KING MEETS LITTLE QUEEN   作:ジャンボス

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どうも、本日は第6話を投稿します!


KING MEETS LITTLE QUEEN -PART 6-

今日はランカにとって待ちに待った日だ。

 

今日はシェリルの見舞いがある。この日だけは彼女はオフにするよう関係者に頼み込んだほどだ。

 

だが、ランカには唯一気掛かりな事がある。

 

それはゴジラこと『クロちゃん』だ。

 

彼を家に置いとく事は少し不安だ。

 

すれ違いが多いとはいえ、兄のオズマも住んでいる。今は留守だがいつ帰って来るかは分からない。

 

(お兄ちゃんにバレたら絶対に怒られるな〜)と兄の雷が落ちるのをランカは想像していた。

 

義兄であるオズマはシスコンと揶揄されるほど妹に甘い時があるが、ただ甘やかしてるだけではなく時に厳しい時もある。

 

「う〜ん、やっぱり家に置いとくのは不安だね〜」とランカはゴジラに話し掛ける(当のゴジラは彼女が何を言っているのかは分からないが....)。

 

悩んだ末.....

 

 

 

ゴジラも連れて行く事にした。

 

この事を伝えているのは、彼女のマネージャーのナナセだけだ。

 

「え〜!? 不味いですよー! あの子を連れ出すのは...」とナナセはまさかの事態に焦っていた。

 

「うん、ごめんなさい! 分かっているんだけど、お兄ちゃんにバレたら不味いっていうか....」

 

「だ、だけど、もし逃げ出したら....」

 

「ううん、それは大丈夫。この子どっかに行っちゃうとか今まで無かったから大丈夫だと思う。だから、お願い!」

とランカはナナセに強くお願いをした。

 

押しに弱く、何よりランカのお願いとあってついにナナセは折れた。

 

「もーう、分かりました。けどバレたら連帯責任ですよ」と一応釘を刺した。

 

「ありがとう、ナナセさん!」とランカはナナセに抱きつきながらお礼を言った。

 

頼みを聞いたナナセもまんざらではない感じだった(というより、嬉しそうだった)。

 

 

こうしてランカはゴジラをシェリルのいる病院まで連れて行った。

 

 

 

 

 

-移動中の車内-

 

ゴジラはランカのリュックに入っていた。

 

ゴジラにとっては少し窮屈そうで、たまに外に出ようとするとランカが必死に止めた。

 

(ダメッ! 今だけ我慢して)とゴジラがリュックから出ようとするのを止めた。

 

「んっ? ランカさん、どうかしましたか?」と彼女の所属している芸能会社の社長のエルモが聞くと、ランカは即座に対応した。

 

「いえっ! 何でもありません!」とエルモは不思議に思いながらも納得した。

 

仕方なくバッグの僅かな隙間からゴジラは車の窓の外を見つめた。

 

窓の外には人間達が右へ、左へと歩き回っていた。

 

他にも巨大な建築物がありそこへ人間が入って行く様子が見て取れたり、また外にはランカとゴジラが乗っているのと同じ「車」と呼ばれる機械が走り回っていた。

 

すると、ゴジラはあるものに気が付いた。

 

ゴジラの視線の先にはある高層ビルがあり、そこに設置されている巨大なスクリーンには巨大なランカが映し出されていた。

 

ゴジラにとってはそれが不思議だった。

 

何故、「この人間」があそこにいる?

 

あそこにいるのはこの人間の仲間か?

 

それは本来、宣伝用の映像を放映しているだけなのだが、ゴジラにとってテレビや写真などは本来なら触れる事のない代物だ。

 

ただこうして自身の体が小さくなり人間の作ったものが自分より巨大なものになった以上、関心を持たないという事はなかった。

 

自分の知らない世界。

 

それは彼にとっては初めてだった。

 

今まで恐怖というものを感じた事はなかった。

 

ゴジラはその存在自体が災害、寧ろ「神」と恐れられた。

 

目の前の敵や障害などは全て自身の力で払いのけた。

 

だが、ゴジラは今初めて、「不安」という感情を覚えた。

 

今のゴジラは「最強」から「最弱」へと変わり果ててしまった。

 

同時に自分自身に対する「怒り」が沸き上がってきた。

 

M・U・T・Oと対峙した時とは別の「怒り」が彼の中で生まれていた。

 

この少女に今は頼らざるをえない状況に、ゴジラは苛立っていた。

 

 

-軍事病院前-

 

 

車を走らせておよそ20分後、ランカ達は病院に着いた。

 

ゴジラはリュックの中から様子を見ていた。

 

「ここにはね、私にとって大切な友達がいるの」とランカはゴジラに語りかけた。

 

ランカとナナセはボディーガードに囲まれながらシェリルのいる病室へ向かった。

 

するとランカに気が付いた人々が響めき始めた。

 

ゴジラはランカを見ている人々を見て不思議に思った。

 

何故こいつらは「この人間」を見ている。

 

その視線は恐れや軽蔑ではなく、寧ろ彼女を敬愛しているというのがゴジラには何となく感じ取れた。

 

 

 

自分とは違う。

 

ゴジラは強い。

 

だが、強い故に孤独なのだ。

 

無論、ゴジラはそんな事を特に気にしてはいなかった(というより気付いてすらいなかった)。

 

しかし、この人間は本来の自分なら簡単に握りつぶせるほど弱い。

 

弱いが、彼女は孤独ではなかった。

 

ゴジラにはまだその違いには気付いていなかった。

 

その時一人の少女がランカに駆け寄った。

 

「あ、あの、わたしランカさんのファンです!」と彼女に伝えると、ランカは笑顔で「ありがとう」と優しく答えた。

 

ゴジラはランカが常に口角を上げているのに違和感を覚えた。

 

自分にも、そして他の人間にも彼女はほとんど同じ顔をしているのだ。

 

あれは一種の意思表示なのか?

 

自分が今まで見向きのしなかった人間という種族の行動に彼は疑問を抱いた。

 

 

 

やがてランカとナナセは病室に着いた。

 

扉が開き部屋に入ると、そこには一つのベッドがあった。

 

ベッドの上には一人の女性が横たわっていた。

 

髪の毛はピンクがかかったブロンドで、肌は雪の様に白かった。

 

その女性こそランカと共にバジュラとの戦争を終わらせ平和へと導いたもう一人の歌姫「シェリル・ノーム」である。

 

今は昏睡状態にありランカ達、いやフロンティア市民は彼女の目覚めをずっと待っている。

 

「こんにちは、シェリルさん。今日は私の新しい友達を連れて来たの!」とランカはシェリルに挨拶をし、リュックからゴジラを出した。

 

「この子の名は『クロちゃん』て言うんです。全身黒いから『クロちゃん』です」と彼女はシェリルに語り続けた。

 

ゴジラはそれを見た時不思議に思った。

 

何故、答えが返ってきてないのに呼び続けるんだ?

 

そして寝ているこの女は何故起きないんだ?

 

疑問に思いつつもゴジラはシェリルを初めて見た時、何故かその姿に見入った。

 

ゴジラには「綺麗」や「美しいもの」といった概念はなかったが、この姿には何故か見入ってしまった。

 

ランカとは別の安心感があり、ゴジラは彼女を見つめた。

 

すると突然シェリルの口が動き出した。

 

何かを口ずさんでいたが、ゴジラにはそれが何かは分からない。

 

だがランカにはそれが何かは分かっていた。

 

「シェリルさんはね、私の大先輩でね。私が歌手を目指したのもシェリルさんの歌が切っ掛けなの。今は眠っているけど、たまにこうして歌を歌っていて、ある人待っているの」とランカはゴジラに話し掛けた。

 

その時、ゴジラはランカの顔がさっきのとは少し違う事に気付いた。

 

口角は上がっていたが、目の色がさっきと違いどこか少し陰があった。

 

それを人間の言葉で表すと、それは「悲しそう」だった。

 

ゴジラは初めて彼女の今までのとは違う表情を見て不思議に感じた。

 

するとランカは突如、静かに歌い出した。

 

「水面が揺らぐ 風の輪が拡がる 触れ合った指先の青い電流...」

 

それは彼女が最初にゴジラに聞かせた「アイモ」とは別の歌。

 

言葉は分からないが聴いてると不思議と心が落ち着いた。

 

すると、それに呼応するかの様にシェリルの口が動いた。

 

ゴジラはそれを見てシェリルもまた「歌っている」という事に気付いた。

 

眠っているのに彼女はそれでも歌い続けていた。

 

「こうして歌っていたら、もしかして目が覚めるんじゃないかなって思うの。だからシェリルさんのお見舞いに来る度にこうして歌うの」とランカはゴジラに語った。

 

目は覚めなくても、歌が彼女達を今も強く繫げていた。

 

シェリルにとって歌は彼女の全てでもあり、意識が無くとも自然と反応する程までに体に染み付いていた。

 

それはランカにとっても同じだった。

 

ゴジラにとって「歌」は今まではただの「音」としか捉えてなく別に何の興味もなかった。

 

しかし、彼女達の歌は違った。

 

何故か

 

何故、彼女達の歌には意識してしまうのか?

 

 

ゴジラ自身も分からなかった。

 

 

 

 

 

-フロンティア大統領府ビル・第一会議室内-

 

 

「以上が我々の報告です」

 

マクロス・クォーターの艦長であるジェフリーは議会に伝えると席に着いた。

 

「ふむ....、まさか異世界からの訪問者とは....」と現状を冷静に捉えるも飲み込めずにいる男がいた。

 

ギャレス・ホンダ。現フロンティア船団大統領。年齢は50代前半。

 

「大統領、異世界といっても彼らがいたのは元を辿れば我々がいた地球です。彼らの話を聞くべきでは」と一人の女性が提案した。

 

キャサリン・グラス。通称:キャシー。前フロンティア大統領、故ハワード・グラスの娘。現大統領の補佐官を務めており、またオペレーターとしても優秀である。彼女の父であるグラス大統領の死後、彼女が大統領候補に上がっていたが、彼女自身はそれを望まず、自ら辞退した。

 

「しかし、今我々はバジュラとの戦争が終わり、バジュラ母星の探索、そして他の船団との交渉など色んな問題が山積みだ。更に今度は過去の地球とはいえ我々とは異なる歴史を歩んできた地球人、そして彼らが捜している『ゴジラ』、こうも立て続けに予想外の事態が起きるとなると対処しきれん」と少し弱気になっていた。

 

「では彼らの管轄は我々にお任せできないでしょうか?」とジェフリー艦長が提案した。

 

「彼らを最初に保護したのは我々です。それに僅かとはいえ彼らと付き合いが長いのも我々です。彼らもその方が安心するでしょうし、彼らには目立った武器はありません。それでもよろしいでしょうか?」

 

「....SMSはバジュラ戦没で活躍したのは知っているが、それでも民間軍事会社にこの様な重要参考人を任せると言うのは....」とギャレス大統領は彼らの実績を承知しながらも、任せる事には慎重だった。

 

「では、私がオブザーバーとしてSMSに着くのはどうでしょうか? 過去にもSMSと行動をともにした事もあります。それならば問題は無いかと」とキャシーは自分がSMSに行き、彼らの行動を政府に逐一報告するという事を大統領に伝えた。

 

「....分かった。では、彼らの事は君達SMSに任せよう。キャシー秘書官、後はよろしく頼むよ」とギャレス大統領は芹沢達の監視はSMSに一任した。

 

「キャシー君、また君とともに任務に着ける事を光栄に思う。またよろしく頼む」

 

「いえ。こちらこそ、あなた方とまた同じ任務につける事を誇りに思います」とキャシーはワイルダーに敬礼し、ワイルダーもそれに答える様に敬礼した。

 

こうして、芹沢達はSMSの監視の下、ある程度の行動の自由が許された。

 

 

 

 

 

-同時刻 軍事病院入口前-

 

ランカとゴジラはシェリルとの見舞いが終わり車に戻った。

 

ゴジラはここに来るまでの事を思い出した。

 

今日、自分が初めて見た人間達の行動。

 

今まで全く意識してなかったが、改めて自身が小さくなると不思議にかつ疑問に思う事だらけだ。

 

自分が小さくなかったら、きっと今までのように人間達を全く何も感じずに踏みつぶしていただろう。

 

だが、自分を何も知らないまま助けている(?)この人間は何なんだ。

 

そして、何より彼の頭から離れなかったのが「歌」である。

 

この人間とあの横たわっていた人間の歌は不思議と聴いていた。

 

いつもなら聞き流すであろう「歌」をゴジラは自然と聴いていた。

 

ゴジラにとって人間は味方でもなければ、敵でもない。

 

意にも介さない存在。それが自分が抱いていた人間という存在。

 

だが、今回はそうでもなかった。

 

理由は彼にも分からない。

 

ゴジラは徐々にランカとシェリルの事が気になり始めた。

 

 

 




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