ブレイク・フリー   作:路傍の砂利

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閲覧ありがとうございます!
第2話です!

今回は後書きにてスタンドの能力を書いていますので、よければ見てください!

もっとこうしたほうがいい、などのアドバイスございましたら是非お願いします!


ホット・リミット その②

 「果たして……彼は選ばれた人間なのか……」

 

 彼らの預かり知らぬところで、人知れずそんな呟きがもらされた。

 一体、誰にたいして呟かれたものなのか見当はつかない。しかし、そう呟いた男の眼前には大きな校庭と、そこにいる三人の姿が広がっていた。

 

 

 ◆◆◆

 

 「っ!?」

 「おっと、そう簡単にはいかせられないぜ」

 

 もがき苦しむ彼に駆け寄ろうとする西宮だったが、やはりその行く手は阻まれる。

 

 「さて、これで俺の目的も半分は達成ってとこだが……」

 「……」

 「まぁ、そりゃこうなるわな……」

 

 西宮はおもむろに半身の姿勢をとった。それは彼にとってルーティーンのようなものだった。彼が覚悟を決め、その力を行使するときにいつも行う儀式のようなものだった。

 すると半身になることでできたスペースに明らかな違和感を覚える。

 そう、なにかが存在しているのだ。

 それは『そばに現れ立つもの』 《stand by me》

 そしてそれは『立ち向かうもの』 《stand up to》

 人々はそれをスタンドと呼ぶ。

 

 「それがあんたのスタンドってわけかい」

 

 スタンドは使い手の精神の具現化である。だが、西宮のスタンドは彼に似つかわしくない雰囲気をまとっていた。

 例えるなら、喜劇を演じる道化師。チャップリンの映画にでも出てきそうな可愛げがあった。

 

 「俺は別に善人って訳じゃあない。だが……正しい道がなんなのかは知っているつもりだ」

 「覚悟しろ、外道。俺のスタンドは手加減をしらない」

 

 その時、男は戦いの火蓋が切られたのを肌で感じた。そして西宮のスタンドが何かしらの攻撃をしてくることを予期した。

 それに呼応するように男もスタンドを発現しようとする。

 が、しかしそれはあまりに刹那の出来事すぎた。

 

 「ぶべらぁぁ!」

 

 は、速い……!

 

 気がつけば顔面を殴られていた。目にも止まらぬ速さとはまさにこのことだと男は思った。

 確かに油断もしていた。距離もそこそこあるし、自分にもスタンドを発現させるくらいの余裕はあるだろうとタカをくくっていたのも認める。だが、男はそれなりに場数を踏んでいるし、反射神経にも多少の自信があったのだ。だというのに反応すら出来なかった。

 

 「ホット・リミットォ!」

 

 男の表情から余裕がなくなった。即座に自身のスタンドを発現させ、反撃に転じる。

 

 「っ!?」

 

 一発、二発、三発。そのすべてが掠りすらしない。

 確かに男のスタンドは近距離が得意な方ではない、どちらかというと中距離型だ。何度かこの手の……いわゆる近距離パワー型と戦ったことはあるがこんなにも歴然とした差を感じたのはいままでで"一人"しかいなかった。

 

 「ぷっ、くふふふふふ」

 

 どういうわけか男は突然笑い始めた。しかも、それはちょっとした笑いってわけでもなく大笑いだった。

 困惑したように西宮が問う。

 

 「? なにがおかしい?」

 「あー、いや失敬。ほらピンチのときほど笑えっていうだろう。つまりはそういうことだよ」

 

 そうだ、落ち着け。落ち着いて勝利のために必要なことをするんだ。

 

 男にとって笑うというのは自らを落ち着けるルーティーンのようなものだった。

 どんな逆境であっても笑えばなんとかなる気がしたし、自分が余裕を感じているような気がする。

 そう、落ち着いて考えれば、ただすこし速くて強いだけ。それだけだ。

 

 さっきの男の奇行は西宮にすこしの動揺を抱かせた。有り体にいえば気味が悪かったのだ。

 ただ、それだけではない。うまく言葉にできないが、男にまだ隠していることがある気がした。

 

 早めに勝負を決めるべきだ。

 

 西宮のスタンドはとどめをさすべく男に迫る。

 それに対して男のスタンドが手をかざす。

 

 「!?」

 

 結論からいうと西宮の攻撃は空振りに終わった。勝負を決めようとするには、まだ時期尚早すぎたのだ。

 ただ、西宮の頭に疑問が生まれる。自分は確実に男の顔面にパンチを当てたはずだった。それに男は自分のスタンドのスピードについていけていないようだった。故にあれは確実に当たっているはずだったと。

 

 そう、あれは当たらなかったのではない。

 まるで同極の磁石を近づけたときのように、男の顔面から逸れたのだ。

 

 自分の攻撃が当たらない。であらば無闇に行動に出るのではなく、様子見に徹するのがセオリーだ。

 しかし……

 

 「ぐっ……」

 

 西宮の目的は敵を倒すことだけではない。目下、最も重要なのは巻き込まれた一般人である彼を救出することなのだ。

 ならば……

 自らの渾身の連打を叩き込むだけだ。

 

 「ウラララララララララララ!」

 

 しかし……

 

 「焦ったな」

 

 その渾身の連打はただの一発も当たることはなく……

 

 「焦っちゃあいけないぜ。焦燥はいつしか恐怖になり、そして恐怖は人を無能にする」

 

 なにかが、爆発した。




スタンド名:ブレイク・フリー

【破壊力 - A / スピード - A / 持続力 - B / 射程 - C / 精密動作性 - D / 成長性 - A】

能力:触れたものの重力の向きを変えることができる。向きを変えることができる物体はひとつだけで、一度向きを変えると射程距離外にでるまで直線的にその向きで加速していく。
精密動作は苦手。破壊力に関しては承太郎のスタープラチナや仗助のクレイジーダイアモンドに劣るが、ラッシュ(拳)の速度は彼らのスタンドを上回るほど速い。
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