武昭達が会社から戻ってきた日の夜、武昭は学園の屋上で誰かと連絡をしていた。
「それでお前はいつこっちに来るんだ?」
〔2、3日後って所ね……全く内緒で行ってアンタ達を驚かせようと思ってたのに〕
「ハハハ、まぁ俺はある意味
〔それも、そうね。そう言えば……新しく戦士の力を受け継いだ子が居るんですって?〕
「あぁ、学園にいたよ。しかもお前と同じ代表候補生だよ、日本のな」
〔ふーん、私と同じ代表候補生なんだ……けど戦士としての経験なら私の方があるわよ?〕
連絡していた相手の感じが変わった事に武昭に気付いていたが、そのままにしていた。
「そろそろ門限があるから俺は部屋に戻るよ」
〔そう、じゃあ私も……武昭……何でも1人で背負うとするんじゃないわよ〕
相手は武昭が何かを言う前に連絡を切った。
「分かってるよ…けどな、それが俺の選んだ生き方なんだよ……」
武昭は夜空を一瞥すると部屋に帰った。
それから数日後の朝……
「うっす、おはようさーん」
「あっ、おはよう海城君、ねぇ聞いた!?」
武昭が教室に入るとクラスメイトの1人が話しかけてきた。
「ん?聞いたって、何をだ?」
「新しい転校生が来たんだって」
「しかも中国の代表候補生なんだって」
「今ごろ来るなんて、私の存在を危ぶんで今更来たのでしょうか?」
「このクラスに入ってくる訳でもないのだろう?それほど騒ぐほどでもないと思うがな」
「あぁ、そう言えばコッチに来るって連絡があったっけ」
一夏、セシリア、箒が話してる中、何かを思い出した武昭が話に入ってきた。
「ん?武昭が知ってるって事は会社の関係者って事か?」
「そうよ、私が2組に転校してきたのよ」
一夏が武昭に聞いたのと同時に入口の方から声がしたので見ると茶髪で腰までのツインテールにしている少女が立っていた。
「なっ!?誰かと思ったら鈴じゃないか!!」
「えぇ、中国の代表候補生でスペースラビット中国支部所属凰 鈴音よ」
「えっ?鈴もそうだったのか?俺は聞いてなかったぞ?箒は知ってたか?」
「いや、私も初めて聞いたぞ。武昭、どういう事だ?」
鈴が自己紹介をしたので事情を武昭に聞こうと一夏、箒が視線を向けた時だった。
「それは昼休みにするよ。そろそろHRが始まるから席に座って鈴は教室に戻った方が良いぞ、うちの担任は織斑先生だから」
「そうなんだ、じゃあ昼休みに詳しい事は話すわね、それじゃあ。あっ千冬さんお久し振りです」
武昭に促されて皆がそれぞれ行動をした時に鈴は千冬と会ったので軽く挨拶をした。
「あぁ凰だったのか、まぁ今は許すがこれからは織斑先生と呼ぶんだ」
「はいすみませんでした、それじゃ失礼します」
鈴は千冬に頭を下げると自分のクラスに帰った。
その日の昼休み……
「さてと一夏、俺はちょっと寄る所があるから先に食堂に行っててくれ」
「あぁ、分かったよ、じゃあ行こうぜ箒」
武昭に言われた一夏は箒を連れて食堂に向かった。
一方、武昭は4組に来ていた。
「おっ、居たか。おーい簪ー」
「えっ?武昭?……どうしたの?4組まで来て」
「あぁ、ちょっと話しておかないといけない事があってな
「そう……じゃあ行くね……」
武昭が簪にレッドのレンジャーキーを見せると自分のクラスに来た理由に納得して一緒に食堂に向かった。
武昭と簪が食堂に行くと一夏、箒、鈴、セシリアが同じテーブルに座っていた。
「おっ、悪いな鈴、来るのが遅れて」
「別に良いわよ、一夏から話は聞いてるから。それで武昭、彼女が……」
鈴は武昭の横にいた簪に視線を向けた。
「そうだぞ、彼女が日本の代表候補生で……」
「あ、あのっ、更識簪って言います。私の事は名前で呼んでください」
「そう、私は凰鈴音よ。中国の代表候補生をやってるわ、私の事も鈴で良いわよ」
「それで武昭、鈴はいつウチに所属したんだ?」
鈴と簪が自己紹介をし終えると一夏が武昭に気になっていた事を聞いた。
「武昭、私から言うから良いわ。スペースラビット中国支部所属の凰鈴音よ、所属したのはほんの数ヶ月前ね」
「確か一夏がISを動かせるって分かった時位だったな」
「なるほど、その時はこっちでもそれなりの騒ぎがあったからな」
鈴の事情を聞いて武昭が捕捉すると箒は納得した。