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「市丸先輩!」
クラスメイトのいない2年A組の教室へと向かおうとする市丸を、とある女子生徒が呼び止めた。
「んー?ああ、君はさっきの・・・」
「はい!耳郎響香です!少しお話があるのですが、お時間よろしいでしょうか?」
市丸を呼び止めたのは、先ほどの戦闘訓練で最後まで残っていた耳郎響香だ。
どこかモジモジとした態度に、前世の記憶を持つ市丸はドキドキと胸を打つ音が聞こえていた。
「エエよ。ほなら食堂へ行かへん?」
「分かりました!」
雄英高校の食堂は、クックヒーロー『ランチパック』がすべての食事を担当しているため、高級店にも負けない美味しさを誇っている。
1年A組が関わる数々の事件によって、マスコミが押し寄せるなどの迷惑を被っていたが、彼らが雄英に泊まり込むことで放課後もランチパックの料理が食べられるならそれくらい許してしまえる。
食堂へと移動した二人は、料理を注文し席に座った。
「なんか、すいません」
もちろん、市丸の奢りだ。
「別にエエよ。で、話っていうのは?」
「はい!実はウチ、じゃなくて私、デステゴロさんの元に職場体験に行ったんですが」
「ああ、気にせんでええで?喋りやすう喋ってくれたら。敬語も苦手やろ?」
「あ、ありがとうございます」
この時点で市丸は、甘い恋のお話でないことを理解したが、そのことを顔には出さず、今後の点数稼ぎと割り切って市丸さんムーブをすることにした。
「ええっと、じゃあ、ウチ、デステゴロさんの元に職場体験に行ってたんだけど、『インターン受け入れの多い事務所に限り一年生の実施を許可する』って決まったらしくて」
「あーね、ほんでボクのとこに来たんやね」
「はい・・・ダメ、ですか?」
実際のところ、エッジショットの事務所はインターンの受け入れが多いという訳ではない。
しかし、仮にも第四位のヒーローであるため、雄英も許可する可能性が高いだろう。
「んー、ボクもおるから多分ええと思うけど」
「ええっと・・・なにか?」
「そやね、ご飯食べたらデートしよっか」
「ふぇっ!?」
顔を真っ赤に染めた耳郎を他所に、市丸はやってきた食事に手をつける。
それを見て耳郎も食事を始めるが、全く味を感じないのだった。
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「ほら、頑張って避けや!」
「ちょっ、いきなり、無理無理無理!」
二人がデートにやって来たの場所は『TDL』。東京ディズニーランドランドではなく、『トレーニングの台所ランド』だ。
「いやあ、石山センセがおって良かったわ」
「市丸くん、私のことはセメントスと呼んでください」
セメントスはこのTDLの考案者で、彼の個性『セメント』によってあらゆる障害物を作っている。今もまた、市丸が壊し続ける会場を直す役割を担っていた。
「ハァハァハァ」
「耳郎ちゃん、このくらいのスピードをずっと続けられなエッジショットの事務所は厳しいで?」
「ハァハァ・・・ふぅー。・・・はい」
エッジショットの事務所はスピードを重視している。現場に駆けつけるスピード、要救助者を発見・救助するスピード、ヴィランを見つけるスピード。
市丸はもう慣れたが、少なくとも一時間走りっぱなしになるというのは、たいていの人間が音を上げる。
「ボクが次に事務所行くまであと二週間ある。その間にあのスピードで二時間、走り続けられるようになったら連れてったげてもエエよ」
耳郎の体力は既に限界にある。しかし、事件は待ってくれないのだ。
余裕をもって走り続けられるように、市丸は