ウマ娘×仮面ライダー   作:名無し

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メジロマックイーン×門矢士⑶

マック「今の私のタイムは模擬レースの時のライアンのタイムより5秒遅れています。

この5秒と言う差は致命的です、ですが何かで覆る事もある…。」

 

士「あと2週間だ」

 

マック「……充分すぎますわ。」

 

マックイーンがクリップボードを置き、空いた手を腹部に置く

 

マック「…気になるのは……この微増した体重ですが…」

 

士「ただの食い過ぎだろ、気にするな。」

 

マック「貴方が食べさせたのでしょう!?

…あーもう!…トレーニングに行きます!」

 

マック(…増えた体重は気になりますが、悔しいことにパワーがついている、そしてスタミナも伸びている感覚がある…。

食生活を変えたことで長く、そして力強く戦えている…。

私のやり方は、間違っていたのかもしれません…)

 

パワーが上がったことでトップスピードへの加速力が上がり、充分な栄養が基礎的な体力を補強してスタミナを保たせる

マックイーンが必要としていたレースの後半を戦う力がしっかりと補強されている…

 

士「……」

 

不安要素は、何一つない

 

 

そして、迎えた当日

 

マック「今の私なら全力で戦えます、なので認識を改め、今日の菊花賞はただの通過点に過ぎないと言うことを確認しておかなくてはなりません。

私の本当に勝たなくてはならないレースは天皇賞です。」

 

士「そうか、頑張れよ」

 

マック「ええ…!」

 

マック(菊花賞は前哨戦…とは言え流石にG1、相手も精強なメンバーばかり、そして私達メジロ家はその中でも善戦を期待されている…。)

 

マックイーンが視界の端の新聞に目を取られる

 

マック「…トレーナーさんでも新聞なんて読みますのね」

 

士「いや、配られてたのをもらっただけだ」

 

マックイーンが新聞紙を拾い上げて広げる

 

マック「一番人気は、メジロライアン……流石ですわね、昇り調子のライアンに対して下がり気味だった私……あれ?よ、4番人気…」

 

士「不服か?」

 

マック「当たり前ですわ!一番人気を取れなくて悔しくないウマ娘なんて居ません、1着を取らないと言われている様なものです。

…でも、むしろ好都合かもしれません……これだけ周りも強いメンバーの中、下り調子の私……。

……トレーナーさん、提案があるのですが…!」

 

士「好きにしろ」

 

マック「……」

 

マック(コレは信頼してくれてる証…いや、興味がないだけに見えますわね……判断に困りますわ…)

 

 

 

 

 

 

士「問題は、オレの役目…か……。」

 

旅に終わりはない。

ここに立ち寄ったのは何のためなのか、それを見つけ出す。

そして…メジロマックイーンの仮面を破壊すると決めた以上、それが今の目的…。

 

恐らく、このままで良い、このまま進めば良い

マックイーンのお婆さまに何かあるのなら、執事にでも何にでもなれた筈だ。

だが、この世界における役割はトレーナー…。

 

士「もう少し、トレーナーらしいことでもしてみるか…」

 

 

 

 

 

ライアン「マックイーン!」

 

マック「ライアン、一ヶ月ぶりですわね」

 

ライアン「え?…いや、同じ学校に通ってるのにそれはないよ…」

 

マック「え…?あ、ああ、そうでしたわね!」

 

ライアン(…マックイーン、前を向けたんだ…今日のレース、1番の強敵かも…)

 

マック「そろそろ出走の準備をしましょう」

 

ライアンとの話をさっさと切り上げ、マックイーンがゲートへと向かう

 

ライアン(……強いなぁ…マックイーンは…)

 

それぞれが自分の位置へとゆっくりと進む

 

マック(…2番、内側…先行策を取るには最良の位置、私の得意な先行策を取るには…完璧な場所……)

 

ゲートが閉まり、周りの全員がその瞬間へ向けて集中する

ただ1人、マックイーンを除いて

 

マック(……今から何が起きても後悔はしません、私は全力でやります!…この位置だから考えられたこと……

伸びたスタミナとパワーを使って…私は大逃げをする!!)

 

マックイーンが深く呼吸をする為に顔を起こす

 

マック「!」

 

視界の端に士の姿が映った

 

マック(今までレースを見に来てくれてたことなんてなかったのに…

ふふ、なんだかんだ気にかけてくれて…ッ!?)

 

意識がブレた瞬間、ゲートが開き、一斉にスタートが切られる

そして…

 

マック(出遅れた!!)

 

士(後ろから行くのか)

 

ライアン(…マックイーン、スタートを遅らせた…!?)

 

内側を中や外枠に譲る形のスタート…

この時点で逃げ策はもう通用しない、前を塞がれては追い抜く為に体力を使う必要がある。

 

マック(しかもこの位置…!)

 

先頭集団から少し遅れた、差しに近い位置…

 

マック(差しなんて今まで殆ど……いえ!そんな言い訳はもう必要ありません!!

…やるしかないのなら、やります!今から追いついて、追い抜いて!!)

 

士(…!)

 

ライアン「!」

 

場内に、一際強く地面を踏み締める音が響く

誰よりも、この場の誰よりも前を向き、勝ちを渇望した、力強い勝利への足音が

 

マック(外に…外に!今の私なら…例えこの3000メートルが3200メートルになろうと…!!

なら!)

 

走り切るだけの体力は、ある。

 

ライアン「ッ…!?」

 

レース中盤に差し掛かり、マックイーンは外から先頭集団へと食らいつく

差しとしては仕掛けるのが早すぎる…

 

マックイーンがこのタイミングで前に出たのは、差しでも逃げでもなく、先行策を今、この瞬間から先行策を取る為…

 

マック(差しのスタミナの使い方は、詳しくありません…ですが、この位置に戻れさえすれば…!)

 

マックイーンが段々と浮上していき…

 

マック(私の得意な位置!)

 

最早考えていた奇策など無い、全て壊れた、それなら得意な形で全力を尽くすしか無い

 

ライアン(…仕掛けなきゃ…!)

 

後方から仕掛けてくるライアンの気配

そして前方の息があがり始める

 

マック(…今…!)

 

ライアン(また加速した!?)

 

最終直線が目の前に来たタイミングで残された力を振り絞り、再度加速する

 

ライアン(前までのマックイーンならここで加速なんて無理だった…でも…)

 

マック(あと少し…!あとは最終直線……このまま捕まえる!!)

 

ライアン「…っ…!!追いつけない…!」

 

前方の誰もを追い抜き、マックイーンが先頭に立つ

 

マック(このまま…突き放す!!)

 

ライアン(まだ加速するんだ…!…すごいね、マックイーンは…!)

 

実況「メジロでもマックイーンの方だ!一着はメジロマックイーン!!」

 

場内に歓声が響く

 

マック(やった…勝った…!勝てた…!)

 

拍手喝采がマックイーンを包み込む

その内に込み上がる感情は喜びと、最も欲しい相手からのその言葉を求める渇望…

 

マック(お婆さまに…!)

 

ライアン「マックイーン!」

 

マック「ライアン…!」

 

ライアン「お疲れ、すごかったね、悔しいけど負けたよ…おめでとう、マックイーン!」

 

マック「…強いですわね」

 

ライアン「心も結構鍛えてますから!シュッ!」

 

ライアンがこめかみの辺りで指を振る

 

マック「何ですの…?それ」

 

ライアン「え?あ、トレーナーさんのクセがうつっちゃった、あはは…

それよりマックイーン、次は負けないから、覚悟しておいてよ!」

 

マック「…勿論ですわ!」

 

ライアン「じゃあ…アタシ、報告してこなきゃ!」

 

マック「ええ。

…私も、お婆さまとトレーナーさんに…!」

 

期待を胸に控え室へと走ったマックイーンの足取りはどんどん重くなっていった

先に行ったライアンの声が、反響して聞こえてくる

そして、電話口の相手の声も…

 

マックイーン自身も良く無いと分かっていながら、すべきでは無いと言い聞かせながら、その声に耳を澄ませてしまった

 

お婆さま「本当は貴方に勝ってほしかった、ライアン」

 

マック「…!」

 

…知りたく無かったのに

聞かなければ良かったのに

 

それが間違いだと分かっていたのに、耳を向けてしまった

 

マック(どこかで分かっていた、お婆さまはライアンの勝利を望んでいて、私に興味なんて無いと…。

こんなの……こんなの、とても…耐えられない…)

 

重い足取りのまま、自分の控室へと薄暗い廊下を歩く

頭の中を何かがぐるぐると回り、暗い感情に支配され、前に進む気力さえ…

 

マック「どうして、ライアンなんですか…」

 

チャリン…

小さく、硬貨が落ちるような音が響く

 

マック「っ…!?……い、今…何が……あっ!?」

 

ぼろぼろの包帯を纏ったミイラのような怪人が、目の前に…

 

マック「ひっ…!?」

 

ウヴァ「ソイツはヤミー、お前の欲望が形を持った存在……お前の欲望を表した存在だ」

 

黒と緑の虫の怪人が姿を表す

 

マック「な、なんなんですの貴方達…!?」

 

ウヴァ「騒ぐな!…俺はウヴァ…お前の欲望を満たしてやる、お前が望んだ通り、ソイツがお前にとって邪魔な奴を消す」

 

マック「えっ…?」

 

ウヴァ「行け!」

 

ヤミーがゆっくりと歩を進める

マックイーンの歩いてきた道を辿るように…

 

マック(まさか…ライアンのことを…?

…ライアンが、消される…?そんなの…止めないと、でも…お婆さまはライアンがいる限り私を…)

 

マック「っ!」

 

マックイーンがヤミーに飛びつく

 

ウヴァ「…何をしている?」

 

マック「私はお婆さまに見て欲しい!褒めて欲しい!…でも…私はライアンとまだ走りたい!!」

 

ヤミーがウヴァの方を向く

 

ウヴァ「…殺せばお前もメダルに戻る、引っ剥がして行け」

 

マック「離しません!絶対に行かせない…!」

 

ウヴァ「チッ…あ?」

 

コツコツと足音が廊下に響く

そして銃撃が数度、ヤミーの顔面に直撃する

 

ウヴァ「…オーズじゃない…?」

 

マック「トレーナーさん…!」

 

士「害虫駆除だ」

 

ウヴァ「…何者だ、貴様…!」

 

士がライドブッカーからカードを引き抜く

 

士「オレは通りすがりの……いや、そいつのトレーナーだ、覚えておけ」

 

KAMEN RIDE(カメンライド) DECADE(ディケイド)!』

 

士「それで…お前は何をしてるんだ」

 

マック「この怪物を止めてください!ライアンが…!」

 

士「なるほどな、大体わかった」

 

ATTACK RIDE(アタックライド) ILLUSION(イリュージョン)!』

 

前方へとスライドしながら現れた分身がヤミーを斬り倒す

 

ウヴァ「…!コイツは厄介だな…」

 

士「逃げられると思うなよ」

 

KAMEN RIDE(カメンライド) HIBIKI(ヒビキ)!』

 

紫色のボディースーツのライダーへと姿が切り替わる

 

士「魔化魍(まかもう)にはこれだ」

 

ATTACK RIDE(アタックライド) ONIBI(オニビ)!』

 

響鬼の口から吐き出された炎がウヴァを焼く

 

ウヴァ「ぐ…!火か…!クソッ!覚えてろ!!」

 

ウヴァが壁を突き破り逃げ出す

 

士「…逃したか」

 

ライアン「トレーナーさん…?」

 

マック「…ライアン…?」

 

士「お前は…」

 

士がカードを抜き取り変身を解除する

 

ライアン「わ…マックイーンのトレーナーさん!?すごく似てたから勘違いしちゃった…」

 

マック「…トレーナーさん」

 

マックイーンが士の裾を握りしめる

 

士「…どうした」

 

マック「帰りましょう…ライアン、また今度」

 

ライアン「…うん、マックイーン…」

 

 

 

 

マック「…トレーナーさん、私は悩んでいます。

…このまま走る事に意味を見出せない……お婆さまは、私が勝つ姿を望んでいない、ライアンの勝つ姿を見たがっている…私じゃなくて…」

 

士「……」

 

マック「私は、どうすれば良いか…わからない…!」

 

士「好きにしろ」

 

マック「……なんですの、それ…!貴方も、貴方も私の事なんて…」

 

士「そうじゃない、オレは知っている、お前のやってきた事を。

オレはまだ旅の途中だ、だが、今は歩くのをやめて、お前が歩くのを見守っててやる。

オレはお前のトレーナーだ、好きにしろ」

 

マック「……本当に、良いんですの…?貴方には、覚悟がありますか…。

その…私と、一心同体…そのような関係になる覚悟が。」

 

士「お前の仮面が壊れたらな」

 

マック「……相変わらず、訳のわからない事を言うのですね…。

…旅の途中、ですか…なら、私も連れて行ってください、その旅に」

 

士「気が向いたらな。」

 

マック「…トレーナーさん、おぶってくださいまし」

 

士「…はあ?」

 

マック「さっきので腕が折れましたわ、早く保健室に連れて行ってください、私のトレーナーさん?」

 

士「…ったく…」

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