シャルロットとの甘い日々   作:nightマンサー

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感想頂けてモチベーションMAXになった結果、
今日の仕事時間以外全て費やして書いてました…
しかも短編なのに馴初めと同じく長編、恐らく3話構成程になります。

注)こちら福音事件編ですが、基本シリアスになります。
勿論その分の糖分も後々用意する予定ですが、暫くは糖分控えめになりますこと御了承頂ければと思います。


福音事件編1 キミの想い、僕の想い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー臨海学校。

それは学校行事においての一大イベントと言って良いだろう。

クラスメイトと寝食を共にし、仲を深める。それが楽しくない筈がない。

 

「今11時です!夕方までは自由行動、夕食に遅れないように旅館に戻ること!いいですね!」

 

「「「「「「はーい!」」」」」」

 

山田先生の注意に元気よく返事するクラスメイト含む1年生達。

そんな中、一夏は布仏さん達クラスメイトに囲まれビーチボールに誘われている所のようだ。

その様子を俺は皆から少し離れた所に敷いたレジャーシートの上に座って眺めていた。

というか、布仏さんのあれは水着…なのだろうか?あ、リンが一夏の肩に飛び乗った。

更にシャルロットと、あのバスタオルでぐるぐる巻きになっているのはボーデヴィッヒか?

とにかく皆楽しそうに見える。

 

「織斑君達の所に行かないんですか?」

 

ふと声がした方に顔を向けると、そこには水着にパーカーを着た山田先生が不思議そうにこちらを見ていた。

ちょっと1人で考え事をしたくて、と山田先生の質問に答える。

 

「……シャルロットさんのこと、ですか?」

 

山田先生の言葉に思わず目を見開く。

 

「あ、別に顔に出てたとかでは無いですよ?ただ、あんな事があった後なので、そうなのかな…と」

 

そう言われて確かにと思う。

シャルルの秘密を知った後、俺はまず織斑先生と山田先生に相談した。

この学園で自分が信頼出来る大人がこの2人以外いなかったというのが大きいし、

何となくではあるが、織斑先生はシャルルが女の子であると分かっていた気がするからだ。

そうして相談すると山田先生は驚いていたが、織斑先生は納得顔をしていたので予想は当たっていたと思う。

その後色々手を回してもらってデュノア社CEOのシャルルの父親ーーーアルベール・デュノアと直接対面に成功した。

対面時のことは話すと長くなる上に色々と恥ずかしいので省略するが、

最終的にシャルルーーー本名シャルロット・デュノアは女性として学園に居られることとなり、

父親との仲もある程度改善したと言える等、考えうる最良の結果になったと言える。

勿論ここまでの事に後悔はない。

悩んでいるのはシャルロットが俺の事を好きかもしれない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)ということだ(・・・・・・・)

 

「えっ!?えっと、それは…」

 

目に見えて狼狽えている山田先生に、これだけ聞くと凄く自意識過剰で傲慢に聞こえますね、と苦笑してみせる。

するとその表情に何かあると察してくれた様で山田先生は再び聞く姿勢に戻ってくれた。

シャルロットが俺に好意を持ってくれているのは、学年別トーナメント後のとある出来事でそうなのではと思ったからだ。俺は一夏みたいに鈍感ではないし、シャルロットのあの(・・)アプローチは流石にそうなのではと考えてしまう。

勿論、シャルロットみたいな可愛い子に好きになってもらえるなんて嬉しい。

ただ…自分はその好意を素直に受け取れない。

シャルロットが俺のことを好きになってくれたのは、たまたま助けたのが俺だったからというものだ。

自己承認して欲しいシャルロットの弱味をついて、受け入れ助けたのが俺だったというだけ。

それに、女尊男卑のこの世界において女性に嫌悪感を抱いていない男性はかなり稀だ。

自分も女性に対して嫌悪感を抱かせるような事をされてない、なんて事は残念ながらないのだ。

シャルロットは俺の事を優しいと言ってくれたが、この優しさは打算の塊だ。

優しくしていれば、昔のようにターゲットにされ理不尽な目にあわないからという処世術の1つにすぎない。

だからシャルロットが転入してきた日のお昼に言われた混じりっけなしのお礼には、驚いて固まってしまった。

 

「っ……そう、ですか」

 

言えない部分以外をざっくりと掻い摘んで山田先生に伝えると、

山田先生も世間の風潮に思うことがあるのか少し悲しげな表情で押し黙った。

それと山田先生の手前、口には出さないが、IS学園に入学なんて正直に言えば遠慮したかった。

それでも2番目の男性IS操縦者の立場の危うさを考えれば、この方法以外に身の安全が保証されない事も理解出来たから此処にいるのだ。

何せ自分には強力な後ろ盾がない。

一夏はあの最強のIS操縦者と名高い『ブリュンヒルデ』の異名を持つ織斑先生の弟であり、

ISを生み出した天才科学者の篠ノ之束と面識がある。

ここまでIS関係で強みがあれば一夏を狙おうとする者はそうそう居ないだろう。

では自分はどうかと言われれば、本当に平凡である。

父親はサラリーマン、母親は専業主婦。兄弟は居ないし有名人に知り合い等、尚更居ない。

そんな自分と一夏が居て、何か良からぬことを企む者達がいた場合に狙うのはどちらか。

専用機持ちの一夏の方が自分より価値が高いのは確定であるが、それは自分と一夏の2人のみで比べた時だけだ。

そもそも男性でISを扱えると言うだけで実験体として利用できるのだから、

自分と一夏のどちらが狙いやすいかなんて火を見るより明らかだろう。

 

ーーーそれは奇しくもスパイをしていたシャルロット自身が証明しているのだから。

 

「……1つ、聞いてもいいですか?」

 

暫し沈黙していた山田先生がこちらを見て聞いてきたので、どうぞと促す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教師としてこの発言は失格なのを承知で聞きます。どうしてシャルロットさんを(・・・・・・・・・・・・)助けたんですか?(・・・・・・・・)

貴方ならシャルロットさんをつき出す方が、よっぽど安全で確実だと分かっていたはずですよね?」

 

 

 

その単純な筈の質問に、自分は…答えることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

温泉に浸かりながら、山田先生から言われた質問への答えを考えていたが結局答えは出なかった。

そうして温泉から上がり浴衣に着替えて、今は大広間にてクラスメイトと共に旅館の夕食を堪能していた。

刺身に鍋と種類も豊富で何より美味しい。

ちなみに席順だが、シャルロット、俺、一夏、セシリアの順である。

勿論、俺は一夏の両隣を空けるように座ったのだが、あろう事かこの唐変木…俺の横に詰めてきたのだ。

お陰で箒とセシリアがジャンケンで最後の1枠を取り合う事になり、少し離れた位置から箒が睨んでくる始末。

因みにラウラは最初の両隣争奪戦で敗退している。

 

「うん、美味い!流石本わさ!」

 

そんな俺の気苦労も知らず、一夏は刺身を堪能していた。

 

「本わさ?」

 

一夏の言葉にシャルロットが刺身の隣に添えられている本わさびをーーーっ!?

 

「ど、どうしたの?」

 

シャルロットが添えられている本わさびの塊をそのまま食べようとしたのを見て、

咄嗟にシャルロットの手を抑えて止めていた。

慌てて手を離して、これは刺身に少量付けて食べるものだと教える。

そうやって教えていると、一夏の隣のセシリアが鼻をつまみながら言葉にならない叫びを上げていた。

 

「も、もし僕も食べてたらセシリアみたいに。キミが教えてくれて助かったよ、ありがとう」

 

顔を赤らめながらシャルロットがお礼を言ってくれる。

それに対して良かったと早口に告げて、俺は食事を再開した。

 

 

ーーーシャルロットを前にして、質問への答えが一層分からなくなったのを誤魔化すように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この臨海学校での部屋割りは基本4人1組となっている。

けれど、彼と一夏は騒動を起こさない様にするため、特例としてそれぞれ山田先生と織斑先生と同じ部屋になっている。

それでも彼と話をしたくて、彼の部屋の前までやってきたのだけれどーーー

 

「あの、これはどういう?」

 

「丁度来たんだ。それに、デュノアにも聞いておきたかったしな」

 

何故かラウラ達と共に一夏と織斑先生の部屋にいた。

因みにこの隣の部屋が彼と山田先生の部屋になる。

 

「それで?お前たち、アイツらの事をどう思ってるんだ?」

 

織斑先生は缶ビールを飲みながら私達5人に問いかけた。

この質問がそれぞれラウラ達は一夏、僕は彼の事を聞かれているということはすぐに分かった。

 

「わ、私は一夏が弱いままなのが許せないだけで…」

 

「わたくしも、クラス代表としてもっとしっかりして欲しいだけで…」

 

「一夏とは、た、ただの幼馴染だし」

 

「その、一夏とは…」

 

各々言いたいことはあるのだろうけど織斑先生の前だからか、いつも嫁と公言しているラウラも尻込みしているようだ。

 

「僕は、彼のことが好きです」

 

そんな中、僕はハッキリと彼への想いを口にした。

ラウラ達が驚いているのが視界の端に映るが、今は織斑先生の目をしっかり見ることに専念する。

 

「ほぅ?他の4人ははぐらかしたのに、はっきり言ったな」

 

「…僕は自分自身を嘘で塗り固めて、この学園に来ました。そして、彼と出会った。

彼は、そんな嘘まみれの僕を優しく受け入れてくれた。嘘がバレた後でも変わらずに。

そんな彼に対して、もう嘘はつかない…つきたくないって思ってます」

 

女であることを偽って学園に来た僕に、彼は最初からずっと優しく接してくれた。

嘘がバレた時も、その後の父親との対面でも、彼は僕の傍に居てくれた。

 

「彼の優しさが、僕は言葉で表しきれないくらい嬉しかったんです。

そんな彼のことが、僕は大好きなんです」

 

僕が言い終えると、織斑先生はこれ見よがしにため息をついた。

 

「はぁ。からかってやるつもりが、何とも大層な惚気を聞かされた気分だ」

 

「っ!す、すみません!」

 

織斑先生に言われて、先程まで彼について熱弁していた事に対して急に羞恥心が湧いてきて顔が熱くなる。

 

「確かにデュノアの言う通り、アイツは真面目で優しく気配りも出来る。何より一夏と違って女の機微にも疎くない。

ある意味、一夏以上の優良物件だろうな」

 

織斑先生の言葉に僕を含めた5人が驚く。

正直に言うと、織斑先生がここまで誰かのことを褒めるとは思わなかったからだ。

そこまで言ってから織斑先生は徐に真剣な表情で、僕に向けて続けてこう言った。

 

「……だがなデュノア。いや、だからこそ、か(・・・・・・・・・・)。アイツを落とすのは一夏を落とす以上の至難の業だと思え」

 

 

 

 

ーーー次の日、僕はこの時の織斑先生の言葉の意味をもっと深く考えるべきだったと、後悔することになる。

 

 




読んで頂きありがとうございます。
あの世界、女尊男卑の割には女性が水着で彼氏に嫌われるとか言ってたりしていて、
その辺の発言のお陰でどういった世間なのか正直分からんです…
一応この短編時空では女尊男卑で一般的にありえそうな事を軸にしていく予定です。

シャルの心の準備が……

  • 出来た(R-18作成)
  • まだ出来てない(本作のみ)
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