異世界のウマ娘 ~Ancestral Loyality~【サイレンススズカ】 作:もっそ
ランチの時間からだんだんとクラブのウマ娘がやってくる。
そして誰もがまずサイレンススズカの姿を探していた。
「オー! ニンジャ! スズカ、クノイチ!」
「エキスプレス、スズカ!」
だいたいこんな感じである。
スズカはがんばって受け答えしようとするが、次から次へとウマ娘が集まってきて四苦八苦する。
こうなった原因はおおむねタイキトレジャーにある。
トレジャーはスズカがクラブに入る前日、クラブのウマ娘たちが良い意味で迎え入れられるように〝営業〟していた。
そのセールス材料はもちろん、タイキシャトルとのマッチレースのビデオである。
そこにトレジャーのセールストークが合わされば、もうサイレンススズカイコールジャパニーズニンジャアンドエクスプレスである。
かくしてスズカはクラブで紹介された時からトーヨーノシンピとなっていた。
しかもスズカはそれを実力で証明してしまう。
そもそもシニア期のウマ娘といえば文字通り〝稼ぎ時〟であり、大半がアメリカ各地で出走している。必然、クラブに残っているのはデビュー前のまだ幼さ残るウマ娘たちだ。
そんな成長途中のウマ娘たちが、復帰直後とはいえG1を優勝したシニア三期のウマ娘であるスズカのトレーニングに興味本位でついていく――案の定、一時間後には全員バテバテとなっていた。
軽いランニングとスズカは言ったが、とにかく速い。そして休まない。さらに途中、いきなりペースアップする。
しかも走っている間、スズカは何も言わず黙々と前を向いているので、後ろに続く者たちからすれば、先の見えない恐怖に駆り立てられる。
「スズカくん、このくらいにしてあげよう」
「えっ?」
シャーロックが言わなければもう二時間くらいは走っていただろう。しかも後続のウマ娘たちのことを忘れ始めていた。
「ボクももう二年くらいは現役のつもりだけど、自信がなくなってくるね」
「ご、ごめんなさい……」
「うーん、悪意がないだけに余計にむなしくなってくる」
振り返ると、まさに死屍累々といった具合に数十人のウマ娘たちが寝転がっている。
一番近くで倒れながら笑っていたのはタイキトレジャーだった。
「ウハハハハハ……! スズカ、ワンダフォぶふっ! ぶるふふっ!」
咳き込むトレジャーを見てシャーロックが肩をすくめる。
「ご覧のとおり、実力でいえばこの倒れてる順番でおおむね合っているだろう。トレジャーも今年デビューするから、まあ、思いきりしごいてやってくれ」
「いいのかしら……」
――という風にスズカはパカパカレーシングクラブで新たに〝ボス〟または〝オヤブン〟の称号を得るのであった。
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