父さんが釣ってきた珍しいポケモンのお話   作:しぐ

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シェイミ編が中々進まない……ので息抜きです。


ミロカロスが一人遊びをするだけのお話

 とある地方のとあるビーチ。

 手持ちをモンスターボールから解放したトレーナーは煌々と照り付ける日差しを嫌い、パラソルの下に引っ込んでしまった。

 

 炎のたてがみを持つポケモンは砂に足を取られるのを嫌い、ビーチ近くの草地で青草を食む事にしたようだ。

 

 赤の翼のポケモンは元気にビーチ周辺を飛び回っている。休む気満々のご主人様を警護するんだと意気込んで、逆に疲れてしまわないか心配である。

 

 トレーナーの手持ちの残り1匹。

 そう、暇を持て余したミロカロスが一人で遊ぶだけのお話である。

 

「俺はここで寝てるから。好きに遊んでおいで」

 

 必ず自分の元に帰ってくると全く疑わないトレーナーの言葉にミロカロスは少し嬉しくなりながら、でも特にする事はないなと思案する。

 

 ご主人様に仇なす不届き者はボーマンダがきちんと見張ってくれているので、ミロカロスに特に役目はなかった。

 

 本格的に眠りに入ってしまったトレーナーの寝顔をしばらく眺めてから、太陽光を反射してキラキラと輝く海に目を向けた。

 

 海を散歩しようかな、と。

 

 

 前提として、ミロカロスは水中にいるべきポケモンだ。

 トレーナーが陸にいるので必然、ミロカロスも陸にいる事になる。陸で活動出来ないポケモンではないし、ご主人様と一緒にいれるのであれば陸にいる事になんの不満もない。

 

 だが、やはり水中を泳ぐのはいいものだと実感する。

 

 釣り上げられる前に泳いでいた川。

 

 釣り上げられてから泳いでいた池。

 

 そして今泳いでいる海。

 

 どれも気持ちいい。思いっきり泳げるのはとても良い。

 

 進化前は小さかったからあの池でも悠々と泳げたが、今は余ってしまうだろう。

 夏の暑い日は、汗だくになりながら氷を運んでくれたのを覚えている。

 

 その事を思い出して、少し頬を緩めながらミロカロスは海を進む。

 

 そもそもの話である。

 ミロカロスというポケモンは長年謎に包まれていて、見かける数も少ない超希少ポケモンであった。

 野生下のヒンバスがミロカロスに進化する事例はまず無く、極々稀に突然変異の如くミロカロスに進化する個体がいる程度で人の目撃例など皆無に等しい。

 目撃したラッキーな人も、幻覚を疑われる始末である。

 

 つまり、何が言いたいのかというと。

 

 海のポケモンでさえ、ミロカロスというポケモンを見た事ある個体は殆どいないのである。

 

 ドククラゲは、未知のポケモンに驚き威嚇したが、既に目の前から消えていたので見間違いだと思い、ふわふわともう一度漂い始めた。

 

 上空を飛ぶぺリッパーは、美味そうな獲物がいると思って近づいた結果、それは海面近くで休憩していたミロカロスだと気付き、慌てて引き返した。

 

 パールルは、知らないポケモンが通った事にびっくりして、貝殻をキツく閉じた。

 

 ジーランスは、ミロカロスが横を通っても気にせずのんびりと泳いでいた。

 

 泳いで、休憩して、泳いで、休憩して。

 

 やってる事は水泳選手とそれほど変わらないが、ミロカロスはこれでも遊んでいるつもりである。

 

 そもそもミロカロスに進化してからトレーナーの側にいなかった事など殆どない。

 野生下にミロカロスとしていたのならともかく、陸にいる時間の方が長いミロカロスとしてはぼっちでやる事など泳ぐ事しか無い。

 

 いたずらをする性格でもないので、大真面目に泳いでから休憩してを繰り返し、日が暮れる頃になってからトレーナーの元に戻った。

 

 

 もうすぐ日が落ちるというのに、まだ寝ているトレーナーに少々呆れつつ、夏とはいえこれ以上寝ていると身体が冷えてしまうのでくっついて温めてあげることにした。

 

「ふぉぉぉう」

 

「ん……? あれ、なんか薄暗い」

 

 耳元で優しく鳴くと、トレーナーが目覚める。

 

「……結構寝たなぁ。ミロカロスは楽しめたか?」

 

「ふぉぉぉう」

 

「そっか」

 

 あまり回っていない頭でそう微笑んだトレーナーはミロカロスの頬を撫でる。

 毛もなくツルツルしているこの身体をトレーナーは随分と嬉しそうに撫でるものだとミロカロスは感心する。

 ギャロップの身体を撫で回して蹴られているのをミロカロスは知っている。

 もちろんギャロップはそのあとキッチリと氷漬けにした。

 

 触り心地はギャロップの方が上なのかもしれないが、嬉しそうに自分を撫でてくれるだけでとても嬉しい気持ちになる。

 

「帰ろうか」

 

「ふぉぉぉぉう」

 

 この笑顔を守る為なら、なんだってしたくなるミロカロスであった。




まだ夏本番じゃないしと思っていたら実はもう8月という罠。びっくりです。

リクエストも感想もありがとうございます。とても嬉しい思いでいっぱいです。創作意欲が刺激されたらリクエストも文章になります。
全てにおいて気長にお待ちください(短編という括りにあぐらをかきながら)

主人公の名前や容姿は(考えるのが面倒で)敢えて描写してないのですが、いざ登場させようとすると違和感を覚えて結局削除してしまう。
どうしようかと迷っている次第です。

次も気長にお待ちください。
(次はシェイミ編だといいなぁ……)

ブイズ人気投票します。一位のポケモンが主人公の手持ちになるらしいです。

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