父さんが釣ってきた珍しいポケモンのお話   作:しぐ

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シェイミ編、始まります。
映画のような敵は出てきません(断言


空からポケモンが降ってきたお話。前編

「ミィイイイイイ!!」

 

 ある晴れた日の朝。

 少し早く目が覚めた俺は、朝日を摂取する為に散歩を敢行していると、何やら声が聞こえた気がした。

 

「ぶげらっ!?」

 

 空から、何かが落ちてきた。

 

『……助かったでしゅ』

 

「俺は助かってないんだが」

 

 気のせいでなかったみたいです。何やら見た事がないポケモンが降ってきて俺の頭を潰しにかかってきた。許すまじ。

 

『丁度いいでしゅ。オマエ、花畑がどこにあるか知ってるでしゅか?』

 

 花畑?

 

「聞いた事もないけれど」

 

『つーれーてーいーくーでーしゅー!』

 

「知らないところに連れて行けるか! というか俺の頭から退きなさい」

 

 折れる。俺の首が90度にポッキリ逝く。

 

『ミーを花畑に……むぐぅ』

 

「オーケー。一旦落ち着こう。花畑なんて俺は聞いたことないし君がなんてポケモンかもわからない。取り敢えず……」

 

 腹ごしらえだろう。

 

 

 

 

 腹が減ってはなんとやら。

 

『オマエ、中々やるでしゅね』

 

「それほどでもある」

 

 パクパクパクと凄い勢いでホットケーキが腹の中に吸い込まれていく。というかホットケーキ食べて大丈夫なのかはわからないけど多分大丈夫でしょう。

 

「さて、花畑……花畑……」

 

 うーん。わからん。

 

「そもそもこんなポケモン見た事ないし……」

 

『ミ?』

 

 ポケモンの事はあの人に聞けばいいって聞いた。

 

『な、なにするでしゅかー!?』

 

「ポケモンの事をよく知ってる人に聞きに行くんだよ」

 

 食事中だが関係ない。お花畑に行きたいのなら黙っていてください。

 

 

 

 

「……うーん、見た事ないですね」

 

「ジョーイさんでもですか?」

 

「はい。少なくともホウエンのジョーイは見た事ないらしいです」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「いえ、お役に立てず……」

 

 と、言う事は他の地方の可能性が高い訳だが、地方を超えてポケモンがやってくるなんてそんな事あるか?

 コイツは飛べそうに無いし。

 

「なんでお前空から落ちてきたんだ?」

 

『気付いたらおっきな奴に鷲掴みにされてたでしゅ。暴れたら落とされたでしゅ』

 

「ふうん……」

 

 他の地方からホウエンまで移動出来るようなポケモンなんて心当たりないけど……考えても知らないポケモンの事なんてわかるわけもなく。

 

「わかるのはホウエン地方にはいないコイツが間違いなくここにいるって事だけで」

 

『? なんでしゅか?』

 

「いや、アホっぽい顔してるなって」

 

『馬鹿にしてるでしゅかー!?』

 

「揺れるな痛い! 首が取れる」

 

 人間首が取れたら死ぬんだぞ。そこんとこわかってるのかねこのポケモンは。

 

「しかし他の地方ってなるとアテが……あ」

 

 いや、いるじゃないか。

 

「覚えてればいいなーっと」

 

 あの時の少女は今どのくらい大きくなっているのかな。

 

 

 

 

 

 シロナという少女の噂は、地方を超えて俺の耳にまで届いていた。

 

 曰く、ミロカロスという珍しいポケモンの所有者である。

 曰く、アカデミーを飛び級で卒業した。

 曰く、瞬く間にジムを制覇した。

 曰く、考古学者として地方中を飛び回り研究をしている。

 曰く、とても美しい少女らしい。

 

 チャンピオンはもう手中にあると言われている天才少女の連絡先をこの度入手した。

 ソースはシロナの祖母である。

 

 いくら天才とはいえあの頃のシロナは連絡手段を持っておらず、これも縁だと祖母と連絡先を交換した。

 

 しばらく連絡していなかったので忘れられている可能性もあったのだが、覚えてくれていたようで快く連絡先を教えてくれた。

 

 やはり親切。親切は全てを凌駕する。

 

『何してるでしゅか?』

 

「お前の為に知り合いに聞いてみるんだよ」

 

『早くするでしゅ!』

 

 ぐわんぐわんと頭が揺れる。せっかくテレパシーという手段を使えるのだから直接的手段に出ないで欲しい。コイツの言う花畑とやらに着く前に俺の頭が取れる。

 

「……もしもし」

 

 そうこうしているうちに繋がったみたいで、とても警戒してる事がわかる声が聞こえてきた。

 そりゃそうか。いきなり知らない番号から掛かってきたら誰でも警戒する。

 

「あー、もしもし。覚えてるかわからないけど、ほら、ミロカロスの事教えてあげた」

 

「……本物ですか? 私の元に来たあの頃ミロカロスの事を教えてあげたと名乗る人はあなたで8人目です」

 

 なんでそんなに偽物が大量発生しているのか気になるところではあるが、証明方法は単純明快。

 

「ふぉぉぉぉう!!」

 

「まだ信じられない?」

 

「……ええ、まだ信じられないので、5日後にミオシティで待ってますね? ホウエン-シンオウ間の船があるので」

 

「オーケーオーケー。乗ってやる」

 

「わかりました。それでは5日後に」

 

 切れる直前、「やたっ」って声が入ってたけど、これは聞こえなかったフリをした方がいいよな。そうしよう。

 

『どうなったんでしゅか? というか助けてほしいでしゅ』

 

 急かす声が聞こえないと思ったら、ミロカロスにぐるぐる巻きにされていた。

 当のミロカロスは一仕事終えた表情をして満足気だ。絶対に離さないという意志をもって締め付けているのか、少し苦しそうに見える。

 

「ほらミロカロス、離してやれ」

 

「ふぉぉう……」

 

 ちっ、仕方なくだからなと言っているかのようである。とても不満げなミロカロスがゆっくりと解放する。

 

『ぷはぁ! 死ぬかと思ったでしゅ。オマエ容赦ないでしゅな』

 

「ふぉぉぉう」

 

『う……わかったでしゅ』

 

 これでコイツがシンオウのポケモンじゃなかったら相当な遠回りになるけど、その時はミロカロスに口を塞いで貰う事にして、俺は説明を放棄した。

 

「そういえば目的も何も伝えてないじゃん」

 

 もしかして俺、ガバガバすぎ……?

 

 

 

『酔ったでしゅ』

 

 シンオウに向かう船の上で、早々にグロッキー状態なコイツは座席の一つを占領してぐでっと伸びている。

 

「まだかかるぞ」

 

『飛べれば……酔わないでしゅ』

 

「飛ぶ? 飛べんの?」

 

『当たり前でしゅ。今は無理でしゅけど』

 

「ふーん」

 

 飛べるみたい。うちのボーマンダも飛べるけどな。

 

『まだ着かないでしゅか』

 

「まだまだ」

 

『あっ……揺れがキツいでしゅ』

 

 生憎と波が少し高いようで、割と大きな揺れが起こっている。揺れる度に顔を顰めて何かに耐えているコイツの酔い度合いは相当高そうだ。

 だからといって俺に出来る事は何もないわけで、伸びるコイツを眺めて暇を潰す。

 

『オマエはなんともないんでしゅか』

 

「この揺れが楽しいんじゃないか」

 

 波は高ければ高いほど楽しいだろう。

 嵐に直撃して転覆は避けて欲しいけど。

 いざという時はミロカロスに乗ってシンオウまで行こうか。

 

 

 

 

 気分はジェットコースター。少し長い船旅だったが、遊園地気分でいれたので退屈はしなかった。

 コイツにとってはそうではないようで。

 

『死ぬかと思ったでしゅ』

 

「酔っただけじゃ死にゃしないよ』

 

『いや、死んだばあちゃんが手を振ってたでしゅ。見たでしゅ』

 

「そうか」

 

『……んで、ここはどこでしゅか』

 

「シンオウ地方のミオシティ。お前の事を知ってるかもしれない人物に会いに来たんだ。俺が持つツテの中で1番可能性が高い」

 

 久しぶりのシンオウ地方。何の用事も無ければ観光と洒落込むのだが、頭に爆弾を抱えてるので早急に問題を解決しなければならない。

 いつ首折られるかわかったもんじゃないからな。

 

 prrrrrr

 

「……ん? 電話?」

 

『ああ、もしもし。シロナには会えたかい?』

 

「いや、これからです」

 

『早く会ってあげてね。あの子すっごく楽しみにしていてねぇ。お兄さんに会えるってやる事全部放って行ってしまったんだ』

 

「……そうだったんですね。お兄さんに会えるって喜びのあまりやる事全部放ってミオシティまで来たシロナさんに会うのは僕も楽しみです」

 

『そうかいそうかい。合流したらよろしくしてあげてちょうだい』

 

「はい。わざわざありがとうございます」

 

 澄まし顔で近づいてきたシロナが俺とおばあちゃんの会話を耳にして顔を真っ赤にして突っ込んでくるまであと3秒──。




なんか(この短編集にしては)長くなりそうなので分けます。
続きはいつになるかわからないですが、なるはや(死語)で仕上げたい所存。……所存。

やっとシロナが出てきます。しかし、少女なので原作よりもまだだいぶ若いです。

では、気長にお待ちください。

ブイズ人気投票します。一位のポケモンが主人公の手持ちになるらしいです。

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