東方庇護録(旧作)   作:まほろばのーぶる

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第6章:泣く子と笑う鬼~人と妖~
第48話:扉を開ければ秘密の花園~大妖精はご乱心!?~



???? Perspective

 

ギャアギャアギャアギャア

 

木々に遮られて、月明かりも少ない真っ暗闇の森の中、野鳥達の威嚇するような鳴き声が聞こえてくる。

 

濃霧(のうむ)が立ち込めている森の中、私を囲う木々をぐるりと見てみると、赤く光る眼光がいくつもあって、私を注意深く観察しているのが分かる。

その野鳥達の中には(いささ)か野鳥と称するには大きいもの達も混ざっている。

言わば妖怪になりかけているもの達の姿も散見されるこの場所はどうやら余程人間達から畏れを得ているらしい。

 

そんな魑魅魍魎達は、どうやら私を襲い、糧にする為に今か今かと木々の間から虎視眈々と私を狙っているようだ。

今にも襲いますよ、と言わんばかりの下卑た目。

そんなギラギラ光る視線を受けた私はため息を吐く。

 

「・・・はぁ。・・・やっぱり異国の妖怪達は私達の事を知らないものが多いみたいですねぇ。久しぶりですよ、こんな野蛮な視線。・・・受けるんじゃなかったこんな依頼。」

 

そう言って私は軽く人差し指をちょいと振る。

すると、少しばかり強い風が私の周囲を吹き荒れ、ザワザワと大きく木々を揺らし、私を襲おうとしていた妖怪達が風に巻かれて一目散に逃げ出した。

 

「あやややや、少し力を見せるだけで逃げ出す程度ですか。どうやら、この辺りには、まだ妖怪になりかけのものが多いみたいですねぇ。」

 

妖怪とは、主に人間の伝聞、噂、創作もしくは信仰から発生する存在であると言われている。

人間が吹聴する噂が広まれば、その噂は形を持ち妖怪となり、人間が畏れ、畏怖の対象とする地域があれば、そこに生息する生物達は皆、時間をかけて妖怪化していく。

私の住処に無断で侵入してはそんな良くわからない知識を勝手に与えてくる賢者様が言っていた事だ。

恐らく、この辺りに生息する野生動物達が妖怪になりかけているのは、この地域がここ十数年で何かしらの要因で人間から畏怖され避けられているからだろう。

 

「さて、こんな野蛮な地域に私を送り込んだ賢者様にはたんまりと報酬を要求するとして、さっそく目的の場所へと向かいましょうか。」

 

バサりと漆黒の翼を翻し、ゆっくりと飛行していく。

 

ある程度、山の深い所に入っていくと、突如、周囲に散在していた木っ端妖怪達の気配が無くなった。

そして同時に先程まで闇夜の暗闇を照らしていた月明かりが突如として朧気(おぼろげ)(かす)み始めた。

まるで、月が雲に覆われたように、周囲が光ひとつ見当たらない真っ暗闇になった訳だが、空を見てみると、雲ひとつなく、まるで月明かりだけが奪われているかのように空には(おぼろ)になった月が顔を見せている。

 

「なるほど・・・所々に妙な力も感じますし、ここから先が賢者様が言っていた地域ですね・・・では、その賢者様の警告通りこれを使わせてもらいましょう。」

 

そして、取り出したるは、あの賢者様の力が封じられている首飾り。

この首飾りは、めったに自分の力を見せたがらないあの賢者様の力が込められていて、どうやらその一部の能力を借り受けることができる魔道具であるらしい。

今回は、自分の存在を他者にバレないように、気配を完全に消すことができる力が封じられているようだ。

所々に感じられる結界にも感知されずに侵入する事も可能らしい。

この間、そんな能力で山に侵入されて萃香様のお酒を盗まれた事もあるし、この能力を疑う余地もない。

 

「・・・まあ、この首飾りがあっても、この地域には余裕で存在を看破してくる厄介な妖怪が()()()いるらしいですし、今回の依頼は本当に厄介な依頼なんでしょうね・・・。まったく、何が『見つかっても、貴方なら多分逃げられるし大丈夫よ』ですか・・・。こんな野蛮そうな地域に私を派遣するだなんて、あの人は私の事を自分の式神か何かだと思ってるんじゃないないですかね。・・・まあ、逃げ足には自信はありますけれど・・・」

 

とそんな文句を言いつつも、受けてしまった依頼はしょうがないと諦めてその首飾りを装着し、【境界を操る賢者様の力】で私の存在が限りなく薄くなったことを確認する。

ふう、と息を吐いて気合を入れる。

なにせ、ここから先は、あの賢者様、大妖怪「八雲紫」さんが私に監視を依頼するほどに、重要で一筋縄ではいかない領域だ。

存在を悟られないように、最善を尽くさなければ・・・

 

妖怪の夜目でもギリギリ見えるか、見えないかの真っ暗闇をゆっくりと進んでいく。

そうして所々に仕掛けられている結界をおっかなびっくりくぐり抜けながら、しばらく進むと、闇夜にぼんやりと浮かぶ美しい館を見つけた。

その館はまるで周囲の月明かりを根こそぎ奪っているかのように、真っ暗闇の闇夜に、もう一つの月の如く浮かんでいる。

そんな館の美しさにほぅ、と思わず息を吐く。

 

おそらく、ここが今回の監視対象。

闇夜に浮かぶ吸血鬼の館、【月光館】。

紫さんが私に、自分の代わりに監視するよう依頼してきた場所。

特に、そこに住まう妖怪の中で白銀の美しい髪を持つ吸血鬼の動向を()()()監視するように依頼されている。

今までは紫さんが直々に監視をしていたらしいので、それほどまでにその白銀の吸血鬼は重要な妖怪なのだろう。

 

ひとまず、様子を見るために館の中庭に降り立ち、こっそりと正面から館の中に侵入する。

紫さんの力が込められた首飾りのおかげか、館内外に無数にある結界にも感知される事なく侵入する事ができた。

 

・・・便利ですね、この首飾り。

この依頼が終わってもずっとほしいくらいです。

 

そうして、館の中に侵入した私はひとまず誰かがいる気配を感じる食堂のような場所へと向かった。

そして、そこで目にした光景をさっさと紫さんにもらった手帳に記録していく。

 

使いっ走りの烏天狗より定期報告

館に侵入しました。

食堂に妖精と妖怪がいました。

みんな和気あいあいと仲良さそうでした。

 

追伸:この間盗んだ萃香様のお酒の件で一発殴らせてください。悔しがって暴れる彼女を宥めるのに結構苦労しました。

 

そうして記録したものを紫さんから渡されている簡易的なスキマに投入する。

これで紫さんに私が記録したことが届くらしい。

いつ見てもとっても便利な能力で、羨ましい。

 

すると、少し経った後さっきの簡易スキマから返信のメッセージが届いた。

 

「あれ?ずいぶんと早い返信ですねぇ。えっと、なになに?

『もっと、ちゃんと記録しなさい。あと、萃香のお酒の件は身に覚えがないわ。あの酔っぱらいの妄言じゃないかしら』

ですって?・・・あの大妖怪、しらばっくれやがりましたね・・・。確かにあの酔っ払いの鬼は常にへべれけで大いに面倒臭いですけどね・・・それにしても、私はちゃんと見たままの記録を紫さんに送っているというのに・・・。記録をとるというのも案外難しいものなのですね・・・。うーん。どこかに私の見た光景をそのまま記録できるような便利な道具とかないかなぁ。河童に作ってもらおうかなぁ。」

 

そんな事を思いながらも、律儀に記録を作り直し、再度簡易スキマに投入し、そのまま監視を続けるために、妖精達の輪から一人離れた緑髪の妖精についていくことにした。

 

貴方を一発ぶん殴ることを決意した烏天狗より再度定期報告

(くだん)の館に到着しました。

とりあえず侵入したところ、幼い妖精と妖怪達を発見。

どうやら誰が、ご飯をこの館の主に持っていくのかを決めている様子。

結果、緑髪の妖精の子が持っていくことになったため、引き続きこの緑髪の妖精に着いていき、館の主の監視を試みます。

 

追伸:私は月のお酒とか飲んでみたいです。月のお酒をお土産にくれるのであれば貴方を殴るなんて野蛮なことはせずに、私は大人しくなるでしょう

 

 

【挿絵表示】

 

 

 


Great fairy perspective

 

 

「それじゃあ、今日は私がアズール様のお部屋までご飯を持って行ってくるね!」

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「くっそ〜!負けたぁ。」

【挿絵表示】

 

「うぅ〜。私がお姉ちゃんにご飯持って行きたかったのに〜。」

【挿絵表示】

 

「「「「「ずーるーいー!!再戦を要求するー!」」」」」

【挿絵表示】

 

チルノちゃんとルーミアちゃんと妖精メイドの皆が唇を尖らせて悔しがっている。

 

最近、毎日のようにしているアズール様にご飯を持って行く人を決める勝負。

今日の勝負はじゃんけんだった。

 

昨日は腕相撲でルーミアちゃんが勝って、一昨日は弾幕ごっこでチルノちゃんが勝って、その前の日は、ボードゲームで妖精メイド達が勝っていたから、今日はじめて勝てた!

嬉しい!

 

素の力では誰も、妖怪であるルーミアちゃんに勝てないし、弾幕ごっこはチルノちゃんが1番強いし、ボードゲームとかは妖精メイドの皆が得意だったから、唯一私でも勝てる可能性のある、じゃんけん勝負に勝てて本当に良かった。

 

・・・久しぶりにアズール様に甘えちゃおうかな・・・えへへ。

 

「皆、ごめんね!・・・でも、私もアズール様とお話したいもん!今日は譲れないよ!」

「そうだぞ!皆!勝負には大ちゃんが勝ったんだから文句を言うのは無しだぞ!」

「うぅ〜。まぁ、しょうがないのだ。私達の分まで存分に甘えてくるんだぞ〜。」

「「「「「次は負けないぞぉ!」」」」」

「あぅ...///皆に言われると恥ずかしいけど・・・そうだよね!久しぶりだもん。存分に甘えなきゃ、だよね!」

 

そう言って、私は本気で羨ましがっている皆に背中を押されて、食事のトレイを持ってアズール様のお部屋へと向かった。

 

 


 

 

アズール様が夢月さん達に攫われて、月光館に帰ってきてから今日で1週間が経過した。

この1週間はアズール様はベッドの上で寝たきりで過ごしている。

詳しくは教えてくれなかったけれど、アズール様は無茶をしちゃったみたいで、モルモーさんにベッド上安静でいるように言われているそうだ。

 

それに、アズール様は右目と右腕を失って帰ってきた。

初めは帰ってきたアズール様の惨状を見て、皆すごく心配して泣いていたが、アズール様が、「心配しなくても大丈夫です!」「魔法でどうにかなります!」と言っていて、アズール様自身もあまり気にしていない様子だったので、あんまり気にしないようにしている。

・・・内心はやっぱりちょっと心配だけど・・・

 

「も、もう我慢の限界です!ヴァルター!ほ、本当に出ちゃいますからぁ!!」

「遠慮せずに出しちゃってくださいアズール様!私はアズール様の執事です。例えどんな結果になろうとも、私はなんでも受け止めてみせます!」

 

アズール様のお部屋へと向かう道中、賑やかで楽しそうな声が聞こえてきた。

この声はアズール様とヴァルター様でしょうか?

御二方ともとっても楽しそうにお話をされているようです。

 

「あ!こ、こら...///動かさないでくださいヴァルター!そんな所で出しちゃったら大変な事に・・・。うぅ!くっ、この!い、いい加減にしなさい!」

「ひゃあぁん!?...///そ、そこは敏感なんです!い、いきなり握らないで下さい!・・・うぐぐ!こうなったら力ずくです!無駄な抵抗はやめてください、アズール様!観念してください!」

「あ、ちょ、待っ、ヴァルター!!腰を掴まないで下さい!!お腹を押さないで下さい!!」

「さぁ、アズール様!私はアズール様の為ならどんな事でもすると誓ったのです!どんな結果になったとしても私は全てを受け止めます!!」

「全てを受け止めるだなんて、そんな大それた状況じゃないですってば!・・・ちょっ、ま、ひゃう...///!?ヴァ、ヴァルター!!そんな激しくしないでぇ...///」

 

アズール様が帰ってきてから、月光館は毎日の様に賑やかになった。

まるで、アズール様がいなくて落ち込んでいた今までの分を取り戻すかの様に、皆が笑顔で楽しそうで、私もとっても幸せだ。

 

「ん...///ひゃぁ...///あぅぅ...///ヴァ、ヴァルターァァァ!?も、もう、む、無理です!無理ですってぇぇ!!意地張ってないで拘束を解いてくださいぃぃ!!」

「ダメです!!拘束を解いたら、アズール様逃げちゃうじゃないですか!それに私は意地なんか張ってないです!ほら、大丈夫です!我慢しないで、そのまま、身を任せて・・・」

 

今、アズール様は寝たきりになっている訳だが、身の回りのお世話はヴァルター様がしている。

あんまり大勢で押しかけちゃうと、アズール様のお身体に障ったら大変なので、私達の中から1人が代表で部屋に向かう事になっていて、皆きちんと(わきま)えている。

・・・ヴァルター様が治療と称してルーミアちゃんの能力でアズール様をベッドに縛り付けてるのはよく分からないけど・・・

 

鎖で身動きが取れないアズール様をヴァルター様が色々とお世話しているので、ヴァルター様は看病の為にもずっとアズール様にべったりだ。

・・・ちょっとだけ羨ましい。

 

ヴァルター様が毎日、甲斐甲斐しくアズール様をお世話して、今では大分とアズール様の調子が良くなってきた。

アズール様は前までは時折苦しそうにしている事があったけれど、それも少なくなってきて一安心だ。

 

「ひ、ひぅ...///ヴァ、ヴァルターも顔真っ赤じゃないですか!!そんなに恥ずかしいならもうやめましょう?ね?・・・いや、もう本当に!私も限界なので、許してください!勘弁してください!」

「は、恥ずかしくないです!主の下の世話をするのは執事の勤めです!こ、このくらい、私は平気です!」

「んへぁ...///!?し、下の世話なんて、い、言わないでぇ...///」

 

なんだか、今日はアズール様のお部屋から聞こえてくるヴァルター様とアズール様の声が大きい気がする。

お話が盛り上がってるのかな?

 

「ひぅ...///わ、私は身体は子供、中身は大人なんですぅ!!ほ、ほら、もうすぐ皆がいつもの様にご飯を持ってきてくれますよ?こんなとこ皆に見られるだなんて恥ずかしすぎて死んじゃいますからぁ!!あ、ちょ、こ、こら!ヴァ、ヴァルター!服を脱がさないでください!」

「だ、だってアズール様。脱がないと、汚れちゃったら大変ですから。」

 

そんなこんなで、私はアズール様とヴァルター様にご飯を届ける為にアズール様の部屋の前までやってきた。

今日のメニューはバナナスープとバナナステーキとバナナだ。

今日は1週間に1度のバナナの日。

アズール様のお口に合えば良いのだけれど・・・

 

「ひぁ...///!?あっ、だ、だめです、ヴァ、ヴァルター!も、もう我慢出来ません!!だめ、も、もう、でちゃいますぅ!!」

「ア、アズール様!我慢せず、だ、だしちゃってください!あっ、で、でも、だすなら、こ、ここに、ここにいれて下さいぃ!」

 

ガタガタガタガタ

 

ギシギシギシギシ

 

ん?

だす?

いれる?

 

なんの事だろう?

 

それに、今日は誰かがベッドの上で暴れてるように、ベッドがギシギシと軋む音が聞こえてくる。

 

一体、御二方は部屋の中で何をしてるんだろう?

 

とにかく、ご飯も持ってきているし、扉を開けて部屋に入っちゃおう。

 

ガチャり

 

「失礼します。アズール様、ヴァルター様。晩御飯をお持ちしまし・・・・っひゃあ...///!?」

 

晩御飯を持ってアズール様の部屋の扉を開けて中を見てみると、そこには服をはだけさせて涙目になっている半裸のアズール様と、そのアズール様の服を脱がして、アズール様に覆いかぶさって下半身に手を添えている、顔を真っ赤にさせたヴァルター様の姿が見えた。

 

「ひ、ひつれいしまひたぁ...///」

 

とんでもない所で部屋に入ってしまい、慌てて、バナナ定食を乗せたトレイを部屋の中に置き、部屋から退出する。

 

・・・わ。

 

わわわ!!

 

あわわわわ!!!

 

アズール様とヴァルター様のとんでもない所を見てしまった・・・

うわ...///

うわぁ...///...///

 

昔、図書館にあったちょっとエッチな秘密の本を皆に内緒でこっそり見た事があるけれど、そ、そういう事って本当にあるんだぁ...///

じ、実際に見たのは、は、初めてだよぉ...///

 

そ、それに本にはそういう事は恋人同士じゃないといけないって書いてあったし、ア、アズール様とヴァルター様って、やっぱりそんな関係だったんだ。

 

慌てて扉を閉めてから、その扉のすぐ前で、座り込んでうずくまる。

ふと右手を見ると、バナナ定食に付いていたバナナが1本握られていた。

 

・・・しまった。

焦ってバナナを置いてくるのを忘れちゃった・・・

 

あまりの事に頭は混乱し、心臓のドキドキは止まらなくなる。

それに、胸がキュンキュンと切なくなり、顔に熱が溜まって火照ってくる。

 

た、大変な所を見てしまった・・・

・・・御二方の邪魔をしないように、は、早く、離れないと・・・

 

・・・でも、正直、部屋の中で御二方がどんな事をしているのか、ものすごく気になる・・・

 

御二方には悪いかもだけれど、覗いちゃっても・・・良いかな・・・

 

そして、震える脚になんとか力を入れて立ち上がって好奇心のままに、こっそりと覗きをするために扉をそっと開けて覗こうとした、その時。

 

ガチャり

 

突如ガチャりと扉が開いた。

 

突然の事に驚いて身体が固まる。

 

開いた扉の先にはヴァルター様がいて、頬を真っ赤に染めて息を荒らげていた。

 

「はぁ、はぁ、だ、大妖精!」

 

ヴァルター様は、私の名前を呼ぶとバナナを持っていない方の私の左手をギュッと掴んできた。

 

「わ、わぁぁ!!?ご、ごめんなさいぃ!覗こうとしてごめんなさいぃぃ!!」

【挿絵表示】

 

そんな必死の謝罪も虚しく、私はヴァルター様に部屋に引き摺りこまれた。

 

パニックになりながらも、部屋の中に引き摺りこまれた私は部屋の中のベッドの上に視線を向ける。

 

「ひぐっ、えぐっ、うぅ〜。も、もうお嫁にいけません〜。」

 

そこには、顔を左手で覆って静かに泣いている、服をはだけさせて半裸になっているアズール様がいた。

 

あまりにも艶めかしいそのお姿に生唾と共に息を飲み込む。

 

バタン

 

「っ!?」

 

背後で扉が閉まる音がしてビクッと震える。

 

そして、手をギュッと掴まれたまま、ヴァルター様が私に言葉をかけた。

 

「ちょ、ちょうど良い所に来てくれました、大妖精!お願いします!助けてください!」

「・・・え?・・・ぇあ!?」

 

ヴァルター様に言われた事を脳内で処理できずに固まってしまう。

 

助けるって何を!?

・・・ナニを!!?

 

思わず私の視線は、半裸で息も絶え絶えな艶めかしい姿のアズール様と、息を切れさせたヴァルター様と、右手に握られている立派なバナナの間を右往左往する。

 

そうして、しばらくの間、部屋の中では固まって息を飲んだ私の心臓のドキドキ音と、息を切れさせたヴァルター様の吐息と、泣いているアズール様の嗚咽だけが響いていた。

 

 




【後書き】
どうも、2週間以内に投稿すると言って余裕で期限オーバーした愚か者ことまほろばです。
・・・はい。
第46話のお話自体は大分前に完成していたのですが、最終調整にかける時間がなく、ずるずる引きずってこんなにも時間がかかってしまいました。
活動報告にも書いていますが、投稿が遅れるのはプライベートが忙しくなっちゃっていてなかなか執筆時間が取れずに難儀していました。
それと東方アルカディアレコードにドはまりしちゃったのも原因の一つであることは秘密です。
さらに、今月、8月いっぱいまで忙しくなっちゃうため、次回投稿も遅れるかもです・・・
読んでいただいている方には本当に申し訳ないです。
もちろんこの作品は完結までの構想は作っていますし、諦めるのはもったいないので完結までは執筆しますが、何分リアルの時間が取れていないので、申し訳ありませんが気長に待っていただけると幸いです。


それはそうと、46話です!

今話から新章突入です。

今話は原作キャラクターの烏天狗様が登場いたしました。
ちゃんと登場するのはまだもう少し先なのでお楽しみにしていただけると幸いです。
八雲紫さんは他の用事で忙しくなってしまったため、友人である烏天狗にアズールの動向の監視を依頼したようです。
この時代にはもちろんカメラなんて無いので記録には紫さんが用意した手帳を用いています。
この烏天狗の方も記録をするのにカメラのような写真で簡単に記録できるものががあれば良いなあとは思っているようです。
・・・あれ、そういえば、アズールがカメラを作りたいとかなんとか、大分前の話で言っていたような・・・


それは、そうと恒例ですが、今話での作業用BGMを勝手ながら紹介させていただきます。
東方原曲から
東方ダブルスポイラー 取材のテーマ4 
『無間の鐘 ~ Infinite Nightmare』
東方Project第9.5弾『東方文花帖 ~ Shoot the Bullet.』のLEVEL8~10の撮影曲4より
『レトロスペクティブ京都』
を作業用BGMに使用させていただきました。

これらの神曲のプレイリストや、今話の作業用BGMに使用した理由や、感想など、以前の活動報告にあげさせていただきますので、以下にURLを貼りますので宜しければ御覧になってください。

第34話活動報告

第26話活動報告


それと、重ねて報告ですが、8月は本小説の更新が遅れてしまう可能性大です。
待っていただけている方には大変申し訳ありませんが、気長に待っていただけると幸いです。

もちろん次話はでき次第投稿しますので楽しみに待っていただけると嬉しいです。

今後も庇護録はまだまだマイペースに続いていきますので、これからもよろしくお願いいたします!!
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