KING MEETS LITTLE QUEEN 作:ジャンボス
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「ランカさん、これはどうゆう事ですか?」とナナセはランカの前に仁王立ちしていた。そして一方のランカは彼女の前に委縮しながら座り、ランカの横にはゴジラがいた。
「え、えーと、これはその・・・」
何とか説明しようとするが、言葉が見つからない。ナナセは笑顔でランカに質問しているが、しかしその笑顔が逆に威圧感を与えた。
ナナセが怒っている理由は一つ、要はゴジラを連れてきてしまった事がバレてしまったのである。
「何でここにクロちゃんがいるんですか!?」と更に聞いてくる。もはや言い逃れができない。
「ご、ごめんなさい! 今日お兄ちゃんが急遽帰ってくる事になって、それで・・・」と苦し紛れに答えた。
「もう、仕方ありませんね」とナナセは呆れつつもランカを許した。
「でもバレたら大変なんですよ。怒られるだけじゃすまないですから・・・」と釘を刺した。
「うん、ごめんなさい・・・。ご心配をお掛けしました」
-ライブ会場からの帰路の途中-
ライブが無事終了した後、ランカとゴジラは家に帰った。ゴジラは結局脱出できなかった事に少なからず苛立ちを覚えていた。そしてナナセに見つかった事にも油断したと思った。次にもし別の機会があったら必ず抜け出すと決めた。
「ごめんね、今日は大変だったね」とランカはゴジラに謝罪した。
多少の疲れもあるが、それでもゴジラとは明るい表情で話した。
「けど、どうしよう。ウチに帰ったらお兄ちゃんがいるよね、きっと」とこれからの対応に頭を悩ましていた。
(毎回クロちゃんを隠すのも大変だしな~。何とかやり過ごさないと・・・)
家に到着した時にはまだオズマは帰っていなかった。
(良かった・・・。まだ帰っていないみたい)とランカは安堵した。
ランカは急いで部屋に戻り、ゴジラをバッグから出した。
(またしても戻ってきてしまった・・・)
ゴジラは戻ってきてしまった事に、あの時気にせず行けば良かったと後悔した。
「お腹すいた? 今ご飯作るね?」とランカは台所へ向かおうとした、その時だった。
「ただいま~、帰ったぞ~」とオズマの声が聞こえた。
「お、お兄ちゃん!? お、お帰り~。今日は早かったんだね!」
オズマの予想外の帰宅の早さにランカは驚きを隠せなかったが、何とか平静さを保った。
「ああ、今日は仕事が早めに終わってな。お前も今日ライブあっただろう? 疲れていないか?」
「ううん、大丈夫。お仕事って、大変なの?」
「いや、別に危険な任務じゃない。まあ心配するな。仮に危険な任務でも、そんな簡単に・・・」と言い掛けた瞬間、危うく失言になりかねない事に気が付き、喋るのをやめた。
「す、すまん。一言余計だった・・・」とオズマはランカにすぐに謝罪した。
「ううん、大丈夫だよ。お兄ちゃん、気にしすぎだって。私だっていつまでも子供じゃないんだよ」と気丈に振舞った。
今はどこにいるのか分からない部下の早乙女アルト。バジュラとともにどこかへ行ってしまったが、オズマを含むSMSはアルトが死ぬわけがないと今も信じている。しかし、生存の可能性は限りなく低いというのが軍の上層部の判断であり、早乙女アルトの捜索は早々に打ち切られた。オズマ達はその時に強く抗議するも、結局取り合ってはくれなかった。
(ランカ、力になれなくて本当にすまない・・・)オズマは心の中で再度謝罪した。今自分の妹には船団の期待や未来が掛かっている。そのプレッシャーをランカは全て受け止めている事がオズマにとって何より心苦しかった。妹が大変な時だからこそ、何とかして支えてやりたい。しかし、何もしてやれていない。
そんな自分がもどかしかった。
しかし自分が気にしすぎても良くないため、気分転換にテレビを付けてチャンネルを変えていっていた時だった。
「速報です。只今大統領より緊急記者会見が開かれます。どうか、そのままチャンネルを変えずにご覧くださいますようお願い申し上げます」
突如、テレビの画面が記者会見の現場を中継し始め、重々しい空気が流れ始めた。
「フロンティア船団の皆様、大統領のギャレス・ホンダです。この度皆様にお伝えしなければならない重大な案件がございます。なおこの会見はフロンティア中のモニターに流しております」
今の大統領であるギャレス・ホンダが記者会見を開き、緊張感のある様子だったのがランカにも分かった。
「何? どうしたの?」
オズマも驚いた様子だった。
「今この惑星には巨大な隕石が近づいております。確立としてはおよそ70%の確率でこの惑星に落ちる事が予想されております。落下の日付についても目下調査中です。現在我が政府と軍は総力を持ってこの隕石の解析、衝突による被害の予測、および回避について調べております。落下日付が分かり次第、すぐにシェルターへの避難をお願い申し上げます。国民の皆様に多大なご不安とご心配をお掛けする事を深くお詫び申し上げますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます」
大統領の発言が終わると、記者達からは大きなどよめきが生まれた。
「大統領! それはいつ分かったのですか!?」と記者の一人が質問した。
「この隕石が確認できたのは一週間ほど前です。この時はまだ落下の確率を試算していたのでまだ発表するには至らないと判断しました。闇雲に発表すれば大きなパニックになりかねないとし、慎重に調査をしてからの発表へと至りました」
オズマ自身、(まあ確かに公表する時は慎重にはなるわな・・・)と冷静に記者会見を見続けた。
「落下中に燃え尽きるという可能性は?」と別の記者が質問した。
「それについても現在調査中ですが、現段階では燃え尽きる前に落下する可能性は高いと判断しております」と大統領は冷静に質問に対して回答した。
「隕石の大きさはどのくらいなのですか?」と今度は女性の記者が質問し、しかし大統領は取り乱さず「隕石の現段階の大きさは直径200mほどとの事です」と冷静に答えた。かなりの大きさに記者一同は驚きを隠せなかった。
「マクロス・キャノンでの撃墜は可能でしょうか?」とある一人の記者が聞くと、「マクロス・キャノンを使用しての撃墜も考慮はしておりますが、現段階では使用は認められておりません。詳細が分かり次第、また次の記者会見にてご説明致します。では、これにて会見を終了させていただきます」と大統領は席を立ち、会見場を後にした。
記者やカメラマン達は慌ただしくなり席を立ち急いで所属している新聞社や情報誌に連絡した。
その様子をテレビの画面越しで観ていたランカは少なからず不安を抱いた。
その時オズマの携帯が鳴り、オズマがそれに出ると「分かった」と言ってすぐに切った。
「すまない、ランカ。また出ないといけない」とオズマはすぐに出かける準備をした。
「・・・今の隕石?」とランカが聞くと、「そうだ。だが心配するな」と妹に心配させないようオズマは静かに諭した。
「うん、気を付けてね、お兄ちゃん」とランカはオズマを見送った。
ランカはオズマなら大丈夫と思いつつも、しかしやはり心配せずにはいられなかった。
その時ゴジラが部屋から出てきていたのに気付いた。一瞬驚くも、ドアの締りが甘かったことに気が付いた。
「しまった。今度から気を付けないと・・・」
ランカは迂闊だったと肝を冷やしたが、何とか事なきを得た。
ランカは屈みながらゴジラに話しかけた。
「君も気を付けないとダメだよ~。お兄ちゃんにバレちゃうかもだから」
ゴジラはランカが自分に何か言っているのは分かるが、特に気にしなかった。
「よし、気を取り直してご飯、作ろっか!」とランカは再び台所へ向かった。
ゴジラは急に張り切るランカをみて、驚きつつも少しだけ分かった事があった。
(この人間には力はあるが、脆さもある・・・)と。
ゴジラはランカの歌から確かに何かしらの強い力を感じていた。
しかし同時にランカの精神、または心の在り方は未熟である事も理解していた。
時折見せるあの暗い表情がそれを物語っている。力あるものの姿ではなく、寧ろその力に振り回されている感じがした。
自分とは違う。それは力の質というだけでなく、力に対する責任の重さ、矜持などが彼女にはまだ備わっていなかった。
しかし、自分がそれを感じ取ったとして、それが何になる?
自分には関係ない。何とかしてやろうとも思わない。
ゴジラにとって人間個人の感情など全く意にも介さない事。
そのため自分には何もできない。
だがそれよりゴジラにはずっと気に掛けている事がある。
それは空より遥か高い宇宙から感じる脅威・・・。
ゆっくりだが確実にこの星を目指している。
実はゴジラは既に前から隕石の存在に気付いていた。
そしてこれはただの隕石ではない、隕石の中にいる「何か」を僅かながら感じ取っていた。
(似ている。「アイツ」の気配と・・・)
かつてゴジラと地球の支配者の座を掛けて戦った外からの侵略者・・・。
奴も落ちてくる星と共にやって来たのをゴジラは覚えていた。
だが今の自分には何もできない事がゴジラを苛つかせた。もし仮に「奴」だとしたら、今の自分にはどうにもできない。その焦燥感、怒り、苦しさが今の彼の中にあった。だからこそ、一刻も早くここを出なければならないのに、今のゴジラはあまりにも無力だった。
「クロちゃん、ご飯だよ」
振り向くとランカはそんなゴジラの悩みはつゆ知らず、いつもの「あの表情」で呼んでいた。ゴジラはその表情にいつも疑問に思いつつも彼女のもとへ向かった。自分に敵意を向けている訳ではないためゴジラも傷つける事はしない。自分に触れる事を許しているのも、今の自分にはこの人間のサポートが必要だからだ。それに対して全く不満を抱いていない訳ではないが、しかし納得するしかなかった。
(次こそは必ずここを出る)ゴジラは改めて決意を固めた。
-マクロス・クォーター艦内 ブリーフィングルーム-
その頃、オズマ達は早速艦内で隕石に関するブリーフィングを行っていた。その中には芹沢達の姿もあった。
「200m級の隕石か・・・。ルカ、もしそのぐらいの隕石がこの星に衝突した場合の被害はどのぐらいになる?」
「そうですね・・・。もし仮にこの隕石の成分が鉄分として、計算では隕石が分解するのがおよそ高度14,200m、つまり成層圏内で分解するとして、その後この惑星に落ちた時に発するエネルギー量は400京ジュール、TNT換算すると1,160メガトンになります。落下地点はまだ分かりませんが、もし落ちるのが陸地の場合、衝撃波は100km以上広がり、周囲の建物への被害も甚大で、落下の衝撃による地滑りも起こります。更にこの隕石の落下によるクレーターの直径はおよそ5km、そして深さは500m近くにも及びます。この隕石による惑星の環境の変化などの影響はありませんが、放置すれば我々にとっても脅威である事は確かです」とルカはオズマを含むチームに説明した。
「艦長、俺らとしてはマクロス・キャノンか反応弾による破壊を提案したいのですが、軍からの要請は?」とオズマは艦長であるワイルダーに提案する。
「いや、軍からはまだ我々への具体的な要請はない。指示が来るまで待機との事だ」
ワイルダーはやれやれといった表情で語った。
(たくっ、相変わらず軍の上層部は決定が遅いな。まあ大方下手にマクロス・キャノンを使ってコストが掛かるのを避けたいのが本音だと思うが)とオズマも内心不満を感じずにはいられなかった。しかし、まだこの星に移住して数カ月しか経っていないため資源は限られているのも事実。オズマ達は歯がゆい思いをしつつも、指示を待つしかなかった。
芹沢達はしばらく会議の内容を聞いていた。芹沢達は現在SMSの監視下に置かれているため、今回のブリーフィングも参加する事を許可された。
(隕石か・・・)
芹沢は日ごろ世話になっているSMSに協力したいとは思ってはいるが技術の全てが自分達の世界より遥かに進んでいる彼らにできる事はほとんどなかった。
「それと気になる情報があります」とルカが発言した。
「気になる情報? 何だ、それは?」とオズマが聞いた。
「はい、実は最初にこの隕石と接触したと思われる軍のパイロットの最後の肉声が録音されていて、その内容がどうにも奇妙だったんです」
オズマはルカの説明が気になった。
「何でも隕石が現れた際に機体が異常を起こして動かなくなったとか。その後は通信が途絶えました」と手短に教えた。
「それに謎の隕石と遭遇というのも気になるんです。宇宙空間では隕石はただ浮いているだけなのにまるで突然現れたみたいな感じで・・・」とルカも完全には理解できてなかった。しかし疑問点があるため、その事をSMSの部隊に伝えた。
「隕石に意思がある、と?」とワイルダーが問うと
「いえ、そこまでは断言できません。ただ一応考慮すべきかと考えます」とルカは答えた。
(まさか・・・)
その中で一人その隕石ついて疑問に思っていたのは芹沢だった。
心当たりがあるわけではない。
しかし、何か気になる。
何故か自分達とは関係ない事だとは思えなかった。ゴジラ捜索中に巻き込まれた謎の怪現象、並行世界、見た事もない未来の技術、そして謎の隕石。
このような普通ならあり得ないことが立て続けに起きている。これら一連の事象がもはや関係ないとは到底思えなかった。まるで見えない力に引き寄せられているかのように・・・。
(一体この先,、この星で何が起きるんだ?)
出来れば何も起こってほしくはないと願わずにはいられない。しかし事態は芹沢の思いとは裏腹に速度を上げて進んでいっていた。
-バジュラ本星から約5光年の宇宙空間-
(星が見えてくる・・・。
我らの破壊すべき星・・・。
もうすぐこの狭い所から出られる。
そして、破壊だ。
破壊する。
その星全てを破壊する。命も、自然も、全て蹂躙する)
隕石の中に潜む何かは、明確な悪意を持ってバジュラ本星へ向かっていた。
ゴジラの思考の変化を表現したつもりですが、如何でしたか?(汗)
当初の設定と矛盾すると思われたかもしれませんが、ゴジラはペットではなく怪獣なのでランカとずっと一緒にいたいとは個人的には思わないのと、ギャレス監督もゴジラをただの巨大生物としてではなく、人間性もあり「戦士」のように表現したと仰っていたので、なるべくゴジラを可愛すぎず、ギャレゴジの良さを潰さないように書いたつもりです(汗)。気に入っていただけると嬉しいです。