KING MEETS LITTLE QUEEN 作:ジャンボス
今日は第7話を投稿します!
「はあ〜....」
ギャレス大統領は深く息を吐いた。
(私が赴任してから問題が立て続けに起きているな〜)
ギャレスは次々と起きる問題に頭を悩ましていた。
(今回の異世界の地球からの来訪者、ゴジラ、そして....)とギャレスは机に置かれてあるファイルを見る。
「隕石か....」と呟いた。
先日報告にあった隕石は着実にこの星に向かっていた。
この事を公表するタイミングを外すとパニックになる。
「はあ〜、出来たらこの惑星を通り過ぎてくれないかな....」とギャレスはこれが杞憂に終わる事を願った。
-フロンティア船団・居住艦 アイランド1内-
芹沢達は厳しいチェックや様々な書類手続きを終えようやく解放されたのだ。SMS監視の下、ある程度の自由が許され、彼らはフロンティア船団を散策していた。
芹沢達はこの巨大な艦に街がある事にも驚いたが、かつて彼らの世界にあった地球の街の再現度にも驚きを隠せなかった。
「すごいな...、まるで本物のサンフランシスコのメイスン通りと変わりない。というより、サンフランシスコそのものだ」
路面を走るケーブルカー、長い坂道に建つ店やアパート、遠くに見えるゴールデンゲート・ブリッジ...。
(本当にこれが艦の中に建てられているのが未だに信じられない....)
案内(兼監視)はルカ、ミシェル、そしてクランが担当していた。
「他にも色々ありますよ。ここアイランド1には居住艦、農業リゾート艦、工業艦が1つにまとまっていて、居住艦には渋谷エリアに上海エリアなど、かつて地球にあった都市を限りなく100%に近い状態まで再現しています」と主な説明はルカとクランがした。
「アイランド1に繋がっている小型の艦は環境艦で、その1つ1つに違う役目がある。例えばアイランド3は主に農業プラントとして使われている他、我らゼントラーディがゼントランサイズ、つまり巨人サイズで暮す事が許されている」
「そのあなた達ゼントラーディというのはいわば....、異星人なの? それに巨人サイズというのは?」とグレアムがクランに質問すると、
「我々ゼントラーディはプロトカルチャーと呼ばれる銀河に巨大な文明を築いた宇宙種族によって作られた生物兵器だった。かつて人類と戦争をしていたが、その時人類の持つ『歌』という文化と出会い、戦闘以外のものを知った。その後は人類と共に共存するという道を選んだ。それと今の私の姿はマイクロン装置によって人類サイズに縮小しているが、本来は巨人族である」とクランが説明している時、
「けど、コイツ遺伝子が不器用なんでこんなお子様みたいな体なんですよ」とミシェルがクランをからかう。
「それよりミス・グレアム、この後僕と二人で一緒にどうです。何でも教えますよ」
「え、えっと...、そんなミスだなんて、私そんな誘われる年じゃないし...」とまさかの誘いに戸惑うも、グレアムは若干嬉しそうだった。
「いえいえ、とんでもない。僕から見たらあなたは十分美しいですよ」とミシェルは微笑みながらグレアムを口説き落とそうとした。
すると背後からクランが恨めしそうにミシェルの名を呼んだ。
「三〜シェ〜ルゥゥゥ、お前という奴はいつも、いつも....」と体を怒りで震わせ今にも飛びかかりそうだった。
「え、え〜と、二人は付き合っているの?」とグレアムが聞くが、
「いっ、いえ、幼馴染ですよ。昔からの付き合いで」とミシェルは否定した。
「と、当然だ。別にこんな奴の事私は....」とクランも否定するも、二人が最初に口が籠ったのを見たグレアムは、
(分かりやすいわね、この二人)とすぐに二人の関係を察知した。
一方の芹沢はこの街を見て、どこか寂しげだった。
「芹沢博士、どうかしましたか?」とルカが気に掛けると、
「いや、僕達の世界の事を思い出してね。それで、少し感傷に浸っていた」
「えっ?」
「僕達の世界のサンフランシスコはゴジラとMUTOの戦いによって壊滅状態になってしまった。未だ復興までには至っていない。だから、この街をみると破壊される前のサンフランシスコを思い出す」と芹沢は思いを吐露した。
「芹沢博士の気持ち、僕達にはよく分かります。けど、僕達の街も決して何も無かった訳ではありません。一年前、フロンティア船団はバジュラとの戦争により街は壊滅し、多くの犠牲者が出ました。それでも新たな居住星を目指してようやくここまで来ました。今ではバジュラとは和解し、バジュラの母星を拠点として新たな一歩を踏んでいます。だから…」
ルカは更に続けようとするも、口が籠った。
(これ以上言うのは勝手すぎるな….)とルカは自身の発言を止めた。
「ありがとう、ルカ君」と意外にも芹沢は穏やかに答えた。
「確かに君の言う通りだ。我々もただ将来を悲観しているだけではない。如何に怪獣達と渡り合えるかを模索し、彼らをもっと知らなければならない。彼らの事を更に解明すれば対策も見えて来るはずだ。君の助言に感謝する」
芹沢のこの言葉には嘘はなく、自分より遥か年下の少年の言葉を正当な意見として受け止めた。
ルカは芹沢の紳士的な態度に驚くと同時に彼の謙虚な姿勢に感銘を受けた。
「い、いえっ! 助言だなんてそんな….」とルカは咄嗟に否定しようとすると芹沢は話を続けた。
「それと先ほど君が言っていたバジュラという生物は確か女王を中心とした群体生物で、かつて君達と敵対していたと話していたね。しかし、和解というのはどういう意味かな?」と芹沢は聞いた。
「はい。バジュラとの戦争を終わらせ、和解へ導いたのは二人の歌姫の歌です! そして、その一人がオズマ隊長の妹さんであるランカ・リーさんです」とルカは説明した。
(歌?)
芹沢にはそれが信じられなかった。
歌で戦争が終わる。ましてや、異生物との対話が出来るという事が可能なのだろうか。
芹沢は歌には何かしらの力があるというのは以前から知っている。
歌う事によってストレスを緩和する事が出来る、認知症を抑える事ができるなど医療の面からもその様な報告がある。
確かに歌は人の精神に数多くの影響を与える。しかし、飽くまでそれは人という種族内でしかない。
ランカ・リーが歌う事でバジュラという異生物とコミュニケーションが取れると言うのはにわかに信じられなかった。そもそも生物の歌うと人間の歌又は音楽とでは全く別の代物だ。
歌で異なる種族と対話する。
芹沢は最初ただの絵空事だと思った。しかし、目の前のルカは真剣に話していた。
「そのランカ・リーさんともう一人の歌姫というのは?」と芹沢が聞くと、
「もう一人はシェリル・ノームさんといいます。ですが、先のバジュラ戦の後、昏睡状態になり未だに目覚めていません。今はランカさんだけがこの船団の希望の光です」とルカは答えた。
「…希望か…」
芹沢はつぶやき、あの怪獣の事を思い出した。
(いや、ゴジラを希望というのは無理がある。確かにゴジラはMUTOを倒した。だがそれは飽くまで自然のバランスを保つためにMUTOを倒したに過ぎない。彼にとって我々は取るに足らない存在でしかない…)
(しかし….、あの時我々にはMUTOに対抗できる手段がなかった。ゴジラがMUTOを倒した時、僕は心のどこかで安堵した。そしてゴジラが立ち去った時、同時に僕は彼にある種の畏敬の念をもった。無論、こんな事助手であるグレアム博士にも言えない)
芹沢は心の中で葛藤していた。そして、彼は知らず知らずのうちにゴジラとの共存の方法はないのだろうかと考えていた。双方が傷つけ合わずに生きる、本来はそれが一番の理想だ。しかし、今の段階では無理だろう。今は無くてもゴジラが人間を敵と認識し襲い始めたのなら、どっちかが死ぬまで戦うであろう。
それは覚悟しなければならない。
しかし、先ほどの話に出てきた「歌で異生物と対話し、戦争を終わらせた」という二人の歌姫に芹沢は興味を持った。
(ぜひ、会ってみたいな。求めていた答えとまでは行かなくても、何か参考になれば….)と芹沢は小さな期待感を持った。
だが、芹沢は知らない。今彼が捜している怪獣が会おうとしている一人の歌姫と一緒に過ごしている事を。芹沢が探し求めている答えをランカ・リーが偶然とはいえ見つけ始めている事を。
―バジュラ本星から10光年離れた宇宙空間ー
感じる。
これから向かう先の星には命が溢れている。
それらを全て破壊する。
それがいつ生まれたのかは分からない。
それが何の目的で作られたのか、
はたまた独自に生まれたものなのかは誰も知らない。
しかし、それに残された唯一の目的。
「あらゆる生命を破壊しろ」
それは生命溢れる惑星に必ず現れ、あらゆる生命を蹂躙し破壊し尽くす。
ただ本能に従い、破壊し尽くせばまた殻を作り宇宙をさまよう。それを永遠と繰り返す。
それに苦痛も迷いはない。強いて言えば、この中が窮屈ぐらいだ。
自分は破壊して蹂躙する。ただ、それをやればいい。
そうして、隕石の中に隠れている何かは次の星へ向かった。
すみません、ピクシブと若干違いがあります。何卒ご了承のほどお願い致します。