異世界へ『traveler』してしまったとある旅人 作:オタクくん
色々とは、ある幻想大陸で旅と称して駆けずり回ってたり、あるブラック企業でやっと無殉職者で45日を越せたり(約70敗)、記憶喪失のままとある製薬会社のトップとして指揮したり、待望のチャプター2が実装されたおもちゃ工場を探索したり、多数決で吊るす人を決めるデスゲームに参加したり、ダンガンでロンパする事をもう一回やってみたり、不時着した惑星でコロニーを作りながら脱出を目指したり、裏切り者に戦々恐々しながらタスクをこなしたり、とまぁ、色々ありました。
……あなたは全てのタイトルがわかりましたか?
「パイモン、私ね、雄英高校を受けようと思うんだ」
ヘドロヴィラン事件の後、後始末のせいで買い物が出来る様な状態ではなかった為、私達は家にそのまま帰ってきた。
私が持っていたもので作る今日の夕飯は、鳥肉のスイートフラワー漬け焼き。私の得意料理だ。
「おぉ、お前がか!絶対に受かると思うぞ。なんてったって他の人とは違って、実際に戦った経験があるからな!」
確かに。
鳥肉をナイフで切って口元へ運ぶ。
パイモン?パイモンもお行儀良くナイフを使って食べてるよ。食欲の割に食事のマナーが結構いいんだよね。
「なぁ、志望動機はどうするんだ?テキトーに書くわけにもいかないからな。何か考えはあるのか?」
……私は、雄英のヒーロー科に行くことで、かなりの目標を達成できると思ってる。
だから、雄英に受かりたい。
「その辺は大丈夫だよ、しっかりと考えてあるから」
「どんなふうに書くんだ?」
書こうと思っているのは、皆の助けになる事がしたい。って事かな。
普段やってる事をずっとやっていればいいだけだから、そこまで難しくないね。
でも、本当の理由は二つある。
一つ目は、ヒーロー免許が欲しいから。免許がないと個性……基、元素が扱えないからね。
後もう一つは、お兄ちゃんを探す為。
もしかしたらお兄ちゃんもこの世界にいるかもしれない。そう考えたから、天下の雄英で目立つことをするんだ。
そうしたらお兄ちゃんが私のことを見つけられるかもしれないし、私もヒーロー志望ということで色々な人に関わるだろうしね。
今まで色々な世界を見てきて、やっぱり人脈が一番だと感じてる。だから、この世界でもそれを生かす。
「お前の兄って、この世界にいるのかな?」
「分からない。けど、なんとなく。本当になんとなくだけだけど、この世界にいるような気がしているんだ」
「なるほどな〜、兄妹の絆ほど強固なものはないからな。旅人がいると感じたらいると思うぞ!」
「ありがとう、パイモン」
「礼なんていらな……いや、今度こそ肉が食べたいんだぞ!」
パイモンは礼に肉料理が食べたいらしい。
なんというか、パイモンらしいっちゃらしいね。平常運転で安心したよ。
「いいよ。北地のリンゴと肉の煮込みでいいかな?」
「おう!やった、これで肉が食べれるぞ〜!」
パイモンが食べたいって言っていたのを作れなかったから、テイワットのものを少し奮発しよう。
連日の精鋭狩り+トリックフラワー、素材集めをしていたのが功を奏したね。
「もうお風呂に入って寝よっか」
「おう!」
目を開けると白い空間にたっていた。
「ふむ。ようやく繋がったか」
深く、落ち着いた声色。この声は……
「鍾離先生!」
「息災か、旅人」
私の目の前にいる鍾離先生は、普段のスーツ姿ではなく、フード付きのコート(?)姿だった。まるで璃月の七天神像のような……。
「この姿になるのも久々だな。姿を変えるとしたら今まで殆ど龍体だった」
「先生、一体私がいなくなってどのくらい経ったの?」
「十三か十四ほどだな」
うん。やっぱりテイワットでの一日が、こっちの世界での一年みたいだね。いつ、戻れるかな……。
あ、もしかして鍾離先生もウェンティみたいに元素を渡してくれるのかも。
「吟遊詩人――ウェンティのことだが、彼奴から元素を渡すことができると聞いた。元素共鳴をさせれば良いのだろうか?」
「うん。私に岩元素を流し込むような感じでお願いします」
鍾離先生が私の手を取る。瞬間、テイワットで璃月の七天神像に初めて触れた時のような感覚……身体の中に一つの大きく、重い岩が私の中で一本の芯となるのがわかった。
きっと、この世界でも役に立ってくれるだろう。
「……ありがとう、鍾離先生」
「礼は、なるだけ早くテイワットへ帰ってきて欲しいな。帰離原の少年仙人――魈が寂しがっていたぞ?」
え、魈が?
確かに交流はあったけど、一緒に冒険したりしたけど……
「あぁ。なんでも、“我が認めた者だ。そう易々と倒れるわけがない”……らしい」
「ツンデレだ。かわいい」
想像してみて、魈がプイっとそっぽを向いて「我が認めた者だ。そう易々と倒れるわけがない」って言っているところを……。
可愛いよ、本当に。
「仙人から認められるとは、旅人もなかなかにやるな」
「それほどでも……ある、かも」
だって、それほどの事をした自負はあるから。
鍾離先生は私の返答にスッと目を細めて笑った。
「ははは、お前ならそう時間は掛けずに戻ってくると思っている。そういえば、バアルゼブル――雷神のことだが、彼女は少し遅れるようだ」
「影、やっぱり慣れてないの?」
「うむ。そう見えたが……、すぐに出来るだろうな」
確かに神様だもんね。できるか、すぐに。
色々話し込んでいると、鍾離先生がピクリと片眉を上げる。
「おっと、そろそろ時間がくるな」
「もう時間なの? ありがとう、先生」
どうやら、刻限みたい。
「では、旅人。次はテイワットで会えることを楽しみにしている」
先生は私に向けて手を少しあげ、瞑想する様に目を閉じた。
ふわり、と私の意識が浮上していく。
周りの景色もフェードアウトしていくようにぼやけていき、鍾離先生の姿も段々と透明になっていった。
目を開けたら、知らない天井……ではなく、自分の部屋だった。
知らない天井だったら怖いね。
隣を見ると、パイモンがすやすや、と本当に気持ちよさそうに寝ていた。
ぷにもちなほっぺを触りながら、パイモンを起こす。
「おはよう、パイモン。朝だよ?」
「ううぅん……旅人、まだ眠いんだぞ……」
パイモンはやっぱり朝に弱いね。
でも、そんなパイモンへの必殺技を私は持ってる。
「……パイモンが今起きなかったら、今日は朝食抜きになる、かも」
パイモンは私の朝食抜き、という声を聞いた瞬間、眠い眠い、とぐずっていたのがウソのように飛び起き、私に抱きついてきた。
「う、ウソだよな、旅人⁉︎朝食抜きだなんて……オイラ、耐えられないぞ!」
ぎゅうぎゅうと擬音がつきそうなほど私の事を抱きしめ……締め上げて、訴えているパイモン。
……からかいすぎた? 起こすためとはいえ、パイモンには酷だったかな。
「冗談だって、パイモン。さぁ朝ご飯にするよ」
「じょ、冗談かぁ〜〜。ひやってしたぞ……」
自室から出て、リビングへパイモンと一緒に向かう。すぐに朝食の準備をしよう。
そして、食べながら今日、鍾離先生にあった事を話すんだ。
――そういえば、なんで私がテイワットの人と話す日だけ、パイモンは寝坊するんだろう?
わたしは、パイモン知恵の神、もしくは時の神説を推します。
そっちの方が面白そうですしね。
ピンとこない人は「知恵の冠」というアイテムの画像・紹介文と、パイモンの着ている服を見比べてみてください。
蛍ちゃんの口調が迷走中。喋る旅人は闇堕ち空くんしか知らないもので……。
雰囲気的には落ち着いていて、達観している感じを想像して書いています。
次回予告
「塵歌壺解禁」
【夢枕について……②】
蛍「鍾離先生が岩元素をくれた…」
パイモン「というか旅人、お前凄いな!今まで七天神像が無かったら纏う元素を変えられなかっただろ?だけど今は特に制約なしで切り替えられる!本当に凄いぞ」
蛍「多分、直接私に元素を渡したのが原因だと思う」
パイモン「なるほどなぁ…」
蛍「影は夢枕に立つのが始めてみたいで、もうしばらくかかるみたい」
パイモン「そうなのか…。どれぐらい先に会えるかな?」
蛍「掛けてみる?」
パイモン「いいな、面白そうだぞ!」
蛍「私はこっちの世界の時間で、半年くらいでできると思う」
パイモン「オイラは…一年くらいかな?」
蛍「結果が楽しみだね」