同じところを徘徊するだけの日々だった。
変わらない風景、変わらない日常。
本能で過ごすだけだった私は、不幸にも━━いや、幸運にも釣られてしまってから運命が変わった。
私をかっこよくないと指差しながら泣き喚く小さな男の子がいた。
『私は可愛いと思うんだけどなぁ……もしかして私の感性って変?』とボソボソ呟く女の人がいた。
『父さんはかっこいいと思うけど』とあたふたしたながら話す男の人がいた。
程なくして私は池に放され、一人で泳ぐ事になった。
群れから離れてもやる事は変わらなくて、同じところをぐるぐるぐるぐる回るだけ。
時々投げ込まれるエサを食べながら、ただひたすら。
人が近づくとエサをくれるとわかった。
与えられるエサは美味しい。故に近づいてエサをねだるのだ。そうするといつもより多くくれたりする。役得なのだ。
小さな男の子が初めて池の前にやってきた。
エサを貰えると思って近づいたけど中々くれない。
くれないのかな? と思いながら待ってるとおずおずと小さな手が近づいてきた。
食べると小さな男の子の顔がパッと輝いてすぐ戻る。
それから、ちょくちょく私のところに来てくれるようになってエサをくれた。
色んなところにエサが投げられてそれを片っ端から食べていく。それだけでとても嬉しそうにしているのだ。
それくらいならお安い御用です。
ある日、小さな男の子が怪我をして帰ってきた。
怪我はダメだ。群れの中でも岩にぶつかって怪我をしたやつはその後から上手く泳げなくなった。
きっと小さな男の子は上手く歩けなくなってしまう。
でも、小さな男の子はニコニコと笑ってどこか誇らしげだった。
一度だけ、小さな男の子に
『お前、ずっとそのままなの?』
と聞かれた事がある。
そのまま? よくわからなくて、なんの反応も出来なかった。
それ以来その言葉を聞く事はなかった。ただその言葉を言う小さな男の子は全然楽しそうではなかった。
ポチャンと何かが落ちてきた。
よく小さな男の子がエサを投げてくれるからそれだと思って食べた。
物凄く美味しかった。
美味しすぎて暴れたせいで何かあったのかとみんな寄ってきてしまった。
恥ずかしい。
時は流れて小さな男の子は男の子になって、旅立つという話を聞いた。
ついて行きたかった。
あの子は親の前じゃ格好をつけたがるけど、よく池の前で一人で泣いていた。
辛い。嫌だ。とひとしきり泣いて立ち上がれる強い子だ。
なんとかして力になりたかった。
一度置いてかれそうになったけど、跳ねてでも着いていこうとしたら根負けしてくれて連れて行ってくれる事になった。
嬉しかった。
私は弱いけど、どうにかして役に立ちたいと思った。
役立つ機会は意外と早く訪れるもので、私は進化した。
進化の光に包まれている間、私はあの時のあの言葉を思い出した。
『お前、ずっとそのままなの?』
今の私が過去に行けるのなら、あの時の私に凄くかっこよくなるから待っていなさいと言わせたい。
これで役立てる。
嬉しかった。とても、嬉しかった。
あなたのパートナーである私は、
カッコよくて、可愛くて、強いんだから。
そう、証明出来る。
色んな冒険をした。
色んなトレーナーと戦って、色んなポケモンと出会って、色んな人に追われた。
出会いがあれば別れもあった。
でも、あの子の最初のポケモンは私で、あの子のパートナーはずっと私だ。
あの子にべたべたするポケモンはいっぱいいて、つゆ払いするのが大変だった。あの子は優しいから。
でも、最後には私が横にいる。
だってパートナーだから。
ずっと、ずっと、お側に。
あなたの隣でずっと戦いたい。
あなたのお役に立ちたい。
お慕いしてます。私のご主人様。
ちょっと嫉妬深いところもありますけど、根底にあるのは大好きなご主人様の役に立ちたいという感情です。
本来ならもっと早く書く予定でしたが何分思いつきで書いてるので随分遅くなりました。
続きは不定期ですので気長にお待ちください
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=280789&uid=175894
引き続きリクエスト受付中です。イメージが沸けば書くかもしれません。
ブイズ人気投票します。一位のポケモンが主人公の手持ちになるらしいです。
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