以前よりプロット(だけ)を練っていたので連載再開。
アニメ4期すばらしい!
第二章 プロローグ および第一話
帝都アーウィンタールの郊外にある小高い丘に生えたひと際大きな木の上。
鳥をあしらった特徴的な仮面を外し長い黒髪をなびかせた青年は、遠くに広がる風景を眺めていた。
周りには生命力を感じさせる美しい自然が広がり、空気も澄んでいる。ほのかな緑の香りにつつまれながらも、遠くには帝都の美しい街並み……人の営みが垣間見える。視線を上に向ければ、空はどこまでも高く蒼い。そして白い雲を従えてどこまでも広がっていく。
転生者ペロロンチーノ・ヘッセンのお気に入りの場所である。
そんな場所に、いつも通りの息抜きのためと抜け出してきたのだが、同行者……いや、かってについてきたのだから同行者とは言えない二人が、同じようにくつろいでいた。
「アインズ殿ここがペロロンチーノのお気に入りで、よく息抜きに逃げ出してくる場所だ」
「ジルクニフ殿。それは良いことを教えてもらった。たしかにどこまでも見渡せる自然に風を感じることができる場所。とても気持ちがよいものだな」
などと、のたまっている。
こいつら、いつの間に仲良くなったんだ?
そんなことを考えながら、森の向こうに見える帝都に目を向ける。人々の喧騒は聞こえないが、たしかにそこに人々が生きている。そんな気配を感じつつ、風に運ばれてくる緑の香りを胸いっぱいに吸い込む。
「さて。そろそろ仕事に戻りますが、二人は置いていっていいか?」
「いやいや、ペロロンさんに用事があってきたんですから」
「そうだぞ。わざわざアインズ殿がこちらにまで来てくれたのだ、持て成すことこそ道理では?」
「
そんなことを言いながら、二人に向けて手を伸ばしペロロンチーノは思うのであった。
――本当にこの世界は、退屈しそうにない
第一話
ナザリック 地下大墳墓 第九層 会議室
「さて、これより第四回目の打合せを行う」
巨大な円卓に座るアインズ・ウール・ゴウンは片手をあげて会議の開催を宣言する。そのしぐさは支配者にふさわしい洗練されたものであり、この場における上位者であることを印象付けるには十分すぎる威厳を発していた。
「僭越ながら、このアルベドがファシリテートをさせていただきます」
アインズの右隣、黒髪白い肌、純白のドレスを纏うサキュバス、アルベドが事前に決められていた通りに会議の進行を始める。
この場には
アインズ・ウール・ゴウン
アルベド
デミウルゴス
ペロロンチーノ・ヘッセン
ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス
フールーダ・パラダイン
護衛として外周を守るように階層守護者のシャルティア・コキュートス・アウラ・マーレ。
そして会議参加者への給仕としてセバスが参加している。
「まず前回までの記録および決定事項は、お手元の資料にまとめてあります」
アルベドに促され参加者は資料に目を落とす。
そこには、前回までの会議できまった、ナザリックおよびバハルス帝国の今後戦略が、描かれている。
例えば、アインズは今後冒険者モモンとしてのエ・ランテルを中心に実績を積み上げ人類の英雄という立場を強固なものとすること。
例えば、アウラ・マーレ・コキュートスはトブの大森林内の亜人種・異形種の制圧。
例えば、バハルス帝国は、ナザリックの活動に必要な現地通貨や立場、研究に必要素材など、有形無形の支援を行う。その代わりに、事務能力を持つものの人材支援(ヴァンパイアやエルダーリッチがマジックアイテムで擬態する予定)。
などなど多くの決定事項が記載されていた。
「では本日の会議に伴い、大方針を確認させていただきます。アインズ様ひいてはナザリックの目的は、ナザリックの防衛。そして転生および転移される至高の御方々との合流となります」
アルベドの言葉にアインズは頷く。
「続いてペロロンチーノ様、そしてバハルス帝国の目的は帝国の存続と、可能な限り人類生存圏の拡大」
ペロロンチーノと同席するジルクニフは頷く。
「方法論として、ナザリックを国家として昇格。異業種・亜人種・人類種を含む多種族国家の形成。その平和の治世により広く名を知らしめ、至高の御方々が合流、または捜索しやすくするというものでございます」
全員が頷く中、ジルクニフが手をあげ発言をもとめる。
アルベドは一瞥するも、ファシリテーターとして公平に処理するため、何食わぬ顔で発言を促す。
「将来の話になるが、人類種が平等に平和に生きることを享受できるのであればバハルス帝国は、アインズ・ウール・ゴウンが主導する国家のいち自治区、またはいち属国でも構わないと考えている」
その言葉に、ナザリック側も頷く。そもそも下等種である人類の国家がこれほど厚遇されているのは、ペロロンチーノ様の母国であり所属国であるからにすぎないと考えているからだ。
そしてジルもナザリック側の思惑を把握している。そもそもバハルス帝国の建国理念は、人類種の生存圏を確保するための分離独立。そしてナザリックの存在・戦力を知った今、このような反応になるのはしょうがないことである。
「すくなくともそうなるのはジルクニフ。そなたの死後となるだろう」
アインズはペロロンチーノという親友を挟む形でジルクニフという男にも友好を感じての言葉である。
しかし周りの存在からすれば、異形種と人類種の寿命を考えれば、ペロロンチーノという存在を加味すれば高々一代分の猶予を与えたとしてもそれは慈悲として問題ないと考えられているのだ。
「話をもどさせていただきます。最初のターゲットは王国。エ・ランテルを含む南東の地域の確保を目指します」
――話はすすむ
「では最後に至高の方々の捜索について」
「爺。情報を」
ジルクニフの言葉に、フールーダは立ち上がりアインズに向かい深々と頭を下げる
「アインズ・ウール・ゴウン様 ご報告をさせていただきます」
アインズはその反応に「こいつ、何やってるんだ? ジルクニフの部下だろおまえ」と考えつつも、手で軽く制止し座って発言を促す。
「まず、こちらのペロロンチーノ殿が転生を認識したのは、幼少の頃と聞きおよんでおります。そして私は転生とおもわしき存在を他に一人名知っております。そちらはタレントによるものでした。こちらも幼少の頃、自我が形成された頃に記憶を取り戻したようで、年齢にそぐわぬ知性を発揮しました」
「その下等・・・・・・いえ、その者らは?」
「私の高弟の一人で数年前に老衰でなくなりました。タレントによる転生であればいつしか知性ある存在に転生し、また魔導の研鑽に励むことでしょう」
アルベドの質問でもう一人の転生者について概要は把握された。
「タレントか。ペロロンさんのタレントは確か別ものでしたね」
「遠距離武器完全適性だな。まあ転生とこれは関係なさそうだね」
とはいえ、ペロロンチーノの転生理由を解き明かすものではなかった。
「何分、明確な事例は数少なく、文献や伝承には似た事例はありますが不明確。少なくとも自我が確立して、しばらくたたねば転生したと認識すらできないでしょう」
フールーダの言葉に、ナザリック陣営は難しい顔をする。
言っていることは至極当然なのだ。そもそも自我らしきものを持たぬ存在になったとしても、それを転生と認識することはできない。そして自我が目覚めたとしても、ある程度の情報や思考力が育たねば、やはり転生と判断・行動はできないのだ。
「明確なロジックがわかるまで幼少というと程度の差はあるでしょうが、知性ある種族の赤子、無垢な子供は保護する必要があるということですかな」
デミウルゴスの言葉に、アインズは頷く
「すべてを拾い上げろとは言わぬ。が、手の届く範囲で保護せよ。なかなか大変な事業になるな」
ナザリックの戦力は、現在の状態でも簡単に周辺国家を蹂躙することができるものである。しかしこの条件は単純な蹂躙戦略がとれないということだ。
「モモンガさん。逆に考えるんだ。子供を保護し、育成することで将来優秀な人材がナザリックや帝国を支えてくれる。そのような治世をこれから出会えるかもしれないあいつらに見せつけてやるとね。」
「そうですね。ナザリックのような転移のような例もあります。どのパターンでも、子供を虐待するような国に、あの人たちも喜んで名乗り出てくれるとはおもえませんから」
「そそ。あんな世界にはしたくない」
だが、ペロロンチーノはアインズに対して前世の世界との比較をすることで、納得することができた。
もっともアインズとペロロンチーノの会話に周りの者は、何に対して嫌気をだしているのか計りかねていた。
「ヘッセン卿。それはお前の前世の世界でのことか?」
だが、唯一その話をわかるもの、ジルクニフが補足をするのだった。
「そそ。ってモモンガさん。このことアルベドたちに話した?」
「そういえばまだだったな」
「俺みたいなパターンを考えると概要でもつたえないと、みんなの件で齟齬がでるかもしれないよ?」
「そうだな」
ペロロンチーノが言いたいのは、モモンガも含めて元人間であること。
しかし、「元人間だって伝えても」とアインズは考えていた。なぜならナザリックのモノは人類種を下等な存在と認識している。実際、ナザリックに所属する者たちは、そのへんの人類種より天と地ほどの力量差が存在するのだから。
「まあ、その件はあとで相談にのるよ。っと」
見れば1時間以上経過していた。
「モモンガさん。そろそろ冒険の時間でしょ。モモンの勇名はこの後の計画の要ですから」
「そうですね。では皆の者いってくる」
「冒険楽しんで来てください」
席を立つアインズに、ペロロンチーノはにこやかに手を振りながら送り出す。
「シャルティア申し訳ないけどフールーダ殿と皇帝の帰りの道を」
「はいでありんす」
そしてシャルティアはペロロンチーノからリング・オブ・アインズウールゴウンを借り受け、転移ゲートを開く。
二人はその意図を理解したのだろう。退出の礼を取ると静かに去るのであった。
会議参加者の退出により、場はいったん静かになる。
ペロロンチーノはいままでの雰囲気とは打って変わり、両手を組み口元を隠すように肘をつく。
「さて、モモンガさんに言えない相談をしようか」
アルベド、デミウルゴスをはじめ守護者の面々が頷く
「アインズ様に秘密で、という点にはいささか思うところがありますが」
「なに、誕生日プレゼントのサプライズみたいなものだ。せっかくのプレゼントがモモンガさんにバレてしまったら、喜びも半減してしまうだろ?」
「同じ口車で結果的に反逆とならぬよう」
デミウルゴスは眼鏡の位置を戻しながら、葛藤を口にする。しかしペロロンチーノの言葉には一定の納得もあるため受け入れるのだった。
もっともアルベドは納得しきれていないようだが……。
「でもモモンガさんの家族を作る方法。重要だろ? とくにアルベドには」
「ええもちろんよ。でなくてはペロロンチーノ様といえども、アインズ様に内緒で事を進めるなど」
「それがわかっていればいいさ。で実際どうなんだ?」
アルベドの意見を聞き流しつつペロロンチーノは進捗を確認する。
「ナザリックの記録、文献、知っていそうなものへの調査を行った結果、オーバーロードという種の繁殖は存在しないと。それは多くのアンデッドに共通する事項という結論になりました」
「一応、亜人種と人間種は、確率は低いがヤレばできる。それはこの世界の常識だ。ハーフエルフなんてわかりやすい例だよ。だが、相手がアンデッド、それもオーバーロードではやっぱそうだよな」
デミウルゴスの言葉にある種の納得の空気が支配する。そもそもアンデッドは生まれるより発生する、成る、進化するというたぐいのものなのだ。
「そもそもアインズ様はどのようにオーバーロードに成られたのですか? ペロロンチーノ様」
「システムの力というのは、今はわからないだろうけど。どっちかといえば進化した結果と言えなくないかな」
アウラはある意味興味本位でペロロンチーノに質問するが、アインズがまだカミングアウトしてない事に絡むので、若干の情報も交えはぐらかした回答をすることとなった。
「やはりお世継ぎは難しいでしょうか」
アルベドは落ち込むように言葉を漏らす。実際、アインズという存在がいまのナザリックの支柱であり信仰の対象ともいえる。もし失われれば崩壊は決定的なものとなることは、誰の目にも明らかなのだ。
「まあ、三つ案はあるんだ。こっちでも文献をあさって見つけたのだけど、擬態すると喉となり声を変える蟲や擬態すると義肢の代わりになる蟲が存在するって」
「たしかエントマの眷属にいましたね」
「あと、ナザリックのメイドにもいたとおもうけどホムンクルス。あと、マジックアイテムによるアルベドの相手が可能な種族への変身」
ペロロンチーノの意見に、守護者たちはそれぞれの知識の範囲内で実現の有無を考える。
「モモンガさんのDNA情報を採取して第二の体をつくる。まああとはそれなりの魔法やアイテムを探すってのもあるけど」
「平行して研究することは可能ですね」
「それにモモンガさん この間、ナザリックの食事を食べたいって言ってただろ? 研究次第ではその望みもかなえられるんじゃないか?」
ペロロンチーノの言葉はいちいちもっともであり、ナザリックの抱える問題だけでなく、アインズの望みさえ叶えることができるということでこの場で合意形成がなされていった。
しかし、一人難しい顔をしていたマーレがおずおずと手をあげるのだった。
「あ・・・あの 一つ質問が」
「なんだい? マーレ」
「アインズ様はオーバーロードなのになんで食事をされたいと思ったのでしょうか?」
その疑問に、他の者たちもそういえばと考える。
「いい質問だね。それはモモンガさんの秘密に関係しているから、ここでは言えないけど。とっても重要なことなんだ」
「はい・・・まだ秘密なのですね」
「かってにモモンガさんの秘密を暴露するわけにはいかないからね。でも、モモンガさんはみんなの事を大事に思ってるからタイミングを計っている。だから打ち明けるまで、待ってほしい」
ペロロンチーノはマーレの頭を優しくなでながら、諭すように言葉を重ねる。マーレは守護者として相応の知性をもっているが、その精神性は幼くペロロンチーノの行動に愛情を感じつつ身をゆだねながら、ゆっくりと納得していくのだった。
が
ここまでは、いいかんじの雰囲気を醸し出しているのだけど、なぜか一人うずくまるアルベドに気付いたシャルティアが声をかける。
「ねえアルベド。どうかしたでありんす?」
「はぁ。はぁ。アインズ様との素晴らしい夜を想像して、すこーし下着がまずいことに」
「はぁ・・・・・・」
アルベドのあんまりな回答にシャルティアは深くため息をつくのだった。
シャルティアの反応は至極まっとうな反応だが、その反応に一人だけ違和感を覚えるものがいた。
「ねえ、シャルティア? 普段ならアルベドに罵倒の一つも言う感じじゃない? なにか違うような・・・・・・余裕?」
「そうでありんすか?」
「うん。やっぱり違う」
二人と同性ということで交流のあるアウラは、シャルティアの反応の違和感に疑問をもつのだった。
「シャルティア。まさか・・・・・・」
その言葉が天啓となったのだろうかアルベドはシャルティアから視線を外しペロロンチーノに向ける。
かくいうペロロンチーノはデミウルゴスとコキュートスと何か会話をしているようだ。実際は視界の端で、確認をしているものの女子会の邪魔をしないようにしているだけだったりする。
だがアルベドの反応に
「ふふ」
シャルティアは余裕をもった笑みをみせるのだった。
その反応に、アルベドは俯き肩をふるわせはじめる。それを見たアウラは慌てだす。
「アルベド落ち着いて!」
「そうよアルベド。わっちは別にアインズ様の御相手をしたわけじゃあありんせんし」
「シャルティア!」
アルベドは涙を流しながら
「シャルティアに……女として先をこされた……」
怒ると思いきやさめざめと泣き始めるアルベドの姿に、アウラとシャルティアはどうしたものかと顔をあわせる。
そんな状況を見かねてペロロンチーノが声を掛ける。
「あーシャルティアとアウラ、アルベドをつれてBARで少し気分転換に飲んできなさい。飲む作法は覚えているね」
「はい! ペロロンチーノ様。BARで飲むときは酔いのバッドステータスを受けられるアイテムを装備してですね」
「そうそう。じゃあシャルティア。よろしくね。デミウルゴス。そんなわけだから少しスケジュールのフォローをお願いね」
ペロロンチーノはデミウルゴスにお願いという指示をだすと、デミウルゴスは了解の礼をとるのであった。
「アレデヨカッタノデショウカ?」
「まあ、アルベドも女性ということだよ。どこかで吐き出さないとね」
女性陣が出て行った扉を見ながらつぶやくコキュートスに、ペロロンチーノはさもありなんと答えるしかなかった。