東方庇護録(旧作)   作:まほろばのーぶる

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第18話:妖精妖怪和気藹々~進める研究:オーパーツ~


Asyl perspective

 

 

くすくすくす

 

 

「んむぅ?」

 

辺りで何やらくすくす笑いが聞こえる。

こしょこしょと聞こえてくるくすくす笑いに目を開けて周りを見てみる。

 

するとそこには、寝る前と変わらず私の膝の上で丸くなってスヤスヤと気持ちよさそうに眠っているヴァルター。

 

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そしてそんなヴァルターと私をニヤニヤしながら覗き込んでいる和気藹々(わきあいあい)とした妖精メイド達。

 

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吸血鬼の館だからか、数少ない窓の外を見れば、夕焼け小焼けの暖かな光が差し込んできているのが見える。

多分5、6時間くらい眠っていたようだ。

 

「「「「「アズール様、おはよーございます。」」」」」

「おはようございます。」

 

ヴァルターが寝ているからか少し小さめの声でこしょこしょと妖精メイド達と挨拶を交わす。

 

「ヴァルター様寝てるね。」「いつもヴァルター様には怒られてて怖いけど寝てる姿はすっごく可愛いね。」「ヴァルター様は普段から可愛いよ?」「アズール様にベタベタに甘えてるね。」「ヴァルター様も人の事言えないじゃん!」

 

妖精メイド達は私の膝の上で甘えるように丸まったヴァルターを見てコソコソとお話している。

 

最後の妖精メイドの子は確か以前私に甘えて、添い寝しに来た時にヴァルターに見つかってつまみ出された子だ。

 

んむぅ・・・むにゃぁ。あじゅーるしゃまぁ。。

 

そんな時、ヴァルターが目を覚ました。

目を覚ましたヴァルターはちょっと寝ぼけているのか、私の胸に顔を埋めながら猫なで声で抱き着いてきた。(尊死)

 

・・・なにこの子可愛い!!めっちゃ可愛いんですけどぉ!!!

 

「(ニコニコ)おはようございます!ヴァルター。良く寝られましたか?」

「「「「「(ニヤニヤ)おはよーございますヴァルター様。」」」」」

「んんぅ。・・・はぅあッ!?お、おはようございます!み、皆さん」

 

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寝ぼけたヴァルターは少し経つと完全に目が覚めたのか、周りの状況を見てすぐに凄い勢いで後方にバックステップして引っ付いていた私から離れた。

 

「「「「「ヴァルター様可愛いぃぃぃ!!!!」」」」」

 

離れたヴァルターに妖精メイド達が群がりヴァルターを囲んでキャッキャとはしゃぎ始める。

ヴァルターは妖精メイド達から真っ赤になった顔を隠しながらふわふわ耳を押さえながら蹲って震え始めた。(かわいい)

 

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「ヴァルター様の寝てる姿、凄く可愛かったです!」「顔真っ赤で涙目のヴァルター様もすっごく可愛いです!」「ヴァルター様!いつも通り可愛かったですぅ!」「アズール様にベタベタに甘えてるヴァルター様可愛い!!」「甘えんぼのヴァルター様!今度から私がアズール様に添い寝しても黙認して下さいね!」

 

いつもは隙のないヴァルターのレアな側面を目の当たりにして妖精メイドたちは大はしゃぎだ。

私もかわいいヴァルターが見られて幸せです。

 

妖精メイド達に囲まれてひとしきり可愛いを連呼されて顔が真っ赤になっているヴァルターを見て癒されていると、今更ながら見当たらないルーミアちゃんと大妖精とチルノさんに気が付いた

 

「あれ?そういえば、大妖精たちはどこに行ったのですか?」

「「「「「メイドリーダーはルーミアちゃんとチルノちゃんに月光館の案内をしに行ったよー」」」」」

「おぉ。そうですか!」

 

おぉ!

さっそく親睦を深めているみたいですね。

ルーミアちゃんは今まで一人ぼっちで辛かった分も皆と幸せになってほしいです。

それに娘も同然の大妖精にも仲の良い友だちが増えて本当に良かったです。

 

「・・・いつの間にかルーミアさんも月光館で匿うということになっていますね。まあいつものことですし良いですけど」

 

まだちょっと顔が赤いヴァルターが燕尾服を整えながら、呆れたように声を漏らす。

 

確か前に妖精たちを月光館に匿ったときにも、お人好しやらなんやらで呆れられましたけど、賑やかになるのは良い事じゃないですか。

 

「・・・まあ。それもそうですね。」

 

館の探検を終えたらしい三人が和気藹々(わきあいあい)と帰ってくるのを見たヴァルターは、少し微笑みながら私の内心に返事をする。

 

「あっ。アズール様、ヴァルター様おはようございます」

「すごいなアズール!この館めっちゃくちゃ広いな!」

「おー。ねぼすけが起きたのかー。」

 

三人は私達が起きているのに気が付いてパタパタと小走りで近付いてきた。

 

・・・やっぱり小さい子は良いですねぇ。

ニコニコと可愛らしいです・・・うへへ。

 

「おはようございます。さっそくですがルーミアちゃん。あなたはこの月光館で皆と暮らしてみる気はありませんか?」

 

私としてはもうルーミアちゃんは家族の一員と認識しているが、一応ルーミアちゃんに一緒に暮らさないかと提案してみる。

 

私の問いにルーミアちゃんはちょっとばかり呆けて私を見て不安そうに眉根を寄せた。

 

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「おぉ。そうだ良い提案じゃあないか。三人いつでも一緒にいられるぞ!」

 

そう言うのはチルノさん。

いつの間にか住み込みで働くことになっているようだ。

 

「・・・でも、いいの?最近は襲撃はないけど、一応私は人間から討伐対象として追われてるんだよー?みんなを巻き込んじゃったら申し訳ないし・・・」

 

優しいルーミアちゃんは私達が人間達から襲われるようになるんじゃないかと心配しているようだ。

ルーミアちゃん、本当良い子!

 

「良いんですよ。多分この館と紅魔館は人間達には不可侵と定められていたはずですし、ここにいた方がかえって安全ですよ。それに、あなたももう、私の愛娘みたいなものですから。愛娘が困っていたら放っておけないですよ!」

「・・・えへへ。」

 

そんな私の言葉にムニムニと嬉しそうに、恥ずかしそうに口に笑みを浮かべて満面の笑顔になるルーミアちゃん。

めちゃくちゃ可愛い。

そんなルーミアちゃんが恥ずかしそうに返事をする。

 

「・・・じゃっじゃあ、お世話になろうかなー。・・・お、おかあさん//」

 

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恥ずかしそうに、ちょっと言い辛そうに私をお母さん呼びするルーミアちゃん。

恥ずかしさで顔に溜まった熱を冷ますように両手でほっぺたを押さえて恥ずかしそうに笑っている。

 

「きゃ、きゃわいすぎますぅぅ!!」

「うひゃあぁ」

 

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そんなルーミアちゃんの様子を見た私はもちろん限界化。

 

すぐさま天使のようなルーミアちゃんを抱き締めてウリウリと撫で回す。

そして恥ずかしそうに、そしてちょっとだけ嬉しそうに、抱き締められて弱々しくバタバタと暴れるルーミアちゃん。

 

周りの皆はそんな私とルーミアちゃんを見てニコニコと微笑んでいた。

 

 

でも、流石にルーミアちゃんは恥ずかしかったのか、それ以降はお姉ちゃん呼びに戻ってしまったが赤面するルーミアちゃんを見られただけで大満足です。

 

 


 

 

「さて、それでは皆さん。チルノさんとルーミアちゃんの部屋割も決めたことですし、お風呂に入りましょう。」

 

ルーミアちゃんとチルノさんの部屋割を決めたところで、そういえばお風呂に入っていなかったことを思い出し提案する。

 

「「お風呂?」」

「「「「「わーい、アズール様、背中流してー」」」」」

「わーい、ってこら、みんなアズール様に失礼だよ。」

「良いですね!昨日はパーティーが終わっても色々あって入れませんでしたし楽しみです。」

 

お風呂を知らないらしいルーミアちゃんとチルノさん以外は、当たり前のように大浴場に向かって歩いていく。

 

「あっ。ルーミアちゃん、チルノちゃん、お風呂っていうのはね・・・」

 

大妖精が二人に説明しながら二人を大浴場の脱衣所に案内する。

 

懐かしい。

つい10年くらい前は今の大妖精のポジションにヴァルターがいて大妖精達にお風呂を説明していたのを思い出した。

 

余談だが、ヴァルターは初めてお風呂に入った日から、毎日入れるときは欠かさずにお風呂に入る、お風呂好きとなっている。

目に水が入るのが苦手なヴァルターの為に昔プレゼントした、魔法で創造したシャンプーハットは今でも大切に使ってくれているようだ。

 

お風呂が待ち遠しいのか、そわそわとしながらもヴァルターは、私が魔法で作っている浴衣を収納スペースから人数分用意し、全員に渡してくれる。

 

大妖精から説明を受けた二人も興味津々といった様子で大浴場の脱衣所に入ってきて浴衣を受け取った。

 

脱衣所についたみんなは、慣れたものでさっそく服をすぱっと脱ぎ始める。

大浴場には魔法で湯を張っているのでいつでも入ることができるのだ。

 

「うん?服を脱ぐのか?」

 

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「え!?//」

 

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チルノさんは服を脱ぐことを疑問に思ったようだが、抵抗なくすっぱりと素っ裸になる。

 

一方でルーミアちゃんは赤面して動揺している。

どうやら皆に裸を見られるのが恥ずかしいようだ。

 

今まで自分の姿が闇に包まれていて、他人に裸どころか姿さえ見られたことがなかっただろうから、いざ裸を見せるとなると恥ずかしいのかもしれない。

 

「ルーミアちゃん。恥ずかしいならちょっと行儀は悪いですがタオルを巻いて入るといいですよ。」

「・・・うん。ありがとーお姉ちゃん。そうするー。」

 

ルーミアちゃんに魔法で作ったタオルを渡すと、それを受け取ったルーミアちゃんは一度闇を纏って、闇の中でタオル一枚に着替えて、闇から出てくる。

 

大部分の闇を左側頭部のリボンに封じている状態だが、その状態でも闇は多少は操れるようだ。

 

その後はみんなでお風呂を楽しんだ。

 

途中、妖精メイドたちが湯で濡れてペタリとなったヴァルターのしっぽをお触りして1週間バナナ生活を言い渡されていたり、ルーミアちゃんのタオルが脱げてしまって恥ずかしさからか、ルーミアちゃんが目を回してしまったり、早々にのぼせたチルノさんが大妖精に介抱されながら脱衣所に運ばれていったりと色々あったが、みんなで入ったお風呂はとっても賑やかで幸せな気持ちになれました。

 

 


 

 

「ふう、いいお湯でした。」

 

意外とお風呂を気に入ったルーミアちゃんと、いつも長風呂のヴァルターと妖精メイドたちよりも先にお風呂を上がった私は浴衣に着替える。

 

お風呂でヒリヒリと火照った体を冷やすために、水でも飲もうと魔法で作った水飲み場に向かう。

水飲み場に行くとそこには先客がいた。

 

「おや?大妖精、チルノさんの具合はどうですか?」

「あっ。アズール様。チルノちゃんは大丈夫です。熱いお湯が苦手だったみたいで・・・。今はそこの部屋の中で頭・・・というか全身を冷やしているところです。・・・風邪を引かないか心配ですが。」

 

チルノさんは休憩スペースに作っていた小部屋をまるまる凍らせて自身の体を冷やしているようだ。

 

・・・後で部屋を氷漬けにした事がヴァルターに見つかったら怒られちゃいますよ?

 

ふふふ。

ヴァルターに氷漬けにした部屋が見つかって怒られるチルノさんが想像できます。

 

とりあえずその小部屋に入り、チルノさんの様子を伺ってみましょうか。

 

「チルノさん。大丈夫ですか?入りますねっておぉ、割と寒いですね。」

「うぅーい。あずーるぅ。これぇ、つめたくてきもちいいぞぉー。」

 

入った部屋のあまりの寒さに驚いたが、氷の妖精にとっては涼をとっている程度なのだそうだ。

おぉ・・・さすが氷の妖精、絶対に氷点下の温度なのに浴衣姿でピンピンしている。

 

・・・といいますか。

 

「あ!そうだ。それです!良いこと思いつきました!なんで私今まで思いつかなかったんでしょう!そうと決まれば、さっそく研究です!」

 

チルノさんが作った氷の部屋に入ってみてアイデア、というか前世での便利な電化製品を思い出した。

 

そうしてその電化製品を魔法で再現できるのではと考えた私は早速、転移魔法で地下の図書館に転移して研究を始めた。

 

魔法大好き吸血鬼が、唐突に魔法研究のアイデアが生まれて図書館に転移するのは、月光館ではよくある光景だ。

 

 

大妖精は急に転移したアズールに特に驚くわけでもなく「次はどんなものを作るのかな?」とのぼせた氷の妖精にコップに入った常温の水を渡しながら楽しみにするのであった。

 

 


 

 

それから大体2、3ヶ月後。

 

「ついに完成しました!名付けて〖マジックチルドボックス〗です!」

 

2、3ヶ月研究を続けた成果を改めて見てみる。

 

製作したのは縦2m横2m奥域1mの箱型の魔法製品だ。

ツヤツヤと黒光りしているこの箱は恒久的に魔法の効果が付与された魔道具だ。

ガワの素材から魔法媒体にいたるまでヴァルターが取ってきた鉄や銅などの金属や魔法物質を精錬し加工するところまで、全て私が魔法で製作している。

 

・・・完全に前世の冷蔵庫のモロパクリであるが、これがあるおかげでお風呂上がりに冷たい水も飲めますし、食材とかを新鮮に保管できるようにもなります。

 

さらに、扉はボタンを押せばピッと電子音を魔法で鳴らして自動的に開くようになっている。

ここ!こだわったとこです。

 

さらにこのマジックチルドボックス・・・長いから冷蔵庫でいいですね、冷蔵庫は魔法で内部の空間もいじっているので内部空間が見た目よりも広くなっている。

 

その魔法の冷蔵庫にはいくつも内部へ繋がる扉を作ることが出来るので、脱衣所横の休憩スペースや厨房、各々の部屋に扉を作っておいた。

 

これで、寝てる時やお風呂上がりにすぐに冷たい飲み物を飲めますし、調理に使う食材の出し入れに便利になります。

 

完全に今の時代には先取りしすぎる機能がてんこもりでやり過ぎのオーパーツではあるが、今まで色々作ってきちゃっているし今更である。(やけくそ)

でも、まぁ、門外不出とする予定ですし、文明の進展には影響無いでしょう。

 

 

さて、冷蔵庫を研究・制作していたこの2、3ヶ月でチルノさんやルーミアちゃんは随分と月光館での生活に慣れたようだ。

 

ヴァルターが言うにはメイドとしての仕事はまだ色々と教える必要があるそうですが、そもそも妖精メイド達がいても館の運営の9割は、ヴァルターが平気な顔してこなしていたし、人手は足りているのだ。

 

魔法の研究でも無理難題を押し付けてしまう事もあるのに、その全てを完璧にこなすヴァルター様様である。

 

メイド妖精達やルーミアちゃん達3人組は弾幕ごっこで遊ぶのは日常茶飯事になっている。

大体みんなはっちゃけ過ぎて最後にはヴァルターにまとめて怒られているが。

まぁ館は私が魔法で保護しているので多少の事では痛まない・・・多分。

 

とにかくみんな楽しそうに弾幕ごっこで遊んでいるのを見るのは微笑ましいですし、そのまま無邪気に元気いっぱい遊んでいて欲しいですね。

 

たまにチルノさんが冷蔵庫で寝ていたり、ひとりお風呂に裸で入る挑戦をしているルーミアちゃんと偶然ばったり出会って、まだ恥ずかしいルーミアちゃんが目を回したりと話題に事欠かない月光館は今日も平和です。

 

そんなこんなで、ルーミアちゃんとチルノさんが月光館に住み始めてからも、穏やかに時間は過ぎていきました。

 

 




〖後書き〗
少しスローペースに日常回です。
今回のお話はチルノさんとルーミアちゃんが月光館に馴染んでいく様子を描写しようと試みています。
同じようなお話が後1話程続き、次のお話に続いていきます。

さて、dairi様の絵を改変させていただきアズちゃんを描いてみました。φ(._.)
それぞれ小説情報、第1話前書きにあるので良ければ見てみて下さいヘ(・_|
色々な東方キャラクターの立ち絵素材を無償提供して下さっているdairi様には足を向けて寝られません。( ̄^ ̄)ゞ
改変して描かせていただいた絵は如何せん荒い塗りや線画で描いてしまっている為、今後修正していきます。(o˘д˘)o
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