虚構少年の幻想入り   作:劉鵬 天翊

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虚構〜2〜

 ………無数の眼に見つめられるという、少し気味の悪い廻廊を歩く。先導する女性に声をかけようとして、何を言えば良いか解らずに口を閉ざす

 

「着くまで少し時間があるから、聞きたいことがあるなら今のうちに答えてあげるわよ?」

「む………そうだな。取り敢えず、俺を選んだ理由からかな」

「理由ね………貴方の言う“神隠し”、私達で言うところの“幻想入り”だけど、本来なら条件があるの」

「条件?」

 

 そういう言い方をするということは、超常現象の類ではないということか?

 

「幻想入りの条件………それは、“世界から忘れられる”ことよ」

「………は?」

 

 どういうことだ?世界から忘れられるって………

 

「人々の記憶から消えるってことか?」

「端的に言えばそうね………でも、今回の“幻想入り”はその限りではないと考えているわ」

「………つまり、外的要因による幻想入り、ということか?」

 

 正解、と言うように微笑む紫。その答えを確認して、次の疑問を口にする

 

「外的要因の検討は?」

「それについては推測だけど………貴方達の世界から来た人によるモノだと考えているわ」

「………俺達の世界に、超常を起こせる人間なんて居ないぞ?」

「貴方達の世界ではそうでしょうね。でも、幻想入りした人達はそうじゃない………能力を得るわ」

「能力?」

「ええ………今歩いているこの廻廊も、能力の産物。“境界を操る程度の能力”よ」

 

 境界………と言われて入口を思い出した。なるほど、確かに現実と廻廊の境界を操っていたな

 

「成程。そして、能力は“幻想入り”することで手に入ると………ようやく合点がいった。始まりは偶然の幻想入りだが、その後の“失踪事件”は人為的なものだったのか」

「そういう事でしょうね………そして、その“失踪事件”にあった人の誰かが、“事件”を起こしたの」

「事件?」

 

 俺達の世界の人間が起こす事件………普通に考えたら傷害事件だけど、能力の存在を知った今、並大抵の事では無いだろうと推測する

 

「能力による、他人の精神への介入………私達は“失意異変”と呼んでいるわ」

「失意異変………意識を奪うってことか?」

「いいえ………能力を暴走させて周囲に実害を与えようとしたの」

「対応策が意識を失うってことか………だが、俺を選ぶ理由になってないな」

「貴方の能力が、解決策になるのよ」

「………へぇ」

 

 俺にも能力が身につくという事か………興味あるな

 

「その能力を扱いこなす為に、最優先で助けてほしい子の所に出口を用意したわ………私はこのまま、実行犯を探るわ」

「わかった。俺の事は話してあるのか?」

「ええ、私が連れてきたと言えば伝わるわ」

「了解だ………では、行ってくる」

 

 さぁ………本格的な“幻想入り”と参りますか

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