鬼滅の刃 蝶と日と   作:毛利カトリーヌ

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自身の妻三人を遊郭に潜入させていた音柱・宇随天元。しかし妻たちの消息は途絶え、胡蝶カナエ・しのぶ姉妹と日柱・竈門炭治郎、嘴平伊之助と共に遊郭潜入作戦を実行して、何とか妻たちは救い出すも、宇随の弟と称する下弦の鬼が現れ…

※前回から1年以上更新が滞ってしまいすみませんでした。。




宇随兄弟の対決

「天明か。久しぶりだな」

 

宇随天元は一瞬、驚くもすぐに冷静さを取り戻した。

 

「その名はとっくの昔に捨てた。それに俺らは兄弟でもなんでもねえ」

 

人間時代は宇随天明だった下弦の参、病葉はにべもなく答えた。人間時代に忍をしていた時以来の徹底的な無機質、冷酷さ。部下は駒としか思わず、妻は跡継ぎさえ産んでくれれば用済み、死んでさえ構わないと思っていた。人の心というものを持たず、兄である天元はこのような人にだけはなるまいと思っていたのだった。

 

「俺はこの遊郭に病原菌をばらまき、使えなくなった女を次々に死なせていった」

 

病葉は続けると、天元も眉を吊り上げた。

 

「俺もお前なんか弟とも何とも思わない。それに何だ? 顔の×印は。お前は鬼になって益々醜くなってるぞ。自分の鏡を見てみろ」

 

すると病葉は益々低い声を出す。

 

「もうおしゃべりはやめだ。今度はお前に病原菌をくれてや…」

 

音の呼吸 壱ノ型 轟

 

天元は飛び掛かり、二本の刀を力一杯、振り下ろした。爆発音がして病葉は粉砕されたと思いきや…

 

「やるなあ、お前」

 

病葉は近くの屋根への飛び退きに成功していた。

 

「しかしお前には俺は捕まえられない。俺は忍者の術に加え、鬼になって益々強くなった。」

 

そして屋根を伝ってさっと逃げ始めた。宇随も即座に追う。

 

「待て!」

 

下弦の参は屋根を飛び移りながらひたすら遊郭中を逃げ回り、宇随もそれに続く。

 

音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々

 

鎖も使って無数の爆発と斬撃を繰り出して捉えようとするも、すんでの所で逃してしまった。

 

その後も天元は追跡を続けて斬撃を繰り出すも、下弦の参はかいくぐり続けた。

 

ーーーーこの鬼は珍しい。ひたすら逃げに徹している。逃げ続けているせいで柱一人が拘束され続けている…

 

宇随の焦る気持ちと裏腹に、徐々に息が上がり始めた。さすがに柱なのでまだ、耐えられる程度ではあるものの、鬼は疲れを知らない生き物であるのに対し、人間は身体を酷使し続けると必ず限界が来る。

 

やがて逃げ続けていた下弦の参はいきなり振り向き、

 

血鬼術 虎列剌(コレラ)

 

次の瞬間、細長い白い物体が大量に宇随目掛けて襲い掛かる。

 

「これでお前は遊郭でくたばったゴミ女どもと同様、コレラで死ぬことになる」

 

しかし、宇随は飛び退きに成功し…

 

「ははは。人間様を舐めんなよ?こんな子供だましみたいな血鬼術に引っかかるとでも思っているのか?」

 

音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々

 

再び派手な爆発音を出して技を繰り出すが、再び下弦の参に避けられた。

 

ここから宇随兄弟は屋根で、そして地面でそれぞれ音の呼吸技と伝染病の血鬼術をかけ合って戦うも、どちらも敵の攻撃を躱すことに長けているため、決定打がないまま仁義なき戦いが続いた。

 

 

 

一方、上弦の陸・堕姫を倒した花柱・胡蝶カナエは息つく間もなく堕姫の兄、妓夫太郎に仇討ちを仕掛けられていた。

 

花の呼吸 肆ノ型 紅花衣

 

 

血鬼術 飛び血鎌

 

 

鎌に触れると死に至ると直感したカナエはすかさず妓夫太郎の間合いから飛び退く。

 

 

「ふふふ。逃げても無駄だぞ。俺は絶対、取り立てるからなあ!」

 

 

血鬼術 飛び血鎌!

 

 

術名を言い終わらぬ内に畳み掛けるように超高速の鎌が振られた刹那…

 

 

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

 

 

カナエは周囲に斬撃を放って鎌の攻撃を受け流す。

 

 

「お前妬ましいなあ! 上弦の鬼を倒して見た目も美しくてこの俺の攻撃にも耐えた! ますます妬ましいなあ!オイ、死んでくれないかなあ!」

 

 

「あらあら」

 

 

カナエは一切笑っていなかった。キリリとした表情で、カナエとは全く対照的な醜悪そのものの新上弦の参を睨み付ける。

 

 

血鬼術 円斬旋回・飛び血鎌

 

 

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

 

 

腕の振りもなく放たれた最初とは比較にならない血鬼術に受け呼吸技を再び出すも、カナエは受けきれず吹っ飛び、地面に叩きつけられた。

同時に周囲の建物はたちまち焼け落ちてしまった。

 

 

地面に落ちたカナエは薄桃色の日輪刀を握りしめたまま自然に受け身は取っていたものの、腕に力が入らない。

上弦との激戦続きがいよいよ堪え始めたのだ。

 

 

「お前いいなあ!」

 

 

妓夫太郎は一転、狂気の笑みを浮かべて迫ってきた。

 

 

「惨めだな!オイ! 妹も弟も守ってやれず、こうして惨めに死んでいく」

 

妓夫太郎は再び、表情を強張らせて益々、低い声をだして罵声を浴びせる。

 

 

「俺は絶対、堕姫を殺したお前だけは許さねえからな。すぐになんて死なせねえ。俺様の毒で少しずつ苦しみを味わわせてじっくりと殺してやる。」

 

そう言って、妓夫太郎はカナエの目前に迫って鎌を振り上げ…

 

 

ーーーーこの期に及んでも腕に、力が入らないわ。ごめんなさい、しのぶ、炭治郎、カナヲ、アオイ、禰豆子ちゃん…

 

カナエは家族を思い浮かべて涙を浮かべていたのだった。

 

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