父さんが釣ってきた珍しいポケモンのお話   作:しぐ

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思いつきました。思い付きなので短いです。


幼いあの子と会ったお話

 あれはいつの頃の話だったか。

 そもそもミロカロスというポケモンは極々稀に野生での存在が確認された事がある程度で、捕獲しようとした人はその悉くが失敗していた。

 大々的に公表されていない為、知名度は然程高くなかったが、その美しさから欲しいと考える人は後を絶たなかった。

 

 そこに現れたのはノコノコとミロカロスを連れて旅をする御しやすそうな子供である。

 おっ、ヤドンがシッポを携えてやってきたとミロカロスを知る者は思ったであろう。

 

 どこで捕獲したのか聞き出そうとする者。

 力ずくで奪おうとする者。 

 金銭や物を用いて交渉しようとする者。

 

 あの手この手でミロカロスを手に入れようとする者が多すぎて俺は、ホウエンから逃げた。

 

 これも旅だ。

 

 そう思う事にして、船を乗り継ぎシンオウ地方に降り立った。

 

『ミロカロス、お前は人気者なんだな』

 

『ふぉぉぉう……』

 

 ヒンバスの頃は見向きもされず、いざ進化すると人が寄ってくる。

 それはミロカロスに進化してもトレーナーが捕まえられないわけである。人の手を一切借りずに育ったヒンバスがミロカロスに進化すると相当警戒心の高い個体になることは想像に難くない。

 父さんに釣られたコイツは相当なアホだというわけだ。

 

 だからこそ珍しいポケモンで、だからこそそのミロカロスの希少性が高かった。

 

 カッコよくなくて、可愛くなくて、弱いポケモンを好き好んで育てる奇特な人たちはそういない。

 

『取り敢えず、人のいないところに行ってみようか』

 

 シンオウ地方についてすぐの頃は、なるべくミロカロスが人目につかないように、人がいないところでと考えながらフラフラしていた。

 理由がどうであれミロカロスを欲しがる人の多さに辟易していたのだ。

 人の少ない場所を求めてシンオウを旅した結果、辿り着いたのがカンナギタウンであった。

 

『ありがとうございます。泊まる場所を用意してもらっただけでなく、ご飯までご馳走していただいて』

 

『いいんだよ。シロナと遊んでもらっているからねえ。両親が家を空けがちでよくわしのところに預けられるが見ての通りここには何もないからの。おぬしの話を聞いてとても楽しそうにしておるよ』

 

『まだ経験の浅いトレーナーの話ならいくらでも』

 

 シロナは熱意が凄かった。将来考古学者とポケモントレーナーを両立させるべく今から頑張っているらしい。

 俺は勉強はあまりしてこなかったのでこの熱意には弱い。こんなに幼いのに真剣で、強い眼差しを一身に受けてしまえば断れる人なんていないだろう。

 俺がシロナくらいの年齢の頃はヒンバスとのほほんとしていた。うちは全員おっとり系統なのだ。

 

 特に興味を示したのはやはりと言うかミロカロスの事で、メモまで取りながら真剣に聞いていた。

 

 5歳ながらに綺麗な字であったし、そもそも人の話をメモまで取りながら真剣に聞くという行為を俺はした事がない。

 この子は将来大物になると思った程だ。

 

 とはいえヒンバスはこの地方にはいないからそのメモが役立つ事なんて流石に──

 

『いるよ?』

 

 いるんだ。

 

 シンオウ地方の中央に聳え立つ山脈──テンガン山。その山の中に存在する湖にミロカロスを見た者がいるらしい。

 なんとも上手い話があったものである。

 

『へぇ。ミロカロスがいるならヒンバスもいそうだね』

 

『そうなの。それでお願いがあって』

 

 そのお願いというのが。

 

『テンガン山に1人でいくのはとても危険だから優秀で信頼できるトレーナーが善意で連れて行ってくれるというなら許可する。おばあちゃんが若い頃だったらテンガン山ぐらいいくらでも連れて行ってあげれたのに。くれぐれも孫をよろしくお願いします』

 

 という事らしい。

 優秀で信頼できるトレーナーである俺がシロナのお守りをする運びとなった。ミロカロスがいるからうってつけの人材ではあると思うのだが……まあ、裏技だけど。

 

『よろしくお願いします』

 

『おう、行くか』

 

 釣り竿持っていざ、テンガン山へ──

 

 

 

 

 

『おお……!』

 

『わあ……!』

 

 野生のポケモンを薙ぎ倒しながら進むとそこには見事な地底湖があった──。

 

『広くない?』

 

『……釣れるかな?』

 

『まずはやってみよう。釣れなくても大丈夫さ。秘策があるんだ』

 

『うん!』

 

 釣れるわけがないのである。

 警戒心が高いであろうヒンバスがそう簡単に竿に掛かってたまるかという話だし、父さんが釣ってきたヒンバスは相当なアホだったのだろう。ヒンバスらしからぬ警戒心の無さだ。

 

『仕方ない。秘策の出番だ』

 

『秘策?』

 

 名付けて、同族で油断させて誘き出そう作戦だ。

 

『頼んだぞ、ミロカロス』

 

『ふぉぉぉぉう』

 

 自身の進化系であるミロカロスに探させる事でヒンバスの警戒心を解き、そこを捕まえるという実に画期的でミロカロスをパートナーとしている俺にしかできない作戦である。天才である。

 

 

 

 

 

 かくして。

 

『まさか本当に上手くいくとは』

 

『ふぉぉう』

 

 ジトーっとした視線をミロカロスに向けられるが、流石の俺もヒンバスを引き連れて戻ってくるとは思っていなかった。総勢30匹程にもなる群れをズラリと引き連れ得意顔で帰還したミロカロスに、目を輝かせるシロナ、そしてその中から選ばれてドヤ顔をキメるヒンバス。

 実はヒンバスというポケモンは全てアホなのかもしれない。俺の認識を改めなければならないかもしれない出来事に少し混乱が隠せない。

 ミロカロスになると警戒心は一定以上だが、ヒンバスの時点ではただのアホという可能性が有力視されてきた。

 

『はは……まさかね』

 

『ありがとう、お兄ちゃん!』

 

 シロナとヒンバスに見送られてカンナギタウンを後にした。

 シロナならいずれミロカロスに進化させるだろうし、物凄いトレーナーになるだろう。

 

『ってなると俺もうかうかしてられないな。シロナに負けないように凄いトレーナーになろうな、ミロカロス!』

 

『ふぉぉぉぉう!』

 

 

 

 

「──そう考えると、シンオウ地方にやってくるのはそれ以来というわけか」

 

 あの頃は結局シンオウ巡りもそこそこに、ホウエンに戻って修行に明け暮れる日々を送っていた。

 つまるところ、あの時以来のシンオウ地方な訳で10数年経っていれば街並みもそれはそれは変化している訳で。

 

「……完全なるノープラン。取り敢えずカンナギタウンに向かうかな」

 

 あのおばあちゃんとシロナはいるのかな。

 久しぶりに会ってみたかったけど、今どうしてるのかもわからないし。

 

「うーん、まあのんびり旅を続けてたらわかるか!」

 

 目指すはカンナギタウン。

 その先の事はノープラン!

 




次のお話が投稿されるとしたら

あの時の少女と再会したお話

とかいうタイトルになるんじゃないですかね。
多分ですけど。

気が向くか続きを求める声が多かったら書くかもしれない

ブイズ人気投票します。一位のポケモンが主人公の手持ちになるらしいです。

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