父さんが釣ってきた珍しいポケモンのお話   作:しぐ

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なんでこんなに早いかというと半分くらい既に書いていたからです。
と、いうわけでアンケートの結果、ブラッキーが仲間になるお話です。



とあるタマゴを拾ったお話

 巡り合わせとは往々にしてあるもので、俺がそのタマゴを見つけたのは、遊ばせていたギャロップが珍しく俺に近づいてきたからだった。

 

「…………」

 

「なんだなんだ。どうした」

 

 普段は絶対に近寄らないという意志が見えるのに今日は近づいてきたどころか襟を咥えられてズルズルと引っ張られるのみだ。

 

「あの、乗せてくれません?」

 

 首を振られた。ダメみたい。

 一回乗せてくれたし、たてがみを撫でても全く熱くはない。信頼も信用もしてくれているみたいだけどどうにも一線を引かれているという感じがする。

 それはそれでいいんだけど、たまにはべたべたしてくれてもいいと思う。ミロカロス程べたべたされるのも困ってしまうから程々にべたべたされたい。

 

 

 

 

 そうしてズルズルと引き摺られてしばらく経って、止まったギャロップの視線の先には。

 

「タマゴ? 何でこんな所に……」

 

「…………」

 

 どうにかしろと目で訴えかけられる。

 そもそもタマゴがこんな所に放置されてるという異常事態。誰かが捨てて行ったのか、それとも落としたのか、はたまた野生のポケモン同士のたまたまか。何にせよ俺が拾うのは早計というもの。

 

「違う違う。どつくのをやめなさい」

 

 薄情者と言いたげな感じでガスガス突かれたがそういう事じゃない。

 もし捨てて行ったのではなく落として探してる場合、それはタマゴなんていう大きなものを落としたのであればすぐ気付くだろう。日が暮れる前までには取りに戻ってくるはず。

 野生のポケモンのタマゴであれば、近くにいれば帰ってきた親がタマゴを守ろうと襲い掛かってくるはず。

 

「どちらにせよ、もうちょっと待ってみような」

 

 俺が拾うよりも、そうであった方がよっぽどこのタマゴにとっても幸せだろう。

 

「……ミロカロスとボーマンダはこの場所わからないよな。そろそろ戻ってくるだろうから、ここまで連れてきてくれるか?」

 

「…………」

 

 頷いて、この場から去っていくギャロップを見送ってから、深いため息を吐く。

 

「はぁ〜〜…………」

 

 野生のポケモンであればタマゴを放置するなんて有り得ない。

 本当に愛情深いトレーナーであれば落とす事などおろか、タマゴを忘れるなんて事はないだろう。

 こんな木の根元に無造作に、ポツンと置かれているタマゴを見た時点で捨てられたのだとわかる。

 何故そんな事をしたのか。その人の気持ちは全く理解出来ないし、したくもない。

 

「まあ、見つけられて良かったよ」

 

 ポン、とタマゴに手を置いた。

 

「ん?」 

 

 ぴくぴくと動いた気がした。

 

「これも巡り合わせなのかな」

 

 この子は俺に出会う為にここで待っててくれていた。そう思う方がずっといい。

 

 

 

「やっぱりタマゴは炎タイプのギャロップが持つべきだと思うんだよ」

 

 フルフル

 

「そもそもギャロップが俺にこのタマゴの事を教えたわけだからタマゴの面倒を少しくらい見ようとは思わない?」

 

 フルフル

 

「いやー、ギャロップが持ってくれないとまたどっかに置いて忘れてっちゃいそうだなー」

 

 フルフルフル

 

「そんな事する訳ないでしょって目で見つめないで欲しいんだけど。やっぱギャロップに預けた方が早く孵ると思うんだけどなー」

 

 フルフル

 

「ふぉぉぉう」

 

 コクコク

 

 タマゴを持つのを頑なに拒んでいたギャロップだが、ミロカロスの鶴の一声で即座に頷いた。最初からこうしていれば良かったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポケモンセンターでまったり夜を過ごしていたある日、最近活発だったタマゴについにヒビが入った。

 

「……おおっ!」

 

 実はタマゴが生まれるのを見るのは初めての事で、タマゴを拾うのも初めての経験だったりする。いや、そんな経験は無い方がいい。

 とはいえ、タマゴに罪は無い。

 

「……ブイッ!」

 

「はじめまして、よろしくな。イーブイ」

 

 生まれたばかりのイーブイがこちらを見上げている。

 俺が、今日から君のトレーナーだよ。

 

「ブイッ」

 

 よろしくと、言ってくれたような気がした。

 精一杯可愛がろう。俺に出来るのはそれだけだと思うんだ。

 

 

 

 

 

「ブイブイブイッ!」

 

 この子、めちゃくちゃ元気。

 どれくらい元気かっていうとモンスターボールに入らないくらい元気。別にモンスターボールが嫌いというわけではないし普通に入ってくれるんだけどずっと中でガタガタ動いてる。

 ボールから出すとずっと動き回っている。

 あっち行ったりこっち行ったりそっち行ったり、目に映るもの全てが楽しいのだろうから、物を壊したり迷惑をかけなければ何をしても構わないのだが。

 そんな時に役に立つのが草原である。

 

 遊びたい! とボールの中で全力で主張しているイーブイを出すと走って何処かに行ってしまう。

 

「ギャロップ、よろしく」

 

「…………」

 

 まあいいだろうと言いたげな表情でフンと鼻を鳴らした。

 タマゴの頃から面倒を見ていたからか、何処にでも走っていくイーブイの面倒を見るのは基本ギャロップの役割になっている。

 

「ブイーーーッ!!」

 

「ぐえっ」

 

 一通り走り回ると今度は俺の元に戻ってきて遊ぼう遊ぼうと催促の嵐だ。

 服をぐいぐいと引っ張って遊んでくれなかったら服を引きちぎるぞと脅しの構え。

 

「わかった、わかったから!」

 

「ブイッ!」

 

 早く早くと急かされるもイーブイの体力は無尽蔵なのだ。

 こちらはただの人間なのでついていけないんです。

 速攻で視界から消えたけど、大分離れてる事に気付いているのだろうか。欠片も追いつける気がしないのでのんびり歩く。

 

「───ブゥゥイッ!!」

 

 程なくしていない事に気付いたイーブイが戻ってきて、何やってんの! とでも言いたげな声を上げている。

 

「ほら、もうちょっとゆっくり歩こう? 時間はまだまだいっぱいあるんだから」

 

「ブイッ」

 

 のんびりがどうしても性に合わないのか、視界から消える事はないものの俺の周りをずっと走り回っている。

 時々ずつきをしてくるのはやめて欲しい。痛いので。

 

 

 

「ブイ〜」

 

「…………」

 

 疲れ知らずのイーブイもたまには休憩をする。ギャロップのたてがみに掴まる形で。

 助走をつけて猛ダッシュしたイーブイはギャロップのたてがみ目掛けてジャンプをすると、ひしとしがみついて目を閉じた。

 

「嫌じゃないか?」

 

 フルフル

 

「そっか。じゃあしばらくよろしくな」

 

「…………」

 

 言われなくてもというような雰囲気で、ふいっと顔を逸らされた。

 

「じゃあ俺はミロカロスに抱きつこっかなーいってぇッ!!! お前イーブイ乗せてるくせにどんだけ器用に俺を蹴るんだ!」

 

「…………!」

 

「くっそ冗談の通じない奴だな……」

 

「ふぉぉぉう?」

 

「え? ほーらよしよしよし。いい子だなーミロカロスは」

 

 そういう事じゃないって顔してた。でも隠しきれない嬉しさが尻尾に出てた。

 

 

 

 

 

 イーブイは ブラッキーに しんかした!

 

 毎日毎日雨の日も風の日も雪の日も一緒に走り回り、遊んでやってたらいつの間にかブラッキーに進化した。

 

「スンってしてるな。ほら、進化したとはいえあんだけ走り回ってたんだから」

 

「ブラッ」

 

「え? 行かないの? そっかそっかぁ。ブラッキーに進化して大人になったんだなぁ」

 

「ブラッ……」

 

 なんだか複雑な顔をしていたけどしっかりこの黒いボディを撫で回しておいた。

 結構気持ちよさそうだったので撫でられるのが好きなのは変わってないみたいで安心した。

 ぺしって拒絶されてたら俺は泣いてしまうかもしれない。

 

 

 

 進化しても移動時の定位置は変わらずギャロップの上だ。

 

「…………」

 

 たてがみに纏わり付くのはギャロップがちょっと重そうにしているのに気付いたのかやめた模様。

 今は普通に背中に乗って器用に丸まっている。滑って落ちそうだけど何故か落ちないんだこれが。

 

 

 

「ふぉぉぉう」

 

「ブラッ」

 

「ふぉぉぉう!」

 

「ブラッ!」

 

 夜、焚き火のパチパチ音を聴きながらぼーっとしていたら何やらミロカロスとブラッキーが話をしていた。

 何の話をしているかはわからないが、変な事ではないだろう。

 

 うん? どうしてこっちを見るんだボーマンダ。

 

 

 

 イーブイの頃は割と直接的に表現してくれていたのだが、それがちょっと恥ずかしいのかブラッキーに進化してからは構って! とか遊ぼ! とか撫でて! とかのアピールをあまりしなくなった。

 ただその欲求はしっかり残っているのか、撫で回してやると目を細めて喜ぶ。これが可愛い。

 ボールから出して移動してる時は専らギャロップの背に乗っているブラッキーだが、宿では俺のそばにいる場合が多い。

 宿の中でどったんばったん暴れ回って怒られたものだが、そういう事はしなくなった。

 

 

 

「ブラッ」

 

 寝る時は布団の中に潜り込んでくるタイプだ。入れてくれと一言の後布団の中で包まって寝ている。

 あったかいのが好きなんだと思う。

 真夏は流石に暑いのか起きたらタンスの上にいた事があったが、基本的に布団の中にずっといるようで。

 息苦しくないのかと問いかけたところ、首を傾げられた。快適ならそれでいいんだけどね。

 

 

 

 

 自由行動させている時は基本的にギャロップと一緒にいるようで、イーブイの頃の名残りを感じる。縦横無尽に駆け回る事はしないでギャロップの隣で一緒に走ってる様子。

 やっぱり走るのは好きなんだなっていうのはわかった。なんだか生き生きしてる。

 

 

 いい兄貴分をやっているようでなんだか微笑ましい気持ちになりながら時々一緒に遊んでいる様子をこっそり眺めに行っている。

 こっそり行かないとギャロップがスンってしちゃうからしょうがない。

 

 

 

 

 

「改めてよろしくな、ブラッキー」

 

「ブラッ!」

 

 ギャロップと相性のいい新しい仲間が出来たお話だ。

 




途中のブラッキーとミロカロスの会話の内容はご想像にお任せします。

そういえば年間ランキングに載っているのを発見しました。
嬉しくて頑張って書き上げました。

Twitterも始めてみました。ネタ探しの旅が始まります。
@sigu_111で検索してください。多分出てくるはずです。

それではまた次回、思いついたら投稿します。
気長にお待ちください。

ブイズ人気投票します。一位のポケモンが主人公の手持ちになるらしいです。

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