異世界のウマ娘 ~Ancestral Loyality~【サイレンススズカ】 作:もっそ
「ウェルぅ……スズカ、ヤッパリニッポンに行キマセンカ?」
「ダメよ、タイキ。行ってらっしゃい」
「オーノー……スズカ、ハクジョーモノデス……」
見送りに来たブルーグラス空港で、やはりタイキシャトルはゴネた。
予想できた出来事に帯同するタイキブリザードがファミリーの襟首を掴んで引きずっていく。
「ゴートゥー、シャトル。シャトル!」
「ノーノー! ブリザード、ノー! ノォォォォォォ……!」
ずるずる引っ張られていくタイキシャトルを手を振って見送る。
これからスズカが来た時と同じようにカリフォルニア経由で日本に行く。
あのパワフルさには戸惑うことが多かったが、それ以上に救われたという気持ちが大きい……と思う。
ブルーグラス空港で搭乗まで残り一時間となって、突然フォトグラフを撮りたいと言い出した。
「ヤスダメモリアルの為に、メモリーをフォトグラフ!」
てっきりスズカはスマホで自撮りをして終了かと思ったが、空港にはフォトスタジオがあり、あっという間に本格的な写真撮影が始まった。
意外なことにブリザードも特に反論しなかった。アメリカで家族写真を撮ることはポピュラーなことで、一時間もあればスタジオに入って次々と写真を撮られる。
「ハイ! スズカの勝負服アリマス!」
「なんでまた持ってきてるの!?」
「フッフ~ン、ワタシも勝負服にチェンジーング。アーンド、スズカはコレを持ちマス!」
そう言ってずしりと重いライフル銃を渡された。
「えっ、わ、わたし、銃なんて……」
「ノープロブレム! イッツモデルガン!」
そう言ってタイキシャトルは自分の勝負服に付属のリボルバー銃を取り出す。
「BAN! フフフ……ワタシとスズカのケットーナリケリ……!」
「ウソでしょ……」
しかし、スズカも天下のサラブレッド、ウマ娘。
撮影が始まってしばらくすると、ノリノリでポーズをとって自分ひとりの写真すら撮ってもらうのだった。
写真はデジタルとアナログ両方で撮影され、デジタルはその場でプリントアウトされて渡される。
タイキシャトルは一緒に買った新しいアルバムに全部の写真を詰め込んだ。
「エクセレント! エアグルーブとみんなにオミヤゲデキマシタ!」
スズカは、恥ずかしいから私の写真は……と思ったが、それはもう無理なことだろうとあきらめることにした。
そんなことまでやっておきながら、結局はだだをこねて引きずられていったタイキシャトル。
離陸する飛行機の様子を見ていると、あの窓に張り付いているのは――と思ったが、なんとなく気づかないフリをして虚空に手を振った。
タイキシャトルはアメリカの大地を離れた。
代わりに自分がいる。
なんだかとても場違いな気がしたが、
「さて、帰ろうか。スズカくん」
「……ええ」
タイキシャーロックにうなずき返して、新たなホームに戻ることにした。
――つづく
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