ウマ娘×仮面ライダー 作:名無し
日本最大のウマ娘育成機関、トレセン学園で国内最大のレースイベントとなるトゥインクルシリーズの開催が宣言された。
生徒会長であるシンボリルドルフの担当である俺、氷室玄徳は旧友たる猿渡一海との再会を喜び、学園内を案内する。
猿渡「何処が喜んでんだよ!ポテトポテト言ってただけじゃねぇか!」
黙れ。
トレセン学園の農場の土を確かめた所、問題はハイペースな作物の栽培にあると気づいた猿渡一海は作物の栽培スケジュールの見直しに取り掛かった…お前トレーナー業と並行してできるのか?
猿渡「うるせえな、どんな事でも心火を燃やしてやってやるよ!」
そうか。
マンハッタンカフェのトレーナーである石動惣一…に、擬態したエボルトを軽く牽制しつつ、ベルナージュがマンハッタンカフェに宿っている事を知ったのだった。
猿渡「聞いたんならもうちょっと触れろよ!」
尺がない、では第5話、どうぞ。
ルドルフ「すまないねエアグルーヴ、キミに迷惑をかけるつもりはなかったんだが」
グルーヴ「いえ、迷惑だなんてとんでもないことです、私の仕事は会長のサポート、コレすらもせずにいては私の存在意義を失ってしまいます」
ルドルフ「何を言ってるんだい、キミほどのウマ娘がそんなことを言い出しては…いや、改めてすまないね…さて、トレーナー君、今後のプランだが」
氷室「ああ、大型元のプラン通りに進めるとして…」
幻徳が自身の手元の書類をパラパラとめくる
ルドルフ「3ページ目だ」
氷室「ああ…あー…そうだな、スタミナが課題点だと…思う、よってスタミナを強化していくトレーニングを…多くする方針で…」
グルーヴ(…コイツ…毎日そうだが、会長が自己分析をして改善案をまとめた書類を読み上げるだけではないか…出向してきたという時点でイヤな予感はしていたが…)
ルドルフ「賛成だ、それと今日の午後から昨日の話の続きがしたい、場所を確保してもらいたいんだ」
氷室「既に確保してある、それと例の話は順調だ、今週末、土曜と日曜、どちらが都合がいい?」
ルドルフ「土曜の10時がいい」
氷室「分かった、連絡しておく」
ルドルフ「ああ、楽しみにしておくよ」
グルーヴ(…何の約束だ…?…私の不安とは裏腹に会長はこの男との関わりを楽しんでいるようだし…)
ルドルフ「それと、後期予算案については…」
氷室「ある程度纏められるようにしておく、ポテ…猿渡がどれだけ早く成果を出せるかだが、昨日提出してきた案を見る限り競技選手への気遣いからか、新たに育てる作物も時間がかかるものが多そうだ、それと石動のビニールハウスは撤去の方向で進むらしい」
ルドルフ「わかった、理事長には?」
氷室「伝えておく、今から行ってくる」
幻徳が生徒会のドアに手をかけたところで振り返り、ジャケットのジッパーに手をかける
“さらばだ”
そう書かれたシャツを強調した後、幻徳は生徒会室を後にした
グルーヴ「口で言え…!」
ルドルフ「まあまあ、そうめくじらを立てなくてもいいじゃないか」
グルーヴ「会長は甘すぎます!アレでは学園全体の風紀が…!」
ルドルフ「そうでもないさ、アレは彼なりの気遣いだよ」
グルーヴ「気遣い…?あんなプリントTシャツを人前で見せびらかすことが…?」
ルドルフ「氷室幻徳、言わずと知れた氷室泰山首相の息子…名字で察する者も、調べて知る者もいる…そして広まる…そうなるとどうなるか?当然、関わることを恐れるだろう…それは本来の目的から大きく外れてしまう」
グルーヴ「……つまり?」
ルドルフ「親しみやすさ…と言ったところか、彼は見た目も相まって厳格なイメージを持つが、案外茶目っ気がある、一見ふざけたように見えるあの行動も彼なりのコミュニケーションだ」
グルーヴ「…まあ、そう言われてみれば…」
ルドルフ「事実、彼は来てもう半年になるが生徒達の間でも人気の声が高い。
まるでマジックのように仕込まれた文字Tシャツでの会話スタイルはそのシャツを見るためだけに声をかける者も居るという」
グルーヴ「そんな事になっていたんですか…?知らなかった…」
ルドルフ「上に立つ者、というのは威厳のみあれば良いというわけではない、触れ合えるような高さに立つ事で見える者もある…私もまだまだ学ぶことが多い…
それと、もう一つキミは勘違いしている、彼の前職は知っているかい?」
グルーヴ「ええ、首相補佐官、首相秘書だと…」
ルドルフ「そうだ、首相秘書ともなればスケジューリングはお手の物、確かにレースプランやトレーニングの考え方についてはまだまだ素人同然、だがそれは仕方のないこと。
何故ならつい半年前までは普通の公務員として働いていたのだから…。
今は彼にはトレーニングやレースプランを学んでもらっている、では今やる事は?
私のスケジュール管理、記者の対応に事務…私同様少なくない執務を担当している彼は充分な働き者だよ。」
グルーヴ「…その様ですね、失礼しました」
ルドルフ「やあ、トレーナー君、待たせてしまったかな」
氷室「いや、問題はない…さあ、行こうか」
ルドルフ「ああ、トレーナー君一押しの…オーダーメイド店へ…!」
ルドルフ「…なるほど、プリントする言葉も自分で決められるのか…と、それは?」
幻徳が一枚のシャツを差し出す
氷室「先ずは、俺が用意したシャツをプレゼントさせてもらう…サイズはわからなかったが…生地の着心地は保証する」
ルドルフ「“肯定する皇帝”…!なるほど、最高だ…!」
氷室「気に入ってもらえたようでよかった…代金は気にする事はない、さあ、好きな服を…作ろうじゃないか」
ルドルフ「実に充実した1日だったよ、本当にありがとう、トレーナー君」
氷室「何、気にする事はない…俺の服を作るついでだ」
ルドルフ「ああ、ありがとう。
さて、学園に帰ろうじゃないか…ん?」
子供が走ってきて幻徳に後ろから抱きつく
子供「パパ!……あれ?パパじゃない…」
氷室「どうした坊主…俺を親父さんと間違えたのか?」
子供「うん、オジサンの服、パパと同じなんだ。…あ!パパ!」
子供を見送る幻徳の目は何処か優しげだった
ルドルフ「…知り合いかい?」
氷室「ああ、どうやら覚えてないらしいが…」
ルドルフ「子供の記憶なんてそんなものだよ、いつか会った時に思い出すさ」
氷室「いや、思い出す必要はない」
氷室(…俺も、アイツの親父さんみたいな背中になれたのか…?
…親父…俺も少しは認められてきたみたいだよ)
耳をつんざく様な悲鳴が街に響く
氷室「!」
ルドルフ「どうした、トレーナー君」
ルドルフの声も聞かず、幻徳が店を飛び出す
悲鳴のした方向へと走り出し、駆けつける
氷室「…あれは…!」
悲鳴をあげているのは先ほどの少年の母親と思しき女性
そしてどうやらその女性を人質に取った逃走中の強盗らしき男達…
氷室(…相手は3人、人質つきか…ドライバーは必要は無くなったかと思っていたから持ってきてない…)
氷室「オイ!」
強盗A「近づくな!人質をぶっ刺すぞ!」
氷室「待て、俺は氷室首相の息子、氷室幻徳だ、人質にするなら俺にしろ」
強盗B「首相の息子だと…?本物か?」
強盗C「確かに見たことあるような…よし…持ち物を全て捨てて来い!」
服の入った袋や財布、携帯などを全て放り投げ、丸腰をアピールして近づく
氷室「その人を離せ」
強盗A「言われなくてもこんな奴もう用は無えよ!」
強盗が女性を突き飛ばし、今度は幻徳に刃物を突きつける
子供「お母さん!」
氷室「坊主!早くお母さんを連れて逃げろ!」
子供とその母親を逃し、幻徳は両手を挙げたまま強盗に近寄る
ルドルフ「どういう状況だ、これは…!トレーナー君!」
氷室「…ルドルフ、お前も逃げろ、危険だ」
強盗B「いつまでカッコつけてやがる!黙ってこっちに来い!」
氷室「…いつまで?決まってるだろ、ずっとだよ」
幻徳の拳が1人の強盗の顔面を捉える
氷室「…大義のための、犠牲となれ…!」
強盗A「テメェ!調子に乗りやがって!」
強盗C「殺っちまえ!」
氷室「はぁっ!」
強盗の腕を掴み、殴る、蹴るの大立ち回り
刃をその身に受けながら、身を刻まれながら…
確実に幻徳の一撃が強盗の意識を深く沈める
氷室(これで終わりだ…)
右手を腰の前で押し込む動作…そして助走をつけて挟み込むような飛び蹴り
ルドルフ(なんだ…あの姿は…)
その瞬間、シンボリルドルフは確かに見た
氷室幻徳と重なった、パープル色のヒーローを
氷室「……せめて銃くらい…いや、あっても変わらなかったか」
気を失い倒れた3人の強盗を見下ろすその立ち姿
圧倒的で、しかし、
ルドルフ(…まるで、これは…何かの劇だ…)
…氷室幻徳は、間違いなく、仮面ライダーだった
子供「オジサン!」
氷室「…なんだ、坊主…」
子供「オジサンの服、カッコいいね!」
氷室「…そうか」
弾けんばかりの笑顔を浮かべる2人と、それを遠巻きに眺めるルドルフ
警察と救急隊がやってくるまで、その光景は動く事はなかった
ルドルフ「…ふう……1人で彼のやっていた作業もするとなると…なかなか辛いものがあるな」
グルーヴ「そんなもの、放っておけば良いんです、会長がそこまでやる必要は有りません」
ルドルフ「まあまあ、良いじゃないか、私もローグの様な
グルーヴ「…ローグ?……彼の事ですか」
ルドルフ「ああ」
あの一件は正しい形では報道されなかった
というのも強盗の言い分に生活が困窮してという発言があっての事だった
それを聞いた氷室幻徳は、強盗を一方的な悪役とすることを良しとせず、自身を悪役として立てた
生活困窮に追い込んだ国の問題だ、と
そして昨日、日本国首相である氷室泰山との面会に向かった
ルドルフ(全く、残される身にもなって欲しいものだ)
生徒会室の扉がノックされ、開く
シャカール「邪魔すンぞ、言われてたモン持ってきた」
グルーヴ「貴様、もう少し礼儀を弁えろ」
シャカール「煩え、こっちだって暇じゃねえんだ、頼まれたモンは置いてくぞ」
ルドルフ「ああ、ありがとう…しかし、エアシャカール」
シャカール「なンだよニヤニヤしやがって…」
ルドルフ「その言葉、そっくり返させてもらおう…どうやら、三冠達成の目処は立った様だね」
シャカール「…ああ…勝利の法則は…決まった」