ウマ娘×仮面ライダー   作:名無し

16 / 35

※一部不愉快な描写、表現があります



ビコーペガサス×氷川誠

ビコー「なあなあヒシアマ姐さん!」

 

ヒシアマ「ん?なんだいビコー」

 

ビコー「アタシたちってさ、ここを卒業したら…どうなるんだ?」

 

ヒシアマ「え?そりゃあ…何年かはプロでやっていって、そのあとは就職なり嫁いだりすりゃ良いんじゃないのかい?」

 

ビコー「…警察とか…か?」

 

ヒシアマ「そりゃあ、確かにウマ娘の体の特性を活かして警察に行く子たちも多いけど……いきなりどうしたんだい、この前のお出かけで何かあったんじゃないだろうね?」

 

ビコー「…無かったわけじゃないけど……うーん…」

 

ヒシアマ「…話してみなよ、相談には乗るよ」

 

ビコー「…アタシはさ、キャロットマンがすごくカッコいいと思ってるし、憧れてる…もちろんそこは変わってないけど…

警察ってさ?ウマ娘の警官もたくさんいるし、強くてカッコいい…とは思うんだけど…」

 

ヒシアマ「…ははーん…警察は警察でも、人間の警察で何かあったね?」

 

ビコー「……うん」

 

ヒシアマ「何があったんだい?…そういえば、この前出かけた日、遠くでニュースになるくらいの事件があったね…もしかして…」

 

ビコー「うん…実は…」

 

 

 

 

 

ビコー「へっへーん!新しいキャロットマンのアイテム!1番に手に入れたぞ!…ん?」

 

オモチャ屋さんの表から悲鳴が聞こえる

 

ビコー「なんだなんだ!?アタシのキャロットマンキックで…!」

 

表の通りで行われていたのは…闘いというよりは、最早喧嘩に近いものだった

その辺に落っこちているポケットナイフなどの刃物

そしてそれから滴る血液…

 

あまりにも、リアルな暴力の姿…

何人もの男達が、ひとりのウマ娘の前に殴り倒されていた

 

小さい頃から何度も何度も習う事、人間とは体の作りが違うから

決して人間に手を出してはいけません

 

ビコー「…ぁう…」

 

それが破られた姿を初めてみた、そして、言葉を失った

 

お互いに傷を負っていることからどちらが仕掛けたなんて判らないけど…

こんな喧嘩は止めなくてはいけない…

だから、ヒーローみたいに勇気を出して…

 

ビコー「…っ…ゃ、やめ……っ…」

 

声が、出てこない…

 

ヒーローは、いつもこんな気持ちで立ち向かわねばならないのか

ヒーローを呼ぶときは声を出せたとしても…ヒーローとして声を出すのが、こんなに難しいなんて…

 

ビコー「っ?」

 

バイクやパトカーの音が近づいてくる、サイレンの音ともに

 

氷川「ここか…!止まれ!警察だ!」

 

来たのは人間の警察…でも、警察が来たなら…

 

氷川「暴行罪で逮捕する!」

 

警察が次々に手錠をかけ始める

 

ウマ娘「っ!」

 

落ちていたナイフを掴み、ウマ娘が走って逃げる

 

氷川「あ!待ちなさい!」

 

ビコー(…お、追いかけなきゃ…!)

 

何故かはわからないけど、ここで黙って見送るのは…アタシの中で何かが死ぬ気がして…それはできなかった

だから追いかけた、アスファルトの上を全力で走った

追いかけてる相手は走ることを想定していなかったのだろう、ただ出かけるためだったの靴だったのだろう

靴がどんどん擦り切れて、破れて、速度が目に見えて落ちて…

 

とうとう、人気のない場所でアタシ達は立ち止まり、向かい合った

 

ウマ娘「……アンタ、みた事ある…現役でしょ」

 

ビコー「…だったら…?」

 

…向けられた視線が怖い

目が、怖い…おかしくなってるってわかった、言い表せない恐怖が…アタシの脚に絡みついて…

 

ウマ娘「み、見逃してよ、私さ!現役のときろくに成績残せなくて!こんな事で逮捕されたらもうこの先の人生真っ暗なの!」

 

ビコー「えっ?」

 

ウマ娘「そ、それに…あの喧嘩だって向こうから吹っかけてきたし!…ねえ、お願い…もし逮捕されて前科なんてついたら…知ってる?ウマ娘の暴力沙汰の前科者は再就職がすっごく難しいんだって…」

 

ビコー「で、でも…」

 

ウマ娘「あー!もう!!」

 

ビコー「えっ」

 

目の前のウマ娘が、先ほどの血のついたナイフを振り上げる

 

ビコー「っ……?」

 

思わず目を閉じた、刺されたと思ったけど…痛くない…

 

ウマ娘「警察…!追ってきて…」

 

さっきの警察の男がナイフを受け止めて取り上げる

 

氷川「拾得物を回収…署まで御同行願います」

 

ウマ娘「い、嫌だ!…つ、強…!?」

 

警察の男が…人間が、ウマ娘を素手で拘束して

 

氷川「通報内容からあなたが先に仕掛けたわけじゃない事は聴いています、だから落ち着いてください!これは逮捕じゃない、任意同行です!」

 

ウマ娘「え…?」

 

氷川「さあ、立って」

 

そうしてそのまま警察の男はウマ娘を連れて行った

 

 

 

 

ビコー「ってことがあってさ…アタシわかんなくなったんだ、ウマ娘って…強くて良いのかな…って、たくさんの人間を一方的にボコボコにする力なんて、持ってて良いのかなって

…確かに生きてたら辛くて、苦しい事もあって、むしゃくしゃしちゃう時…そんな時に、力が有ると…」

 

ヒシアマ「ムシャクシャなんてそりゃあある、みんなにあるさ」

 

ビコー「ヒシアマ姐さんにもある?」

 

ヒシアマ「あるある、ちゃーんと野菜食べない奴がいたりしたらそりゃあカンカンだよ」

 

ビコー「…どう思う?」

 

ヒシアマ「ヒーローのことはよくわからないけど…その人間すごいねぇ、現役じゃないにしてもウマ娘を抑え込めるなんて」

 

ビコー「そうじゃなくて!」

 

ヒシアマ「じゃあ色んな奴に直接聞いてみたら良いんじゃないかい?アタシは…ビコーはちゃんと考えてるんだなって感心したけどなぁ…」

 

ビコー「…色んな奴に…」

 

 

 

 

 

ビコー「…って言われて聞いてみたけど、みんな困ってたし…」

 

分かってたけど、こんなの簡単に答えが出る様なものじゃ…

 

ビコー「あれ?カフェテリアに誰かいる…」

 

 

 

 

津上「えー?氷川さんが掴めたのは木綿豆腐だけじゃないですか!」

 

氷川「ば、馬鹿にしないでもらいたい!あれからちゃんと練習して絹ごしも掴める様になりました!」

 

津上「本当ですか?じゃあ…はい、冷奴、お昼の余った奴ですけど」

 

氷川「…良いでしょう!」

 

氷川が豆腐を箸で崩す

 

津上「あー!やっぱり!だから何回も言ったじゃないですか、無駄な力を入れちゃダメですよ!」

 

氷川「…やっぱりこんな物!スプーンで掬えばいいだけだ!」

 

津上「じゃあ栗もまだ皮ごと食べてるんですか?」

 

氷川「いや…それは……」

 

津上「あ、やっぱり怪我したからやめますよね…もう口を切るのはくりぐり(懲り懲り)…なんちって」

 

氷川「……」

 

ビコー「あー!!」

 

津上「あれ?」

 

氷川「あ…キミは…」

 

ビコー「な、なんで警察が来てるんだ!?誰が悪いことしたのか…?」

 

津上「氷川さんの知り合いですか?」

 

氷川「知り合いというか…私は彼女に用があってきたんです」

 

ビコー「えっ…?あ、アタシは何も悪いことしてないぜ!」

 

氷川「伝言を頼まれたので、伝えに来たんです」

 

ビコー「伝言…?」

 

氷川「あの時のウマ娘さんから…「怖い思いをさせてごめんなさい」、と」

 

ビコー「……あの人はどうなったんだ…?」

 

氷川「厳重注意の上、解放しました、キミが止めてくれたからです、私からも、ありがとう」

 

ビコー「……ひとつ、聞いてもいいか?…ウマ娘は…強くても、良いのか…?」

 

氷川「強くても、か………あの、津上さん、どう思いますか」

 

津上「え、俺に振らないで下さいよ!氷川さんへの質問でしょう?それとも、答えられないんですか?」

 

氷川「…答えられますよ!答えれば良いんでしょう…強くても良いと思います、もし何かあったとしても、私が止めれば良い話だ!」

 

ビコー「…人間なのに…?…そういえば、なんでウマ娘より強いんだ!?もしかしてサイボーグ…!」

 

氷川「ただの人間です、それに…たしかに生身では力は負けると思います、あの人も迷っていたから、止められた…

…そういえば、もう一つ用事があったんだ…これ」

 

ビコー「…これ…あの時買ったキャロットマンのアイテム…すっかり忘れてた…」

 

氷川「君は…これになりたいの?」

 

ビコー「…うん」

 

氷川「…私は、そうだな…仮面ライダーになりたい」

 

ビコー「…仮面ライダー…?」

 

氷川「仮面ライダーになれば、たくさんの人を守れる…だから、その力に、彼に憧れた…君にとっての…その、キャロットマンみたいな

ウマ娘が強くて良いのか、とは違うかも知れないけど…私と君は同じだと思う、だから…君は強くても良いと思います」

 

ビコー「…そっか…!」

 

津上「氷川さんにしてはかっこいいこと言うじゃないですか!」

 

氷川「私にしては…って…津上さん、馬鹿にしてますか?」

 

津上「そんな事ないですよ!ちゃんと凄いなぁって思ってるんですよ!冷奴は掴めないけど」

 

氷川「余計なお世話です!何度も言いましたがスプーンで食べれば良いんですよ!」

 

津上「あ、そうだ!ここの学生の子達すごく上手に豆腐を掴めるんですよ、氷川さん教えてもらったらどうですか?」

 

ビコー「あ!ならアタシが教えるぜ!」

 

氷川「え、いや…」

 

津上「こう言ってくれてる事ですし……っ」

 

氷川「…すみません、電話だ……はい……わかりました、津上さん、仕事が入ったので失礼します」

 

津上「俺も、行きます」

 

津上達がカフェテリアの出口へと走る

 

氷川「…そうだ、君…名前は…」

 

ビコー「ビコーペガサス」

 

氷川「ビコーさん、憧れた気持ちさえ忘れなければ大丈夫ですから」

 

ビコー「……アタシも、なりたいな…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。