勿論、俺たちにはその顔を認識できない。

 ただ声からして若い女性だとしか分からない。

 

「…………命令書を渡せ」

「なにも、聞かないんですか?」

「仕事中に余計な詮索などするか」

 

 隊長は黒子が差し出した命令書を受け取るとその内容を読み始めた。

 

「あと、伝令役として私もあなたがたに同行しろと、四天王の山田太郎さまから命じられました」

「そうか、了解した。貴官の着任を歓迎しよう。

 貴官の名前はなんだ?」

「……ワン・リーと言います」

 

 彼女はそう名乗ると、隊長は頷いた。

 

「わかった。では新入り、お前が彼女を世話しろ」

「え、俺がですか?」

「お前が一番の適任だ、違うか?」

「分かりました……」

 

 隊長の命令には従うほかない。

 それに、彼女も他の連中と一緒だと気が休まらないだろう。

 

「よろしくお願いします」

「レイジだ、よろしくリーさん」

 

 俺の前に来てぺこりと頭を下げる彼女に、俺は何だか妙な既視感に襲われた。

 

「……? どうかしましたか?」

「いや、何でもない」

 

 俺は違和感を振り払うように首を振った。

 

「まったく、魔王様もお節介がすぎる……」

 

 命令書を読み終えた隊長は、それを閉じてしまい込んだ。

 

「俺は次の作戦を考える。

 お前たちは顔合わせだけしておけ」

 

 隊長はそれだけ俺たちに言うと、指揮所のテントに消えて行った。

 

 

 

 §§§

 

 

 俺たちは夕飯を終えると、その場でリーの顔合わせを行うことになった。

 まあ、黒子のリーに顔合わせもなにもないが。

 そこで、彼女はこんなことを言い出した。

 

「ここは懲罰部隊だと聞きました。

 皆さん、どうしてここにいらっしゃるんですか?」

 

 いや、空気読めよ。

 この部隊で一番聞きづらいことだろうが。

 

 ところが、である。

 

「おう、一番手は誰が良い?」

「誰が盛り上がる? 誰が面白い?」

 

 こいつらが懲罰部隊行きになった理由ってのは酒のつまみの鉄板ネタらしい。

 

「ヨコタ、お前今回はやたらと気合入っていたよな!! お前から話せよ!!」

「……まあ、良かろう」

 

 各々酒を持ち出して、場は酒宴の様相を呈してきた。

 

「我が故郷は、吸血鬼が支配階級でな。

 この世界のように、腐った年功序列が蔓延る貴族社会だ」

 

 そう言えばこいつ、妙に張り切ってたと思ったらそういう感じか。

 

「私はさる貴族に使える使用人の家の出でな。

 そこのお嬢様とは幼馴染だった。恐れ多くもお慕いしていたよ。

 だが彼女は産まれる前から婚約者が決まっている身。血筋も能力も、私など相手には足元にも及ばなかった。

 私は憎んだ。年長者が居座り続ける階級社会と、無力な己を」

 

 ヨコタはワインを呷った。

 その赤い瞳には自嘲が浮かんでいた。

 

「お嬢様が結婚する前夜、私は二人きりになったのを見計らい彼女を襲った。

 その体から最後の一滴まで血を啜った。……私のような格の低い者など、抵抗しようと思えばできたはずなのにな」

 

 結局のところ、二人の関係は当人同士しか分からないモノだったのだろう。

 

「お前たちにわかるか!! 

 我ら下級吸血鬼が数百年掛けて培う力を、たった数分で得られた虚しさを!! 

 ああッ、この虚しさを埋めるには、もっと、もっと力が必要だと思った!! 

 だが、吸血鬼の格は生まれで決まる。私はどれだけ他人の力を奪おうと、結局はただ強いだけの怪物になるだけだった。

 真の貴族には足元にも及ばなかった。最終的に私を討ったのは、お嬢様の婚約者だったのは皮肉な結末だろう」

 

 そうして、彼は地獄にも逝く価値が無いとここにいる。

 

「そこで死んでいれば物語として収まりは良かったのだろうな。

 だがこうして、まだ私は生きている。“恥知らず”にもな」

 

 なんだか、こいつにもこいつなりの事情が有ったんだなぁ。

 仲間たちが慰めるように肩を抱いてポンポンと叩いていた。

 

「次は誰だ?」

「今のところ戦いの功労者は私じゃない?」

「じゃあピア、お前だ」

「オーケー!!」

 

 次の話し手は、ハーピーのピアだった。

 

「私ね、気づいちゃったんだ。

 私以外が、どうしようもないほど遅いって」

 

 背丈は小柄な中学生くらいの身長の彼女は、翼の両腕で口元を覆い話し始めた。

 

「ハーピー族の興行は有翼種限定のウイングレース!! 

 翼を持ついろんな種族が最速を決める為に、名誉や賞金の為に出場するの!! 

 地上で行われるレースなんかよりも、ずっとスリリングでスピーディなんだよ。

 私はそこで、負け無しだった」

 

 自慢するように話すピアだが、恐らくそれは嘘では無いのだろう。

 

「最初は、本当に事故だったんだ」

 

 くす、と彼女は笑みをこぼしながら懐かしむように目を細めた。

 

「コーナーを曲がるときに、そのふくらみの大きさが勝負を決める。

 その時に私とあの子は、そこで衝突しちゃった。

 ウイングレースは危険だからね、安全対策はバッチリだけど、それでも死人は出ちゃう。

 私は何とか持ち直してゴールしたけど、あの子は墜落して死んじゃった」

 

 くけッ、くけッ、と鳥の笑い声のような声が彼女の口から漏れる。

 

「ゴールしても、興奮が収まらなかった!! 

 あの子が、自分があと数秒で死んじゃうって悟った時の絶望と恐怖に満ちた表情が忘れられなかった!! 

 それから隙を見ては接触事故を装って、何度かレース中に地面に叩き落してやったんだ!!」

 

 この殺人鬼どもの集団において、それは共感できることなのかそこらで笑い声が上がった。

 

「私は故意にやってるって疑われたけど、出場停止で済んだよ。

 遺族からは訴えられて、もうダメかなって思ってたらさ!! 

 メアリース様も見られる最高のレースの舞台で、優勝者が主上に言ったんだってさ、私と勝負させろって!!」

 

 この殺人鬼と競い合いたいと願うのは、最速を賭けたプライドかスポーツマンとしての意地なのか。

 最低最悪なのは、この人殺しにはそんなものを持ち合わせていなかったことだった。

 

「私は呼び出されて、メアリース様に命令されてエキシビジョンマッチが組まれた。

 そいつ以外にも、私に勝ちたいってやつらが何人もいたから、特別レースが成立したんだ。

 そしてその日、私は見ちゃった。メアリース様が退屈そうにしてるのを」

 

 ピアが口元を覆っていた翼を下ろした。

 ハーピー族の姿をした悪魔が、そこにいた。

 

「会場にいるみんなを、びっくりさせてやろうと思ったんだ!! 

 最後尾から追い込みをすると見せかけて、一人ずつ一人ずつ地面に突き落としてやった!! 

 あと一人仕留めそこなったところで、私は取り押さえられた。

 私はメアリース様の御前に連れてかれて、この私の顔に泥を塗ったって言われて懲罰部隊行きになったんだ」

 

 誰も競うに値しない。おぞましいことに、最低最悪の形で彼女はそれを周囲に示した。

 たった数分で十数人を追い立てて殺せるだなんて、それだけ卓越した技量が必要だろう。

 

 故に“撃墜王”。

 著名な殺人鬼が投獄された後、ファンだと手紙を送る者がいるように、彼女の所業は畏怖と共に恐れられたのだろう。

 

「メアリース様に喧嘩売れるとかヤバいよなお前!!」

「俺らもそこまでできないわ!!」

 

 げらげら、と隊員たちは笑っている。

 俺はむしろ、本当にどうしようもないんだな、と思うしかなかった。

 産まれた時からのモンスター、それがピアという少女だった。

 

「……グール、あんた達は何をやらかしてここにいるんだ?」

「……? 我々は何も悪いことなどしていませんよ」

 

 ちゃっかり俺の隣に座っているグールは、きょとんとした顔をした。

 

「はあ? 何言ってんだ、お前ら故郷の人間から滅茶苦茶ビビられてたぞ」

「逆に聞きますが、なんで食べることが悪いのですか?」

 

 グールも、族長のマンティスや彼女たちの同胞も不思議そうに俺を見ていた。

 

「我らは女のみの呪われた一族。人間とエルフの間にはハーフが産まれるそうですが、我らと異種族の間には我らの同胞しか産まれません。

 生きる為に他所から男を迎え入れ、用済みになったら精霊に感謝して糧とする。

 それのどこが間違っていると言うのです?」

 

 呪われている。

 俺はその意味を正しく理解した。

 こいつらは生まれながらの人間の天敵。モンスターなのだ。

 

「人間だって、サルを珍味として食べることもあるそうじゃないですか。

 クジラを食べるのも野蛮だ、と言っているのに、なぜ彼らが罰されないのです? 

 我らがあなた達に人間を食べるのと何が違うと言うのです?」

 

 俺は言葉に詰まった。

 なんと答えたら良いか迷っていると。

 

 グールが、マンティスが、彼女らと同胞のエルフたちが嗤い始めた。

 そのおぞましい不協和音に俺は絶句していると。

 

「族長、ここで笑わないでくださいよ。

 これから我々の文化を否定するのですかってお決まりの台詞を言うところだったのですか」

「お前も笑ってたじゃなっすか。

 うくく、この手の話をする時、どいつもこいつも勘違いしてて笑っちゃうんすから勘弁してほしいっすよ」

 

 笑っていた。嗤っていた。

 まるで俺の困惑や戸惑いが可笑しくてしかたないとばかりに。

 

「鉈を突きつけられて、早く出さないと殺されるって涙目で腰を振る男って最高に可愛いよね」

「私は恋人の死体を並べてやってからヤルのが好きだよ」

「やっぱり痛みで泣き叫ぶのを見ながらじゃないと興奮できないよ」

 

 エルフの姿をしたおぞましい怪物たちが、楽しそうに言葉を交わす。

 ……ちょっとでも同情した俺が間違いだった。

 俺はこれまでいろいろな邪悪を見て来たと思っていたが、おそらくこいつら以上に純粋な邪悪を見ることは無いだろう。

 

 これがリーパー隊。

 クズの中のクズを集めた、地獄に行く価値も無い、更生の余地無しの掃き溜め。

 

「リーさん、大丈夫か?」

「……ええ、はい」

 

 黒頭巾で顔は見えなくても、彼女が強張っているのがわかった。

 これ以上はやめた方が良さそうだ。

 

「……レイジさん、あなたはどうなんですか?」

「え?」

 

 俺はまさか彼女が俺の事を聞いてくるなんて思わず、素っ頓狂な声を出してしまった。

 

「あなたも、彼女らと同じなんですか?」

「俺は……」

 

 俺はなぜか、彼女にそれを問われると胸が苦しくなった。

 その純粋な問いが、俺の罪悪感を刺激したのかもしれない。

 

「……爺さん、あんたも何かやらかしたのか?」

 

 俺は彼女の視線に耐えきれなくなって、顔を逸らした。

 

「儂の話なんぞつまらんぞ。

 武器を作って売った、それだけじゃわい」

「あんたの場合、売った相手が問題なんだろ!! 

 あんたの作った兵器で、何十万と死んだらしいじゃないか」

「武器はヒトを殺す為にあるんじゃ。

 せっかく作ったのに死蔵するほうがおかしいんじゃ!!」

 

 仲間たちにからかわれ、ドワエモンの爺さんも声を荒げた。

 

「だが、俺たちの誰よりも、隊長はイカレてる」

「ああ!! 隊長には敵わないよな」

「俺たちはあの人に付いて行けばいいもんな!!」

 

 不思議だった。

 この協調性やまとまりから遠く掛け離れた連中が、たった一人の男に従っている。

 

「……隊長さんって、どんな人なんですか?」

「ピア、お前も最古参だろ。お前が話してやれよ」

「うーん、まあいいか」

 

 ゴブリン族の男に言われて、ピアが話し始めた。

 

「私らって本当に元々使い捨ての懲罰部隊だったんだ。

 ほら、何度死んでも復活できるようにしてさ。

 そうして、殺された連中の痛みを分からせる、みたいな感じだったって聞いた」

 

 ピアの口ぶりから、今の彼らは全く想像がつかない。

 リーパー隊はまごうことなき精鋭部隊だからだ。

 

「だけど、隊長がその時の指揮官に物申したんだ。

 自分なら犠牲を出さずに私達が攻撃して玉砕した町を落とせるって。

 魔王軍ってほら、幾らでも補充が利くからまともな指揮とかしないから、隊長はそれが気に食わなかったみたい。

 それで、隊長は見事指揮権を上官から受け取ると、だいたい三十人くらいで大きな町をひとつ損害無しで落として見せたんだ!! *1

 

 ピアは興奮した様子で、両腕の翼をばたばたさせながら語った。

 

「それ以来、隊長は私達の隊長になった!! 

 隊長に従っていれば、私達は好きなだけ好きなように殺してもいい奴を殺させてくれる!! 

 あの人だけが、私達の居場所をくれた!! 

 そうだよね、みんな!!」

 

 彼女の言葉に、殺人鬼どもはゆっくりと頷いた。

 人殺しを悦楽としか思えない破綻者どもが、隊長を中心にまとまっているのはそれが理由なのだろう。

 

「お前たち!!」

 

 すると、指揮所のテントから隊長が出て来た。

 

「次の作戦が決まった!! 

 魔王様直々の勅令が全軍に下った!! 

 明日より黒子の軍勢と手分けして、残っている町へと向かう」

 

 隊長の号令によって、各々準備の為に解散となった。

 気づくとリーさんが俺をじっと見ていた。

 俺も立ち上がって、その視線から逃げるようにバイクの整備に向かうことにした。

 

 

 

 

*1
拙作『ラウンドテーブル』を参照。





お話の進みが遅いと思われますが、私はキャラの行動が納得しないと動かせないタイプの作者なので、悪しからず。
今作も五十話くらいで終わらせようと思ったのですが、思いのほか膨らみそうです。
どんなに長くても、七十話までには終わらせたいですね。

それでは、また次回!!
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