KING MEETS LITTLE QUEEN 作:ジャンボス
彼が目を覚ますと、そこは見た事のない景色だった。
そこには見た事が無い様々な色が施されていた。
一瞬これは夢なのではないかと思ったが、これが現実だと理解した。
だが何故自分がここにいるのか、それを理解できなかった。
彼、「ゴジラ」は周囲を見渡し、そして空が見える部分を見つけ出しそこへ向かう。
そこは人間の世界でいう「部屋」であるが、怪獣である彼には知る由もない。
彼は部屋の「窓」と言う部分を見つめ、自分が「どこかの中」というのが分かった。
しかし、どこか違和感があった。周りの物の大きさが自分と同じかあるいは自分よりも大きいのだ。
そして、窓越しに見える人間達の「住処」の様な人工物がいやに自分より大きく見える。
彼が「あの二匹」と戦っている時、興味は無かったのだが自分が破壊したのは人間の住処だというのは何となくだが理解できた。その時は自分の方が大きく、自分を超す「住処」は僅かだった。
だが事実、これら「住処」は「今」の彼より圧倒的に大きいのだ。
他にも見渡してみると、何か生き物の形をした物を見つけた。
それは胴体が長く、手足は歩くのに役に立たないほど小さく貧弱で、体の色は明るく太陽の様な色をしていた。
その物体が人間達が愛用している「ぬいぐるみ(オオサンショウウオ君というキャラクター)」など彼には知る由もないが、彼はそれに近づいてみた。
大きさが自分とほぼ同じため、彼は警戒心を持っていた。いつでも戦える様に臨戦態勢になっていた。
しかし、それは全く反応しなかった。
生きているのか?と疑問に思い、試しに尻尾を振り弾き飛ばしてみた。すると、その物体はただ弾き飛ばされ床に落ちた。その異様な反応に彼は驚いていたが、何より彼を困惑させたのはぬいぐるみの柔らかさだった。
あんな物は自然界には存在しない。
そして驚いたのは自分の非力さだった。あんな物を壊せないほど自分は弱かったか?
一体自分に何が起きた?
彼に知性というより感情があるのかどうかは別として、彼は初めての状況に混乱した。
その時だった。
音が聞こえた。
それも何かの足音で、こっちに向かって来ている。
ゴジラは一瞬で臨戦態勢に入った。
敵がどんなのかは知らない、だが相手がどんなのであれゴジラは怯まない。
返り討ちにしてやるつもりだった。
だが巨大な壁(部屋のドア)が突如として開いた途端、それは現れた。
ゴジラは唖然とした。
出て来たのは、人間だった。
本来なら自分よりも遥かに小さく、弱く、特に気にも止めない人間が出て来た。
しかし唯一違うのは、その大きさだ。
ゴジラの3倍はありそうな巨体なのだ。
初めての敵(?)にゴジラはただ呆然とし、そこでようやく自分が小さくなったのだと分かった。
だが、その人間はゴジラを見た途端....
「あ、もう起きたの? 傷は大丈夫?」
ランカは自分の足下にいるゴジラにそう話しかけた。
ゴジラはそんな彼女を見つめていた。
あまりにも自分との差に愕然としているのだろう。
だが、我に返ると彼女に威嚇を始めた。
ランカはそんな反応に最初は驚いたが、すぐに落ち着きを取り戻しゴジラに近づいていった。
「大丈夫だよ。アタシは怖くないよ」と彼女は怖がってると勘違いし話しかけるが、ゴジラは興奮していた。
近づくなと彼女に警告する様に更に威嚇の姿勢を見せた。
そこでゴジラは仕方なく熱線を吐こうとし、息を大きく吸い込みランカに向けて発射しようとした。
これはエネルギーを大量に使い、なるべくなら使いたくないが今はそうゆう訳にもいかない。
コイツを倒さなければ...、そう思い熱線を発射させた。
.................................。
だが、何も出なかった。
ランカは「?」と不思議そうな顔をしていたが、驚いた様子はなかった。
ゴジラは更に混乱した。
自分の必殺技が使えない。これではどうやっても戦えない。
その時だった。
彼女はゴジラを抱き寄せたのだ。
ゴジラは突然の出来事にパニックになりかけた。
相手が攻撃するなら理解は出来るが、何故抱き寄せたのか。
ゴジラは必死に抵抗し彼女から離れようとした。
だが....、
「アイモ アイモ..、ネーデル ルーシェ ノイナ ミリア エンデル プロデア フォトミ...、ここはあったかな海だよ」と、彼女は歌い始めたのだ。
だがゴジラはこの歌に聞き覚えがあった。
それは戦いの後、海に戻り長い休息に入ろうとしていた時その歌が聴こえて来たのだ。
するとゴジラはその歌を聴いた途端とたん大人しくなったのだ。この歌を歌っていたのはこの若草色の髪の少女だというのを理解した。
ゴジラはしばらくその歌を聴いていた。
今まで自分を支配していた不安や焦りは不思議と消え失せ、心は落ち着きを取り戻していた。
やがてゴジラは静かに眠り始めた。
その寝顔はどこか安堵に満ちており、静かにランカの腕の中で眠っていた。
この日から彼女との生活が始まった。
だがゴジラは知らない。
この先にとてつもない事が起きる事を....。
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