やはりシャルは可愛いですね。ほんとシャルみたいな彼女が欲しい…
夏休みも明日で終わりの8月30日。
今日はシャルとラウラの買い物に付き合っている。
「ねぇラウラ、こっちのとかどうかな?」
「それは…今着ている服と同じ色ではないか?」
「それはそうなんだけど、ラウラが今着てるのって制服だから…キミはどう思う?」
はじめは女の子だけの方が良いのではと遠慮しようとしたのだが、
シャル曰く男である俺の意見も聞きたいとの事なので邪魔でなければと同行することに。
そんな訳で現在、IS学園から1番近い大型商業施設『レゾナンス』の女性向けの服が置いてあるフロアで物色している最中だ。
シャルからの質問に俺は見せられた服とラウラの組み合わせを考える。
確かに白も良いが、個人的にはラウラは黒、もしくは紫等の色が強めなものが似合いそうなイメージがある。
「なるほど、だったら……これなんてどうかな?」
俺の言葉からシャルが次に手に取ったのは紫色が主体のワンピースタイプの服だ。
胸元とスカートの先が白色で腰部分にピンクのベルトのようなものが付いており、可愛い系の服である。
あっさりと自分が言った感じの服を見つけるシャルに驚きを感じつつ、うんうん頷く。
「ラウラはこの服どう?」
「そうだな…可愛いし、その…悪くない」
「だったら実際に着てみようよ、ね!」
「わ、わかった、わかったから押すな!?」
そう言ってシャルは持っていた服をラウラに渡し、試着室にラウラを押し進めていく。
流石に試着室まで一緒に行くとあらぬ誤解を招きそうなので一旦店の外で待つことにした。
さっきまで店にいた大半の女性がシャルとラウラを追って試着室に向かって行ったため店の入口辺りであるここは少し静まり返っていた。
見渡すとこのエリアは女性向けの服や靴、アクセサリーなんかをメインとしている様で、男の俺は凄い場違い感を感じてしまう。
じっとしているのも落ち着かないので、手近にあったアクセサリーコーナーを見て回ることにした。
よく見てみると女性向けのアクセサリーの他にペアリングの様なものもあり、見ていて結構楽しめる。
そんな中、ふと1つのペアネックレスに目がいく。
紺色とオレンジ色のラインが入った細長い銀板で、2つを組み合わせる事で銀板に描かれた模様がハートとなるペアネックレス。
「そのペアネックレスがお気に召しましたか?」
不意に声を掛けられ驚きつつ声がした方を見ると、店員と思われる人物が立っていた。
「もしかして、彼女さんへの贈り物です?」
そう言われて反射的にシャルの顔が頭に浮かぶ。
だが流石に付き合いだして日が浅いのに、いきなり且つ最初のプレゼントがペアネックレスというのは少し重くはないだろうかと店員に聞いたところ…
「大丈夫ですよ。彼女さんって先程まで一緒にいた金髪の女性の方ですよね?なら絶対に大丈夫です!」
何故シャルが彼女だとバレているか疑問ではあるが、店員さんから絶対喜ばれると押されに押され、
元々良いなと思っていた事もあり、購入することに。
サービスで銀板の裏側に名前を彫ってくれるとの事で、シャルと自分の名前を伝えて掘ってもらった。
店員さんは終始ノリノリで名前掘りとラッピングを行って、商品を渡す際お幸せに!と良い笑顔で言ってきた。
ちなみにこの一連の流れの間もラウラの試着は続いていた様で、試着室の方からシャッター音が鳴り響いていた。
◆
「いらっしゃいませ。
シャルは執事服、ラウラはメイド服に身を包み現在接客を行っていた。
何故こうなったのだろうか。
主にラウラの服を買い終え、カフェで休憩をとっていた所にカフェの店長である人にバイトを急遽依頼され、
あれよあれよと今の状況に。
ちなみに俺は店長のお眼鏡に叶わなかったので、普通にお客として利用している。
一応買い物の邪魔をしてしまったという事でコーヒーを奢ってもらったが。
「いやぁ、2人とも良い人材だわ。このままずっと雇いたいくらい」
近くまで来た店長が誰に言うわけでもなく、うっとりと言った感じで呟いた。
確かにシャルもラウラも可愛いし綺麗だ。この2人が看板娘なら2人目当てに通う人は多いだろう。
ただ個人的に残念なのはシャルが執事服という点だ。
折角なら絶対に可愛いであろうシャルのメイド服姿を見てみたかったと思うのは許して欲しい。
しかしシャルは男装していたのもあってか執事姿は確かに似合っている。女性客にはとても人気な様で先程シャルが紅茶を持っていった女性客の目がハートになっているように見える程だ。
ラウラの方は大丈夫かと目をやると、何故か冷たい態度で接客しているラウラにお礼を言っている男性客。
うん、人の癖は自由で在るべきだ。ラウラの方も問題ないようだと安心した。
そうして平和に時間が過ぎる、そう思っていたのだが…
「動くんじゃねぇ!動けば撃つ!」
「逃走用の車を用意しろ!追跡車や発信機を付けるなよ!!」
突如覆面の男が3人店内に入ってきたかと思うと、内1人が威嚇で拳銃を発砲しカフェを占拠した。
金が溢れている鞄を持っており、どうやら銀行強盗か何かであるようだ。
ISを使えば余裕で強盗を無力化出来るが、こういった時のISの起動は確実に規則違反になる。
「おい、そこのメイド!喉が渇いた、メニュー持ってこい!」
違反してでも安全を確保すべきか考えていると、強盗の1人がそう言ってメイドに声をかけた。
が、幸か不幸かそのメイドは強盗が来てからも動じていないラウラだった。
ラウラは態度を崩すことなくお盆を持って強盗達に近づいた。
だがラウラの持ったお盆には氷が山盛り入ったグラスが3つだけでメニューはない。
「あぁ?なんだ?」
「水だ、飲め。ただし、飲めるものなら、な!」
その言葉と共にラウラはお盆を真上に放り投げた。
氷が宙を舞う中、ラウラもその場から跳躍し氷を指で3つ弾く。
弾いた氷はそれぞれ強盗達の拳銃を持つ手、目、喉に直撃し強盗全員が怯む。
その隙を逃さず、ラウラは1番近くにいた強盗に重力落下で勢いをつけた膝蹴りを腹にくらわせた。
膝蹴りをモロに食らった強盗は泡を吹いてその場に崩れる。
「巫山戯やがって、この餓鬼が!」
いち早く復活した1人がラウラに向かって発砲。ラウラはそれを難なく避ける。
そうしてラウラに意識がいっている隙をつきーーー
「1人じゃないんだよ、ね!」
死角からシャルが回し蹴りを強盗の側頭部に叩き込んだ。
「目標2、制圧完了。ラウラ、そっちは?」
「目標3、こちらも制圧完了だ」
そう言って強盗を無力化したシャルとラウラ。
2人の行動が早すぎ且つ的確で何も出来なかったことに悔やみつつ声を掛けようと近づこうとしたその時ーーー
シャルとラウラの死角。怯んでいたと思われる最初に拳銃を落とした強盗が拳銃を取ろうと手を伸ばしているのが見えてしまった。
そう気付いた次の瞬間、俺は走り出していた。
強盗が拳銃を掴みシャルへと銃口が完全に向く1歩手前で俺は強盗の腕を掴み、シャルに銃口が向くのを阻止する事に成功した。
「な!?クソ、この野郎、離せ!!」
拳銃をシャルに向けられないように必死で抑えることに集中していて、
言葉と共に繰り出された強盗の蹴りを避けられず、腹部に直撃した。
猛烈な吐き気と共に蹴られた衝撃で後ろに倒れ込む。
「死ね、クソガキぃ!」
1度シャルに向けられかけた銃口が今度は俺の頭辺りを狙うように向いた。
「彼に、何してるんだっ!!」
瞬間、強盗が構えていた腕がシャルによって蹴り上げられ、そのまま蹴り上げた脚が勢いよく振り下ろされ強盗の眉間に叩き込まれた。
所謂かかと落としをモロにくらって強盗は白目を向いて今度こそ意識を手放した。
◆
強盗を今度こそ全員無力化した後、
自分達が代表候補生、2人目のIS男性操縦者だとバレると色々と面倒事になるのでこっそりと抜け出してきた。
今はシャルが行きたいと言っていた臨海公園にあるクレープ屋へ向かっている最中なのだが…
「ねぇ、本当に大丈夫?無理してない?」
先程強盗に蹴られた事でシャルがしきりにこちらを心配してくるのである。
勿論シャルに気遣われて嬉しくない訳はないのだが、正直に言うと殆ど何も出来なかったばかりか、結局シャルに助けられてしまった事実に男として情けないと感じていてかなり複雑だ。
1度蹴られただけで痛みも既にないから大丈夫だと再度伝える。
「そう?なら、いいんだけど…」
「何度も大丈夫だと言っているんだ、シャルロットも信じたらどうだ?」
ラウラの言う通り、このやり取りも既に3回目である。
これでも良くなった方で、最初のうちはクレープ屋に行かず学園に戻ろうとしていた位だ。
そうして話をしているうちに目的のクレープ屋に到着した。
「すみません、クレープ3つ下さい。ミックスベリー味で」
来る途中にシャルから聞いたのだが、ここのクレープ屋のミックスベリー味を食べると恋が叶うという噂があるらしい。
シャルと自分は既に叶っているが、恋の噂は往々にして女性は気になるものである。
それに現在進行形で一夏を想っているラウラにとっては無視出来るはずもない。
「あ〜ごめんなさい。今日ミックスベリーは終わっちゃったんですよ」
だが夕方で時間が遅かった為か、ミックスベリー味は既に売り切れしまっていた。
それを聞いてシャルは残念そうにしていたが、ラウラは何か気付いたかのような顔をしていた。
「あぁ、そうなんですか…ラウラ、別のにする?」
「ん?あぁ…じゃあ私はオレンジを、2人にはそれぞれ苺とブルーベリーを頼む」
その注文を聞いたクレープ屋の店員は少し驚いた様な顔をした後、優しい笑顔で応対した。
◆
「んっ、これ美味しいね」
「そうだな。クレープの実物を食べるのは初めてだが、美味いと思うぞ」
シャルが苺の、ラウラがオレンジのクレープを食べながら美味しいとクレープを食べ進める。
俺もブルーベリーのクレープを1口。クレープを食べるのは久しぶりだが、それを抜きにしてもとても美味しい。
「ミックスベリー無くて残念だったね…ラウラが次に一夏と来る時にはあるといいね」
シャルがそう言うとラウラはキョトンといた顔をして気付いたことを口にした。
「あぁ、それだがなシャルロット。あの店にミックスベリーはそもそもないぞ」
「え?」
「メニューにも無かったし、厨房にもそれらしい色のソースは置いてなかった」
淡々と事実を並べるラウラによく見てるねと関心するシャルと俺。
「だがな、ミックスベリーを食べることは可能だぞ?」
そう言ってラウラはしたり顔でシャルと俺の手元のクレープに視線をやる。
そこまでヒントを貰って俺もようやく噂のミックスベリーがどういうことか理解した。
シャルもわかったようで驚いた顔をしている。
「あぁ!ストロベリーとブルーベリー!」
そう、つまり噂のミックスベリーとはストロベリーとブルーベリーのクレープを食べあう事なのだろう。
道理でミックスベリー単体でのクレープが無いわけだ。ミックスベリーを作るその行為自体が大切なのだから。
「それで?ミックスベリーは食べないのか?」
「えっ!?それは…そのぅ…」
ラウラに言われ顔を赤らめつつ、俺を上目遣いでチラ見するシャル。
本当に、この仕草をさらりとやってしまうのだから、俺の彼女は恐ろしい。
どうぞ、とシャルに向けてブルーベリーのクレープを差し出す。
「っ、うん!…あ、あ〜ん」
シャルの小さな口が開き、差し出したブルーベリーのクレープを食べる。
食べた際に口元に付いたクリームを掬って舐める仕草は言ってはなんだが、凄く扇情的だ。
「じゃ、じゃあ次は僕だね!?」
恥ずかしさを誤魔化す為なのはバレバレなのだが、そこは言葉にしないのが礼儀だろう。
「はい…ど、どうぞっ」
まるで花束を渡すかの如く両手でストロベリーのクレープを持ちこちらに差し出してくる。
こういった食べさせ合いは初めてではないのだが、シャルが相手だからか未だに慣れる気がしない。
恥ずかしさで一杯になる前にシャルの持つクレープを1口食べる。
「ど、どう?」
味の感想を聞いているのだろうが、正直クレープの味よりシャルからの『あ〜ん』が強烈過ぎて、
良かった、と味の返答にしては曖昧なものになってしまった。
その後も食べさせ合いはしたのだが、クレープが無くなる頃には俺もシャルも恥ずかしさが振り切ってしまい、
学園に戻るまでお互い顔が赤いままだった。
買ったペアネックレスは次の機会に渡すことにしよう…
「なるほど。これがクラリッサの言っていた『リア充爆発しろ!』という奴だな」
そんなラウラの呟きが聞こえたような気がした。
今回の話はIS2にあるシャルとラウラの買い物の話をベースに作成しました。
というのも次書こうと思ってる話の前準備にこの話が丁度合っていたので。
それと一応この後2話位までの話は決まっているのですが、その後は未定なので、
折角なので初めてアンケート機能を使って皆さんの読みたいお題を書きたいと思います。
それでは、読んで頂きありがとうございます。
よければアンケート回答頂けると嬉しいです。
短編お題
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シャルとプールor海デート
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シャルとお家デート
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シャルの看病
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シャルと学園祭
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シャル猫化(猫耳・尻尾のみ)
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シャルとの馴れ初め
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いつメンに聞くシャルとキミ(読み手)
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上記以外