KING MEETS LITTLE QUEEN 作:ジャンボス
一応今回で連続投稿が終わります(汗)。ただ自分としては必ず最終回まで持っていきますのでどうか皆様お待ちください。
何卒よろしくお願い致します。今回は宇宙の隕石からスタートして物語は急展開を見せます。
-バジュラ本星より4光年離れた宇宙空間-
惑星が見える。
青と緑の惑星が見える。
あらゆる命が謳歌している。
もうすぐだ。
もうすぐこの窮屈なところから出られる。
そして、この惑星を…、蹂躙する。
そして隕石の中にいる何かはすぐに動き出した。
まずはこの面倒な断層が邪魔だ…。
跳ばねば…。
-バトル・フロンティア 総司令部-
それは突然起こった。
「!!? し、指令。巨大なデフォールド反応です!!」
一人の女性オペレーターが叫ぶと、周囲は驚愕した。
レーダーがフォールド反応を捉え、けたたましく検知音が鳴っていた。
それと同時に艦内にはサイレンが鳴り始めた。
「ば、バカな!? 何故突然!」副官と思われる男が突然のことで取り乱した。
「バカもん! 取り乱すな! 状況を報告しろ! 相手はどこの艦だ! それともバジュラか!?」と指令の男は部下に喝を入れると同時に周囲になすべき事を命令した。
「いえ、艦ではありませんが、バジュラでもありません! これは…!」
女性オペレーターは正体を伝えようとした時に一瞬止まってしまった。
「何だ! 何がきた!?」
艦長は苛立ちを覚えながらもオペレーターに問いただした。
「い、隕石です…!! 例の巨大隕石がフォールド断層を突破して出現しました!」
「な、隕石!!?」
さすがに指令の男も驚きを隠せなかった。
まさか例の巨大隕石がフォールド断層を抜けていきなりここに来るとは思わなかった。
計算上最低でも1ヶ月以上先というのが政府の出した予測だったにも関わらず、突然何の前触れもなく来たのだ。
何よりも隕石がそもそもフォールドする事自体想定外だった。
指令の男の頭によぎったのは、
(そもそも隕石ではない可能性が…)という憶測を立てた。しかしあくまで憶測なのでそれをまだ確証もないまま軍上層部に報告するのはと迷った。
しかし事態は急激に動き出した。
「至急、大統領に連絡!! そして一般市民のシェルターへの避難を始めろ!!」
「しっ、しかし市民を避難させるにしても、あまりにも時間がありません!」
「それでもやるんだっ!これは命令だっ!」
指令の男はこの場にいる全員を一喝した。
-アイランド1・居住艦内-
『非常事態発令、市民の皆様は直ちに最寄りのシェルターに避難してください。繰り返します。市民の皆様は直ちに最寄りのシェルターに避難してください』
警報に伴い緊急アナウンスが流れ始めた。
それを聞いた市民たちはパニックに陥り、その様子はまさに阿鼻叫喚と言っても過言ではなかった。
誰もが真っ先にシェルターへ逃げ込もうとし、避難を誘導するために出動した兵士たちが市民を宥めようとしてもパニックを抑える事が出来なかった。
-フロンティア大統領府ビル・バトル・フロンティアへの地下通路内-
ギャレス・ホンダは速足でバトル・フロンティアへつながる地下通路内を歩いていた。
「何故隕石が急に出てきた!? 落下するのはまだ先のはずだぞ!?」
「分かりません。報告では隕石出現の際にデフォールド反応があったとの事で、恐らくワープしたのではという…」
「何故隕石がデフォールドする!? 隕石ではないというのか!?」
「げ、現時点では何とも言えません…。情報が錯綜していて、今正確なものを目下全力で調査しております!」
「急いでくれ! せめて落下地点がどこなのかは知りたい!」
大統領のギャレス・ホンダは歩きながら部下から状況の説明を受けていた。
(クソッ! まさか、こんな事になるとは…!)
内心焦りと苛つきが混じっていたがそれでも冷静になろうと努力していた。
-マクロス・クォーター バルキリー格納庫内-
マクロス・クォーターの中も突如の隕石の出現により艦内は慌ただしくなっていた。
「整備を急げ! もたもたするなっ!」
「ルカ、ミシェル出るぞ!」
「「了解っ!」」
『緊急事態発生!!隕石の落下まであと2時間!! 総員、戦闘配置につけ。繰り返す! 総員、戦闘配置につけ!』
政府からSMSにも出動要請がきたため、オズマ達はバルキリーに乗って出動した。
バルキリーが飛び立つ様子を芹沢達は窓越しから眺めていた。
突如隕石が飛来するニュースを聞いた芹沢達は驚くも、今は艦内が慌ただしくなっている様子を眺めるしかなかった。
助手であるグレアムもこの状況に追いつくので精一杯だった。
「しかし、何故隕石が突然きたのだ? 落下地点の予測もまだだというのに…」
「それが…、まだはっきりとしていないのですが、突然隕石がワープして現れたという話を小耳に挟んだのですが…」
芹沢の疑問に一緒にこの世界に来てしまった軍人の一人、ジョージ・アダムスが答えた。
(隕石がワープ? バカな…、そんな事はあり得ない。だが一体何故…?)
隕石がワープする、その情報を聞いた芹沢はにわかには信じられなかった。
しかし、現に科学的にあり得ない現象が起きている。
突如として現れた巨大隕石は多くの人々を恐怖と混乱に陥れた。
(ランカ、俺達は必ず帰ってくる。だから安全な場所にいてくれ!)
オズマは心の中でランカの心配をしつつも、必ず帰ると心の中で約束した。
一方のランカは非常警報を聞いた瞬間、急いでゴジラと一緒に出た。外にはナナセが車で待機していて、ランカ達を乗せるとすぐに避難所へ向かった。
(お兄ちゃん、みんな…、どうか無事でいてっ!)と強く願った。
ゴジラはカバンの中に入れられつつも外の状況がある程度は把握できた。窓を見れば多くの人々が逃げまどい、何かから逃げているのは分かった。そして、ランカがしっかりとゴジラが入っているカバンをギュッと強く抱きしめていて、わずかに震えていたのも感じ取れた。
(こいつ、震えているのか?)
耳を澄ませば、ランカの心臓の鼓動が早くなっているのが聞き取れる。
この人間が恐怖している…。
しかし、同時に自分を守るように抱えているとも見える。
まるで我が子を守る母親のように…。
自分より明らかに弱いのに、自分を守ろうとしている。
正直に言えば、ゴジラの中ではランカへの安心と自分に対する失望が入り混じっていた。
今まさに危機が迫っているのに自分が何もできない状況にいる事に。
しかし、いつしかこの人間の側にいると安心できるという心情もあった。
ハッと、ゴジラはそこでようやく気付いた。
ランカに戸惑っているのではなく、自分自身に戸惑っているのだと…。
何故この人間に戸惑っているのだ?
何故自分はこいつからすぐに離れなかった?
何故こいつに世話されている?
こいつは自分を哀れんでいる。
何故それについて疑問を思わなかった?
この人間に無意識に頼っていたのか?
その答えにゴジラは徐々に怒りを覚えた。
自身のあまりの不甲斐なさに怒りを感じていた。
しかし、ランカに怒りをぶつけても意味はない。
ランカに悪意も敵意もなく、純粋にゴジラを助けようとしているだけだ。
ただ、その辺は理解していてもこの状況をよしとはしない。
他にもゴジラには懸念すべき事がある。
今この地に迫っている隕石には何かがいる。
本能でこの問題を排除しなければと感じていた。
(そろそろ行かねば…)
-要人用避難所前-
ゴジラは混乱が生じている今が抜け出せるチャンスと見た。そして、この窮屈な場所を抜け出すにはこの人間が見ていない隙を狙う。
ランカとナナセが避難所に着いた時、ゴジラは一瞬の隙をついてバッグを爪で切り裂き開いているドアから外へ抜け出し、急いで近くの草むらに隠れた。
最初からこうしていれば良かったとも思ったが今はとにかく離れる事にした。
ランカがバッグを持ち上げようとした時、異様に軽い事に気付いた。そしてバッグが切り裂かれている事に気づきゴジラがいない事に気付いた。
「クッ、クロちゃん!? ウソ、いないっ…!」
いないという事実にショックを隠し切れず、ランカはすぐに周辺を探そうとした。
「ランカさん! もう入らないと!」
ナナセがランカを急いで避難所に連れようとしたが、ランカは迷っていた。
「ナナセさん、どうしよう!クロちゃんがどっかに行っちゃった!」
ランカは動揺しつつも探そうとした。
「でも、もう時間がありません! 早く中に入らないと私たちも危険です!」とナナセは必死に警告した。
もう時間がないと判断し、苦渋の決断をせざるを得なかった。
(クロちゃん、どこに行ったの…)
ランカはゴジラの無事を祈ると同時に密かにゴジラを探す事を強く決心した。
一方のゴジラは草むらから様子を伺っていた。ランカが自分を探そうとしていたのを見てどこか引っ掛かるものがあったが今は一刻も早く海に向かう事にした。
-バジュラ本星からおよそ300km、第一防衛ラインー
その頃宇宙では政府軍とSMSが隕石の方面に向かっていた。
そして、軍の前には巨大な隕石が存在していた。
「でかいな。ただ、普通の隕石にしか見えないんだが…。ルカ、何か分かるか?」
「いえ、今調べているのですが、特にこれといった反応は…!?」
ルカがミシェルに答えようとした瞬間に突如モニターからアラームが鳴った。
「これはっ!? 全員ここから離脱してください!強力な電磁波が発生しています!!」ルカが警告すると同時にいくつかの統合軍のバルキリーがコントロールを失いお互いに衝突した。一部の機体は隕石の方に向かって衝突し粉々に砕け散った。中のパイロットは機体の異常により脱出する事も叶わずそのまま爆発に巻き込まれ殉職した。
「クソっ!全機、急いで離れろ! 電磁波が届かない距離まで離れるんだ!」
オズマが急いで指示を出すと、SMS部隊と統合軍のバルキリー隊は隕石から距離を取ろうとした。
しかしルカは
「これはっ!? そんな、バカな…!」とルカはモニター画面を見てさらに驚愕した。
「何だ、どうした!?」
「微弱ながら、隕石から生体フォールド波を確認しました! つまりこの隕石の中には…、」
「せ、生物がいます…。それもフォールド波を発生させる事ができる…」
ルカの報告に一同は驚愕した。
「バジュラじゃないのか!?」
「いえ、僅かにバジュラとは波形が違います。ましてやランカさんのフォールド波とも違う。どれとも違うのです!」
ミシェルの問いにルカは説明するも、ルカ自身もどう答えればいいのか分からなかった。
「一つ言えるのは、この隕石の中には何かがいる…! それだけしか分かりません!」
するとクォーターから連絡が入り、艦長であるワイルダーから指示が来た。
「SMS各機に告げる。今政府がようやく重い腰を上げた。これよりマクロス・キャノンによる隕石殲滅作戦を開始する。射程圏内にいる機体は全て離脱しろ!」
マクロス・キャノンの威力の余波は凄まじく、地形が変形するほどの威力ならば隕石の破壊も容易と思われた。
(チッ!ようやくか、もっと早くに出してほしかったぜ!)オズマは相変わらずの政府の対応の遅さに内心舌打ちしつつも、一刻も早く射程圏内から出た。
安全な部屋に誘導された芹沢達はモニターから宇宙の様子を眺めていた。
(ここまで宇宙への技術が進歩しているなんて…。この世界のテクノロジーには驚かされてばかりだが、宇宙にも簡単に行けるとは…)と自分のいた世界とは違う科学力の差に驚かされつつもショックでもあった。
そんな時にまたしてもアラームが流れ出した。
『総員、マクロス・キャノンの衝撃に備えよ。繰り返す、マクロス・キャノンの衝撃に備えよ』
「ま、マクロス、キャノン…?」芹沢は何が始まるのか分からなかった。するとスピーカーから艦長のワイルダーの声が流れた。
『芹沢博士およびモナークの職員に告げる。急で申し訳ないが、我々はこれより本艦最大の兵器であるマクロス・キャノンを使用する。ただちに対衝撃体制を取れ!』と手短に伝えられた。
すると背後の床から人を包み込むように機械のアームが出てきて芹沢を含むモナークのメンバーをしっかり抑えた。さらにアームの先の部分からベルトの様な帯状のものが出てきて、これによりいつ如何なる衝撃が来ても体を浮かせず固定する事が出来た。
突然の出来事に驚いた芹沢達だったがその直後に大きな振動が起きた。
「「!?!」」
芹沢達は立て続けに起きる出来事に追いつけなかった。そしてモニターをみると自分達が乗っている艦のマクロス・クォーターが変形していっているのが分かった。
やがてマクロス・クォーターは巨体な人型に完全変形した。右手の部分に装備されているARMD-Rは巨大な砲艦でもあり、変形時には重量子反応砲にもなるクォーターの最大の武器の一つだった。
巨大な艦が更に巨大なロボットに変形する事実にもはや芹沢達はただ茫然と見ているしかできなかった。
だがこれで終わりではなかった。
「艦長、マクロス・キャノン発射準備完了しました!」
ブリッジオペレーターのモニカがワイルダーに告げる。
「うむ、ボビーやれるか?」
「OKボス、いつでもいけるわ!!」
操舵手のボビーが額のバンダナを締めて気合を入れ、マクロス・キャノンの標準を隕石に合わせた。
「ターゲット、ロックオン!!」
標準が定まったと同時に、ボビーは発射ボタンに指を合わせた。
「マクロス・キャノン、撃て!!」
「うおおお、消し飛べええええええっっっっっ!!!!!」
ワイルダーの命令と同時にボビーは重量子反応砲から巨大なビームを放った。その衝撃は艦内を激しく揺らした。
様子を見ていた芹沢達がいる部屋も大きく揺れ、巨大な地震が起きたと思わせるほどの威力だった。
やがて巨大なビームは隕石に直撃したと同時に強烈な光を放ち、鼓膜が破れんばかりの爆発音が響いた。爆発後は少しずつ静寂になり、周囲にはビームの破壊による爆煙が広がっていた。
この時誰もが隕石を破壊できたと思った。
「よっしゃっ!」とボビーはガッツポーズを決め、他のSMSのメンバー及び統合軍も深く胸をなでおろした。
ワイルダーは大きく息を吐き安堵した。
隕石の脅威はなくなったとそう思い込んだ時だった。
「まだです、隕石は消滅していませんっ!!!」
この時のルカの叫びにも近い報告が、全員を一気に現実に呼び戻した。
「そんな!? 確かに直撃したのよ!」
現在補佐官としてマクロス・クォーターに乗っているキャシーが驚愕した。しかし、徐々に爆煙が薄れてきた所から隕石が現れ、絶望的なまでの現実が目の前に現れた。そして更に驚かされたのは、隕石に目立った傷は無かったという事実だった。
「な、無傷だと!? あれほどの威力で傷一つも付けられなかったのか!?」
オズマはルカの報告を思い出し、この隕石の中には何かいるという疑問が徐々に確信に変わりつつあった。
「今解析が終わりました。重量子反応砲が当たる瞬間にこの隕石はピンポイントバリアと似た現象を発生させていました。つまり、この隕石は…」
「生命体…、それも高度な技術を持った、そうゆう事だな」
ルカの報告によりワイルダーはこの隕石が何なのかを知った。デフォルドによるワープ、マクロス・キャノンにも耐えられるバリア、更に微弱ながら生体フォールド波を発生させる。これだけの報告でもはやただの隕石ではないという事は理解した。
「各機に告げる!! マクロス・キャノンの効果が無くともこの隕石を我々の惑星に落とす訳にはいかない!! 何としてでも、ここで破壊する!」
ワイルダーの一言によりSMSのメンバーそして統合軍の仕気は一層高まった。
隕石への攻撃開始から1時間後-
隕石破壊開始からおよそ1時間が経過したが、隕石は未だに破壊できず、ゆっくりとだが確実に惑星に迫っていた。オズマ達も一時マクロス・クォーターに戻り反応弾などを装備して再度攻撃を仕掛けるも効果は皆無だった。
それでも諦める訳にはいかなかった。諦めればそこで終わる。
ここにいる全員がその気持ちで闘っていた。
しかし、突然統合政府から無線でマクロス・クォーターを含む各軍の艦に連絡が入った。
『諸君、作戦は中止だ。隕石への攻撃を即刻中止せよ!』
突然の作戦中止命令に動揺の声が広まった。
『隕石の落下予測ポイントを確認した。場所はフロンティアシティより西へ500kmの地点だという事が分かった。その地点の落下ならば我々への影響は微々たるものと判断した。よって隕石の殲滅作戦はこれより中止する』
「な、本気!? 結局何のための出動だったのよ~!」
ボビーは突然の作戦中止に納得がいかない様子だった。
「…仕方ない。各機はすぐに撤収しろ。これより本艦はSMS本部に帰投する」
ワイルダー自身も納得がいかない様子だったが、命令に従うしかなかった。
「待ってください、艦長! あれがただの隕石じゃない事は確認済みです!
ここで放置すればどんな影響がでるか分かりません!少なくとも調査はすべきです!」とルカは必死に訴えた。
「無論、分かっている。大統領にもこの事は伝える。しかしこれ以上の調査は危険だ」とルカを諭し艦に戻るよう促した。
「ルカ、冷静になれ。お前の心配も分かるが、上が戻れと言った以上それに従うしかない。それに調査するにもあの隕石には電磁波が発生して俺達も迂闊には近づけない」
隊長であるオズマもルカを説得した。
「…分かりました。すみません、冷静さを欠いていました…」
ルカは焦り出すもオズマに諭された後に冷静さを取り戻し渋々クォーターへ戻っていった。
やがて隕石は大気圏に突入しバジュラ惑星へ徐々に速度を上げながら落下していった。その様子をSMS含む全軍がやりきれない思いで見つめていた。隕石がフロンティアシティに落ちないのは不幸中の幸いだが、何もできずに自分達の惑星へ落下していくのを黙って見届けるしかないという現実に悔しさを滲ませた。
「てゆーか、急すぎでしょ。何で作戦中止よ…」とブリッジオペレーターの一人であるミーナ・ローシャンが不満を口に出していた。
「仕方ないわ。政府もまさか隕石が急にデフォールドするなんて思いもしなかったし。それに殲滅しようにもこっちの兵器が一切通用しない上に、これ以上貴重な資源を消費するわけにもいかなかったといのもあると思うわ。幸い落下地点はフロンティアシティにさして影響がない遠い所だったからこの決定が下ったのだと思うけど…」
とキャシーはミーナの言い分に考慮しつつも、政府の決定にも一定の理解を示した。
そして一連の出来事を見ていた芹沢は一時の間は放心状態になっていたが、すぐに立ち直る事ができた。彼自身もゴジラや他のタイタン達との遭遇で数多くの危険を乗り越えた事があった。そのため常に気を抜かない様にしているとはいえ、マクロス・キャノンの威力にはさすがに驚かざるをえなかった。マクロス・キャノンの威力は下手したら小さい島国なら消し飛ばせる事が出来るほどの代物だった。
(もしかしたらゴジラさえも…)
芹沢は改めてこの世界の技術に驚愕、いや戦慄を覚えた。
そして嫌でもこの様に考えてしまっている自分がいた。
(もし、彼らが我々の世界に来てしまったら…。我々がこちらの世界に来られた様に、この世界の人間が我々の世界に来る事もあながち不可能ではない。そうなれば世界の軍事バランスが崩れかねない。もしタイタン達を一撃で倒せる兵器を我々が手にしたら、それは新たな戦争につながる…我々はここにいていいのだろうか…?)
芹沢は頭の中で自問自答を繰り返していた。
(いや、彼らは侵略行為をするような人々ではない。ここ最近彼らと接するうちにそれは分かってきたはずだ。そして、ランカという少女には何かタイタン達と共存できるヒントがあるかもしれない。この世界の科学の技術力には驚かされたが本質を見落としてはならない。)と芹沢は自分に言い聞かせた。
その時ふと芹沢の目に隕石落下の映像が流れているモニターが映った。
まもなく隕石がバジュラ惑星に落ちると聞いたが、芹沢もまたこの隕石がただの隕石ではないかもしれないと感じていた。明確な理由はないが、それでも自分と無関係とは何故か思えなかった。芹沢の長年の勘がそう警告していた。
隕石の落下速度は徐々に上がっていき、そして大気圏に突入した際には隕石は燃え始めていきその様子は肉眼でも確認できた。避難所にいるランカ達もモニターでその様子を観ていた。周りの人々も不安の声を漏らしていて、落下地点が遠い場所とはいえとても安心できる状況ではなかった。
そして巨大な轟音とともに隕石は地上に落下した。
その衝撃は凄まじく、フロンティアシティより西へ500kmの地点に落下したとはいえ、震度5以上の揺れがフロンティアシティを襲った。また落下した際の衝撃波は遠く離れた一部のビルの窓を破壊した。やがて揺れは収まり、辺りは静まり返った。
少し時間が経った後、外の様子を伺うため兵士が2名シェルターの外へ出て安全確認を行った。そして危険はないと判断し、避難シェルターの扉を開いた。少しの間とはいえ避難した人々の顔は疲れ切っていた。
避難者達が外の様子を見てみると、倒木やガラスの破片が落ちているのを確認したがそれ以外の被害は少なく、比較的軽い被害で済んだ。ようやく隕石の脅威が終わったと人々は安堵した。
しかし、ランカだけは浮かない表情だった。シェルターに入る直前になっていなくなったゴジラの事が心配だった。
(クロちゃん…いなくなっちゃった…)直前になって大切な友達を見失う自分の油断に対して怒りと失望感があった。
(どうしよう、もうクロちゃんには会えないのかな…)と目から涙が溢れそうになった。
(嫌だよ、もう。誰かがいなくなるのは…、だから、探さないとっ!)とランカは挫けそうになる気持ちを抑えすぐに立ち直った。同時に強く決心した。必ずクロちゃんを見つけ出すと。
-隕石内部-
一方、バジュラ本星に落下した隕石は直径5km、深さ500mの巨大なクレーターを作り、周囲を不毛の地へと変貌させた。しかし本来落下と同時に砕け散るはずの隕石はどうゆう事か形状を保ったまま地表に残っていた。
理由としては隕石の中にいる「何か」は落下する直前に強力なバリアを張り、それによって衝撃に耐える事ができた事がであろう。
隕石の中にいる「何か」はすぐに周囲の環境の情報を得た後に眠りに入った。この星の環境を理解し、適応するには多少の時間を有する。
(適応が完了した後、この星を破壊するっ!)
隕石の中に眠っている「何か」はその時を待つことにした。焦る必要はない。この星に降り立った時点でこの星の運命は決まったのも同然だと確信していた。
しかし隕石の中に眠るものは知らなかった。姿は違くとも、今この星には自分を脅かす「天敵」が存在する事を…。
如何でしたでしょうか?
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