山、滝壺付近_
無重力の旅路が終わり、俺はそっと八雲藍から身を離す………うぅむ、まだ足元が覚束ない感覚が残るな
「すまない、突然飛ぶのは心臓に悪かったかな?」
「まぁそうだな………可能なら前もって教えてほしかったよ。だが、中々楽しかった」
「楽しかった、か………本当に外来人というのは予想外な事を言ってくれるな」
何が面白いのか、クスクスと笑いながら視線を滝壺の方に向けた………隠れ家というのが、この辺にあるということだろうか?
「隠れ家はこの先だ。河童達が作り出したシェルターを改造した場所になる」
「へぇ………って、ん?」
待った………今、誰が作ったと言った?聞き間違いでなければ河童と言ったな?
「えっと、河童なんてのも居るのか、この幻想郷には」
「ああ………河童に天狗、神や悪霊、果てには妖精や妖怪と多種多様だ」
「………すんげー場所だな。確かに退屈は紛れそうだ」
会ってみたいものだ、とか考えながら、連れられてシェルターへと進んでいく………河童の技術力に感心しながら
シェルター内部_
「マジでちゃんとしたシェルターなんだな………河童の技術力、侮り難し」
「河童達は開発に特化しているからな………ここだ。意識を失った患者達を見ている医者が居る」
「医者………ね。それじゃ、失礼しま」
医者の居るという部屋に案内され、早速ノックしようと手を伸ばしたが………扉に触れるより早く、中にいた誰かが開けてくれた
「っ………貴方は?」
「おお、リアルなメイドさん………えっと、素直に話しても大丈夫なのか?」
「問題ないかと………紫様が“外来人を連れてくる”という話はしてくださっていますので」
「了解………初めまして。俺は」
「外来人………ということは、貴方が」
お?なんだ?不審そうな表情が突然変わった挙げ句、何やら切羽詰まってるようだが………
「お願いします!私の主と妹様をお助けください!」
「ちょちょっ………!」
「咲夜、気持ちは分かるけど落ち着きなさい………先に状況の説明が必要でしょう?」
部屋の奥から聞こえてくる声に、咲夜と呼ばれたメイドが悔しそうに唇を噛み締めて引き下がる………俺が思っていた以上に、状況は悪いのかもしれないな
「取り敢えず、ようこそ外来の人間。私は八意永琳。幻想郷の医者よ」
「よろしく………で、何がそんなに切羽詰まってるんだ?」
「………妖怪の賢者にどう話されているのか分からないから、一から説明するわ」
医者………八意永琳の話を簡単に纏めるとこういうことになる。ある日突然、とある妖精が暴走し始め、巫女が原因究明に動き出した。妖精は暴走に耐えきれずに消滅したが、巫女は調査を継続。大した情報も集まらないまま、犠牲者だけが増えて行き………メイド、十六夜咲夜の主、レミリア・スカーレットが暴走寸前の状態に。そこから数日して妹のフランドール・スカーレットも暴走寸前の状態になってしまったらしい
「そこからは幻想郷全体を巻き込んでの大騒動………名のある妖怪や人間にも被害が広がり、ついには調査をしていた巫女まで被害を受けてしまった」
「………つまり、重要度は巫女だけど、危険度はそのスカーレット姉妹というわけか」
………家族の危機に、藁にも縋る思いだと言うことか。はてさて、どうしようかねぇ