死にたい主人公が目覚めたのは死ねない能力でした。 作:ユノ・アスタライズ
13話
胃が、胃が痛いです………
「……………。」
「……………。」
シーン
だってさっきから事情聴取って割には静かなんだもん!
僕は、鑑定が終わるまでしばらく拷問室の中で待ってろと言われた。対面になる形で座っているのはさっきの青い髪で青い目の人。言いにくっ!名前くらいは聞いとくか……
「えっと、あなたの名前は?」
「僕の名前は、パラド・アビンスだよ。アルフォト・グレイロードくん。」
「そう、なんですね………」
バンッ!
突然扉が開いた。結果が出たのだろうか、かなり焦った様子で出てきた。
「落ち着いて、ゆっくり、それで?そんなに急いでるってことは結果が出たんだよね?」
「は、はい……け、結果は……アルフォト・グレイロードと同一人物と出てきました。」
そう言って、彼は結果の紙を見せてきた。その上には確かにアルフォト・グレイロードの名前と、一致したという結果が書かれていた。
「は?」
おかしい、僕はこんな事はしていないし、一週間前は屋敷で爆睡してたはずだ。そのはずが…なんで?
「アルフォト・グレイロード。器物損壊、暴行、殺人未遂で逮捕する。」
……………………おわった、僕の人生。
────────────────────────────────
俺は、困惑していた。簡易的な鑑定でも当たる可能性は70%は超えている。つまり、アルフォトは事実上逮捕されたのだ。訳が分からない。さっきまで雑談して、軽くじゃれ合ってた従兄弟がいきなり犯罪者なんて、本当に訳が分からない。だが、それと同じくらいわけのわからない奴が目の前にいる。
「君、誰だっけ?どっかで見たことあんなぁ〜」
コイツ、アルフォトに似てる。顔だけじゃない、魔力の気配もそっくりだ。だが、俺が知っているアルフォトとどこかが違う……
「まずはそっちから名乗ったらどうだ?礼儀だろ。」
「僕?僕はね、アルフォト・グレイロードだよ。」
は?どういう事だ?でも、よくよく見たら似てる気が………いや、でもちょっと待て。
俺は、『鷹の目』を使いコイツを観察した。
「お、『鷹の目』を持ってるんだ。いやぁ、見ても何も出ないよ?」
見てみて分った。コイツはアルフォトではない、少なくとも、俺が知ってるアルフォトでは無い。顔のつくり、魔力、身長、手足の長さ、どれをとっても全く同じだが、筋肉の付き方、あと、若干右に傾いていた重心が真っ直ぐになっている。とりあえず、アルフォト(仮)でいいだろ。
「それで?君の名前は?」
「トルテ・グレイロード…………」
名乗ると、アルフォト(仮)は少し考えているかのような仕草を見せた。
「うーん?どっかで………………あ!思い出した!トルテくんか!」
「?????」
な、なんだ?
「ああ、なるほど………って事はここは過去か。過去の僕に悪いことしちゃったな。」
は?過去?頭でもぶつけたのか?コイツ。
「ねぇ、僕……いや、もう一人のアルフォト・グレイロードはどこにいるの?」
「なぜそれを答える必要があるんだ?」
「そっか、なら……手合わせして、君が勝ったら僕が覚えている範囲で君が気になりそうな情報あげるよ。僕が勝ったら場所教えて?」
「いや、ちょっと待………」
「ヨーイ、始めっ!」
「話を聞け!」
まだうんともすんとも言ってねぇぞ!?
ブォン!
「お、過去でも使えるんだ、コレ。便利だなぁ………」
突然、空中に黒いゲートが出てきて槍が落ちて来た。さらに?を増やさないでくれ、頼むから。とりあえず、相手は長物だし、後ろに退きながら撃って様子を見る。運が良けりゃ誰かに加勢を頼むか……
ダンッ!ダンッ!
「ハハッ!狙いが正確だなっ!」
ガインッ!ガインッ!
「ッチ!」
槍で防がれた!コイツッ!改めて見ると結構強い!間合いに入ったら最後いつ死んでもおかしくない!格が違う!
………こりゃ本格的に加勢頼むか………戦力的にはアルフォトの50人分くらいはほしい。ギルドから距離は1kmくらいか……走れば間に合うか?
ダッ!
「あ、逃げんの?待て待てー」
ダンッ!ダンッ!
ガインッ!ガインッ!
こうやってある程度の距離まで近づいたら撃って(しっかり急所狙ってる。)足止めする。わずかしか稼げないが、別に良い。
ブォン!
またゲートが現れた。槍をしまって出したのはブーメランだった。
はぁ!?ブーメラン!?
フォン!
「ッ!!」ダッ!
思いっきりブーメランを投げてきた。頑張ってサイドステップ避けたが……これ戻って来るときに追撃食らうよね?鷹の目で見るか?いや、鷹の目はめちゃくちゃ集中しないと使えない……………なら常に警戒しなきゃな。
ダンッ!ダンッ!
ダンッ!ダンッ!
あ、危ねえ……咄嗟に弾に弾ぶつけなきゃ危なかった。にしてもえげつないな……すかさず銃で追撃とは……ブーメランに気を取られ過ぎたら弾でやられ、かと言って対処に夢中になり過ぎるとブーメランでやられると………えげつない、コイツ。でも、ガキでも思いつく発想をすぐできるってすごいよな。
ダンッ!
とりあえず一発撃っとこ。
「あ、ヤベッ。」
「イッ!」
肩に命中。どうやら弾に弾ぶつけて防ぐやつ出来ないんだな…………安心したぁ。
フォンフォンフォン!
「あ?」
突然、風を切る音が聞こえたから目を向けてみると、そこにはさっき投げられたブーメランが向かってきていた。………進行方向変えながら歩くべきだった。言ってるそばからブーメランの警戒解いてた。ヤバイ。
…………一瞬だけ異能使お。
フォンフォン!
スッ
「え?」
アイツは驚いていることだろう。何故ならブーメランが当たる軌道にあるのに当たってないからだ。
「…………。」バシッ!
やっぱ普通に掴んだか、ブーメラン。今度俺も使おうかな、ブーメラン。
──────────────────────────────
「え?あれ何?どゆこと?」
……僕は、教会に戻ろうとして、面倒くさいから近道を使って教会に向かっていたら、何かさっき会ったトルテくんが走っていた。
「助けてくれ!いきなり襲われたんだ!」
とりあえずしがみついてこないで。
「どゆこと?」
「ハハッ、待て待てー」
ダンッ!ダンッ!
「糞がぁ!」
ダンッ!ダンッ!
…………どうやら銃弾と銃弾をぶつけたらしく、お互いが弾かれてどっか飛んでった。うん!この時点でおかしい!銃の腕イカれてんのかこの人!普通できねぇから!………まさか僕が普通って言葉を使うとは思ってなかった。でも、そう思うくらいにはおかしい。ただでさえイカれてるのにしがみつきながらそれをやれるのはもっとイカれてる。反動くるからしがみつきながらはやめてほしい。
「はぁ〜痛い。」
そう言って、なれた様子で肩の傷から銃弾を取り出し、傷口にポーションぶっかけてた。………あの人アルフォトくんにむちゃくちゃ似てるんだけど。双子?
「あの人誰?」
「いや、本人がアルフォト・グレイロードって、過去がどうとか。とにかくめちゃくちゃ強いんだよ!助けてくれ!」
「助けてあげるから離れて。」
「感謝する!では、俺は後ろで援護射撃するから頑張ってくれ!」
あの野郎、サラッと押し付けて帰る気だな。って速っ!!足音しなかったぞ!
「今度は君が相手?」
「ハァ、めんどくさい。」
仕方ない、約束は守んなきゃな。と言っても、どこまで通じるかはわからないけど………。
ブォン!
何かデッカイ斧が出てきた。
ダッ!
速ッ!間合いに入る前に避けるかガード!あぁ、えっと、無いよ!無いよ!無いよ!あ、あったよ!
「『
バシュ!
ドゴン!
「あ、外した。」
よっしゃ!まだ生きてるぅ!どんだけ重いんだよあの斧!当たったら頭蓋骨砕けんぞ!
「やっぱ狭い場所だと使いにくいな、これ。無難に剣にしよ。」
ブォン!
今度は剣が出てきた。………もうやだよ………。
アルフォト・グレイロード(未来)…アルフォトが将来なるかもしれない未来、だけど一番なる可能性が低い未来の姿。容姿は今のアルフォトとほぼ変わりはない。言動と戦闘スタイルが大きく変わっており、特に戦闘スタイルは鈍足重量型からあらゆる武器を相手に合わせて使いこなすバランサーに進化。あと、振り回される側から振り回す側にも進化?している。大体200年くらい生きている。武器は剣、デカイ斧、槍、銃、ブーメランを使い分ける、二つ以上の併用もたまにする。武器はギラティナの破れた世界的な場所に保管していて、たとえ過去だろうが別世界であろうが取り出せる。(元々別に管理者がいたが、普通に殺してその世界の管理権、アクセス権を奪った。)もうパーティー内で最弱であった今のアルフォトなんて比べものにならないくらい強くなっており、強さランキングトップに余裕でランクイン。ちなみに、アルフォトがこれを再現しようとすると50年でやっと完全下位互換が出来上がり、その後も血反吐吐く努力をしてさらに50年後くらいに追い付く感じ。ちなみに、何年生きてても痛いのは未だに好きじゃないらしい。ちなみに、トルテの異能は昔聞いたけど覚えてない。むしろ覚えてたらトルテはもっとやばかった。なお、約束のことすっかり忘れて本気つまり割と殺す気で攻撃していたらしい。自分から言ったなら守れや。
『鷹の目』について…12種類ある魔眼の一種。目に魔力を流す事で発動。発動すると目の色が金色になり鷹のように見えるという感じで鷹の目という名前が付いた。特徴として、めちゃくちゃ遠くまで見え、最大2kmまで見える。目から伝わる情報量はとても多くなり、重心の位置や僅かな癖なども分かり、動体視力に至っては銃弾すらスローに見える。弱点と言えばその情報量の多さ故に酔いやすく、かつなれないとめっちゃ疲れる。魔眼の中で珍しく他者に引き継げるタイプで、生涯一度も引き継ぎを行わなかった場合、ランダムで選ばれる。(トルテは銃の師匠から引き継いだ。)ちなみに、魔眼の中ではどちらかといえばショボい部類に入る。あと、トルテがアルフォトを詳しく知っていたのは『鷹の目』でこっそり見たから。それを本人の驚異的な記憶力で覚えているだけ。
ちなみに身体能力とステータスは別物で、例えば太ってても素早さA以上は普通にいるし、普通に速い。だけど、鍛えていたほうがもっと速いって感じです。イメージは元の身体能力+ステータスと言った感じ。ただ、たまにマルクのようなマイナス補正がかかるやつも稀にいる。だからどうやってもマルクは木刀以外を使うと動きが鈍る。