以前よりプロット(だけ)を練っていたので連載再開。
アニメ4期
第二話 アルベドの新衣装万歳!
しかしOPみると、いろいろ想像が膨らんで素晴らしい。
帝都アーウィンタール 帝城 執務室
帝城における皇帝ジルクニフの執務室は、多くの来訪者を迎え報告・検討・決済がなされている、ある種の戦場である。
その日もジルクニフを中心に護衛が見守る中、ペロロンチーノはいつもと変わらぬ風に一つの宣言をしたのだった。
「あっ。おれ結婚するから」
もちろんその言葉にジルクニフ以外は驚きを隠すことはできなかった。だが、報告を受けるジルクニフは当たり前のように確認をいれる。
「相手はシャルティア嬢でいいのかな?」
「まあな」
護衛の四騎士を含めその場に居合わせた者たちは、「え? あの人秘書と結婚するんじゃなかったの?」「いや、〇〇伯爵のところの……」「メイドと立場違いの……」「一生ジルクニフ様のお隣に侍るものかと……」とぼそぼそと意見を交わしているが、当のペロロンチーノとジルクニフは我関せずで話をすすめている。
「今は対外的な婚約だけだ。正式な結婚はあちらの準備が整ってからでいいな」
「わかってる。あっちも王国方面で忙しいだろうから」
「今のうちに法国か」
「ああ。シナリオ通りにちょっと仕掛けてくるわ」
「やりすぎるなよ」
「正攻法で仕掛けるさ」
と、ここからの噂の伝播は目をみはるものがあった。
そもそも有名人の色恋沙汰の噂は出回るのも早いのに、ペロロンチーノは知名度、年齢、地位の関係で、皇帝ジルクニフとどっちが先に結婚するかで賭けになるほどの有名人なのだからなおさらだ。
とくに社交界でもペロロンチーノの愛人といわれるものが少なからず存在する。しかし愛人と目される女性の数は増えるが、まったくといってよいほど結婚の気配はなかったのだ。一部では皇帝との仲を疑われており、その偽装のために愛人を作っているという噂さえあった。
そんな男がついに結婚するというのだから、相手は誰かということと話題となった。
最初こそ様々な憶測は流れたが、いつの間にかある噂に集束するのだった。
――某国の姫。それも異形の存在と……。
「ん? まあ当たらずとも遠からずかな」
実際、シャルティアは真祖ということで異形種であり、ナザリックにおいても守護者という特別な存在であることから、姫というのもあながち間違ってはいないと考え、ペロロンチーノも問題ないかとコメントをしたのだが、それがより真実味を持って噂の拡散を後押しすることとなった。
あとあと大問題に発展するのだが……
だが、話題はこれだけではなかった。
帝国双璧たるペロロンチーノ・ヘッセンを筆頭とするスレイン法国への外交使節団が発表されたのだ。
法国 神都
スレイン法国の指導層は対応に苦慮していた。
もしこの世界でもっとも人類種の守護に貢献した国家を挙げるとすれば、スレイン法国と歴史を知る者は答えるだろう。
そしてスレイン法国の長い歴史においても戦力が充足された時代を迎えていた。
――ついこの間までは
陽光聖典の失踪。情報収集の中枢たる巫女を失い、そして漆黒聖典の一部離脱という状況に陥っている。その戦力回復には、最低でも数年はかかるのだ。
加えて
そんな時にバハルス帝国からの外交団の話が来たのだ。
いや、法国と帝国は様々な懸案はあるものの関係は良好であり、外交自体は定期的に持たれている。
法国は宗教国家の側面があり、労働よりも社会奉仕の側面が強い。ゆえにある程度自給自足が成り立つ計画経済となっている。しかし、何事も計画通りにはいかず、現在は拡大する戦線への対応もあり、有形無形の取引によって補われている。
むしろ腐敗し頼りにならない王国よりも、帝国は理解した上で神殿を通じて援助さえされている。
だが、今回は違う。
急遽組み込まれたもので、防諜を鑑みて事前に明かせない重大案件の情報交換が提案されているのだ。本来なら事前で事務方との協議を経ない提案というのはある意味で暴挙でしかなく、即答即決できないため無駄足になる。今回はそれさえ加味して10日の滞在が申し込まれているのだ。
そして外交団の筆頭は帝国の双璧の一人、英雄の領域を超え逸脱者に達しているのではと噂される人物である。
この男だけなら問題にならなかったが、加えて異形種を1名同行とあったのだ。
同行に対し、もし防衛以外でスレイン法国に被害があれば全額賠償。その保証金として、来月期限を含む半年分の貿易決済全額免除や金・資材などの先渡しまで提示されている。また話がまとまれば前渡し分についてそのまま提供という破格の条件だ。
実際、昨今の被害における人的部分を除けばほぼ補填できるほどの財の提示。
「さて、どうすべきか」
「理のみ考えれば受け入れるべき」
「われらが教義は人類の守護。その敵たる異形種をこの地に招き入れろと?」
「過去において事例がないわけではない。あの竜王とも取引をしたのだ」
「厳密にいえば。あの御方もそうなのだから」
「そもそも異形種を事前告知で同行させるというのだ。殺してくれと言わんばかりではないか」
スレイン法国 最高執行機関の12名が集まっての会議もすでに三回目。そろそろ回答を決めねばならぬ時期。
いや。すでに結論は決まっている。
――ぷれいやー そして ユグドラシル
事前提示された唯一の情報
「ぷれいやーが降臨する時期。この言葉を添えて異形種を我々と引き合わせる意味。もうわかっているのだろ」
「ブラフの可能性もあるのでは?」
「最悪討伐されたというヴァンパイア、もしくはその討伐者との関係も?」
「帝国とて国是は同じ。協力関係にあるのだ。それらを踏まえた上での提案であろう」
いままで意見を聞くだけで、発言をしなかった最高神官長が静かに告げる。
「こちらも最悪の事態を想定し、交渉に臨めば良い。それだけのことだ」
この瞬間 法国の将来が決定したのだった。