父さんが釣ってきた珍しいポケモンのお話   作:しぐ

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ふと思い立ちました。


父さんが釣ってきた珍しいポケモンのお話

 俺が小さい頃まで話は遡る。

 釣りに出かけた父親が帰ってきたと思ったら凄い勢いで俺に、

 

『珍しいポケモンを釣ったんだ!』

 

 と鼻息荒く話しかけてきた。

 

 皆は珍しいポケモンと聞いたらどんなポケモンを想像する?

 伝説や幻のポケモンや強そうな見た目のポケモン、カッコいいポケモンなどなど。

 当時の俺なんてまだ小さかったしポケモン自体はテレビの中で出てくるポケモンしかしらなくて、リザードンやボーマンダみたいなカッコよくて強いポケモンに憧れてた。

 

『どんなポケモン!?』

 

 って、ワクワクしながら話しかけたのを覚えている。落差が凄かったから。

 

『コイツだ!!』

 

 たっぷり水が入ったケースの中に入っていたのは可愛くもカッコよくもないポケモンだった。

 

 ボヘーン。

 

 って効果音が鳴ってそうな登場で。

 頭の中で描かれていたポケモン達が一瞬で打ち消され、俺は泣いて、

 

『お父さんの嘘つきぃいいいいい!!』

 

 って叫んで自分の部屋に逃げた。

 父さんは何も間違った事は言ってなくて、俺が勝手に勘違いして期待してそれと違うポケモンが出てきたからショックで逃げただけだったんだけど。

 

 リザードンとか、ボーマンダとか、そんなカッコよくて強いポケモンが良かったのにって父さんに言ったんだ。そしたら父さんは、

 

『ごめんな、父さん見たことないポケモン釣っちゃってはしゃいじゃったな。お詫びに今度ポケモンジム連れてってやるからな、それで許してくれないか?』

 

 ジム観戦はエンターテイメントだ。ただ俺が住んでいた街にジムは無かったので遠出となる。久しぶりのお出かけの話にすっかり涙も引っ込んだ俺は、

 

『うん!』

 

 と、途端に笑顔になって笑ったんだ。我ながら現金な奴だったと思う。

 

 その次の日の朝、起きたらいつもはリビングでコーヒーを飲みながらテレビを見てるはずの父さんがいなかった。

 

『お父さんは?』

 

『ん? 外で池を掘ってるわよ』

 

 昨日釣ってきたポケモンの為に朝早くからずっと池を掘っているらしい。

 外に出てみると何やら楽しげな父さんが汗まみれになりながら庭の片隅で土を掘り返していた。

 

『狭いところじゃなくて、広いところで育ててやるからなー!』

 

 なんて話しかけながら、一生懸命掘っていた。

 結局池を掘ったりエサを買ってきたり、水を張ったり、お世話をしたり。父さんと母さんはそっちに時間を割くか自分との時間が取られてると思っていた俺はソイツの事があんまり好きじゃ無かった。

 

 カッコよくないし、可愛くないし、弱いし。

 

 父さんが野生のポケモンとバトルしてるのを見学した事があるけど、弱すぎて話にならないレベルだった。

 

『どうせ飼うならもっと強いポケモンの方が良かった!』

 

 って一度言ったことがある。

 それを言ったらいつもは優しい父さんが真面目な顔付きで、

 

『父さんにはあのポケモンを釣ってきた責任があるし、一度飼うと決めたからには投げ出すことはしたくない。それに、接してみると結構可愛い奴だぞ?』

 

 その時は可愛くないもん! って言って逃げたけど、そのあたりから段々嫌がる俺を無理矢理父さんがお世話に参加させるようになった。

 

 ソイツはとっても人懐っこいやつで、朝の餌やり係に任命された俺が池に近づくとスーッと近づいてきて池から頭を出してパクパク口を開けるんだ。

 不覚にもキュンとしてしまったのを覚えている。

 

 そんな事があったりして段々と俺も積極的にお世話に参加するようになって、父さんと母さんも満足気だった。

 

 相変わらず弱くて、可愛くなくて、カッコよくもないけど、確かにコイツは家族の一員になっていた。

 

 時には近所の友達に馬鹿にされて喧嘩になったりもした。傷ついた顔を見るや慌てて水をパシャパシャさせているコイツを見て、俺が怒ったのは間違ってなかったんだって思ったね。

 

 まあそれからしばらく経ってもコイツは一向に進化する兆しもなければ強くなる事もなかった。

 

 だからといって家族であるコイツがどうにかなるわけではないのだが。

 

『お前、ずっとそのままなの?』

 

 って聞いても答えが返ってくるわけもなかった。

 

 

 そんな折、母さんがポロック作りにハマった。色々なきのみを買ってきて、色んな味を作っては俺に食べさせてきた。

 

『今日は天気も良いし、外で作りましょうか!』

 

 と、その日はお庭キャンプと相成った。

 母さんがポロックを作って、俺と父さんが食べて色々な反応をする。よくある家族の休日だったんだけど事件は起こった。

 とある組み合わせのポロックを食べた俺が

 

『マズイ!』

 

 そう叫んでプッと吐き出したそのポロックは池の中に落ちてしまったんだ。

 

 コイツは俺が吐き出したポロックを一目散に食べるやいなやかつてないほど暴れたんだ。

 あの時は家族一同焦ったね。あの頃はポケモンにポロックを与えるなんて話は聞いた事なかったから。みんな頭を抱えて、変なもの食べたから死んじゃうんじゃとか考えた。

 

 結局その心配は杞憂でただ喜んでいるだけだと分かった時はホッとした。喜び方も可愛くないんだなとわかった日でもあった。

 

 コイツは俺が吐き出すほどマズイと思った渋〜いポロックが大好きで、あげると物凄く喜ぶ。

 

 この頃にはバトルに連れ出す事もなくて、完全にペット要員のポケモンになっていた。

 

 更に時は流れて、俺がポケモントレーナーとしての一歩を歩き出す日がやってきた。あの日見たテレビの中の光景を俺も再現するんだって意気込んでた。

 

 旅立ちの日、父さんと母さんから餞別として渡されたのがモンスターボールに入ったコイツで、俺は大層困惑した。

 

『え? なんで?』

 

『お前について行きたいっぽくてな、凄いやる気だからお前の旅に同行させてやってくれ』

 

 ボールの中のコイツは今まで見た事がない程キリッとした表情をしていた。ただ全然カッコよくなかったけど。

 弱いのにどこからそんな自信が湧いてくるのかって思ったけど、コイツの熱意に負けて結局は連れて行く事にした。

 

 いや、一回戻そうとしたんだけど、そうしたらコイツ池から飛び出してきて跳ねてでも付いてこようとして連れて行かざるを得なかったんだ。

 

 で、旅に出てすぐの事だ。

 大事件が起こった。

 コイツとふたり、なんとかポケモンを倒しながら進んでいたんだけど、急に光りはじめて。

 

 『進化!?』

 

 進化したコイツはとても美しい姿をしていた。

 

 慌てて家に帰って、父さんと母さんに報告した。

 

『あいつが進化したんだ!』

 

 って。父さんも母さんも驚いていた。

 ボールから出してその姿を見せたら更に驚いていたな。

 

 進化したコイツは、カッコよくて、可愛くて、強かった。

 

 俺自身も見た事ない珍しいポケモンを連れているポケモントレーナーとして有名になったし、コイツを狙う悪い奴らにも襲われたし、色んな研究者から進化の条件とか聞かれた。

 

 進化の条件なんてよくわからなかったし、当時は知らないって突っ返したけど、とある場所で熱心にコイツの事を聞いてきた小さな女の子がいたな。

 

 え? いや、違う地方に行った時の話だから今その子が何をしてるのか知らないんだ。

 

 名前は確か……シロナだっけか。

 

 今話してるのと同じような事を何度も話したよ。その時の情熱と言ったら無理にでも旅についてこようとしたコイツに似たようなものを感じて……だからかな、俺も根負けしたんだろうね。

 

 もし、進化前のコイツをゲットしていたあの子なら進化させているかもしれないな。

 

 

 

 

 

「……俺とコイツの話はこれくらいかな。他に何か聞きたい事ある?」

 

「いえ、貴重なお話をありがとうございました。チャンピオン!」

 

「あはは……元、だけどね。じゃあ行こうか。ミロカロス」

 

「ふわぁぁぁぁぁお」




取り敢えずこの話はこれで終わりです。
続きは要望が多かったら考えます。

ブイズ人気投票します。一位のポケモンが主人公の手持ちになるらしいです。

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